伊勢物語いせものがたり拾じつ穂ほ抄しょう

『伊勢物語いせものがたり拾じつ穂ほ抄しょう』（いせものがたりしゅうすいしょう）は、北村きたむら季吟きぎんによる『伊勢物語いせものがたり』の注釈ちゅうしゃく書しょ。刊行かんこうは延のべ宝たから8年ねん（1680年ねん）だが、寛文ひろふみ3年ねん（1663年ねん）以前いぜんには成立せいりつしていた。細川ほそかわ幽斎ゆうさいの『伊勢物語いせものがたり闕疑抄しょう』と師匠ししょうである松永まつなが貞徳さだのりの説せつを中心ちゅうしんに、『伊勢物語いせものがたり愚見ぐけん抄しょう』、『伊勢物語いせものがたり肖あやか聞抄』、『伊勢物語いせものがたり惟おもんみ清きよし抄しょう』などを取捨選択しゅしゃせんたくし、そこに愚案ぐあんとして北村きたむら季吟きぎん自身じしんの説せつを記しるした諸しょ注ちゅう集成しゅうせいである。『源氏物語げんじものがたり湖みずうみ月がつ抄しょう』や『枕草子まくらのそうし春曙しゅんしょ抄しょう』などと同おなじく、本文ほんぶんをすべて掲かかげ、そこに頭注とうちゅう、傍注ぼうちゅうなどを施ほどこしたものである。