国内こくない予備よび軍ぐん

国内こくない予備よび軍ぐん（こくないよびぐん、独どく: Ersatzheer）は、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん、また第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかに設もうけられた、ドイツ帝国ていこく陸軍りくぐんまたドイツ国防こくぼう軍ぐん陸軍りくぐんの本国ほんごく部隊ぶたいである。戦時せんじ下かのドイツ本国ほんごくで、新兵しんぺいの基礎きそ訓練くんれん、指揮しき官かんの育成いくせい、師団しだんの再さい編成へんせい等とうの役割やくわりを担になった陸軍りくぐん部隊ぶたいである。英語えいごでは Replacement Army あるいは Training army と訳やくされる。これにならい、日本語にほんご訳書やくしょでは「補充ほじゅう軍ぐん」あるいは「国内こくない軍ぐん」と訳やくされることがある。

目的もくてき

戦時せんじ下かにあって国内こくない予備よび軍ぐんの主おもなる目的もくてきは兵士へいしを訓練くんれんし、新しん技術ぎじゅつに基もとづく新兵しんぺい器きを試験しけんし、導入どうにゅうすることにある。また、組織そしきとしては陸軍りくぐんの各種かくしゅ兵科へいかの兵へい監かん部ぶ、兵士へいし訓練くんれん部ぶ、将校しょうこう教育きょういく部ぶを擁ようした。この他ほかに一般いっぱん陸軍りくぐん局きょく (Allgemeine Heeresamt) 、陸軍りくぐん兵器へいき局きょく (Heereswaffenamt) 、陸軍りくぐん主計しゅけい局きょく (Heeresverwaltungsamt) がその隷下れいかにあった。1944年ねんには陸軍りくぐん人事じんじ局きょく (Heerespersonalamt) も国内こくない予備よび軍ぐんに含ふくめられた。

陸軍りくぐん師団しだんはいずれも根拠地こんきょちに連隊れんたい規模きぼの訓練くんれん部隊ぶたいを持もち、これらは国内こくない予備よび軍ぐんの指揮しき下かに基礎きそ訓練くんれん終了しゅうりょう後ごに前線ぜんせんに送おくり出だされた。

また、国内こくない予備よび軍ぐんは、休暇きゅうか中ちゅうの帰郷ききょう兵へい、陸軍りくぐん病院びょういんで加療かりょう中ちゅうの傷病しょうびょう兵へい、あるいは本国ほんごくにて再さい編成へんせい中ちゅうの陸軍りくぐん部隊ぶたいすべてを統括とうかつした。これら兵士へいしは前線ぜんせんの原隊げんたいに復帰ふっきするまで国内こくない予備よび軍ぐんの隷下れいかに属ぞくした。

大戦たいせん末期まっきの国内こくない予備よび軍ぐん

国内こくない予備よび軍ぐんは1941年ねんから1943年ねんまでは200万まん人にん以上いじょうの兵力へいりょくを擁ようしたが、戦争せんそう末期まっきには多おおくを前線ぜんせんに取とられ、その数かずは減少げんしょうの一途いっとを辿たどった。

1944年ねん7月がつ20日はつかのヒトラー暗殺あんさつ未遂みすい事件じけんでは中心ちゅうしん的てきな役割やくわりを演えんじた。国内こくない予備よび軍ぐんの全ぜん兵士へいしは出動しゅつどう準備じゅんびを完了かんりょうし、ヴァルキューレ作戦さくせんの発動はつどうとともにヒトラー政権せいけんの中枢ちゅうすう機関きかんを占拠せんきょする予定よていであった。

暗殺あんさつ計画けいかくが未遂みすいに終おわった後のち、陸軍りくぐん補充ほじゅう局長きょくちょう兼けん国内こくない予備よび軍ぐん司令しれい官かん (Chef der Heeresrüstung und Befehlshaber der Ersatzheeres) フリードリヒ・フロム上級じょうきゅう大将たいしょうは暗殺あんさつ計画けいかくへの消極しょうきょく的てき関与かんよを疑うたがわれ処刑しょけいされた。ヒトラーは陸軍りくぐん軍人ぐんじんを信用しんようせず、親衛隊しんえいたい全国ぜんこく指導しどう者しゃハインリヒ・ヒムラーをその後任こうにんに就つけた（実務じつむはハンス・ユットナー親衛隊しんえいたい大将たいしょうが代行だいこう）。