担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう

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担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう
日本国政府国章(準)
日本にっぽん法令ほうれい
通称つうしょう略称りゃくしょう 担信ほう
法令ほうれい番号ばんごう 明治めいじ38ねん法律ほうりつだい52ごう
種類しゅるい 民法みんぽう
効力こうりょく 現行げんこうほう
成立せいりつ 1905ねん2がつ23にち
公布こうふ 1905ねん3がつ13にち
施行しこう 1905ねん7がつ1にち
おも内容ないよう 担保たんぽづけ社債しゃさいかんする規制きせいさだめる法律ほうりつ
関連かんれん法令ほうれい 民法みんぽう会社かいしゃほう保険ほけん業法ぎょうほう資産しさん流動りゅうどうかんする法律ほうりつ投資とうし信託しんたくおよ投資とうし法人ほうじんかんする法律ほうりつ信託しんたく業法ぎょうほう
制定せいてい題名だいめい 担保たんぽ社債しゃさい信託しんたくほう
条文じょうぶんリンク 担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
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担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう(たんぽつきしゃさいしんたくほう、明治めいじ38ねん法律ほうりつだい52ごう)は、日本にっぽん法律ほうりつひとつ。担信ほうりゃくされる。社債しゃさい担保たんぽ設定せっていした発行はっこう会社かいしゃが、債権さいけんしゃのため担保たんぽけん実行じっこうしやすく信託しんたくするえいべいほうけい現行げんこう制度せいどにち戦争せんそう終盤しゅうばん欧米おうべいかずある信託しんたく業務ぎょうむからどうほうだけがぽつんと移植いしょくされた。関連かんれん法規ほうきとして2002ねん平成へいせい14ねんどうほう施行しこうれいて、さらに2004ねん平成へいせい16ねんまつ信託しんたく業法ぎょうほう制定せいていされた。以降いこう担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう様々さまざま担保たんぽけん証券しょうけん貢献こうけんしている。

財団ざいだん抵当ていとう[編集へんしゅう]

担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう機能きのうさせる前提ぜんていとして、あわさん抵当ていとうほう鉄道てつどう抵当ていとうほう鉱業こうぎょう抵当ていとうほう工場こうじょう抵当ていとうほう)も制定せいていされた。会社かいしゃ財産ざいさんがバラバラの物権ぶっけんかれて価値かちげないように、会社かいしゃ財産ざいさん担保たんぽとしての財団ざいだんれる仕組しくみであった[1]

たとえば工場こうじょう財団ざいだん工場こうじょう抵当ていとうほうもとづき、工場こうじょう財団ざいだん登記とうき簿にその所有しょゆうけん保存ほぞん登記とうきをすることによって設定せっていされ、ひとつの不動産ふどうさんとみなされる。れがみとめられる財産ざいさん限定げんてい列挙れっきょされている。①工場こうじょうぞくする土地とちおよ工作こうさくぶつ、②機械きかい器具きぐ電柱でんちゅう電線でんせん配置はいちしょかん軌条きじょうその附属ふぞくぶつ、③地上ちじょうけん、④賃貸ちんたいじん承諾しょうだくあるときはもの賃借ちんしゃくけん、⑤工業こうぎょう所有しょゆうけん、⑥ダム使用しようけん鉱業こうぎょう財団ざいだんには工場こうじょう抵当ていとうほう工場こうじょう財団ざいだんかんする規定きてい準用じゅんようするが、やはり財産ざいさん限定げんてい列挙れっきょである。①鉱業こうぎょうけん、②土地とち及工作物さくもつ、③地上ちじょうけんおよ土地とち使用しようけん、④賃貸ちんたいじん承諾しょうだくするときはもの賃借ちんしゃくけん、⑤機械きかい器具きぐ車輛しゃりょう船舶せんぱく牛馬ぎゅうばその附属ふぞくぶつ、⑥工業こうぎょう所有しょゆうけん

対象たいしょう社債しゃさい[編集へんしゅう]

会社かいしゃほうもとづいて会社かいしゃ発行はっこうする「社債しゃさい」に適用てきようされるが、以下いかのものも本法ほんぽうにいう「社債しゃさい」とみなされる(保険ほけん業法ぎょうほう61じょうの9、資産しさん流動りゅうどうかんする法律ほうりつ130じょう投資とうし信託しんたくおよ投資とうし法人ほうじんかんする法律ほうりつ139じょうの11、医療いりょうほう54じょうの8)。

他方たほう日本にっぽん会社かいしゃ外国がいこくほう準拠じゅんきょほうとして発行はっこうする債券さいけん典型てんけいてきにはユーロえんさい)が本法ほんぽうにいう「社債しゃさい」にふくまれるかかについては、だい17じょう(「会社かいしゃ外国がいこくにおいて担保たんぽづけ社債しゃさい発行はっこうしようとするとき」)の解釈かいしゃくについて議論ぎろんがある。

運用うんよう実績じっせき[編集へんしゅう]

制定せいてい当初とうしょ受託じゅたく会社かいしゃとなるはずの信託しんたく会社かいしゃがなかったので、にな担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう公称こうしょう資本しほんきん100まんえん以上いじょうメガバンク限定げんていし、かつ免許めんきょ主義しゅぎった。このメガバンクはどうほうじょうだけ「信託しんたく会社かいしゃ」とばれる。[1]

明治めいじ39ねん1がつ発行はっこうされた北海道ほっかいどう炭礦たんこう鉄道てつどうひゃくまんポンド外債がいさい最初さいしょ適用てきようれいである。チャータード銀行ぎんこう引受ひきうけしゃで、日本興業銀行にほんこうぎょうぎんこう受託じゅたくしゃであった。同年どうねん3がつにはシェルのサミュエル商会しょうかい引受ひきうけ会社かいしゃとなって、関西かんさい鉄道てつどうひゃくまんポンド外債がいさい発行はっこうした。受託じゅたくしゃはイギリスのローデベンチュア株式会社かぶしきがいしゃであった。外貨がいか社債しゃさい発行はっこう自体じたい明治めいじ39ねんから大正たいしょう2ねんまで10けん総計そうけい2おくえんおよんだが、興銀こうぎんまんてつ東洋とうよう拓殖たくしょくなど担保たんぽ政府せいふ保証ほしょうによるものがほとんどをめた。国内こくないさいでは巨額きょがく社債しゃさい積極せっきょくてき担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう利用りようされた(明治めいじやく43%)。外債がいさいふたた活用かつようされるのは、関東大震災かんとうだいしんさい大正たいしょう13ねん大同だいどう電力でんりょく担保たんぽづけ社債しゃさい発行はっこうしてからのことである。世界せかい恐慌きょうこう大正たいしょう後期こうきから昭和しょうわ初期しょき発行はっこうされた社債しゃさい債務さいむ不履行ふりこうおちいった。これら社債しゃさいかんする資料しりょう散逸さんいつしているが、なかには川崎かわさき造船ぞうせんしょ発行はっこうした社債しゃさいもあった。そしていわゆる社債しゃさい浄化じょうか運動うんどうがおこった。昭和しょうわ8ねん3がつ担保たんぽづけ社債しゃさい信託しんたくほう改正かいせいされて、社債しゃさい分割ぶんかつ発行はっこうせい(オープンエンドモーゲージせい[2])を採用さいようし、不便ふべんだった財団ざいだん抵当ていとう制度せいどいることがなくなった。昭和しょうわ9ねんには担保たんぽづけ社債しゃさいの77%が分割ぶんかつ発行はっこう社債しゃさいであった。[1]

現在げんざい社債しゃさいけることのできる物上ぶつじょう担保たんぽは、動産どうさんしつ証書しょうしょのある債権さいけんしつ株式かぶしきかくしつ不動産ふどうさん抵当ていとう船舶せんぱく自動車じどうしゃ航空機こうくうき建設けんせつ機械きかいかく動産どうさん抵当ていとう鉄道てつどう工場こうじょう鉱業こうぎょう軌道きどう運河うんが漁業ぎょぎょう自動車じどうしゃ交通こうつう事業じぎょう道路どうろ交通こうつう事業じぎょう港湾こうわん運送うんそう事業じぎょう観光かんこう施設しせつかく財団ざいだん抵当ていとう企業きぎょう担保たんぽの19しゅかぎられる。いずれも実行じっこうやさしくない。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 日本にっぽん証券しょうけん 1』
  2. ^ 開放かいほう担保たんぽやくす。会社かいしゃ担保たんぽづけ社債しゃさい発行はっこうするとき、担保たんぽ価格かかく残余ざんよ部分ぶぶんがあれば、はじめにさだめた社債しゃさい発行はっこう最高さいこうがくまではなんかいでもどういち担保たんぽのうえにどう順位じゅんい社債しゃさい発行はっこうできるものをいう。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 有沢ありさわひろ監修かんしゅう日本にっぽん証券しょうけん 1』 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ 1995ねん 68-72、120-122、174-175ぺーじ