ポルノ雑誌ざっし

ポルノ雑誌ざっし（ポルノざっし）とは、成人せいじん向むけ雑誌ざっしのうち性的せいてきコンテンツやヌード写真しゃしんをテーマにした雑誌ざっしの総称そうしょう。

「アダルト雑誌ざっし」「成人せいじん向むけ雑誌ざっし」とも呼よばれ、ヌードのほかフェラチオ、性交せいこう等ひとし、さまざまな性的せいてき情報じょうほうを写真しゃしんその他たの手段しゅだんで掲載けいさいする。最もっとも一般いっぱん的てきなタイプは、魅力みりょく的てきな女性じょせいや男性だんせいを写うつした写真しゃしんを扱あつかうもので、この種たねの雑誌ざっしは性的せいてき興奮こうふんを呼よび起おこすことが主しゅ目的もくてきである。ポルノ雑誌ざっしの趣向しゅこうは多種たしゅ多様たようで、フェティシズムや解剖かいぼう学がく的てきな情報じょうほうを扱あつかうものなど、そのジャンルは非常ひじょうに微細びさい化かされている。

ポルノ市場いちばの大だい部分ぶぶんは男性だんせい購買こうばい者しゃによって占しめられているため、ほとんどのポルノ雑誌ざっしは男性だんせい向むけに編纂へんさんされている。特とくに有名ゆうめいなポルノ雑誌ざっしとしては、米国べいこくの『PLAYBOY』、『ペントハウス』、『ハスラー』などが挙あげられる。

歴史れきし

ヨーロッパ

15世せい期きに活版かっぱん印刷いんさつが利用りようされるようになる以前いぜんは、装飾そうしょく写本しゃほんのように手書てがきで性的せいてきな挿絵さしえが用もちいられることがあったが、手間てまが非常ひじょうに大おおきく、裕福ゆうふくな者ものにしか手てに入はいらなかった。その後ご、印刷いんさつ技術ぎじゅつや版画はんがによって性的せいてきな絵えや文章ぶんしょうがたびたび出版しゅっぱんされるようになった。基本きほん的てきには性せいに厳格げんかくなキリスト教きりすときょう教会きょうかいによる社会しゃかい規範きはんの影響えいきょうが大おおきく、これらは取締とりしまりの対象たいしょうであった（エロティカも参照さんしょう）。

1841年ねんにカロタイプという写真しゃしん技法ぎほうが発明はつめいされ、ネガから写真しゃしんをいく枚まいも複製ふくせいすることができるようになった。1860年ねんのパリでは、すでに多おおくの写真しゃしん屋やが営業えいぎょうしており、その多おおくは猥褻わいせつ写真しゃしんも扱あつかっていた（1855年ねん以降いこうはヌード写真しゃしんは不法ふほうとなっていた）。19世紀せいきのフランスでは、ヌード写真しゃしんはポストカードの形かたちで売うられていることが多おおく、en:French postcardと言いえば当時とうじのヌード写真しゃしんのポストカードを指さす。同どう時期じきのイギリスでは、科学かがく的てきな身体しんたいの機構きこうという観点かんてんを装よそおって、ヌード写真しゃしんを扱あつかうことが多おおかった。

1880年ねん頃ごろから商用しょうようで使つかわれ始はじめたハーフトーンという印刷いんさつ法ほうによって、白黒しろくろ写真しゃしんを雑誌ざっしに印刷いんさつできるようになったことで、ヌード写真しゃしんが雑誌ざっしに掲載けいさいできるようになった。まずは、フランスでバーレスク女優じょゆうのヌード写真しゃしんを掲載けいさいするような雑誌ざっしが出でたと言いわれている。さらにナチュラリズムを謳うたった、アートを装よそおったヌードが掲載けいさいされた雑誌ざっしが19世紀せいき末まつ頃ごろから出で始はじめた。

アメリカ

アメリカでは、1920年代ねんだいに「ティファナ・バイブル」と呼よばれるポルノ漫画まんがの出現しゅつげんがみられる。ヌードやソフトコア・ポルノを雑誌ざっしの個性こせいとして活動かつどうし始はじめたのは、『PLAYBOY』や『Modern Man』といった1950年代ねんだいの男性だんせい誌しで、PLAYBOYのヒュー・ヘフナーは1953年ねんには早はやくも同どう雑誌ざっしを創刊そうかんしている。これらの雑誌ざっしに掲載けいさいされるヌードやセミヌードの女性じょせいグラビアは、美うつくしくスタイルも良よかったため人気にんきを集あつめた。60年代ねんだい後半こうはんには、北欧ほくおうデンマークで「ポルノ解禁かいきん」が実施じっしされた。70年代ねんだい前半ぜんはんにアメリカ旅行りょこうに行いった日本にっぽんの写真しゃしん家かは、当時とうじのプレイボーイ誌上しじょうで、早はやくも女性じょせいが全裸ぜんらでの開ひらき脚あしをおこない、表現ひょうげんの自由じゆうのレベルを痛感つうかんしたと感想かんそうを述のべていた。

1990年代ねんだいまでには『ペントハウス』『ハスラー』など新あたらしい雑誌ざっしが登場とうじょう。ハードコア・ポルノ、レズビアン、乱交らんこう、フェティシズムなどを売うりにした、過激かげきな「ハードコア」を発展はってんさせ、『PLAYBOY』のような「ソフトコア」と対比たいひされるようになった。

日本にっぽん

「エロ本ほん#歴史れきし」も参照さんしょう

戦後せんごの日本にっぽんにおいて、「人間にんげん探究たんきゅう」（1950年ねん）、「風俗ふうぞく草紙ぞうし」（1953年ねん）、風俗ふうぞく科学かがく（1953年ねん）といった風俗ふうぞく雑誌ざっしや、「奇き譚たんクラブ」（1947年ねん）、「風俗ふうぞく奇き譚たん」（1960年ねん）、あまとりあなどのSM雑誌ざっしがあった。1971年ねんからは日活にっかつがロマンポルノの制作せいさくを始はじめた。1980年代ねんだい以降いこうには、ビニ本ほん、裏うら本ほん、アダルトビデオのブームもおきた。

現在げんざいでは「成人せいじん向むけ雑誌ざっし」等とうの呼称こしょうが使用しようされ、「ポルノ」という言葉ことばはあまり使つかわれていない。使用しようする場合ばあい、漫画まんが本ほんは含ふくまず写真しゃしん中心ちゅうしんのものを指さす。

関連かんれん項目こうもく

• エロ本ほん
• ポルノ雑誌ざっし一覧いちらん
• フェティッシュ雑誌ざっし
• 日活にっかつロマンポルノ
• ストリップ
• 日にち劇げきミュージックホール
• グラマー写真しゃしん
• 裏うら本ほん
• カストリ雑誌ざっし
• ハードコア・ポルノ
• ゲイ雑誌ざっし

外部がいぶリンク

• List of pornographic magazines