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積分せきぶん変換へんかん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学すうがく分野ぶんやにおける積分せきぶん変換へんかん(せきぶんへんかん、えい: Integral transform)とは、つぎかたちをとるような変換へんかん T のことである:

この積分せきぶん変換へんかん入力にゅうりょく関数かんすう f であり、出力しゅつりょく関数かんすう Tf である。積分せきぶん変換へんかん作用素さようそ一種いっしゅである。

おおくの便利べんり積分せきぶん変換へんかん存在そんざいする。個々ここ積分せきぶん変換へんかんは、その変換へんかんかく関数かんすう (kernel function) あるいはかく (kernel, nucleus) とばれる変数へんすう関数かんすう Kさだめればまる。また、積分せきぶん区間くかんは,かくによって適当てきとうさだめられる。 いくつかのかく関数かんすうにはぎゃく K−1(u, t) が存在そんざいし、それは(おおまかにえば)つぎのようなぎゃく変換へんかんたす:

このような公式こうしき反転はんてん公式こうしきばれる。変数へんすう順番じゅんばんわっても変化へんかしないようなかく対称たいしょうかくばれる。

動機どうき

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数学すうがくかんする記述きじゅつはさておき、積分せきぶん変換へんかんもちいられる動機どうき理解りかいしやすいものである。もともとの表記ひょうきほうでは、くことのむずかしい(すくなくとも代数だいすうてきあつかいづらい)問題もんだいおお存在そんざいする。積分せきぶん変換へんかんは、それらの問題もんだい方程式ほうていしきを、もとの「領域りょういき」からべつ領域りょういきへと「うつす」。そのうつされた領域りょういき方程式ほうていしきあつかい、そしてくことのほうが、もと領域りょういきおこなうよりもはるかに簡単かんたんであるような場合ばあいがある。そうしてられたかいを、積分せきぶん変換へんかんぎゃくによってもと領域りょういきへともどすのである。

歴史れきし

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積分せきぶん変換へんかん前身ぜんしんは、有限ゆうげん区間くかんにおける関数かんすう表現ひょうげんのためのフーリエ級数きゅうすうである。その有限ゆうげん区間くかんという制限せいげんはらうために、フーリエ変換へんかん開発かいはつされた。

フーリエ級数きゅうすうもちいることで、どのような実践じっせんてき時間じかん依存いぞん関数かんすうたとえば、電子でんし装置そうちのターミナルを通過つうかする電圧でんあつなど)でも正弦せいげん関数かんすう余弦よげん関数かんすうあらわすことが出来でき、それらは定数ていすう係数けいすうをかけることによりスケールが適正てきせい調整ちょうせいされ、時間じかんかんして前進ぜんしんあるいは後退こうたいさせることでシフトされ、振動しんどうすう増加ぞうかあるいは減少げんしょうすることにより「圧縮あっしゅく」あるいは「伸長しんちょう」される。フーリエ級数きゅうすうにおける正弦せいげん関数かんすうおよび余弦よげん関数かんすう正規せいき直交ちょっこう基底きていれいである。

積分せきぶん変換へんかんひょう

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積分せきぶん変換へんかんひょう
名称めいしょう 記号きごう t1 t2 u1 u2
フーリエ変換へんかん
フーリエ正弦せいげん変換へんかん
フーリエ余弦よげん変換へんかん
ハートレー変換へんかん
メリン変換へんかん
両側りょうがわラプラス変換へんかん
ラプラス変換へんかん
ワイエルシュトラス変換へんかん英語えいごばん
ハンケル変換へんかん
アーベル変換へんかん英語えいごばん
ヒルベルト変換へんかん
ポアソンかく
恒等こうとう変換へんかん

ぎゃく変換へんかんたいする積分せきぶん極限きょくげんにおいて、うえひょうにおける c変換へんかん関数かんすう性質せいしつ依存いぞんする定数ていすうとなる。たとえば、ラプラス変換へんかんあるいは両側りょうがわラプラス変換へんかんたいし、c変換へんかん関数かんすうれいてんのうち最大さいだいのものよりもかならおおきい定数ていすうとなる。

定義ていぎいきことなる場合ばあい

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ほんこうではおもに、実数じっすう全体ぜんたい定義ていぎされた関数かんすうたいして定義ていぎされる積分せきぶん変換へんかんあつかうが、より一般いっぱんぐんじょう定義ていぎされた関数かんすうたいしてもその積分せきぶん変換へんかん定義ていぎすることが出来できる。

  • 円周えんしゅうぐんじょう定義ていぎされた函数かんすう(つまり周期しゅうき関数かんすう)をもちいた場合ばあい積分せきぶんかくじゅう周期しゅうき関数かんすうとなる。円周えんしゅうじょう関数かんすうによるたたみは巡回じゅんかいたたである。
  • すう n巡回じゅんかいぐん(これを CnZ/nZあらわす)のうえ定義ていぎされた関数かんすうもちいた場合ばあい積分せきぶんかくn × n 行列ぎょうれつとなり、たたみは巡回じゅんかい行列ぎょうれつ対応たいおうする。

一般いっぱんろん

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各々おのおの積分せきぶん変換へんかん性質せいしつ多岐たきわたるが、いくつかの性質せいしつ共通きょうつうのものとなっている。たとえば、すべての積分せきぶん変換へんかん線形せんけい作用素さようそである。じつは、かく函数かんすうちょう関数かんすうとなることをもゆるせば、すべての線形せんけい作用素さようそ積分せきぶん変換へんかんになる(このことをきちんと定式ていしきしたものがシュワルツのかく定理ていり英語えいごばんである)。

そのような積分せきぶん方程式ほうていしきかんする一般いっぱんろんフレドホルム理論りろんとしてられている。この理論りろんでは、かくとは「関数かんすうからなるあるバナッハ空間くうかんうえコンパクト作用素さようそ」のことであるものと理解りかいされる。状況じょうきょうおうじてそのかくフレドホルム作用素さようそかく作用素さようそフレドホルムかくなど様々さまざまばれかたをする。

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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