宗そう不ふ旱ひでり

宗そう 不ふ旱ひでり（そう ふかん、1884年ねん5月14日にち - 1942年ねん5月がつ末まつ）は、歌人かじん。万葉まんよう調ちょうの歌うたをよみ、漂泊ひょうはくの歌人かじんと称しょうされた。

概略がいりゃく

1884年ねん（明治めいじ17年ねん）、熊本くまもと県けん熊本くまもと市し上通かみとおり町まちに父ちち嘉次郎かじろうの長男ちょうなんとして生うまれ、熊本くまもと県けん鹿本かもと郡ぐん来民くたみ町まち（現げん山鹿やまが市し鹿本かもと町まち来民くたみ）の祖父そふ嘉七かしちの家いえで育そだつ。本名ほんみょうは耕一こういち、のち耕一郎こういちろうと称しょうした。不ふ旱ひでりは号ごうである。

熊本くまもと市しの済々黌せいせいこうを退学たいがくし、長崎ながさきの鎮西ちんぜい学院がくいんを卒業そつぎょうする。1902年ねん（明治めいじ35年ねん）熊本くまもと医い学校がっこうに入学にゅうがくするが、中退ちゅうたい。上京じょうきょうし、窪田空穂くぼたうつぼの知遇ちぐうを得えて、作歌さっかをはじめる。1912年ねん（大正たいしょう元年がんねん）より朝鮮半島ちょうせんはんとうに渡わたり、中国ちゅうごく、台湾たいわんなどを10年ねん以上いじょうにわたって放浪ほうろう。放浪ほうろう中ちゅうは中国ちゅうごくの詩書ししょを学まなびつつ硯すずり作つくりの技術ぎじゅつを身みにつけた。1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）に帰国きこく、硯すずり工こうとして生計せいけいを立たてながら作歌さっか、評論ひょうろん活動かつどうを続つづける。

1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）、熊本くまもと県けん阿蘇あそ郡ぐん阿蘇あそ町まち内牧うちのまき（現げん阿蘇あそ市し内牧うちのまき）を出でて、失踪しっそう、行方ゆくえ不明ふめいとなった。終焉しゅうえんの地ちは、菊池きくち郡ぐん旭志きょくし村むら（現げん菊池きくち市し旭志きょくし）の鞍岳くらだけ山中さんちゅうとされ、同年どうねん9月がつ25日にちに遺体いたいが発見はっけんされた。

評価ひょうか

作家さっか荒木あらき精きよし之これは、自身じしんの著作ちょさく「熊本くまもと文学ぶんがくノート」において「宗そう不ふ旱ひでりといふ歌人かじんは、筑後ちくごの北原きたはら白秋はくしゅう、日向ひなたの若山わかやま牧水ぼくすいと並ならび称しょうされる肥後ひごの歌人かじん」と述のべている。

作品さくひん

著書ちょしょ

• 「柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集かしゅう・新釈しんしゃく」

歌集かしゅう

• 「筑摩ちくま鍋なべ（つくまなべ）」
• 「茘支（にがうり）」

歌碑かひ

熊本くまもと市し、出水しゅっすい神社じんじゃ

• ふるさとに なお身みを寄よせする 家いえありて 春はる辺べを居いれば 鶯うぐいすの鳴なく

山鹿やまが市し鹿本かもと町まち、山鹿市役所やまがしゃくしや鹿本かもと支所ししょ

• くちなしの 実じつもて以ろ塗ぬる ふるさと乃 来民くたみの團扇うちわ 春はるの日ひに干ほす

菊池きくち市し旭志きょくし、鞍岳くらだけ

• 山やまに居おれば 遠方えんぽう野辺のべの もえ草くさを 心しんに留とめて 高こうきより見みる

阿蘇あそ市し、内牧うちのまき黒川くろかわ河畔かはん文学ぶんがく碑ひ公園こうえん

• 内うち之の牧まき 朝ちょうやみ出だしでて 湯ゆに通つうふ 道みちのべに聞きく 田た蛙かえるのこゑ

阿蘇あそ市し、隼はやぶさ鷹たか（はやたか）宮みや

• 隼はやぶさ鷹たかの 宮居みやいの神かみは 薮やぶなかの 石いしの破片はへん（かけ）にて おはしけるかも

参考さんこう文献ぶんけん

• 日本にっぽん談義だんぎ社しゃ『熊本くまもと文学ぶんがくノート』荒木あらき精きよし之これ、1957年ねん、7-58頁ぺーじ
• 熊本くまもと県けん編集へんしゅう・発行はっこう『熊本くまもと県けん史し 近代きんだい編へん 第だい四よん』、1963年ねん、561頁ぺーじ
• 熊本くまもと教育きょういく振興しんこう会かい『肥後ひごの人物じんぶつものがたり』熊本くまもと教育きょういく振興しんこう会かい事務じむ局きょく、1988年ねん、200-201頁ぺーじ
• 日外にちがいアソシエーツ『熊本くまもと県けん人物じんぶつ・人材じんざい情報じょうほうリスト2007』、236頁ぺーじ

外部がいぶリンク

• 宗そう不ふ旱ひでり（kotobank）
• 「近代きんだいの山鹿やまがを築きずいた人ひとたち 009　鹿本かもと来民くたみで育そだった放浪ほうろうの歌人かじん　宗そう不ふ旱ひでり」