心こころ覚さとし

心こころ覚さとし（しんかく、永久えいきゅう5年ねん（1117年ねん）- 養和ようわ元年がんねん（1181年ねん）頃ごろ）は、平安へいあん時代じだい後期こうきの真言宗しんごんしゅうの僧そう。父ちちは平たいら実みのる親おや。字じを仏ふつ種しゅ房ぼう、宰相さいしょう阿闍梨あじゃりと号ごうした。

略歴りゃくれき

初はじめ天台宗てんだいしゅう園城寺おんじょうじに入はいって出家しゅっけ・受戒じゅかいして天台てんだい教学きょうがくを学まなんだ。しかし、宮中きゅうちゅうで興福寺こうふくじの三さん論ろん僧そうの珍ちん海うみと論議ろんぎを行おこなって敗やぶれ、真言しんごん密教みっきょうを学まなんだ。醍醐寺だいごじの賢覚けんかく・実じつ運うんから東あずま密ひそか小野おの流りゅうの法ほうを受うけ、大和やまと国こく光明山こうみょうさんに長ながく住じゅうし、その後ご高野山こうのやまの兼けん意いに従したがって真言しんごん密教みっきょうの奥義おうぎを極きわめた。常喜じょうぎ院いんに住じゅうし、密教みっきょうの白描はくびょう図像ずぞうを研究けんきゅうするなど多おおくの著書ちょしょを残のこしている。治ち承うけたまわ4年ねん（1180年ねん）または寿ことぶき永ひさし元年がんねん（1182年ねん）に没ぼっした。

著作ちょさく

• 「別べつ尊みこと雑記ざっき」鎌倉かまくら時代じだい初期しょきまでに成立せいりつし全ぜん57巻かん。東あずま密ひそか、台たい密みつの諸しょ尊みことを網羅もうら的てきに分類ぶんるいし、密みつ号ごう、梵名、種子しゅし字じ、持物もちもの（三昧ざんまい耶形）等とうの詳細しょうさいな記録きろくや、曼荼羅まんだらなど密教みっきょう図像ずぞう集しゅうの白眉はくび。

参考さんこう文献ぶんけん

• 真鍋まなべ俊しゅん照あきら「心こころ覚さとしと別べつ尊みこと雑記ざっきについて」『仏教ぶっきょう芸術げいじゅつ』70号ごう