尿にょう療法りょうほう

　尿にょう療法りょうほう （にょうりょうほう）は、尿にょうを用もちいて病気びょうきを治なおしたり健康けんこうを増進ぞうしんしたりしようとする民間みんかん療法りょうほうの一ひとつ。とりわけ、飲いん尿にょう療法りょうほうないし自じ尿にょう療法りょうほうといった、「自分じぶんの尿にょうを飲のむ」ものを言いうことが多おおい。

概要がいよう

尿にょうは排泄はいせつ直後ちょくごから雑菌ざっきんの繁殖はんしょくが始はじまるため、尿にょう療法りょうほうでは、排泄はいせつしたばかりの尿にょうをその場ばで飲のむこととしている。飲のむ尿にょうは原則げんそくとして自分じぶんが排泄はいせつしたものに限かぎり、量りょうは個人こじんの体調たいちょうとやる気きによるが、朝あさ一番いちばんの尿にょうをコップ2杯はい分ぶん摂取せっしゅするのが標準ひょうじゅんである。飲のむのに抵抗ていこうがある場合ばあいには、水みずやお茶ちゃなどで薄うすめると飲のみやすくてよいという。

日本にっぽんでは1990年ねん、『奇跡きせきが起おきる尿にょう療法りょうほう』（中尾なかお良一りょういち著ちょ）の出版しゅっぱんによって広ひろく知しられるようになった。

また、ヨットレース中ちゅうに転覆てんぷくし27日間にちかんの漂流ひょうりゅうの後のちに救助きゅうじょされた「たか号ごう」の乗組のりくみ員いんであった佐野さの三治さんじが、他たの乗組のりくみ員いん6人にんは力尽ちからつきて衰弱すいじゃく死しした中なかで1人にん生いき延のびることができたのは、脱出だっしゅつの際さい、救命きゅうめいボートに積つみ込こまれていた水みずや食糧しょくりょうが1人ひとり分ぶんしか残のこっていない飢うえと渇かわきの中なかで、佐野さのだけが自分じぶんの尿にょうを飲のんだからだとも伝つたえられた。尿にょうは単たんに渇かわきをいやすだけではなく尿にょうに含ふくまれる成分せいぶんが生命せいめい維持いじに関係かんけいしていたとも考かんがえられる

尿にょうは体内たいないからの排泄はいせつ物ぶつであるが、摂取せっしゅした食物しょくもつの残ざん渣や腸ちょう内ない細菌さいきんなどの塊かたまりである糞便ふんべんと異ことなり、血液けつえきから作つくられた余剰よじょう物ぶつであり、体外たいがいに排泄はいせつされるまでは基本きほん的てきに無菌むきんのものである。成分せいぶん的てきには水みず（98%）のほか尿素にょうそ、アンモニア、その他た電解でんかい質しつといった血清けっせいと同おなじもので構成こうせいされる。

ワルダイエル扁ひらた桃ももリンパ輪わと呼よばれる白血球はっけっきゅう造血ぞうけつ巣すがあり鼻はなや口くちから入はいってくる病原菌びょうげんきんや、濾過ろかされた血液けつえきに含ふくまれる不要ふような成分せいぶんを多おおく含ふくんだ尿にょうの臭においを識別しきべつし、これを消化しょうかするマクロファージや産さん生むされる免疫めんえきグロブリンAが活性かっせい化かする免疫めんえき機構きこうがつくられるとの見方みかたもある。

健康けんこうや治療ちりょうへの寄与きよについて、体験たいけん談だんの類るいはあるものの、科学かがく的てき・医学いがく的てき根拠こんきょはない。効能こうのうを与あたえる可能かのう性せいとしては、尿素にょうそ説せつ、抗体こうたい説せつ、ホルモン説せつ、喉のどセンサー説せつ、プラセボ（心理しんり的てき効果こうか）説せつなどが提唱ていしょうされている。

その他た

• 尿道にょうどう炎えんや膀胱ぼうこう炎えんなど泌尿器ひにょうき系けいの感染かんせん症しょうを発症はっしょうしている場合ばあいは二に次じ感染かんせんの恐おそれがあるため避さけるべきだという。
• 薬物やくぶつを服用ふくようしている場合ばあいの飲いん尿にょうは、避さけるべきとも、構かまわないともいわれる。
• 飲いん尿にょう開始かいし後ご、一時いちじ的てきな下痢げりなどの症状しょうじょうが出でることがあるが、これは「好転こうてん反応はんのう」と呼よばれ、体内たいないの毒素どくそが一気いっきに排出はいしゅつされるから発生はっせいするものであり、一時いちじ的てきなものだと説明せつめいされるという。

関連かんれん項目こうもく

• 雑ざつ民みん党とう - 尿にょう療法りょうほうを推奨すいしょうした政治せいじ団体だんたい
• 日本にっぽんにおける人糞じんぷん利用りよう#尿にょうを用もちいた民間みんかん療法りょうほう