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みち

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

初等しょとう幾何きかがくにおける図形ずけいみち(けい、えい: diameter)は、その図形ずけいわたしをいう。ギリシア: διάμετροςδでるたιいおたαあるふぁ-わたりの」+ μέτρονおおきさ」)[1]由来ゆらいする。

円周えんしゅうC(くろ), 直径ちょっけいD(水色みずいろ), 半径はんけいR(あか), 中心ちゅうしんO(むらさき) のえん

えん直径ちょっけいは、そのえん中心ちゅうしんとおり、りょう端点たんてんがその円周えんしゅうじょうにある任意にんい線分せんぶんであり、またそのえん最長さいちょうつるでもある。球体きゅうたい直径ちょっけいについても同様どうよう

より現代げんだいてき用法ようほうでは、任意にんい直径ちょっけいの(一意いちいな)なが自身じしんおなじく「直径ちょっけい」とばれる(ひとつのえんたいして線分せんぶん意味いみでの直径ちょっけい無数むすうにあるが、そのいずれもおなながさをつことに注意ちゅういする。それゆえ(りょうともなわず)たんえん直径ちょっけいといった場合ばあい、ふつうはながさとしての意味いみである)。ながさとして、直径ちょっけい半径はんけい (radius) のばいひとしい。

平面へいめんうえとつ図形ずけいたいして、そのみち図形ずけい両側りょうがわからせっするほん平行へいこうせんあいださい長距離ちょうきょりとして定義ていぎされる(同様どうよう最小さいしょう距離きょりはば (width) とばれる)。みち(およびはば)は回転かいてんキャリパーほう英語えいごばんもちいて効果こうかてき計算けいさんすることができる[2]ルーローの三角形さんかっけいのようなていはば図形ずけいでは、任意にんい平行へいこう接線せっせんおなながさをつから、みちはば一致いっちする。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

えんたまとつ図形ずけいたいして個別こべつみち定義ていぎするわりに、それらを特別とくべつ場合ばあいとしてふく任意にんいn-次元じげん図形ずけいとつまたはとつ、あるいは連続れんぞくてきまたは散在さんざいてきてん集合しゅうごう)にたいするより一般いっぱんみち定義ていぎあたえることができる。

定義ていぎ
距離きょり空間くうかんそらでない部分ぶぶん集合しゅうごうみちとは、その部分ぶぶん集合しゅうごうぞくするてん任意にんいたいあいだ距離きょり全体ぜんたい集合しゅうごう上限じょうげんう。
しきでは、距離きょり空間くうかん (X, d)部分ぶぶん集合しゅうごう A ≠ ∅たいける。
注意ちゅうい
おおくの文献ぶんけんでは、部分ぶぶん集合しゅうごう Aそら集合しゅうごうである場合ばあいへの言及げんきゅうおこなわない[3]:p. IX.14
いくつかの文献ぶんけんでは、上記じょうき定義ていぎそら集合しゅうごうたいしても拡張かくちょうして、diam(∅) = sup(∅) = −∞まけ無限むげんだい)とする[4][5]。ここで sup(∅)かんがえている全体ぜんたい集合しゅうごうによって変化へんかする相対そうたいてきなものであることに注意ちゅういしなければならない。−∞ とするのは、いま dおわりいき実数じっすう直線ちょくせん Rかんがえていることによる(上限じょうげん補完ほかんすう直線ちょくせん R ∪ {±∞}をとることに注意ちゅうい[6]
あるいはべつ規約きやくとして、diam(∅) = 0 とするものもある[7]。これは dおわりいき非負ひふ実数じっすう全体ぜんたい [0, +∞)なすことに対応たいおうする[8]
  • そらでない部分ぶぶん集合しゅうごう Aみち有限ゆうげんせい実数じっすうとなるのは A有界ゆうかいなるときであり、さもなくば diam(A) = +∞ である。
  • n-次元じげんユークリッド空間くうかんうち任意にんいの(中身なかみまった)立体りったいあるいは散在さんざいてん集合しゅうごうみちは、そのとつつつみみちひとしい。
  • 微分びぶん幾何きかがくにおいて、みち重要じゅうよう大域たいいきリーマン変量へんりょうである。

れい[編集へんしゅう]

ことなる定義ていぎ[編集へんしゅう]

上記じょうき定義ていぎとはことなる用語ようごほうしたがうものが存在そんざいすることに注意ちゅうい必要ひつようである。

  • 回転かいてんたいみちとは、じく垂直すいちょくつるのうち最長さいちょうのもの、およびそのながさをうのが通例つうれいである。これはまた module[9] (modulus) ともぶ。
  • 平面へいめん幾何きかがくにおける楕円だえんたいする標準ひょうじゅんてき用語ようごほうでは、楕円だえん中点ちゅうてんとお任意にんいつるみち[10]りょう端点たんてんにおける楕円だえん接線せっせんたがいに平行へいこうとなるようなみち共軛きょうやくみち英語えいごばんばれる。また最長さいちょうみち長径ちょうけい英語えいごばん (major axis) とう。同様どうように、任意にんい円錐えんすい曲線きょくせんみちは、典型てんけいてきにはその中心ちゅうしんとお任意にんいつるとして定義ていぎされる。このような意味いみみちは(それがえん (はなれしんりつ e = 0) でないかぎり)かならずしも一定いっていながさをたない。

直径ちょっけい記号きごう[編集へんしゅう]

みちあらわ記号きごうは「⌀」であり、「直径ちょっけい記号きごう(diameter sign)」とぶ。 直径ちょっけい記号きごうは、ゼロ0と区別くべつをつけるために、まるしるし○に斜線しゃせんれたものである。みは元来がんらいは「まる」であるが、ギリシア文字もじΦふぁい「ファイ」との字形じけい類似るいじから「ファイ」とまれることがある。

あやまってパイとまれることがあるがファイの間違まちがいからきたとおもわれる[11]

直径ちょっけい記号きごう ⌀ は、そら集合しゅうごう記号きごう やギリシャ文字もじ大文字おおもじイタリックの Φふぁい あるいは北欧ほくおうけい母音ぼいんØ (スラッシュきオー)とはことなるものであり、混同こんどうすべきでない[12]

製図せいずにおける直径ちょっけい記号きごう「まる」の使用しようれい

製図せいず分野ぶんやでの規定きてい[編集へんしゅう]

JIS Z8317-1:2008 『製図せいず寸法すんぽうおよ公差こうさ記入きにゅう方法ほうほうだい1一般いっぱん原則げんそく』の規定きていは、つぎとおりである[13]

  • 寸法すんぽう補助ほじょ記号きごうのひとつとして、直径ちょっけいあらわ記号きごうは、⌀(ラテン文字もじØでもでもない)である。
  • かたは、「まる」または「ふぁい」である。
  • 寸法すんぽう数値すうちまえ寸法すんぽう補助ほじょ記号きごう⌀をけるが、角度かくどが180°をえる場合ばあいには、寸法すんぽう補助ほじょ記号きごう⌀を省略しょうりゃくする。

かたは、以前いぜんJIS Z 8317 では「まる」とされ、その改定かいていで「ふぁい」というかた追加ついかされた。直径ちょっけい記号きごうUnicodeU+2300として登録とうろくされている。

符号ふごう位置いち[編集へんしゅう]

記号きごう Unicode JIS X 0213 文字もじ参照さんしょう 名称めいしょう
U+2300 - ⌀
⌀
DIAMETER SIGN

ちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Online Etymology Dictionary
  2. ^ Toussaint, Godfried T. (1983). Solving geometric problems with the rotating calipers. Proc. MELECON '83, Athens. http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.155.5671. 
  3. ^ a b Bourbaki, N., Topologie générale, Éléments de mathématique, III 
  4. ^ (en) Mícheál Ó Searcóid, Metric Spaces, Springer,‎ (lire en ligne), p. 21.
  5. ^ (en) S. C. Sharma, Metric Space, Discovery Publishing House,‎ (lire en ligne), p. 156.
  6. ^ (PDF) 集合しゅうごう位相いそうだいいち講義こうぎ資料しりょう 11, p. 4, http://www.math.titech.ac.jp/~kotaro/class/2011/set/20110614.pdf 
  7. ^ Jean-Pierre RamisAndré Warusfel および al., Mathématiques. Tout-en-un pour la Licence, vol. 2, Dunod,‎ , 2e éd. (1re éd. 2007) (ISBN 978-2-10-071392-9, lire en ligne), p. 400.
  8. ^ Re: diameter of an empty set
  9. ^ Définitions lexicographiques et étymologiques de « module » (sens A, 2, a) du Trésor de la langue française informatisé, sur le site du Centre national de ressources textuelles et lexicales (consulté le 21 mai 2016).
  10. ^ Cut-the-Knot
  11. ^ Πぱいπぱいが「パイ」である。
  12. ^ Korpela, Jukka K. (2006), Unicode Explained, O'Reilly Media, Inc., pp. 23–24, ISBN 978-0-596-10121-3, https://books.google.co.jp/books?id=lxndiWaFMvMC&pg=PA23&dq=%22diameter%22 .
  13. ^ JIS Z8317-1:2008 『製図せいず寸法すんぽうおよ公差こうさ記入きにゅう方法ほうほうだい1一般いっぱん原則げんそく』§7.1「寸法すんぽう補助ほじょ記号きごう」(p. 12)、§7.2「直径ちょっけい」(p. 13)。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]