外そと位い

外そと位い（げい/がいい）とは、律令制りつりょうせいにおける位階いかい体系たいけいの1つ。中央ちゅうおうの貴族きぞく・官かん人じんに与あたえられた内うち位いに対たいして傍系ぼうけいと看み做（みな）される。

日本にっぽんの外そと位い制せい

日本にっぽんの外そと位い制せいは、新しん羅らの制度せいどをまねて遅おそくとも天武天皇てんむてんのうの時代じだいには成立せいりつしていた（『日本書紀にほんしょき』天武天皇てんむてんのう2年ねん閏うるう6月がつ庚かのえ寅とら（673年ねん7月がつ25日にち）条じょう）が、この外そと位いは八はち色しょくの姓せいによる貴族きぞく・豪族ごうぞく層そうの再さい編成へんせいによって一旦いったんは姿すがたを消けす事こととなる。

大宝たいほう律令りつりょう制定せいてい時じにおいて唐とうの視み品ひん制せいを参考さんこうとする形かたちで復活ふっかつする。日本にっぽんでは五ご位いから初はつ位いまでの5階かいにそれぞれ正せい従したがえ・上下じょうげが付ふされ、合あわせて20階かいで構成こうせいされた（最さい上位じょういは外そと正せい五ご位い上じょう、最下位さいかいは外そと少しょう初はつ位い下かとなる）。

これらは主おもに地方ちほう豪族ごうぞくや農民のうみんなどから郡司ぐんじ・軍ぐん毅あつし・国くに博士はかせ・国くに医師いしなどの地方ちほうの在庁ざいちょう官かん人じんに登用とうようされた者もの、及および蝦夷えぞ・隼人はやとなどの有功ゆうこう者しゃを授与じゅよの対象たいしょうとした。また、養老ようろう6年ねん（722年ねん）以後いごには辺境へんきょう防衛ぼうえいや官かん寺てら造営ぞうえいのために私財しざいを提供ていきょうした者ものに対たいしても授さづけられるようになった。

内うち位いと外そと位いの最大さいだいの違ちがいは、内うち位いは主おもに古ふるくからの有力ゆうりょく豪族ごうぞくに由来ゆらいする中央ちゅうおう貴族きぞくに与あたえられ、三さん位い以上いじょうの公卿くぎょうに昇のぼり顕官けんかんに就つく事ことが出来できるのは内うち位いを与あたえられた彼かれらだけであった。一方いっぽう、外そと位いに叙じょせられた者ものは国衙こくがにおいて内うち位いを与あたえられて地方ちほうに派遣はけんされた中央ちゅうおう貴族きぞく出身しゅっしんの国司こくしの元もとで使役しえきされ、外そと位いに四よん位い以上いじょうが無ない事ことでも明あきらかなように決けっして内うち位いを与あたえられた中央ちゅうおう貴族きぞくに取とって代かわることは出来できないように位置いちづけられていたのである。

外そと位いの性格せいかくに画が期きを与あたえたとされるのが、神かみ亀ひさし5年ねん3月がつ28日にち（728年ねん5月11日にち）の格かくである。これは中央ちゅうおうの官かん人じんに対たいしてその出自しゅつじ・門地もんち・姓せいによって正せい六ろく位い上じょう以後いごの昇進しょうしん経路けいろが分わけられた上うえに、外そと位いの五ご位いの処遇しょぐうが（同おなじ名称めいしょうを持もつ）内ない位いの五ご位いに対たいして位田いでん・位くらい禄ろくは半分はんぶんと規定きていされるなど、事実じじつ上じょう”中央ちゅうおう貴族きぞくに留とまる層そう”とそこから”除外じょがいされる層そう”に隔離かくりするものとなった。すなわち正せい六ろく位い上じょうから直ただちに従したがえ五ご位い下かに昇進しょうしんする者もの（現代げんだいの歴史れきし学者がくしゃはこれを「内うち階かいコース」と称しょうする）、外そと従したがえ五ご位い下かに昇進しょうしんする者もの（同おなじく「外そと階かいコース」と称しょうする）、一族いちぞく内部ないぶの立場たちばなどによって両方りょうほうの可能かのう性せいがある少数しょうすうの例外れいがい（同おなじく「内うち・外そと両りょう階かいコース」）に分わけられるようになった。これによって内うち階かいコース及および内うち・外そと両りょう階かいコースに留とまれた姓氏せいしは権力けんりょくの中枢ちゅうすうを構成こうせいしていた少数しょうすうに留とまり、大半たいはんの者ものが外そと階かいコースとされて、中なか・下級かきゅう官かん人じんとして生涯しょうがいを送おくる事ことが決定けってい付つけられたのである（稀まれに外そと五ご位いを上のぼりきって内うち位いの従したがえ五ご位い下かに叙じょせられる例れいもあったが例外れいがいと考かんがえてよい。）。これを「内うち・外そと階かい制せい」あるいは「内うち・外そと五ご位い制せい」などと称しょうする。

天平てんぺい17年ねん（745年ねん）頃ごろに、内うち・外そと階かい制せいの整理せいりが行おこなわれた結果けっか、所属しょぞくする姓せいが真人まさと・朝臣あそん及および宿禰すくねのうち有力ゆうりょく門地もんち（大伴おおとも氏し・佐伯さえき氏しなどが代表だいひょう例れい）に内うち階かいコースを限定げんていして、それ以外いがいの宿禰すくね及およびそれ以外いがいの姓せいは外そと階かいコースという原則げんそくが立たてられた。

平安へいあん時代じだい中期ちゅうき以後いご、外そと階かいコースを歩あゆむ中なか・下した官かん人じん層そうが事実じじつ上じょう消滅しょうめつし、外そと位いが与あたえられる例れいは稀まれとなるが、形式けいしき的てきには室町むろまち時代ときよ頃ころまでは「外そと位い」の概念がいねんは残のこされていたと考かんがえられている。

関連かんれん項目こうもく

• 官位かんい
• 位階いかい
• 官職かんしょく
• 勲等くんとう