李り適てき之の

李り 適てき之の（り てきし、694年ねん - 747年ねん）は、中国ちゅうごく唐とう代だいの玄げん宗むね時期じきの政治せいじ家か。皇族こうぞくとして生うまれ、宰相さいしょうになったが、李り林はやし甫はじめに嵌はめられて失脚しっきゃくし、追おいつめられ、自殺じさつした。

生涯しょうがい

郇国公こう李り象ぞう（恒つね山王さんのう李り承うけたまわ乾いぬいの子こ）の子ことして生うまれた。始はじめの名なは昌あきらといった。神かみ龍りゅう年間ねんかんに左ひだり衛まもる郎ろう将はた、開ひらき元もと年間ねんかんに通とおり州しゅう刺史ししになり、治績ちせきをあげた。韓かん朝宗ともむねの推薦すいせんにより、秦しん州しゅう都みやこ督ただしに抜擢ばってきされた。地方ちほう官かんを歴任れきにんし、政務せいむは細こまかくなかったため、下しも吏から好このまれた。治水ちすいにおいて功績こうせきをあげて大おおいにたたえられ、御ご史し大夫たいふに昇進しょうしんした。さらに刑部おさかべ尚書しょうしょとなった。

客きゃくを好このみ、一いち斗との酒さけを飲のんでも酔よわなかった。夜よるに宴会えんかいを開ひらいて昼ひるに物事ものごとを決きめ、案件あんけんが滞とどこおることがなかった。

天宝てんぽう元年がんねん（742年ねん）、牛うし仙客せんかくに代かわり、左ひだり相しょう（左ひだり僕ぼく射しゃ・宰相さいしょう）となった。李り林はやし甫はじめとは権力けんりょくを争あらそったため、李り林はやし甫はじめは李り適てき之これを失脚しっきゃくさせようとした。李り林はやし甫はじめは「華山げさんは金かねを採とれる。国くにを富とますことができるが主上しゅじょうはまだ知しらない」と李り適てき之これに語かたり、粗忽そこつな李り適てき之のは玄げん宗むねにそのことを語かたった。玄げん宗むねが李り林はやし甫はじめに問とうと、李り林はやし甫はじめは「私わたしは知しっていましたが、華山げさんは主上しゅじょうの本命ほんめいであり、王おう気きがあるところなので、主上しゅじょうのために言いいませんでした」と答こたえた。玄げん宗むねはこのために李り林はやし甫はじめを信用しんようし、李り適てき之これに冷つめたくなった。

また、李り適てき之のと仲なかが良よかった韋堅・皇すめらぎ甫はじめ惟おもんみ明あきら・裴寛・韓かん朝宗ともむねが李り林はやし甫はじめに陥おとしいれられ、罪つみを得えた。このため、不安ふあんのあまり宰相さいしょう職しょくを返上へんじょうして太子たいし少しょう保ほとなった。しかし、韋堅に連座れんざして宜むべ春はる太守たいしゅに左遷させんさせられ、韋堅を殺ころした羅ら希のぞみ奭が宜むべ春はるを通とおった時とき、薬くすりを飲のんで自殺じさつした。

杜もり甫はじめの詩し『飲いん中ちゅう八はち仙せん歌か』で、賀が知章ともあき・李白りはくらとともに飲いん中ちゅう八はち仙せんの一人ひとりとして歌うたわれている。

伝記でんき資料しりょう

• 『旧きゅう唐とう書しょ』巻まき九きゅう十じゅう九きゅう 列伝れつでん第だい四よん十じゅう九きゅう「李り適てき之の伝つて」
• 『新しん唐とう書しょ』巻まき百ひゃく三さん十じゅう一いち 列伝れつでん第だい五ご十じゅう六ろく「李り適てき之の伝つて」
• 『資し治ち通どおり鑑かん』