室津むろつ

室津むろつ村むら
むろつむら; 室津むろつ村むら
廃止はいし日び	1951年ねん4月がつ1日にち
廃止はいし理由りゆう	新設しんせつ合併がっぺい; 御津みと町まち、室津むろつ村むら → 御津みと町まち
現在げんざいの自治体じちたい	たつの市し
廃止はいし時点じてんのデータ
国くに	日本にっぽん
地方ちほう	近畿きんき地方ちほう
都道府県とどうふけん	兵庫ひょうご県けん
郡ぐん	揖保いぼ郡ぐん
市町村しちょうそんコード	なし（導入どうにゅう前まえに廃止はいし）
総そう人口じんこう	2,331人ひと; （国勢調査こくせいちょうさ、1950年ねん）
隣接りんせつ自治体じちたい	相生あいおい市し、揖保いぼ郡ぐん御津みと町まち、河内かわち村むら
室津むろつ村むら役場やくば
所在地しょざいち	兵庫ひょうご県けん揖保いぼ郡ぐん室津むろつ村むら（大字だいじなし）
座標ざひょう	北緯ほくい34度ど45分ふん56.7秒びょう東経とうけい134度ど30分ふん20.1秒びょう / 北緯ほくい34.765750度ど東経とうけい134.505583度ど
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室津むろつ（むろつ）は、兵庫ひょうご県けんたつの市しに所在しょざいし、播磨灘はりまなだに面めんする港町みなとちょう・漁港ぎょこう（第だい2種しゅ漁港ぎょこう）。町まち丁ひのととしては御津みと町まち室津むろつ（みつちょうむろつ）を称しょうする。港町みなとちょうとして約やく1300年ねんの歴史れきしを持もち、奈良なら時代じだいに行基ぎょうきにより5つの港みなとが整備せいびされ、江戸えど時代じだいには栄華えいがを極きめ宿場しゅくば町まちとしても栄さかえる。多おおくの文豪ぶんごう、文人ぶんじん墨客ぼっかくを魅了みりょうし竹久たけひさ夢ゆめ二に、井原いはら西鶴さいかく、谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう、司馬しば遼りょう太郎たろう、つげ義春よしはる、平岩ひらいわ弓枝ゆみえらが来訪らいほうし作品さくひんに描えがいた^[1]。

本ほん項こうではかつて同どう区域くいきに存在そんざいした揖西いにし郡ぐん・揖保いぼ郡ぐん室津むろつ村むら（むろつむら）についても述のべる。

歴史れきし

約やく2000年ねん前まえ、神武じんむ天皇てんのうの東征とうせい先導せんどう役やくが室津むろつに港みなとを建設けんせつしたといわれる。藻も振ふノ鼻はな（室津むろつ半島はんとう先端せんたん部ぶ）と金ヶ崎かねがさき（たつの市し・相生あいおい市し境さかい）で囲かこまれた室津むろつ湾わんの、さらに東側ひがしがわ奥おくにあることから、「室しつの如ごとく静しずかな津つ」ということで「室しつの泊はく」と呼よばれたのがその名なの始はじまりと伝つたえられる。『播磨はりま国こく風土記ふどき』に、「コノ泊はく、風ふうヲ防ぼうグコト室しつノゴトシ故こニ因いんリテ名めいヲナス」と記しるされているように三方さんぽうを山やまに囲かこまれ天然てんねんの良港りょうこうであった。奈良なら時代じだいには行基ぎょうきによって「摂と播五ご泊はく」（河かわ尻しり（尼崎あまがさき）、大輪田おおわだ泊はく（兵庫ひょうご）、魚住うおずみ泊はく（明石あかし）、韓かん（的形まとがた）、室津むろつ）の一ひとつとされ、海上かいじょうと陸上りくじょう交通こうつうの要衝ようしょうとして「室津むろつ千せん軒けん」と呼よばれるほど栄さかえた^[2]。

江戸えど時代じだいになると、参勤交代さんきんこうたいの西国さいこく大名だいみょうの殆ほとんどが海路かいろで室津むろつ港こうに上陸じょうりくして陸路りくろを進すすんだため、港みなとの周辺しゅうへんは日本にっぽん最大さいだい級きゅうの宿場しゅくばとなった。通常つうじょう、宿場しゅくばにおかれる本陣ほんじんは、1軒けん、多おおくとも2軒けんであるが、室津むろつには6軒けん（肥後ひご屋や・肥前ひぜん屋や・紀国屋きのくにや・筑前ちくぜん屋や・薩摩さつま屋や・一津屋ひとつや）もあった。江戸えど参府さんぷで室津むろつに滞在たいざいしたシーボルトは賀茂かも神社じんじゃ参さんろう所しょから見みた播磨灘はりまなだを「日本にっぽんの美うつくしい景色けしきとして」絶賛ぜっさんした^[2]。しかし、明治めいじに入はいると参勤交代さんきんこうたいの制度せいどが無なくなり、鉄道てつどう・道路どうろが内陸ないりく部ぶに敷しかれたため急速きゅうそくに衰退すいたいした^[2]。

明治めいじ以降いこうは瀬戸内海せとないかいの一いち漁港ぎょこうに過すぎないほどに零落れいらくしたが、カキの養殖ようしょくが盛さかんで11月初旬しょじゅんの「室しつ乃津祭まつり」が開催かいさいされるほか、漁業ぎょぎょうの町まちとして知しられ、歴史れきしと風光ふうこう明媚めいびな漁村ぎょそんの雰囲気ふんいきを求もとめ訪おとずれる観光かんこう地ちになっている^[2]。

1994年ねん6月がつ、室津むろつ旧きゅう市街地しがいちが兵庫ひょうご県けんの景観けいかん形成けいせい地区ちくに指定していされた^[3]。

沿革えんかく

幕末ばくまつ時点じてんでは揖西いにし郡ぐん室津むろつが存在そんざい。姫路ひめじ藩はん領りょう。
明治めいじ4年ねん7月がつ14日にち（1871年ねん 8月がつ29日にち） - 廃藩置県はいはんちけんにより姫路ひめじ県けんの管轄かんかつとなる。
明治めいじ4年ねん11月2日にち（1871年ねん12月13日にち） - 第だい1次じ府県ふけん統合とうごうにより姫路ひめじ県けんの管轄かんかつとなる。
明治めいじ4年ねん11月9日にち（1871年ねん12月20日にち） - 姫路ひめじ県けんが改称かいしょうして飾磨しかま県けんの管轄かんかつとなる。
1876年ねん（明治めいじ9年ねん）8月がつ21日にち - 第だい2次じ府県ふけん統合とうごうにより兵庫ひょうご県けんの管轄かんかつとなる。
1889年ねん（明治めいじ22年ねん）4月がつ1日にち - 町村ちょうそん制せいの施行しこうにより、近世きんせい以来いらいの室津むろつが単独たんどくで自治体じちたいを形成けいせいして室津むろつ村むらとなる。
1896年ねん（明治めいじ29年ねん）4月がつ1日にち - 室津むろつ村むらの所属しょぞく郡ぐんが揖保いぼ郡ぐんに変更へんこう。
1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）4月がつ1日にち - 室津むろつ村むらが御津みと町まちと合併がっぺいし、改あらためて御津みと町まちが発足ほっそく。同町どうちょう大字だいじ室津むろつとなる。
1994年ねん（平成へいせい6年ねん）5月13日にち - 室津むろつ旧きゅう市街地しがいちが兵庫ひょうご県けんの景観けいかん形成けいせい地区ちくに指定していされる^[3]。
2005年ねん（平成へいせい17年ねん）10月1日にち - 御津みと町まちが龍野たつの市し・新宮しんぐう町まち・揖保川いぼがわ町まちと合併がっぺいしてたつの市しが発足ほっそく。たつの市し御津みと町まち室津むろつとなる。

地理ちり

たつの市し御津みと町まち主部しゅぶから、国道こくどう250号ごうの「七曲ななまがり」と呼よばれる屈曲くっきょくした海岸かいがん線せんを抜ぬけた半島はんとう部ぶに位置いちする。国道こくどう250号ごうは半島はんとうの付つけ根ね、室津むろつ市街しがいの北きた外はずれをかすめ、大浦おおうら（たつの市し）、鰯浜いわしはま（相生あいおい市し）の集落しゅうらくを経へて相生あいおい市街しがいへ至いたる。市街しがいは半島はんとう西岸せいがん奥おくの港みなとを中心ちゅうしんに立地りっち。半島はんとう東岸とうがんは切きり立たった断崖だんがいである。沖合おきあいに、地ち・中なか・沖おきの唐から荷島になえじまが浮うかぶ。

日本にっぽん遺産いさん

北前きたまえ船せん寄港きこう地ちでありたつの市立しりつ室津むろつ海かい駅えき館かんや見性けんしょう寺てらの石仏いしぼとけなど5点てんが日本にっぽん遺産いさんに認定にんていされている^[4]。2021年ねん11月7日にち、室津むろつ地区ちくに北前きたまえ船せん寄港きこう地ちの歴史れきしを解説かいせつした案内あんない板ばんが設置せっちされた^[4]。

名所めいしょ・旧跡きゅうせき

賀茂かも神社じんじゃ - 本殿ほんでんを含ふくむ8棟むねの建造けんぞう物ぶつが国くに指定していの重要じゅうよう文化財ぶんかざい。
たつの市立しりつ室津むろつ民俗みんぞく館かん - 旧きゅう豪商ごうしょう「魚屋さかなや」建物たてもの
たつの市立しりつ室津むろつ海かい駅えき館かん - 旧きゅう廻船かいせん問屋とんや「嶋屋しまや」建物たてもの
浄きよし運うん寺てら
見性けんしょう寺てら - 木像もくぞう毘沙門天びしゃもんてん像ぞうは国くにの重要じゅうよう文化財ぶんかざい
友とも君くん橋きょう
唐から荷島になえじま - 唐とう（中国ちゅうごく）船ふねが台風たいふうにより室津むろつ沖おきで難破なんぱし、その積つみ荷にが沢山たくさん流ながれ着ついた島しまであることから名なづけられたものと伝つたわっている。
きむら屋や - 竹久たけひさ夢ゆめ二にが滞在たいざいした宿やど。ロビーには作品さくひんを展示てんじした「夢路ゆめじギャラリー」がある。