条件じょうけん反射はんしゃ

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条件じょうけん反射はんしゃ(じょうけんはんしゃ)とは、動物どうぶつにおいて、訓練くんれん経験けいけんによって後天的こうてんてき獲得かくとくされる反射はんしゃ行動こうどうのこと。ソビエト連邦れんぽう生理学せいりがくものイワン・パブロフによって発見はっけんされ、パブロフのいぬ実験じっけん有名ゆうめいになった。

条件じょうけん反射はんしゃ[編集へんしゅう]

内外ないがい刺激しげきたいして、神経しんけいけいとおしておこる生活せいかつたい反応はんのうを、反射はんしゃぶ。通常つうじょう反射はんしゃばれるのは無条件むじょうけん反射はんしゃであり、これはそのたね先天的せんてんてきっている反射はんしゃ行動こうどうである。これにたいし、経験けいけんなどで後天的こうてんてき (こうけ) に獲得かくとくされた反射はんしゃ行動こうどう条件じょうけん反射はんしゃ (conditioned reflex) である。現在げんざいでは先天的せんてんてき反射はんしゃかぎらず様々さまざま行動こうどう研究けんきゅうされているため、心理しんりがくでは条件じょうけん反応はんのう (conditioned response) というのが普通ふつうである。

条件じょうけん反射はんしゃれい[編集へんしゅう]

  • 梅干うめぼしをると、つばがてくる[1]

無条件むじょうけん反射はんしゃれい[編集へんしゅう]

  • あついものにれたときにめる。
  • ころびそうになったときをつく。

「パブロフいぬ」の実験じっけん[編集へんしゅう]

パブロフは、イヌ唾液だえき分泌ぶんぴつ実験じっけんちゅう偶然ぐうぜん発見はっけんしたとわれる。この現象げんしょうづいたパブロフは、その実験じっけんかさね、条件じょうけん反射はんしゃ研究けんきゅうおこなった。当初とうしょこの現象げんしょう精神せいしん反射はんしゃんでいたが、その条件じょうけん反射はんしゃぶようになった。

実験じっけん内容ないよう[編集へんしゅう]

パブロフがおこなった実験じっけんは、以下いかのようなものである。

  1. イヌにメトロノームベルホイッスル手拍子てびょうし足踏あしぶみとせつもある)をかせる。
  2. イヌにえさをあたえる。イヌはえさをべながらつばす。
  3. これをかえす。(上記じょうきふたつのプロセスを条件付じょうけんづという)
  4. すると、イヌはメトロノームのおといただけで、唾液だえきすようになる。

これがいわゆる学習がくしゅうことなるのは、つばの分泌ぶんぴつ無意識むいしきてき自動的じどうてき調節ちょうせつ依存いぞんしているてんである。

だいいち信号しんごうけいだい信号しんごうけい[編集へんしゅう]

周囲しゅうい現実げんじついろ、におい、あじ触感しょっかん)の直接的ちょくせつてきな(言語げんご媒介ばいかいとしない)作用さようたいして発生はっせいする条件じょうけん反射はんしゃ総和そうわだいいち信号しんごうけいである。

人間にんげん脳髄のうずいでは、だいいち信号しんごうけい相互そうご作用さようしあいながら、だい信号しんごうけい発生はっせいし、発達はったつする。これは、言語げんご刺激しげき作用さようのもとに形成けいせいされる一時いちじてき結合けつごう体系たいけいである。

だい信号しんごうけい活動かつどうは、だいいち信号しんごうけい相互そうご密接みっせつ作用さようしあいながら、複雑ふくざつ種類しゅるい心理しんり活動かつどう、すなわち抽象ちゅうしょうてき人間にんげん思考しこう生理学せいりがくてき基礎きそをなしている[2]

種類しゅるい信号しんごうけい均衡きんこうてき相互そうご作用さようてき関係かんけいにある。この均衡きんこう病的びょうてきくずれることがある。また、そのような病的びょうてき障害しょうがいでない場合ばあいでも、顕著けんちょ障害しょうがいではない信号しんごうけい均衡きんこうすなわちいずれかの総体そうたいてき優勢ゆうせいはありて、だいいち信号しんごうけい優勢ゆうせいのものは「芸術げいじゅつがただい信号しんごうけい優勢ゆうせいのものは「思考しこうがた均衡きんこうみとめられる場合ばあいには「中間なかまがた」と分類ぶんるいできる。

信号しんごうけい発達はったつは、均等きんとうにはおこなわれない。幼時ようじにはだいいち信号しんごうけいによる規定きてい主導しゅどうする。言語げんごけいは、生後せいご10箇月かげつ以降いこう徐々じょじょ形成けいせいされはじめる。当初とうしょ周囲しゅうい現実げんじつ直接的ちょくせつてき印象いんしょう表象ひょうしょう主導しゅどうするものが、てい学年がくねん児童じどう段階だんかいになると、だい信号しんごうけい発達はったつを、教授きょうじゅ学習がくしゅう過程かていつよ推進すいしんはじめる。児童じどう知識ちしき範囲はんいは、児童じどう直接ちょくせつ現実げんじつ範囲はんいえる[3]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 宮田みやた, よう関西学院大学かんせいがくいんだいがく心理しんりがく研究けんきゅうしつ生理せいり心理しんりがく-“よだれ”から“まばたき”まで60ねん-」『生理せいり心理しんりがく精神せいしん生理学せいりがくだい15かん日本にっぽん生理せいり心理しんり学会がっかい、1997ねん、44ぺーじdoi:10.5674/jjppp1983.15.43NAID 130004709387 
  2. ^ ザポロージェツちょ児童じどう心理しんりがくみん心理しんり部会ぶかいやく理論りろんしゃ、1956ねん
  3. ^ ソビエト教育きょういく科学かがくアカデミヤばん『ソビエト教育きょういく科学かがく辞典じてん明治めいじ図書としょ出版しゅっぱん、1963ねん、pp.448-449