企業きぎょう倫理りんり

企業きぎょう倫理りんり（きぎょうりんり、英えい: business ethics）とは、企業きぎょう行動こうどうとそれを実現じつげんする企業きぎょう内ないにおける人間にんげんの行動こうどうに関かんして、意思いし決定けっていの根幹こんかんとなるもので、自然人しぜんじんの倫理りんりにあたるものである。なお、コンプライアンス（法令ほうれい遵守じゅんしゅ）の訳語やくごとして用もちいられる時ときもある^{[要よう出典しゅってん]}。また、応用おうよう倫理りんり学がくの一いち分野ぶんやとして企業きぎょう倫理りんり学がくと呼よばれることもある。

企業きぎょう倫理りんりとは何なにか

企業きぎょうの行動こうどうは投資とうし家か、消費しょうひ者しゃなどのステークホルダーに大おおきな影響えいきょうを与あたえ、あるいは社会しゃかいや環境かんきょうに深刻しんこくな被害ひがいを与あたえるものであり、企業きぎょうの行動こうどうは常つねに高たかい倫理りんり性せいをもって行おこなわれなければならない。現実げんじつの企業きぎょうにおいてはいかに掲かかげる種々しゅじゅの事柄ことがらと強つよく結むすび付つくことによって、経営けいえい者しゃをはじめとした企業きぎょう体たいの行動こうどうに関係かんけいする一人ひとり一いち人にんの人間にんげんが、個々ここの現場げんばにおいて倫理りんり的てきに正ただしい判断はんだんを行おこなうことによって企業きぎょうの倫理りんりは守まもられている。京きょうセラ創業そうぎょう者しゃである稲いね盛もり和夫かずおによる「京きょうセラフィロソフィー」を含ふくむ一連いちれんの経営けいえい哲学てつがくは経営けいえい理念りねんの重要じゅうよう性せいを説とくものとして、国内外こくないがいから著名ちょめいな概念がいねんとして知しられる^{[要よう出典しゅってん]}。

コンプライアンス

倫理りんりあるいは道徳どうとくと法ほうは互たがいに密接みっせつな関係かんけいを持もっているものの、別べつなものである。しかしながら各種かくしゅ法令ほうれいの遵守じゅんしゅ体制たいせいができている企業きぎょうの倫理りんりは総そうじて高たかい。

社是しゃぜ・社しゃ訓くん

社是しゃぜ・社しゃ訓くんはその企業きぎょうの行動こうどう規範きはんを示しめしたもので、その企業きぎょうの企業きぎょう倫理りんりの根幹こんかんをなすものである。経営けいえい者しゃや個々ここの従業じゅうぎょう員いんの全すべての行動こうどう判断はんだんの基準きじゅんに社是しゃぜ・社しゃ訓くんを置おくことは有効ゆうこうとされる^{[要よう出典しゅってん]}。

社風しゃふう

社風しゃふうとは、その会社かいしゃの風紀ふうき、性情せいじょうを表あらわすもので、一般いっぱんに、体育たいいく会かい系けい、家族かぞく的てき、軍隊ぐんたい的てき、官僚かんりょう的てき、野武士のぶし、お公家くげ等とうの言葉ことばであらわされることが多おおい。社風しゃふうと企業きぎょう倫理りんりの実践じっせんは別べつのものである。しかし、会社かいしゃの急きゅう成長せいちょう・急きゅう拡大かくだいを優先ゆうせんさせる社風しゃふうや経営けいえいトップが世間体せけんてい・会社かいしゃの面子めんつを優先ゆうせんさせるような社風しゃふうの場合ばあい、会社かいしゃの実態じったいに倫理りんりが追おい付つかず、企業きぎょう倫理りんりの徹底てっていが末端まったんの社員しゃいんや経営けいえい者しゃ全般ぜんぱんに行いき届とどかないことがあり、結果けっかとして不祥事ふしょうじを引ひき起おこす場合ばあいもある。

個人こじんのモラル

会社かいしゃを動うごかしている要素ようそが一人ひとり一いち人にんの人間にんげんである以上いじょう、企業きぎょう倫理りんりの実践じっせんにおいて最後さいごに問題もんだいになるのは個々ここの人々ひとびとの倫理りんり感かんである。しかしながら、企業きぎょう活動かつどうの中なかにおいてはしばしば個々ここの人々ひとびとの倫理りんり観かんがないがしろにされることがある。この結果けっか企業きぎょうの活動かつどうが社会しゃかいに大おおきな影響えいきょうを及およぼすことがあるため、国くにや一部いちぶの企業きぎょうにおいては内部ないぶ通報つうほう制度せいどを設もうけ、企業きぎょうがハラスメント行為こういなど正ただしくない行動こうどうをとらないように、また、そのような行動こうどうをとった場合ばあいにこれを認知にんちし、対応たいおうできるようにしている。

具体ぐたい的てき場面ばめんにおける企業きぎょう倫理りんり

企業きぎょう会計かいけいにおける企業きぎょう倫理りんり

企業きぎょう会計かいけいの主しゅたる目的もくてきは、会計かいけい年度ねんどにおける企業きぎょうの経営けいえい成績せいせきと期末きまつにおける財政ざいせい状態じょうたいを明あきらかにすることにあるが、企業きぎょう会計かいけいは企業きぎょう活動かつどうと表裏ひょうりの関係かんけいにあり、企業きぎょうが倫理りんり的てきに望のぞましくない行動こうどうをとっている場合ばあい、その結果けっかは何なにがしかの形かたちで財務諸表ざいむしょひょうその他たに現あらわれることが多おおい。このため古今ここんより企業きぎょう会計かいけい人じんには高たかい職責しょくせきと倫理りんりが求もとめられている。特とくに21世紀せいきに入はいってからはエンロン、ワールドコム等ひとしに代表だいひょうされるような企業きぎょう会計かいけい自体じたいを問題もんだいとした不祥事ふしょうじも多おおく、日本にっぽんにおいてもカネボウや西武せいぶ^{[要よう曖昧あいまいさ回避かいひ]}といった歴史れきしのある大だい企業きぎょうにおいて不祥事ふしょうじが発生はっせいしており、国際こくさい会計かいけい基準きじゅんの実現じつげん、日本にっぽん版ばんSOX法ほう等ひとしによって企業きぎょう会計かいけい倫理りんりの向上こうじょうを行おこなおうという動うごきがなされている。