もっとも単純には、一つの集合A が与えられたとき、A の各元a に対して、A の元b をただ一つ a の行き先f(a) として指定するような対応規則f のことである。すなわち、A から A自身への写像(または関数)を (A の、A上の、A上で定義された、あるいは A における)変換というのである。文脈によっては、特にことわりなく可逆変換(全単射でしたがって逆写像を持つ変換)を意味することがある。
ただし通常、変換という語を用いるとき、与えられた集合には距離空間の位相やベクトル空間などの何らかの構造が入っているのが普通である。そして、(主に幾何学的な)構造を持つ集合A に対しては、A上の変換という語は、A から A自身への構造を保つ写像に対して用いる。すなわち、写像φA → A でその像φ(A) = {φ(a) | a ∈ A} ⊂ A が A と同様の数学的構造をもつ(い換えれば φ(A) が A の部分系となる)ようなものに限って変換という語を充てるのである。