平直方たいらのなおかた

凡例はんれい平たいら直方なおかた
時代じだい	平安へいあん時代じだい中期ちゅうき
生誕せいたん	不ふ詳しょう
死没しぼつ	不ふ詳しょう
官位かんい	追討ついとう使し、能登のと守もり、上野うえの介かい; 上総かずさ介かい、検非違使けびいし、左衛門さえもん少尉しょうい
主君しゅくん	藤原ふじわら道長みちなが、頼通よりみち
氏族しぞく	桓武かんむ平たいら氏し国くに香流かなれ
父母ちちはは	父ちち：平ひら維時
兄弟きょうだい	中方なかほう、直方のうがた
子こ	維方、源頼義みなもとのよりよし室しつ、藤原ふじわら惟おもんみ経けい室しつ、藤原ふじわら憲けん輔室しつ
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平たいら直方なおかた（たいらのなおかた、生なま没年ぼつねん不ふ詳しょう）は、平安へいあん時代じだい中期ちゅうきの武将ぶしょう。桓武かんむ平たいら氏しの当主とうしゅで、摂関せっかん家かの家人かじんとして在京ざいきょう軍事ぐんじ貴族きぞくでもあった。平忠常たいらのただつねの乱らんの際さいには、追討ついとう使しとして討伐とうばつにあたった。

概要がいよう

京都きょうとに本拠地ほんきょちを持もち、摂関せっかん家かの家人かじんとして藤原ふじわら頼通よりみちに奉仕ほうしを続つづけた^[2]。鎌倉かまくらに所領しょりょうを得えて居館きょかんを構かまえ、関東かんとうの本拠地ほんきょちとした。

官職かんしょくは追討ついとう使し・能登のと守もり・上野うえの介かい・上総かずさ介かい・検非違使けびいし・左衛門さえもん少尉しょういなどを歴任れきにんした。

東国とうごくで平忠常たいらのただつねが叛乱はんらんを起おこすと、朝廷ちょうていは維時を上総かずさ介かいに任命にんめいして、その子こ直方ちょくほうに忠常ただつね征伐せいばつの勅命ちょくめいを下くだした。直方ちょくほうは麾下きかの軍勢ぐんぜいと東海とうかい、東山ひがしやま、北陸ほくりくの三さん道どうの軍ぐんを結集けっしゅうして討伐とうばつに向むかうが、関東かんとうを押おさえて士気しきの上あがる忠常ただつね軍ぐんを攻せめきれずにいた。直方ちょくほうは持久じきゅう戦せんで忠常ただつね軍ぐんを追おい詰つめるが、朝廷ちょうていは直方ちょくほうの戦法せんぽうを手てぬるいと判断はんだんして直方ちょくほうを解任かいにんした。代かわって、かつて直方ちょくほうの家人かじんであった河内かわうち源はじめ氏しの源頼信みなもとのよりのぶ（頼義よりちかの父ちち）を甲斐かい守まもりに任命にんめいして、忠常ただつねの討伐とうばつを命めいじた。直方ちょくほうの持久じきゅう戦せんで疲弊ひへいしていた忠常ただつねは頼信よりのぶにすみやかに降伏ごうぶくした。

直方ちょくほうは、源頼義みなもとのよりよしが後のちに相模さがみ守もりに就ついた時期じきに娘むすめを娶めとらせ、本拠地ほんきょちの鎌倉かまくらを譲ゆずり渡わたした。この理由りゆうは頼義よりちかの武芸ぶげい（特とくに射い騎き）の巧たくみさに感服かんぷくして、同おなじ武門ぶもんの家いえのものとして誼よしみを通つうじていきたいと願ねがったからと伝つたわる^[3]。ただし、直方ちょくほうも頼義よりちかも実態じったいは「京きょう武者むしゃ」と称しょうされる軍事ぐんじ貴族きぞくであったと考かんがえられ、両者りょうしゃの婚姻こんいんは京都きょうとで成立せいりつしたとみられている^[2]^[4]。

系譜けいふ

祖先そせん

桓武かんむ平たいら氏し国くに香流かなれ

桓武かんむ天皇てんのう－葛原くずはら親王しんのう－高見こうけん王おう－高望王たかもちおう－平国香たいらのくにか－平貞盛たいらのさだもり－平ひら維将－平ひら維時－平直方たいらのなおかた

子孫しそん

鎌倉かまくら幕府ばくふの執権しっけんなどを歴任れきにんした北条ほうじょう氏しが平直方たいらのなおかたの子孫しそんを称しょうしている。また『平家ひらか物語ものがたり』などで平敦盛たいらのあつもりを討うち、後のちに後悔こうかいして出家しゅっけした熊谷くまがい直実なおみも直方ちょくほうの子孫しそんを称しょうしている。

通説つうせつ：平直方たいらのなおかた－平ひら維方－平ひら盛もり方かた（北条ほうじょう盛もり方かた）－熊谷くまがい直ただし貞さだ－熊谷くまがい直実なおみ
異説いせつ：平直方たいらのなおかた－平ひらめ（熊谷くまがい）直ちょく季き－熊谷くまがい直ただし広ひろ－熊谷くまがい直孝なおたか＝熊谷くまがい直ただし貞さだ－熊谷くまがい直実なおみ^{[注釈ちゅうしゃく 3]}

子こ

平ひら維方

外孫そとまご

源義家みなもとのよしいえ（八幡やはた太郎たろう）・源みなもと義よし綱つな（賀茂かも次郎じろう）・源義光みなもとのよしみつ（新しん羅ら三郎さぶろう）^{[注釈ちゅうしゃく 4]}
藤原ふじわら棟とう綱つな（藤原ふじわら北きた家か長良ながら流りゅう）
藤原ふじわら朝憲ちょうけん（藤原ふじわら北きた家か勧修寺かんしゅうじ流りゅう）

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ 官位かんいは左衛門さえもん少尉しょうい。997年ねんに中方なかほうは朝廷ちょうていより、対馬つしま国こくの太宰だざい大だい監かん（太宰府だざいふの三さん等とう官かん）に任にんじられて、外敵がいてきなどの来襲らいしゅうに備そなえた^[1]。
^ 藤原ふじわら文信ふみのぶの孫まご。
^ 熊谷くまがい直ただし季きは平直方たいらのなおかたの子こでなく娘むすめ婿むこであるとする説せつや、直ちょく季きと直ちょく広ひろを親子おやこでなく兄弟きょうだいとする説せつもある。
^ 但ただし、義光よしみつは義ぎ家か・義よし綱つなと母親ははおやが異ことなるともいわれる。

出典しゅってん

^ 『小しょう右記うき』
^ ^a ^b 川合かわい康やすし「横山よこやま氏し系図けいずと源氏げんじ将軍しょうぐん伝承でんしょう」『中世ちゅうせい武家ぶけ系図けいずの史料しりょう論ろん』上巻じょうかん、高志こうし書店しょてん、2007年ねん。 /所収しょしゅう:川合かわい 2019, pp. 78–80
^ 『陸奥みちのく話はなし記き』などによる。
^ 川合かわい康やすし「鎌倉かまくら幕府ばくふの草創そうそう神話しんわ」『季刊きかん東北とうほく学がく』27号ごう、2011年ねん。 /所収しょしゅう:川合かわい 2019, pp. 267–268

参考さんこう文献ぶんけん

川合かわい康やすし『院政いんせい期き武士ぶし社会しゃかいと鎌倉かまくら幕府ばくふ』吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2019年ねん。