双そう晶あきら

双そう晶あきら（そうしょう、英えい: twin, crystal twinning）は鉱物こうぶつの結晶けっしょうの特殊とくしゅな例れいの1つ。2つ以上いじょうの同種どうしゅの単たん結晶けっしょうが、ある一定いっていの角度かくどで規則きそく性せいを持もって接合はぎあわしたものである。

概要がいよう

双そう晶あきらは、2つ以上いじょうの同種どうしゅの単たん結晶けっしょうが、ある一定いっていの角度かくどで規則きそく性せいを持もって接合はぎあわしたものである。接合せつごう部ぶが軸じくの場合ばあいは、その軸じくを双そう晶あきら軸じくと呼よび、平面へいめんの場合ばあいは、その平面へいめんを双そう晶あきら面めんと呼よぶ。また、結晶けっしょうの種類しゅるいが2つの場合ばあいを三さん連れん双そう晶あきら、3つの場合ばあいを四よん連れん双そう晶あきら、4つ以上いじょうの場合ばあいを集しゅう片へん双そう晶あきらと呼よび、結晶けっしょうが双そう晶あきら面めんで結合けつごうしている場合ばあいを接合せつごう双そう晶あきら、互たがいに貫入かんにゅうし合あっている場合ばあいを貫入かんにゅう双そう晶あきらと呼よぶ。更さらに、結晶けっしょうが大おおきな粒子りゅうしの繰くり返かえしである場合ばあいを繰くり返かえし双そう晶あきらと呼よび、鉱物こうぶつの種類しゅるい（性質せいしつ）によって特有とくゆうの双そう晶あきらの構造こうぞうを持もっているものもある。

似にたような結晶けっしょう構造こうぞうを持もっている単たん結晶けっしょうとは、180°以上いじょうの面めん角かくを持もつか否ひかと言いう点てんで区別くべつされる。

水晶すいしょうの双そう晶あきら

水晶すいしょうの日本にっぽん式しき双そう晶あきら

水晶すいしょうの双そう晶あきらは十じゅう数種類すうしゅるいあるといわれており、代表だいひょう的てきなものには日本にっぽん式しき双そう晶あきら、ドフィーネ式しき双そう晶あきら、ブラジル式しき双そう晶あきらなどがある。

日本にっぽん式しき双そう晶あきらは2つの結晶けっしょうが84°33′の角度かくどで接合はぎあわしたものである。その形かたちから「平板へいばん式しき夫婦ふうふ水晶すいしょう」とも呼よばれ、2つの結晶けっしょうが丁度ちょうどよく接合はぎあわしているので、江戸えど時代じだいには眼鏡めがねに加工かこうされることもあった。

ドフィーネ式しき双そう晶あきらは同軸どうじく上じょうに双そう晶あきらとなるため、一目いちもくでは判別はんべつしにくいが、水晶すいしょうの柱はしら面めんの隅すみには小ちいさな面めんができることがある。この面めんは単たん結晶けっしょうの場合ばあいには柱はしら面めん1つおきに左右さゆうどちらか片方かたがたにしかできないが、ドフィーネ式しき双そう晶あきらではその面めんが柱はしら面めんごとに左右さゆうどちらか同おなじ方向ほうこうに連続れんぞくして現あらわれる。ただし6面めん全すべての柱はしら面めんに現あらわれることはまれで、1箇所かしょでも連続れんぞくして現あらわれればドフィーネ式しき双そう晶あきらと認みとめられる。

ブラジル式しき双そう晶あきらも同軸どうじく式しきの双そう晶あきらで、柱はしら面めんの隅すみにできる小ちいさな面めんが1つの柱はしら面めん上じょうに左右さゆう向むかい合あうように現あらわれるので判別はんべつできる。ただし、これも柱はしら面めん1つおきの3面めん全すべてに向むかい合あう小面こおもてが現あらわれることはまれで、1つの面めんで確認かくにんできればブラジル式しき双そう晶あきらと認みとめてよい。

ドフィーネ式しき双そう晶あきらは右みぎ水晶すいしょう同士どうし、あるいは左ひだり水晶すいしょう同士どうしの双そう晶あきらなのに対たいして、ブラジル式しき双そう晶あきらは右みぎ水晶すいしょうと左ひだり水晶すいしょうが合あわさった双そう晶あきらである。

長石ちょうせきの双そう晶あきら

長石ちょうせきの双そう晶あきらとしては、食くい違ちがい式しきのカルルスバット式しき双そう晶あきらや結晶けっしょうが重かさなるバベノ式しき双そう晶あきら、他たにマネバッハ式しき双そう晶あきらなどがある。

輝石きせきや石膏せっこうの双そう晶あきら

石膏せっこうの双そう晶あきら

輝石きせきや石膏せっこうの単たん結晶けっしょうは平行四辺形へいこうしへんけいになっており、双そう晶あきらはこの結晶けっしょうの真まん中なかで縦たて方向ほうこうに鏡かがみを立たてた、矢筈やはずのような形かたちをしている。

三さん連れん貫入かんにゅう双そう晶あきら

白しろ鉛なまり鉱こうの双そう晶あきら

白しろ鉛なまり鉱こう・霰石などの斜はす方かた晶あきら系けいの鉱物こうぶつ、また金きむ紅くれない石せき・キューバ鉱こうなどは3つの結晶けっしょうが組くみ合あわさり、六角形ろっかっけいの双そう晶あきらを作つくることがある。

十字じゅうじ状じょうの双そう晶あきら

十字じゅうじ石せきの双そう晶あきら

十字じゅうじ石せき・灰はい十じゅう字じ沸にえ石せきなどは2つの結晶けっしょうが組くみ合あわさり、十字じゅうじ型がたの双そう晶あきらをつくる。

脚注きゃくちゅう

出典しゅってん

参考さんこう文献ぶんけん

書籍しょせき

• 堀ほり秀道ひでみち『堀ほり秀道ひでみちの水晶すいしょうの本ほん』草くさ思おもえ社しゃ、2010年ねん1月がつ（原著げんちょ2009年ねん12月22日にち）。ASIN 4794217404。ISBN 978-4-7942-1740-0。 NCID BB00827401。OCLC 676152382。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:21697602。 
• 堀ほり秀道ひでみち『楽たのしい鉱物こうぶつ学がく：基礎きそ知識ちしきから鑑定かんていまで』草くさ思おもえ社しゃ、1990年ねん6月がつ。ASIN 4794203799。ISBN 4-7942-0379-9。 NCID BN04839203。OCLC 674513370。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:90041270。 
• 三省堂さんせいどう編修へんしゅう所しょ（編修へんしゅう） 編へん『物理ぶつり小しょう事典じてん』宮島みやじま龍りゅう興きょう（監修かんしゅう）（第だい4版はん）、三省堂さんせいどう、2008年ねん（原著げんちょ1994年ねん4月がつ）。ASIN 4385240167。ISBN 978-4385240169。 NCID BN10774805。OCLC 675375379。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:94041161。 
• 『マイペディア：小しょう百科ひゃっか事典じてん』（新装しんそう新しん訂てい版ばん）平凡社へいぼんしゃ、1996年ねん6月がつ（原著げんちょ1995年ねん8月がつ）。ASIN 458209631X。ISBN 978-4582096316。 NCID BN13381820。 
• 新村しんむら 出いずる（編へん） 編へん『広辞苑こうじえん』（第だい6版はん）岩波書店いわなみしょてん、2008年ねん1月がつ11日にち。ASIN 400080121X。ISBN 978-4-00-080121-8。 NCID BA38303698。OCLC 192094365。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:21370453。 

原はら論文ろんぶん

• 根本ねもと 忠寛ただひろ「紫蘇じそ輝石きせきと普通ふつう輝石きせきとの平行へいこう連れん晶あきらによつて知しられる斜はす方かた輝石きせきの光學こうがく方位ほうい」『岩石がんせき礦物礦床學がく』第だい16巻かん第だい4号ごう、日本にっぽん鉱物こうぶつ科か学会がっかい、1936年ねん、178-183頁ぺーじ、doi:10.2465/ganko1929.16.178、ISSN 1883-0757、OCLC 920428611。 

関連かんれん項目こうもく

• 鉱物こうぶつ学がく
• 結晶けっしょう学がく
• 多た結晶けっしょう

外部がいぶリンク

• ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてんほか (2019年ねん). “双そう晶あきら”. コトバンク. 朝日新聞社あさひしんぶんしゃ・VOYAGE GROUP. 2019年ねん9月がつ25日にち閲覧えつらん。
• 岩石がんせき学がく辞典じてんほか (2019年ねん). “平行へいこう連れん晶あきら”. コトバンク. 朝日新聞社あさひしんぶんしゃ・VOYAGE GROUP. 2019年ねん9月がつ25日にち閲覧えつらん。
• Twinning (Crystallography) - ブリタニカ百科ひゃっか事典じてん（英語えいご）