李り孝たかし恭きょう

李り孝たかし恭きょう

李り 孝たかし恭きょう（り こうきょう、591年ねん - 640年ねん）は、中国ちゅうごくの唐とうの宗室そうしつ。西平にしだいら懐ふところ王おう李り安やすしの子こ。祖父そふは李り蔚。唐とうの高祖こうそ李り淵ふかしの従したがえ子こにあたる。唐とう初はつに中国ちゅうごくの南方なんぽうを経略けいりゃくする主将しゅしょうをつとめ、凌しのげ煙けむり閣かく二に十じゅう四よん功臣こうしんの第だい二に位いに挙あげられた。

経歴けいれき

大業おおわざ13年ねん（617年ねん）、李り淵ふかしが長安ながやすを平定へいていすると、孝こう恭きょうは左ひだり光こう禄ろく大夫たいふに任命にんめいされ、間まもなく山南さんなん道どう招尉大使たいしとなった。武徳ぶとく元年がんねん（618年ねん）、金きむ州しゅうから巴ともえ蜀しょくに進出しんしゅつして、三さん十じゅう余よ州しゅうを下くだした。進撃しんげきして、朱しゅ粲つばらを破やぶり、その部ぶ衆しゅを捕とらえた。諸しょ将しょうたちは「朱しゅ粲つばらは食しょく人じんの賊ぞくであるから、穴埋あなうめにしてしまいましょう」と勧すすめたが、孝こう恭きょうは「捕とらえた者ものを殺ころしては降伏ごうぶくするものがいなくなる」と言いって彼かれらを許ゆるした。

武徳ぶとく2年ねん（619年ねん）、信州しんしゅう総そう管かんに任にんぜられ、江こう陵りょうに拠よる蕭しょう銑ずくを平定へいていする策さくを李り淵ふかしに進言しんげんした。趙ちょう郡ぐん王おうに進すすみ、信州しんしゅうが夔州に改称かいしょうされると、そのまま夔州総そう管かんとなった。孝こう恭きょうは巴ともえ蜀しょくの首領しゅりょうの子弟していを徴用ちょうようして自軍じぐんに編入へんにゅうした。荊湘道どう総そう管かんとなり、李り靖やすしを副将ふくしょうに用もちい、水陸すいりくの十じゅう二に軍ぐんを率ひきいて、蕭しょう銑ずくを攻撃こうげきした。孝こう恭きょうは鹵獲ろかくした戦艦せんかんを故意こいに長江ながえ中なかに放棄ほうきして、蕭しょう銑ずくへの援軍えんぐんに疑心暗鬼ぎしんあんきを起おこさせた。蕭しょう銑ずくは江こう陵りょうで孤立こりつし、ついに唐とうに降伏ごうぶくした。

孝こう恭きょうは荊州大だい総そう管かんとなり、屯田とんでんを置おき、銅どう冶を立たてて民衆みんしゅうの便宜べんぎを図はかった。襄じょう州しゅう道行みちゆき台だい尚書しょうしょ左ひだり僕ぼく射しゃとなり、嶺みね南みなみの四よん十じゅう九きゅう州しゅうに遣や使つかいして招撫した。輔公祏が江南えなでそむくと、孝こう恭きょうは行軍こうぐん元帥げんすいとして李り勣・李り靖やすし・黄き君くん漢かん・張ちょう鎮周らの軍ぐんを率ひきいて輔公祏を攻せめ、糧道りょうどうを絶たって敵てきを飢うえさせ、これを大おおいに破やぶった。東南とうなん道行みちゆき台だい尚書しょうしょ左ひだり僕ぼく射しゃに進すすみ、行くだり台だいが廃はいされると揚あげ州しゅう大だい都と督とくとなった。邸やしきに石頭いしあたま城じょうを築きずいて自衛じえいのかまえをみせたため、謀反むほんを誣告ぶこくされ、召還しょうかんされて詰問きつもんされた。謀反むほんの実態じったいがなかったため、許ゆるされて宗そう正ただし卿きょうに任にんぜられた。実じつ封ふう千せん二に百ひゃく戸こを賜たまわり、涼りょう州しゅう都みやこ督ただし・晋すすむ州しゅう刺史ししを歴任れきにんした。貞さだ観かん初年しょねんに礼れい部ぶ尚書しょうしょに任にんぜられ、貞さだ観かん11年ねん（637年ねん）には趙ちょう郡ぐん王おうから河間こうま郡ぐん王おうに改あらため封ふうされた。

趣味しゅみは豪奢ごうしゃで、歌舞かぶや美人びじんを好このんだが、人ひとに対たいしては寛仁かんじん謙譲けんじょうで、おごった様子ようすを見みせず、太ふとし宗むねにも重用じゅうようされた。貞さだ観かん14年ねん（640年ねん）、飲いん中毒ちゅうどくにより亡なくなった。享年きょうねんは50。死後しごに司つかさ空そら・揚あげ州しゅう都と督とくの位いを追贈ついぞうされ、元もとと諡おくりなされ、献けんじ陵りょうに陪葬された。

子こに李り崇たかし義よし・李り晦みそがいた。

伝記でんき資料しりょう

• 『旧きゅう唐とう書しょ』巻まき六ろく十じゅう 列伝れつでん第だい十じゅう「宗室そうしつ伝でん」
• 『新しん唐とう書しょ』巻まき七なな十じゅう八はち 列伝れつでん第だい三さん「宗室そうしつ伝でん」