兪大猷

兪 大だい猷（ゆ たいゆう、拼音：Yú Dà-yóu、1503年ねん - 1579年ねん）は、明代あきよの武官ぶかん。字じは志こころざし輔、号ごうは虚むなし江こう、諡号しごうは武たけ襄じょう。福建ふっけん省しょう泉州せんしゅう府ふ晋すすむ江え県けん濠ほり市しの出身しゅっしん。対たい倭やまと寇戦せんで活躍かつやくした。その著書ちょしょ『剣けん経けい』は剣けんと言いえますが棍術についての本ほんである。

武官ぶかんの家いえに生うまれて、幼時ようじより兵書へいしょに親したしみ、父ちちの職しょくを継ついで百ひゃく戸ことなり、嘉よしみ靖やすし14年ねん（1535年ねん）の武たけ挙きょに及第きゅうだいして千せん戸ことされた。だが、当時とうじ頻発ひんぱつした海賊かいぞくへの対策たいさくに関かんして、上司じょうしである按察使しに意見いけんを上書うわがきしたことが逆鱗げきりんに触ふれ、杖つえ刑けいに処しょされた上うえに職しょくを奪うばわれてしまった。

その後ご、海賊かいぞくの討伐とうばつなどに功績こうせきを上あげたために武官ぶかんに復ふくし、嘉よしみ靖やすし28年ねん（1549年ねん）に備倭都と指揮しきとされ、後のちに参まいり将しょうに進すすんだ。しばしば倭やまと寇を撃退げきたいしたその軍ぐんは「兪家軍ぐん」と呼よばれ、嘉よしみ靖やすし33年ねん（1554年ねん）には副ふく総そう兵へいまで上あがった。後のちに広東かんとんの恵めぐみ州しゅう・潮うしお州しゅうの群盗ぐんとうを鎮圧ちんあつし、広西ひろせの古田ふるた僮を討伐とうばつして広東かんとん総そう兵へいに進すすみ、戚継光こうと並ならび称しょうされた。

明あかり末まつの思想家しそうかで歴史れきし評論ひょうろん家かでもあった李り卓たく吾われは、士し大夫たいふが浙江せっこう・福建ふっけんを平定へいていした最高さいこうの功労こうろう者しゃに、往々おうおうにして、戚継光こうを推おし、総そう司令しれい官かんであった兪大猷が忘わすれられがちであることに不満ふまんをもらしている。李り卓たく吾われは兵部ひょうぶ尚書しょうしょの譚たん綸が兪大猷に与あたえた手紙てがみの一節いっせつを紹介しょうかいしている。それには、「節制せっせい精せい明あきら」ということにかけては、あなたは私わたしにおよばない、また「信賞必罰しんしょうひつばつ」の点てんではあなたより戚継光こうのほうが上うえだ、「精悍せいかん馳はせ騁」にかけては、あなたは劉りゅう顕あらわに劣おとる、しかしこうしたことは皆みな細こまかいことであって総合そうごうすればあなたのほうが大おおきい、という述のべている。

登場とうじょう作品さくひん

映画えいが

• 『忠ちゅう烈れつ図ず』（1975年ねん、香港ほんこん、演えんじ：ロイ・チャオ）