景けい泰たい帝みかど

景けい泰たい帝みかど 朱しゅ祁鈺
明あきら
第だい7代だい皇帝こうてい
王朝おうちょう	明あきら
在位ざいい期間きかん	正統せいとう14年ねん9月6日にち - 天てん順じゅん元年がんねん2月がつ1日にち （1449年ねん9月22日にち - 1457年ねん2月がつ24日にち）
都城みやこのじょう	北京ぺきん
姓せい・諱いみな	朱しゅ祁鈺
諡号しごう	戻もど王おう（初はつ諡おくりな） 恭きょう仁ひとし康かん定じょう景けい皇帝こうてい（成なり化か帝みかどによる） 符ふ天てん建けん道どう恭きょう仁ひとし康かん定じょう隆文たかふみ布ぬの武たけ顕徳けんとく崇たかし孝こう景けい皇帝こうてい（弘光ひろみつ帝みかどによる）
廟びょう号ごう	代だい宗むね（弘光ひろみつ帝みかどによる）
生年せいねん	宣せん徳とく3年ねん8月がつ13日にち （1428年ねん9月21日にち）
没年ぼつねん	天てん順じゅん元年がんねん2月がつ19日にち （1457年ねん3月14日にち）
父ちち	宣せん徳とく帝みかど
母はは	孝こう翼つばさ太ふとし后きさき呉ご氏し
后妃こうひ	孝こう淵ふち景けい皇后こうごう汪ひろし氏し 粛孝皇后こうごう杭くい氏し
陵墓りょうぼ	景けい泰たい陵りょう
年号ねんごう	景けい泰やすし : 1450年ねん - 1457年ねん

景けい泰たい帝みかど（けいたいてい）は、明あきらの第だい7代だい皇帝こうてい。諱いみなは祁鈺（きぎょく）（鈺は金偏かねへん+玉たま）。諡号しごうは符ふ天てん建けん道どう恭きょう仁ひとし康かん定じょう隆文たかふみ布ぬの武たけ顕徳けんとく崇たかし孝こう景けい皇帝こうてい（しばしば景けい帝みかどと略りゃくされる）。廟びょう号ごうは代だい宗むね。日本にっぽんでは治世ちせい中ちゅうの元号げんごうから一般いっぱん的てきに景けい泰たい帝みかどと称しょうされている。

生涯しょうがい

宣せん宗むね宣せん徳とく帝みかどの次子じしとして生うまれる。兄あに・正統せいとう帝みかど（英えい宗むね）の即位そくい後ご、郕王に封ふうじられる。土木どぼくの変へんで正統せいとう帝みかどがオイラトに囚とらわれると、北方ほっぽうの脅威きょういを感かんじた群臣ぐんしんにより南京なんきん遷都せんと論ろんが出だされたが、兵部ひょうぶ侍さむらい郎ろう（軍事ぐんじ次官じかん）の于謙が、南みなみ遷後に滅亡めつぼうした南みなみ宋そうを例示れいじし南みなみ遷論を排除はいじょすると共ともに、北京ぺきんにて皇太后こうたいごう孫まご氏しの命いのちにより祁鈺が、まず監かん国こくに、次ついで皇帝こうていに即位そくいした。

景けい泰たい帝みかどは土木どぼくの変へんにおける最大さいだいの責任せきにん者しゃである王おう振ふ一族いちぞくを粛清しゅくせい、財産ざいさんを没収ぼっしゅうした。そして新あらたに于謙を登用とうようし、オイラトによる包囲ほういから北京ぺきんを防衛ぼうえいしている。オイラトのエセンも今回こんかいの北京ぺきん攻撃こうげきは明朝みょうちょうに対たいし朝貢ちょうこう貿易ぼうえきの優遇ゆうぐうを求もとめた結果けっかであり、包囲ほういの長期ちょうき化かによる経済けいざい的てき負担ふたんを考慮こうりょして明朝みょうちょうとの講和こうわが成立せいりつした。講和こうわにより正統せいとう帝みかども送還そうかんされたが、景けい泰たい帝みかどは正統せいとう帝みかどを軟禁なんきんし太ふとし上皇じょうこう（上皇じょうこう）の尊号そんごうを与あたえつつ政治せいじ権力けんりょくを剥奪はくだつすると共ともに、正統せいとう帝みかどの息子むすこである朱見あけみ深ふかを立太子りったいしするなどの懐柔かいじゅう策さくを提示ていじしている。

土木どぼくの変へん以降いこうの景けい泰たい帝みかどは于謙を中心ちゅうしんに、北きた防ぼう体制たいせいを建たて直なおしを行おこなっている。また一いち度どは朱見あけみ深ふかを立太子りったいしした景けい泰たい帝みかどであったが、自みずからの嫡子ちゃくしへの皇統こうとう継承けいしょうを画策かくさくし、景けい泰やすし3年ねん（1452年ねん）に息子むすこの朱見あけみ済ずみを立太子りったいしした。この廃立はいりつを巡めぐり反対はんたい派はの朝臣あそんを宥和ゆうわするため金かねを下賜かししたことより、後のちに「臣下しんかに賄賂わいろを贈おくる皇帝こうてい」と嘲笑ちょうしょうの対象たいしょうとされた。

このようにして立太子りったいしされた朱見あけみ済ずみであるが、翌年よくねんに薨去こうきょしている。また景けい泰たい帝みかど自身じしんも景けい泰たい8年ねん（1457年ねん）に病臥びょうがし、朝臣あそんより後継こうけい者しゃの決定けっていを促うながす奏上そうじょうがなされるが、朱見あけみ済ずみに嫡子ちゃくしのいなかった景けい泰たい帝みかどは後継こうけい者しゃ指名しめいを行おこなわずにいた。この状況じょうきょうに、正統せいとう帝みかどに近ちかい石いし亨とおる、徐じょ有ゆう貞さだ、曹吉祥きっしょうらは正統せいとう帝みかどの復辟ふくへきを画策かくさくし、正統せいとう帝みかどを軟禁なんきんされている宮殿きゅうでんから脱出だっしゅつさせ、病床びょうしょうの景けい泰たい帝みかどは抵抗ていこうすることなく正統せいとう帝みかど（天てん順じゅん帝みかど）が重祚じゅうそした（奪だつ門もんの変へん）。帝位ていいを追おわれた景けい泰たい帝みかどは間まもなく崩御ほうぎょしたが、暗殺あんさつされたとする説せつもある。享年きょうねん30。

崩御ほうぎょ後ごは歴代れきだい皇帝こうていの陵墓りょうぼ群ぐんが位置いちする天寿てんじゅ山さん（いわゆる明あかりの十じゅう三さん陵りょうがある地区ちく）ではなく、頤和園えん西部せいぶの玉たま泉山いずみやまの北方ほっぽう、金山かなやまの貴族きぞく陵墓りょうぼ地ちに埋葬まいそうされた。天てん順じゅん帝みかどは殉葬の習慣しゅうかんに反対はんたいしていたが、景けい泰たい帝みかどに対たいする憎にくしみから、最後さいごの殉葬として唐とう氏し（景けい泰たい帝みかどの寵ちょう妃ひ）を殉死じゅんしさせた。景けい泰たい帝みかどの死後しごすぐには悪わるい意味いみの諡号しごう・戻もど王おうが贈おくられた。明あかり実録じつろくでは廃帝はいていと呼よばれている。

成なり化か帝みかど（朱見あけみ深ふかし）の代だいになって恭きょう仁ひとし康かん定じょう景けい皇帝こうていという簡易かんいな諡号しごうが贈おくられた。他たの明朝みんちょう皇帝こうてい同様どうように長ながい諡おくりなとなった符ふ天てん建けん道どう恭きょう仁ひとし康かん定じょう隆文たかふみ布ぬの武たけ顕徳けんとく崇たかし孝こう景けい皇帝こうていの号ごう、および廟びょう号ごうの代だい宗むねは、南明なんめいによって弘光ひろみつ元年がんねん（1645年ねん）に贈おくられている（清きよしではこの改あらため諡おくりなを認みとめず、恭きょう仁ひとし康かん定じょう景けい皇帝こうていの諡号しごうを用もちい続つづけた）。

宗室そうしつ

后妃こうひ

• 孝こう淵ふち景けい皇后こうごう汪ひろし氏し（廃はい后きさき）
• 粛孝皇后こうごう杭くい氏し
• 皇すめらぎ貴とうと妃ひ唐とう氏し（殉葬）
• 李り惜児

男子だんし

• 懐ふところ献けんじ太子たいし 朱見あけみ済ずみ - 母ははは粛孝皇后こうごう杭くい氏し。夭折ようせつ。

女子じょし

• 固かた安やす公主こうしゅ（正統せいとう帝みかどの復辟ふくへきにより郡ぐん主ぬしに降格こうかく） - 母ははは皇后こうごう汪ひろし氏し。王おう憲けんに降嫁こうかした。
• 公主こうしゅ（正統せいとう帝みかどの復辟ふくへきにより郡ぐん主ぬしに降格こうかく） - 母ははは皇后こうごう汪ひろし氏し。在家ありいえ修行しゅぎょう。

登場とうじょう作品さくひん

テレビドラマ

• 王おうの後宮こうきゅう（2013年ねん、中国ちゅうごく、演えんじ：張ちょう雷かみなり）
• 女医じょい明あかり妃ひ伝でん〜雪ゆきの日ひの誓ちかい〜（2016年ねん、中国ちゅうごく、演えんじ：ホアン・シュエン）
• 大明だいめい皇すめらぎ妃ひ -Empress of the Ming-（2019年ねん、中国ちゅうごく、演えんじ：リー・シンリャン）
• 成なり化か十じゅう四よん年ねん〜都とに咲さく秘密ひみつ〜（2020年ねん、中国ちゅうごく、演えんじ：李り泰やすし延のべ）