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太陽たいよう望遠鏡ぼうえんきょう

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スウィードゥン太陽たいよう望遠鏡ぼうえんきょうカナリア諸島かなりあしょとうラ・パルマとう標高ひょうこうやく2400m地点ちてん所在しょざいスウェーデン王立おうりつ科学かがくアカデミー管理かんり
マクマス・ピアス太陽たいよう望遠鏡ぼうえんきょうアリゾナしゅうキットピーク国立こくりつ天文台てんもんだい

太陽たいよう望遠鏡ぼうえんきょう(たいようぼうえんきょう、solar telescope)とは、太陽たいよう観測かんそくとくした天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうのことである。

意義いぎ[編集へんしゅう]

太陽たいよう活動かつどう観察かんさつ気象きしょうがく航空こうくう宇宙うちゅうがくじょうきわめて重要じゅうようである。太陽たいよう活動かつどう気象きしょう直接ちょくせつ影響えいきょうする。また、太陽たいよう爆発ばくはつてき活動かつどうによる太陽たいようフレアはオーロラ以外いがいほか電磁波でんじは障害しょうがいなどを発生はっせいさせることがあり、これは人工じんこう衛星えいせいのトラブルや宇宙うちゅう飛行ひこう放射線ほうしゃせん被曝ひばくによる健康けんこう被害ひがい直接ちょくせつ関係かんけいする。地球ちきゅうじょうにおいても通信つうしんトラブルや電子でんし機器きき誤作動ごさどうおおきな原因げんいんとなる。

また、恒星こうせい活動かつどうメカニズムはいま不明ふめいてん多々たたあり(太陽たいよう#太陽たいようなぞとう参考さんこう)、天文学てんもんがく物理ぶつりがくじょう研究けんきゅう対象たいしょうとなっている。

天体てんたい観察かんさつには通常つうじょう天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうもちいるが、太陽たいよう光量ひかりりょうおおきいために観察かんさつには特別とくべつ配慮はいりょ必要ひつようとなる。太陽たいよう観察かんさつようにカスタマイズされた天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう太陽たいよう望遠鏡ぼうえんきょうである。

研究けんきゅう用途ようと[編集へんしゅう]

太陽たいようめん微細びさい構造こうぞう動態どうたい磁場じば電磁波でんじは放射ほうしゃ研究けんきゅうもちいられる。また、たデータをもとにした活動かつどう周期しゅうき特定とくてい目的もくてきとする。

だい一線いっせん研究けんきゅうようもちいられるものの口径こうけいは1m内外ないがい程度ていど太陽たいようねつによって(陽炎かげろうのように)空気くうきのゆらぎがしょうじ、ぞう悪化あっかする現象げんしょう無視むしできないため、焦点しょうてん距離きょりながくとり、望遠鏡ぼうえんきょう内部ないぶひかり真空しんくうとしてぞうのゆらぎをおさえるといった工夫くふうがなされている。このような必要ひつようせいから、研究けんきゅうよう太陽たいよう望遠鏡ぼうえんきょう同等どうとうのスペックの望遠鏡ぼうえんきょうくらべ、しばしば頑強がんきょうなものとなっている。

また、観測かんそく装置そうち地上ちじょう/地下ちか固定こていしておき、ヘリオスタットもちいて太陽たいよう追尾ついびひかり導入どうにゅうおこな形式けいしきもある。

観察かんさつについては、回折かいせつ格子こうしもちいた分光ぶんこうによる太陽光たいようこうのスペクトル分布ぶんぷなどがとく利用りようされる。

Xせんなど短波たんぱちょう電磁波でんじはについては地上ちじょう観測かんそくすることが困難こんなんであるため、人工じんこう衛星えいせい搭載とうさいされたものがもちいられる(太陽たいよう観測かんそく衛星えいせい

教育きょういく・アマチュア用途ようと[編集へんしゅう]

Hα線あるふぁせんフィルタをセットした小型こがた太陽たいよう望遠鏡ぼうえんきょう
Hα線あるふぁせんフィルタをもちいた太陽たいようめん観測かんそく

太陽たいようもっと身近みぢか恒星こうせいであり、地球ちきゅう環境かんきょう生活せいかつおよぼす影響えいきょうきわめておおきい。また、普通ふつう惑星わくせい恒星こうせい基本きほんてき夜間やかんしか観測かんそくできないが、太陽たいようちゅう容易ようい観察かんさつできる天体てんたいであるため教育きょういくじょう重要じゅうようである。ただし、望遠鏡ぼうえんきょうによる太陽たいよう観察かんさつ方法ほうほうあやまると失明しつめいきわめて重大じゅうだい健康けんこう被害ひがい発生はっせいするため、十分じゅうぶん注意ちゅうい必要ひつようである。

かつて、望遠鏡ぼうえんきょうもちいた太陽たいよう観察かんさつでは、ちょうつよしげんこうフィルターがもちいられてきた。これは高性能こうせいのう遮光しゃこうガラス(溶接ようせつよう遮光しゃこうガラスに類似るいじ)を使用しようしたげんこうフィルターを接眼せつがんレンズにセットし、強烈きょうれつ太陽光たいようこうげんひからして観察かんさつすることを目的もくてきにしたものだった。

しかし、このげんこうフィルターはねつれずれるなどのトラブルが発生はっせいすることがあり、これはそく失明しつめいなどにつながる危険きけん問題もんだいてんであった。あなあきキャップなどで望遠鏡ぼうえんきょう有効ゆうこうみちしぼるとともに、ガラスの表面ひょうめん反射はんしゃもちいた直角ちょっかくミラー(サンプリズム)を使用しようし、かず%のひかりのみを接眼せつがん導入どうにゅうしてげんこうフィルターにかかる負荷ふか抑制よくせいするなどの対策たいさくもあったが、げんこうフィルターの潜在せんざいてき危険きけんせいはいずれにしても存在そんざいした。

このような危険きけんせいけるため、接岸せつがんからすこはなしてしろ投影とうえいばんをセットし、望遠鏡ぼうえんきょうを「プロジェクター」として利用りようして観察かんさつする方法ほうほうがある。この方法ほうほう同時どうじ多数たすうじん観察かんさつできるメリットもある。ただし、観察かんさつされる太陽たいようぞうはコントラストがひくく、投影とうえいばんはずしてのぞむとやはり危険きけんである。

ぎゃくに、対物たいぶつレンズがわげんこうフィルタをけて観察かんさつする手法しゅほうがある。光線こうせん透過とうかりつすうせん-すうまんぶんいち金属きんぞく薄膜うすまく蒸着じょうちゃくガラスフィルタや特殊とくしゅフィルムを対物たいぶつレンズのまえけると、比較的ひかくてき安全あんぜん太陽たいよう直接ちょくせつ観察かんさつすることができる。(ただし、写真しゃしん撮影さつえい専用せんようなかには赤外線せきがいせんげんこう性能せいのう目視もくしえないほどひくいものがある。こうした製品せいひん目視もくし使用しようしてはならない。)

近年きんねん、アマチュアの観察かんさつけには高性能こうせいのう干渉かんしょうフィルタをもちいた太陽たいよう望遠鏡ぼうえんきょう普及ふきゅうしてきた。これはおもHα線あるふぁせん波長はちょう656.28nm)を高性能こうせいのうなバンドパスフィルタをもちいて観測かんそくするもので、太陽たいようフレアを直接ちょくせつ観察かんさつ可能かのうである。また、皆既かいき日食にっしょくでなくともべにえん(プロミネンス)を観察かんさつできる。

アマチュア用途ようとでは、望遠鏡ぼうえんきょう内部ないぶ真空しんくうにすることは運用うんようじょう現実げんじつてきでないので、しょう口径こうけい屈折くっせつ望遠鏡ぼうえんきょうもちいることがおおい。反射はんしゃ望遠鏡ぼうえんきょうねつによって望遠鏡ぼうえんきょう内部ないぶ気流きりゅうみだれがしょうじやすいためにあまりこのまれない。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]