松尾まつお与十郎よじゅうろう

まつお よじゅうろう 松尾まつお 与十郎よじゅうろう
生誕せいたん	天保てんぽう3年ねん7月がつ3日にち（1832年ねん7月がつ29日にち） 越後えちご国こく蒲原かまはら郡ぐん片口かたくち村むら
死没しぼつ	(1886-03-15) 1886年ねん3月15日にち（53歳さい没ぼつ） 新潟にいがた県けん南蒲原みなみかんばら郡ぐん槻田つきだ村むら
墓地ぼち	光照寺こうしょうじ
記念きねん碑ひ	新堤しんづつみ碑ひ（五十嵐川いがらしかわ水害すいがい復興ふっこう記念きねん公園こうえん） 松尾まつお與十郎よじゅうろう翁おう嵐あらし南みなみ築堤ちくてい記念きねん碑ひ（日吉ひよし神社じんじゃ）
国籍こくせき	日本にっぽん
時代じだい	明治めいじ時代じだい
栄誉えいよ	贈おく従したがえ五ご位い

松尾まつお 与十郎よじゅうろう（松尾まつお 與十郎よじゅうろう、まつお よじゅうろう、天保てんぽう3年ねん7月がつ3日にち（1832年ねん7月がつ29日にち） — 1886年ねん（明治めいじ19年ねん）3月15日にち）は、日本にっぽんの篤志とくし家かである。明治めいじ時代じだいに五十嵐川いがらしかわの治水ちすい・築堤ちくていに尽力じんりょくした。

来歴らいれき・人物じんぶつ

越後えちご国こく蒲原かまはら郡ぐん片口かたくち村むらの里さと正ただし（庄屋しょうや）・松尾まつお與右衛門ようえもんの長男ちょうなんとして出生しゅっしょうした。松尾まつお家かには北越ほくえつ戦争せんそうの際さい、村山むらやま半牧はんぼくを匿かくまった。

明治めいじ5年ねん8月がつ1日にち（1872年ねん9月3日にち）に、五十嵐川いがらしかわが氾濫はんらんし、片口かたくち村むらをはじめ五十嵐川いがらしかわ左岸さがん（嵐あらし南みなみ）が浸水しんすいする八朔はっさくの洪水こうずいが発生はっせいした。与十郎よじゅうろうはこの洪水こうずい被害ひがいを受うけて、右岸うがん（三条さんじょう町まち側がわ）より堤防ていぼうが低ひくい左岸さがんにしっかりとした堤防ていぼうの必要ひつよう性せいを村むら々に訴うったえ、新潟にいがた県令けんれい平松ひらまつ時じ厚あつの視察しさつに際さいして陳情ちんじょうしたが、左岸さがん堤防ていぼうの築堤ちくていは許可きょかされなかった。

1874年ねん（明治めいじ7年ねん）に再ふたたび暴風雨ぼうふううにより嵐あらし南みなみが浸水しんすいしたため、与十郎よじゅうろうは片口かたくち村むらだけでなく、本成寺ほんじょうじ村むら・四日よっか町村ちょうそん・新保にいぼ村むら・月岡つきおか村むら・諏訪新田すわしんでん村むら・曲渕まがぶち村むら・西本成寺にしほんじょうじ村むら・中村なかむら・五明ごみょう村むら・東鱈田ひがしたらだ村むらなど13ヶ村かそんと共同きょうどうで県庁けんちょうに築堤ちくていするよう建白けんぱく書しょを提出ていしゅつした。この動うごきに対たいして、右岸うがんの三条さんじょう町まち側がわは、左岸さがんの堤防ていぼうが低ひくいことが右岸うがんへの五十嵐川いがらしかわ溢水いっすいを防ふせいでいるから左岸さがん堤防ていぼう築堤ちくていは反対はんたいであると反発はんぱつした。翌よく1875年ねんに県令けんれい楠木くすのき正隆まさたかが五十嵐川いがらしかわを実地じっち検分けんぶんし、築堤ちくていの許可きょかを出だした。右岸うがんの築堤ちくてい工事こうじは同年どうねんに始はじまり、月岡つきおか村むらから本成寺ほんじょうじ村むらまでの左岸さがん堤防ていぼう（6.1km）が、1876年ねん9月に完成かんせいした。しかし、まだ堤防ていぼうの高たかさや幅はばが足たらず、再ふたたび願ねがい出でて許可きょかをとって工事こうじをはじめ、1877年ねんに完工かんこうした。この追加ついか建設けんせつ費ひは、県けんから工事こうじ費ひの31%の補助ほじょ金きんを得えることができたが、1876年ねんまでの工事こうじに対たいして補助ほじょが出でず、与十郎よじゅうろうが私財しざいをすべて擲なげうって負担ふたんした。与十郎よじゅうろうはこのほか、月岡つきおか村むらから新通しんとおり川がわにつながる排水はいすい路ろをつくり、また、四日よっか町村ちょうそんから五明ごみょう村むらまでの道路どうろ（新潟にいがた県けん道どう8号ごう長岡ながおか見附みつけ三条さんじょう線せんの一部いちぶ）を作つくった。

この堤防ていぼうは、1878年ねんの明治天皇めいじてんのう巡幸じゅんこうに際さいして順路じゅんろとなった。

与十郎よじゅうろうは1886年ねん3月15日にちに死去しきょした。与十郎よじゅうろうの墓はかは1925年ねん、矢田やた村むらの光照寺こうしょうじに四日よっか町まち水害すいがい豫防よぼう組合くみあいによって建立こんりゅうされ、墓はかの碑いしぶみ名めいは「榮松えいまつ院いん正山しょうざん良信よしのぶ居士こじ墓ぼ」とある。

栄典えいてん

• 1924年ねん2月がつ11日にち - 贈おく従したがえ五ご位い

新堤しんづつみ碑ひ

与十郎よじゅうろうの功績こうせきを顕彰けんしょうするため、1887年ねんに石碑せきひ「新堤しんづつみ碑ひ」が建立こんりゅうされた。篆額は三條さんじょう實美みみ、碑文ひぶんは楠木くすのき正隆まさたかによるもので、御蔵おぐら橋きょう南みなみ詰つめに長ながくあった（1986年ねんに御蔵おぐら橋きょうの改修かいしゅう事業じぎょうにより四日よっか町まちの日吉ひよし神社じんじゃに移設いせつ）。しかし、2004年ねん7月がつ13日にちの平成へいせい16年ねん7月がつ新潟にいがた・福島ふくしま豪雨ごうう（7・13水害すいがい）による五十嵐川いがらしかわ河川かせん改修かいしゅう事業じぎょうにより、五十嵐川いがらしかわ水害すいがい復興ふっこう記念きねん公園こうえん（左岸さがん・諏訪すわ地内じないの7・13水害すいがい破やぶ堤つつみ地ち）に移設いせつされた。

また、四日よっか町まちの日吉ひよし神社じんじゃには「松尾まつお與十郎よじゅうろう翁おう嵐あらし南みなみ築堤ちくてい記念きねん碑ひ」として与十郎よじゅうろうの胸像きょうぞうが建立こんりゅうされている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 緑川みどりかわ玄げん三さん『三条さんじょう人物じんぶつ伝でん』三条さんじょう人物じんぶつ伝でん刊行かんこう会かい、1992年ねん。 
• 三条さんじょう市し史し編修へんしゅう委員いいん会かい（編へん）「三条さんじょう市し史し 下巻げかん」、三条さんじょう市し、1983年ねん。 

関連かんれん項目こうもく

• 新潟にいがた県けん出身しゅっしんの人物じんぶつ一覧いちらん

外部がいぶリンク

• 光照寺こうしょうじ 三条さんじょう嵐あらし南みなみの偉人いじん