宋そう璟

宋そう 璟（そう けい、663年ねん - 737年ねん）は、中国ちゅうごく唐とう代だいの政治せいじ家か。邢州南みなみ和かず県けん（現在げんざいの河北かほく省しょう邢台市し南みなみ和かず区く）の人ひと。本ほん貫ぬきは広平ひろへい郡ぐん列れつ人じん県けん。宋そう欽道（宋そう弁べんの子この宋そう紀おさむの子こ）の五ご世せい孫まごにあたる。

宋そう元もと撫なでの子ことして生うまれた。17歳さいで進士しんしに挙あげられて「博学はくがくにして文ぶん翰にたくみ」と評ひょうされた。則のり天武てんむ后きさきに抜擢ばってきされて監かん察御史しなどを務つとめるが、張ちょう易えき之のら則そく天武てんむ后きさき側近そっきんの宦官かんがんを批判ひはんして名なを知しられるようになった。中ちゅう宗むね期きには黄門こうもん侍さむらい郎ろうを務つとめ、続つづく睿宗期きには、吏部尚書しょうしょ兼けん同どう中書ちゅうしょ門下もんか三さん品ひんとなり、姚崇とともに弊政へいせい改革かいかくに乗のり出だすが、太平たいへい公主こうしゅの中傷ちゅうしょうによって楚すわえ州しゅう刺史ししに左遷させんされた。

玄げん宗むね後のちに刑部おさかべ尚書しょうしょとなり、716年ねんには姚崇の引退いんたいを受うけて吏部尚書しょうしょ兼けん黄門こうもん監かんとなり、宰相さいしょうの職しょくに就ついた。宋そう璟は皇帝こうていの寵愛ちょうあいをかさに後宮こうきゅうの女性じょせいが政治せいじに関与かんよすることを禁きんじ、刑法けいほうを整理せいり簡単かんたんにして、人事じんじを公正こうせいに行おこなうことに務つとめ、苛政かせいを抑おさえて外敵がいてきに対たいしては軽々かるがるしい武力ぶりょくの行使こうしを戒いましめて防備ぼうびを固かためさせた。だが、余あまりにも厳格げんかくであったために、玄げん宗むねもこれを憂うれえて720年ねんに開府かいふ儀ぎ同どう三さん司つかさの官かん品ひんを与あたえて政府せいふの中枢ちゅうすうから退しりぞけさせた。729年ねんには尚書しょうしょ右みぎ丞すすむ・広平ひろへい郡ぐん開国かいこく公こうに任にんじられて733年ねんに引退いんたいした。

彼かれが宰相さいしょうであった時とき、范知璿という人物じんぶつが仕官しかんを願ねがって『良りょう宰おさむ論ろん』という著作ちょさくを書かいて宋そう璟を称となえた。だが、宋そう璟は逆ぎゃくに自分じぶんの才能さいのうではなく権力けんりょく者しゃに媚こびて立身りっしんしようとしているとして激怒げきどした。また、玄げん宗むねは金かねで作つくった頑丈がんじょうな1対ついの箸はしを褒賞ほうしょうとして下賜かしした。これは彼かれがこの箸はしのように剛直ごうちょくであると称となえたもので、後世こうせいに「金きむ箸はし表ひょう直じき」という故事こじとして伝つたわった。唐とう初はつの「貞さだ観かんの治ち」の際さいには房ぼう玄げん齢よわい・杜もり如晦という2名めいの宰相さいしょうが太ふとし宗むねを支ささえて善政ぜんせいを行おこなったが、玄げん宗むねの「開ひらき元もとの治ち」では姚崇・宋そう璟という2名めいの宰相さいしょうがこれを支ささえたと評ひょうされた。

子こに宋そう復ふく・宋そう昇のぼる・宋そう尚しょう・宋そう渾・宋そう恕じょ・宋そう延のべ・宋そう華はな・宋そう衡がいる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 善ぜん峰みね憲雄のりお「宋そう璟」（『アジア歴史れきし事典じてん 5』（平凡社へいぼんしゃ、1984年ねん）
• 孟はじめ慶けい遠とお 主おも編へん 小島こじま晋すすむ治ち 訳わけ『中国ちゅうごく歴史れきし文化ぶんか事典じてん』（新潮社しんちょうしゃ、1998年ねん）