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勲等くんとう

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くんとうから転送てんそう

勲等くんとう(くんとう)とは、勲功くんこうたいして授与じゅよされたものである。日本にっぽんにおいては律令りつりょう制度せいどができた当時とうじくん(くんい)としょうし、勲一等くんいっとう以下いかくんじゅうとうまでの12等級とうきゅうあった。また、位階いかい勲等くんとうというよう叙勲じょくん位階いかいおうじておこなわれた。

以下いか日本にっぽん勲等くんとうについて詳述しょうじゅつする。

概要がいよう

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くん相当そうとうつぎとおりである。勲一等くんいっとうせいさん相当そうとう)・くんとうしたがえさん)・くんさんとうせいよん)・くんよんとうしたがえよん)・くんとうせい)・くんろくとうしたがえ以上いじょうみことのり授。くんななとうせいろく)・くんはちとうしたがえろく)・くんきゅうとうせいなな)・くんじゅうとうしたがえなな)・くんじゅう一等いっとうせいはち)・くんじゅうとうしたがえはち)。

くん武功ぶこうによってあたえられ、せいさんからしたがえはちまでの位階いかい対応たいおうするものとされていたが、実際じっさいには対応たいおうする位階いかいよりもひく待遇たいぐうちょうふく位階いかいたずくんのみのもの無位むいあつかい、かげやく免除めんじょ適用てきよう対応たいおうするとされた位階いかいよりもした位階いかいじゅんじたあつかいで親族しんぞくへのやく免除めんじょ適用てきようい、くんななとう以下いか位階いかいたないものは庶人でも任命にんめい可能かのう官職かんしょくまきちょうまきちょう烽長しゅせいおもちょうだいあつししょうあつし)にしかけない、くらいふう位田いでんくらいろくじん制度せいどい)にまり、位階いかいはつもしくは無位むいものくんつことで任官にんかん若干じゃっかん有利ゆうりになる程度ていどのメリットしかなかったとされている。勿論もちろん位階いかいあたえられているものすくない地方ちほう社会しゃかいでは一定いってい意味合いみあいをゆうし(まきちょう以下いか官職かんしょくはいずれも地方ちほう末端まったん役職やくしょくにあたる)、藤原仲麻呂ふじわらのなかまろらんによる戦功せんこうしゃ大量たいりょうくんあたえられたしょうとく天皇てんのう時代じだいには待遇たいぐう改善かいぜんはかられている。だが、平安へいあん時代じだいはいると武功ぶこうたいしてはくんではなくそとあたえる傾向けいこうつよまり、10世紀せいきにはくん姿すがたすにいたった[1]

くん事実じじつじょう消滅しょうめつした平安へいあん時代じだい以降いこう江戸えど時代じだいいたるまで、もっぱら官位かんいすなわ位階いかい官職かんしょく公家くげ武家ぶけ身分みぶんせいなか活用かつようされた。

明治めいじ時代じだいはい1875ねん明治めいじ8ねん)に太政官だじょうかん布告ふこくもとづく勲等くんとう賞牌しょうはい賞牌しょうはい翌年よくねん勲章くんしょう改称かいしょう)の制度せいどができ、勲章くんしょう等級とうきゅうとして勲等くんとう勲一等くんいっとうからくんはちとうまで)が制定せいていされ、よく1876ねん明治めいじ9ねん)には詔書しょうしょもとづくだいくんさい上位じょうい勲等くんとうとして制定せいていされた。勲章くんしょう授与じゅよにあたっては、まず相応そうおう勲等くんとうじょしたうえ叙勲じょくん)で勲等くんとう相当そうとうする勲章くんしょうおくられることとされた(授章じゅしょう)。さらに1890ねん明治めいじ23ねん)に金鵄勲章きんしくんしょう制定せいていされると、勲等くんとうほか軍人ぐんじんたいして授与じゅよされる「こうきゅう」も創設そうせつされた。

戦後せんご金鵄勲章きんしくんしょう廃止はいしされ、あわせて通常つうじょう叙勲じょくん現職げんしょく官吏かんりとうへの叙勲じょくん)もしばらく停止ていしされたことから、昭和しょうわ30年代ねんだいまで生前せいぜん叙勲じょくんおこなわれなかった。池田いけだ勇人はやと内閣ないかくとき戦後せんごはじめて勲章くんしょう制度せいど運用うんよう復活ふっかつしたうえで今日きょういたる。

なお、勲等くんとうじょ慣習かんしゅうがなくなった今日きょうでも勲等くんとう詐称さしょうすることは、位階いかい学位がくいその法令ほうれいさだめた称号しょうごう、あるいは外国がいこくにおいてそれらにじゅんずるものをふくめて軽犯罪法けいはんざいほうだい1じょう15ごうにおいて違法いほうとされ、違反いはんした場合ばあいには拘留こうりゅうまた科料かりょうしょせられる。

2003ねん平成へいせい15ねん11月3にち以降いこう日本にっぽん勲章くんしょう官民かんみん格差かくさ是正ぜせい多角たかくてき観点かんてんもとめるこえもとづいて太政官だじょうかん布告ふこく改正かいせいされだいくん以外いがい数字すうじ表現ひょうげんする等級とうきゅうとしての勲等くんとう廃止はいしされた(ただし改正かいせい太政官だじょうかん布告ふこく条文じょうぶんにもつづき「勲等くんとう」の文言もんごんがあり、表記ひょうきができなくなっただけで概念がいねんとしてはのこっている)。勲等くんとう廃止はいしにおいては与党よとう一部いちぶから反対はんたいたが、今後こんごどのよう栄典えいてん制度せいどとなるか官民かんみん格差かくさ是正ぜせい栄典えいてんほう制定せいてい問題もんだいなどがあるなか現在げんざいのところは不透明ふとうめい情勢じょうせいにある。

当該とうがい制度せいど改正かいせいにより、日本にっぽん勲等くんとう授与じゅよ叙勲じょくん)という行為こうい適用てきようされなくなったのち政府せいふ勲章くんしょう授与じゅよ授章じゅしょう)について授章じゅしょうのみならず「叙勲じょくん」の表現ひょうげんもちいている(たとえば、官報かんぽう叙位じょい叙勲じょくんらん叙位じょい授章じゅしょうらんなどへ変更へんこうされずにそのままの名称めいしょうである)。これは、きゅう制度せいど明確めいかくけられていた「勲等くんとう」と「勲章くんしょう」についてしん制度せいどで「勲等くんとう」が完全かんぜん廃止はいしされて純粋じゅんすいに「勲章くんしょう」のみとなったわけではないことを意味いみしている。制度せいど改正かいせいによりしん制度せいどで「くんとう」の勲等くんとう授与じゅよすることはできなくなったが、太政官だじょうかん布告ふこく規定きていじょうは「ろくきゅう」(6つのきゅう)という個別こべつ呼称こしょうのない概念がいねんとしての勲等くんとうつづ存置そんちされておりしん制度せいど勲章くんしょうはそれら個別こべつ名称めいしょうたない6区分くぶん勲等くんとうのいずれかにぞくしているものとなっているため、勲章くんしょうさづける(ける)ことの意義いぎなかに(明示めいじてきではないが)事実じじつじょう勲等くんとう属性ぞくせいびたものとなっている。今日きょう勲等くんとうじょ慣例かんれいがなくなり勲章くんしょう授与じゅよ叙勲じょくんしょうすることになったことで叙勲じょくん勲章くんしょう授与じゅよすること自体じたい意味いみつよくなった。

肩書かたがきとして位階いかい勲等くんとうもちいる場合ばあいふるくからの儀典ぎてん慣例かんれいとして「せいさん勲一等くんいっとう日本にっぽん太郎たろう」のように勲章くんしょうはぶくのが正式せいしきとされ、たとえば国会こっかい議員ぎいん死亡しぼうした場合ばあい国会こっかいでの弔詞ちょうしでもそのような勲章くんしょう省略しょうりゃく肩書かたがき故人こじん呼称こしょうしたがしん制度せいど国会こっかい弔詞ちょうしではきゅう制度せいど叙勲じょくんずみ死亡しぼうしゃについてはつづきゅう勲章くんしょう省略しょうりゃくして従来じゅうらい呼称こしょう方式ほうしきもちいるのにたいしん制度せいど叙勲じょくんされた死亡しぼうしゃたいしては「せいさん旭日大綬章あさひだいじゅしょう日本にっぽん太郎たろうくん多年たねん憲政けんせいに……」のように呼称こしょうしており、このてんでもしん制度せいど勲章くんしょうきゅう制度せいど勲章くんしょうことなりわずかながらでも勲等くんとうとしての意味合いみあいを含有がんゆうしていることが推定すいていされる。

くん

  • 勲一等くんいっとう
  • くんとう
  • くんさんとう
  • くんよんとう
  • くんとう
  • くんろくとう
  • くんななとう
  • くんはちとう
  • くんきゅうとう
  • くんじゅうとう
  • くんじゅう一等いっとう
  • くんじゅうとう

 

勲等くんとう

  • だいくん
  • 勲一等くんいっとう
  • くんとう
  • くんさんとう
  • くんよんとう
  • くんとう
  • くんろくとう
  • くんななとう
  • くんはちとう

栄典えいてんとく勲等くんとう)に関連かんれんする法令ほうれい

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  • 金銀きんぎん木盃もくはい金円きんえんたまものあずか手続てつづき明治めいじ16ねん太政官だじょうかん布告ふこくだい17ごう
  • 宝冠章ほうかんしょう及大くん菊花きっかあきら頸飾ニせきスルけん明治めいじ21ねんみことのりれいだい1ごう
  • 元帥げんすい陸軍りくぐん大将たいしょうだいくんこう三級彰仁親王国葬ノけん明治めいじ36ねんみことのりれいだい16ごう
  • 勲章くんしょう褫奪ちだつれい施行しこう細則さいそく明治めいじ41ねんかくれいだい2ごう
  • 皇族こうぞくれい明治めいじ43ねん皇室こうしつれいだい2ごう
  • だいくんふとし王国おうこくそうけん大正たいしょう8ねんみことのりれいだい9ごう
  • 皇室こうしつ制令せいれい大正たいしょう15ねん皇室こうしつれいだい7ごう
  • だい東亜とうあ戦争せんそう文官ぶんかん死没しぼつしゃ賞賜しょうし内規ないき昭和しょうわ20ねん3月9にち裁定さいてい
  • くらい勲章くんしょうとう返上へんじょう請願せいがんせきスルけん昭和しょうわ20ねんみことのりれいだい699ごう
  • 官吏かんり任用にんようじょきゅうれい施行しこうともなえ官吏かんりたいする叙位じょいおよ叙勲じょくんならびに貴族きぞくいんおよ衆議院しゅうぎいん議長ぎちょうふく議長ぎちょう議員ぎいんまた市町村しちょうそんちょうおよ市町村しちょうそん助役じょやくたいする叙勲じょくん取扱とりあつかいかんするけん昭和しょうわ21ねん5月3にち閣議かくぎ決定けってい
  • 軽犯罪法けいはんざいほう昭和しょうわ23ねん法律ほうりつ39ごう
  • 生存せいぞんしゃたいする叙勲じょくん取扱とりあつかいかんするけん昭和しょうわ28ねん9月18にち閣議かくぎ決定けってい
  • 生存せいぞんしゃ叙勲じょくん開始かいしについて(昭和しょうわ38ねん7がつ12にち閣議かくぎ決定けってい
  • 勲章くんしょう記章きしょう褒章ほうしょうとう授与じゅよおよ伝達でんたつしきれい昭和しょうわ38ねん7がつ12にち閣議かくぎ決定けってい
  • 生存せいぞんしゃ叙勲じょくん開始かいしについて(昭和しょうわさんじゅうはちねんなながつじゅうにち閣議かくぎ決定けっていだいこうもとづく叙勲じょくん基準きじゅんについて(昭和しょうわ39ねん4がつ21にち閣議かくぎ決定けってい
  • 勲章くんしょうとう着用ちゃくよう規程きてい昭和しょうわ39ねん総理府そうりふ告示こくじだい16ごう
  • 各種かくしゅ勲章くんしょうおよだいくん菊花きっかあきら頸飾の制式せいしきおよ形状けいじょうさだめる内閣ないかくれい平成へいせい15ねん内閣ないかくれいだい54ごう

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 十川そがわ陽一よういち地方ちほうにおける律令りつりょうかんじんせい展開てんかい受容じゅよう三田みた古代こだい研究けんきゅうかい へん法制ほうせい社会しゃかい古代こだい』(慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく出版しゅっぱんかい2015ねんISBN 978-4-7664-2230-6

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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