松本まつもと稔みのる (野球やきゅう)

松本まつもと 稔みのる

基本きほん情報じょうほう
国籍こくせき	日本にっぽん
出身しゅっしん地ち	群馬ぐんま県けん伊勢崎いせざき市し
生年月日せいねんがっぴ	(1960-08-18) 1960年ねん8月がつ18日にち（63歳さい）
選手せんしゅ情報じょうほう
投球とうきゅう・打席だせき	右みぎ投とう右みぎ打だ
ポジション	投手とうしゅ、外野がいや手しゅ
経歴けいれき（括弧かっこ内ないはプロチーム在籍ざいせき年度ねんど）
選手せんしゅ歴れき
群馬ぐんま県立けんりつ前橋まえばし高等こうとう学校がっこう 筑波大学つくばだいがく 筑波大学つくばだいがく大学院だいがくいん
指導しどう者しゃ歴れき
群馬ぐんま県立けんりつ中央ちゅうおう高等こうとう学校がっこう 群馬ぐんま県立けんりつ前橋まえばし高等こうとう学校がっこう 群馬ぐんま県立けんりつ中央ちゅうおう中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう 群馬ぐんま県立けんりつ桐生きりゅう高等こうとう学校がっこう
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松本まつもと 稔みのる（まつもと みのる、1960年ねん8月がつ18日にち - ）は、群馬ぐんま県けん伊勢崎いせざき市し出身しゅっしんの元もとアマチュア野球やきゅう選手せんしゅ、元もと高等こうとう学校がっこう教員きょういん・高校こうこう野球やきゅう指導しどう者しゃ・野球やきゅう解説かいせつ者しゃ。

来歴らいれき

高校こうこう時代じだい

前橋まえばし高校こうこうでは2年生ねんせいの時とき、エース兼けん四よん番ばん打者だしゃとして1977年ねんの秋季しゅうき関東かんとう大会たいかい決勝けっしょうに進すすみ、印旛いんば高校こうこうの菊池きくち総そうと投なげ合あうが完封かんぷうを喫きっし準じゅん優勝ゆうしょうにとどまる。しかし翌よく1978年ねんに開催かいさいされた第だい50回かい選抜せんばつ高等こうとう学校がっこう野球やきゅう大会たいかいに出場しゅつじょうを決きめた。

選抜せんばつでは、前年ぜんねんの秋季しゅうき大会たいかいベスト8の実力じつりょくを有ゆうする滋賀しが県けんの比叡山ひえいざん高校こうこうと1回戦かいせんで対戦たいせん。下馬評げばひょうでは比叡山ひえいざん高校こうこう有利ゆうりと見みられていたが、キレのあるスライダーと抜群ばつぐんの制球せいきゅう力りょく、さらには一人ひとりもランナーを出だせずに焦あせり始はじめた相手あいて打線だせんの淡白たんぱくな攻せめにも助たすけられ、投球とうきゅう数すう78、奪だつ三振さんしん5、外野がいやへの打球だきゅうに至いたっては僅わずかに3という完璧かんぺきな内容ないようで高校こうこう野球やきゅうの全国ぜんこく大会たいかい史上しじょう初はじめて完全かんぜん試合しあいを達成たっせいした。

27人にん目めの打者だしゃを迎むかえた時ときに実況じっきょうの三宅みやけ定雄さだおアナウンサー（毎日放送まいにちほうそう）が松本まつもとを「あまりにも淡々たんたんとしております」と評ひょうし、初球しょきゅうのピッチャーゴロを無難ぶなんに処理しょりし大だい記録きろくを達成たっせいした際さいも、最後さいごに捕と球たました一塁いちるい手しゅが喜よろこびを爆発ばくはつさせる中なかで松本まつもとは笑顔えがおを浮うかべただけですぐに整列せいれつへと向むかった。

勝利しょうり後ごのインタビューでは「相手あいてに申もうし訳わけないことをしてしまいました」と述のべ、「史上しじょう初はつのパーフェクトだよ」と問とわれても落おち着ついた様子ようすで「ああ、そうですか…」と答こたえ、その知的ちてきなコメントと立たち振ぶる舞まいが世間せけんの感心かんしんを得えた。なお、松本まつもとは後年こうねん「完全かんぜん試合しあいはもう既すでに誰だれかが達成たっせいしているだろうという程度ていどの知識ちしきだった。（完全かんぜん試合しあいが達成たっせいされれば史上しじょう初はつという）情報じょうほうが入はいっていたらダメだったかもしれない。」と振ふり返かえっている。

続つづく2回戦かいせんでは福井ふくい商業しょうぎょう高校こうこうと対戦たいせん。初戦しょせんに続つづき9イニングを四死球ししきゅう0と抜群ばつぐんの制球せいきゅう力りょくを見みせ付つけたが被ひ安打あんだ17、14失点しってんを喫きっした。ただし、この試合しあいは、松本まつもとが2回かいに初はじめてのヒットを打うたれると、1回戦かいせんで完全かんぜん試合しあいをアシストした守備しゅびが乱みだれ、それがことごとく大量たいりょう失点しってんに繋つながるという不運ふうんもあった（この試合しあいの松本まつもとの自責じせき点てんは4）。結果けっか的てきに野手やしゅは6つの失策しっさくを記録きろくし、攻撃こうげきも3安打あんだ無得点むとくてんに抑おさえられ敗退はいたいする。しかし、一般いっぱん的てきに投手とうしゅ力りょくの高たかいチームが有利ゆうりとされているセンバツにおいても完全かんぜん試合しあいは、1994年ねんの第だい66回かい選抜せんばつ高等こうとう学校がっこう野球やきゅう大会たいかいの江ごうの川かわ高校こうこう（現げん・石見いわみ智さとし翠みどり館かん高校こうこう）戦せんにおける金沢かなざわ高校こうこうの中野なかの真しん博はくを含ふくめて2人にんしか達成たっせいしておらず、夏なつの全国ぜんこく高等こうとう学校がっこう野球やきゅう選手権せんしゅけん大会たいかいでは2023年ねんの時点じてんでは未いまだに達成たっせいされていない。

この年としの群馬ぐんま県けんの高校こうこう野球やきゅう界かいはセンバツにおける前橋まえばし高校こうこうと桐生きりゅう高校こうこうの名門めいもん2校こうによるアベック出場しゅつじょうに沸わき、先述せんじゅつの完全かんぜん試合しあいや桐生きりゅう高校こうこうのベスト4進出しんしゅつ、さらに後ごの春季しゅんき関東かんとう大会たいかいにおいて両校りょうこうが決勝けっしょうで対戦たいせん（桐生きりゅう高校こうこうが勝利しょうり）するなど「群馬ぐんま県けん高校こうこう野球やきゅう界かいの黄金おうごん期き」と評ひょうされた。対たいする滋賀しが県けんは、同年どうねん夏なつの第だい60回かい全国ぜんこく高等こうとう学校がっこう野球やきゅう選手権せんしゅけん大会たいかいでも膳所ぜぜ高校こうこうが桐生きりゅう高校こうこうに0-18の大敗たいはいを喫きっするなど、「暗黒あんこくの時代じだい」と言いわれている。比叡山ひえいざん高校こうこうは第だい81回かい選手権せんしゅけん大会たいかいでも初戦しょせんで当とう大会たいかいの優勝ゆうしょう校こうとなる群馬ぐんま県けん代表だいひょうの桐生きりゅう第だい一いち高校こうこうに1安打あんだ完封かんぷうで惜敗せきはい。群馬ぐんま県けん勢ぜいに対たいする滋賀しが県勢けんせいの相性あいしょうの悪わるさを示しめす形かたちとなってしまった。

同年どうねん夏なつは、選手権せんしゅけん大会たいかい県けん予選よせん準々じゅんじゅん決勝けっしょうで太田おおた工業こうぎょう高校こうこうを完封かんぷうしたものの、その試合しあいで肘ひじを痛いためた影響えいきょうもあり、準決勝じゅんけっしょうで前橋まえばし工業こうぎょう高校こうこうに2-6で敗やぶれ、春はる夏なつ連続れんぞくの甲子園こうしえん出場しゅつじょうはならなかった。なお、この試合しあいで松本まつもとは本塁打ほんるいだを打うっている。

大学だいがく・大学院だいがくいん時代じだい

一般いっぱん受験じゅけんで筑波大学つくばだいがく体育たいいく専門せんもん学がく群ぐんに進学しんがくした松本まつもとは野球やきゅう部ぶで外野がいや手しゅに転向てんこうし、一番いちばん打者だしゃとしてチームを牽引けんいん。首都しゅと大学だいがく野球やきゅうリーグでは1980年ねん秋季しゅうきリーグから一部いちぶリーグに復帰ふっき。優勝ゆうしょうには届とどかなかったが1981年ねん春季しゅんきリーグ、1982年ねん春はる秋季しゅうきリーグとも3位いと健闘けんとうした。1年ねん上じょうのチームメートに遊撃手ゆうげきしゅの西本にしもと和美かずみがいた。

東海大学とうかいだいがくの高野たかの光ひかりから本塁打ほんるいだを放はなち高野たかのにリーグ戦せん唯一ゆいいつの黒星くろぼしをつけるなどの活躍かつやくが評価ひょうかされ、3年生ねんせいの春はるにはベストナインとして表彰ひょうしょうを受うけ、4年生ねんせいの時ときには選手せんしゅ間あいだ投票とうひょうで主将しゅしょうにも任命にんめいされた。最後さいごは投手とうしゅも務つとめるようになったものの、投手とうしゅとしてはこの先さき上じょうでは通用つうようしないと感かんじたことから、大学だいがく卒業そつぎょうを機きに野球やきゅう選手せんしゅから身みをひいた。ただ、内野ないや手しゅになればプロ野球やきゅうへの道みちも開あけたかもしれないのに、その可能かのう性せいにチャレンジしなかったことを悔くやんでいるという。

結局けっきょくは、当初とうしょの夢ゆめである高校こうこうの教師きょうしになることを目指めざし採用さいよう試験しけんの願書がんしょまで出だしていたが、このまま教師きょうしになってよいものかとの疑問ぎもんから直前ちょくぜんに受験じゅけんを取とりやめ、筑波大学つくばだいがく大学院だいがくいん体育たいいく研究けんきゅう科かに進学しんがくした。大学院だいがくいん時代じだいは、意図いと的てきに野球やきゅうと距離きょりを置おきクラブチームでラグビーに勤いそしみ、「あの二に年間ねんかんは（野球やきゅうにはなかった充実じゅうじつ感かんを味あじわえ）とても貴重きちょうな時間じかんだった。」と振ふり返かえっている。

指導しどう者しゃ時代じだい

大学院だいがくいん修士しゅうし課程かてい修了しゅうりょうに際さいして、地方ちほう公務員こうむいんである群馬ぐんま県けん公立こうりつ高校こうこう教員きょういんとして採用さいようされ、1985年ねんに県立けんりつ中央ちゅうおう高校こうこうに赴任ふにん。1年ねん目めに亀井かめい猛たけし斗とを擁ようして夏なつの県けん大会たいかい準じゅん優勝ゆうしょうし、亀井かめいは3年ねん時じに西武せいぶからドラフト指名しめいを受うけて入団にゅうだん。2年ねん後ごには夏なつの群馬ぐんま県けん大会たいかいを制せいして第だい69回かい選手権せんしゅけん大会たいかいに出場しゅつじょう。この時ときは、1回戦かいせんで立浪たつなみ和義かずよし・片岡かたおか篤史あつし・橋本はしもと清きよし・野村のむら弘樹ひろきらを擁ようする大阪おおさか府ふ代表だいひょうのPL学園がくえん高校こうこうに2-7で敗退はいたいしている。

1992年ねんに母校ぼこうである前橋まえばし高校こうこうに赴任ふにんし、同年どうねん秋あきから硬式こうしき野球やきゅう部ぶ監督かんとくとして指導しどうに当あたる。1997年ねんの夏なつの県けん大会たいかいでは決勝けっしょうまで進すすんだが、大須賀おおすが允まことを擁ようする前橋まえばし工業こうぎょう高校こうこうに敗退はいたいし、甲子園こうしえん出場しゅつじょうは成ならなかった。そして、2001年ねんの秋あきの関東かんとう大会たいかいで準決勝じゅんけっしょうまで駒こまを進すすめ、翌年よくねん春はるの第だい74回かい選抜せんばつ高等こうとう学校がっこう野球やきゅう大会たいかいに出場しゅつじょう。普段ふだんの練習れんしゅうでは高校こうこう時代じだいの経験けいけんを生いかして打撃だげき投手とうしゅも務つとめていたため、開会かいかい前まえに行おこなわれる甲子園こうしえん練習れんしゅうで24年ねん振ふりの「甲子園こうしえんのマウンド登板とうばん」が期待きたいされたが、本人ほんにんの「スタンドプレーと思おもわれたくない」という意向いこうから実現じつげんしなかった。なお試合しあいは1回戦かいせんで熊本くまもと県けんの九州学院きゅうしゅうがくいんに1-2で惜敗せきはいしている。2004年ねんにはAAA世界せかい野球やきゅう選手権せんしゅけん大会たいかいで日本にっぽん代表だいひょうのコーチを務つとめ、準じゅん優勝ゆうしょうに貢献こうけんした。

群馬ぐんま県内けんない有数ゆうすうの進学校しんがくこうである前橋まえばし高校こうこうからは、早稲田大学わせだだいがくでラクロスのU-21日本にっぽん代表だいひょうに選出せんしゅつされた現げん前橋まえばし東ひがし高校こうこう監督かんとくの小暮こぐれ直哉なおやや慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがくで六ろく大学だいがく野球やきゅうリーグ史上しじょう12人にん目めとなる2度どの首位しゅい打者だしゃ（2008年ねん春はる・2009年ねん秋あき）を獲得かくとくした小野寺おのでら和也かずやを初はじめとして数すう多おおくの選手せんしゅを東京とうきょう六ろく大学だいがくなどの名門めいもん大学だいがくに輩出はいしゅつした。また、横尾よこお弘一こういちの著書ちょしょ『四よん番ばん、ピッチャー、背番号せばんごう1』で、その歩あゆみが取とり上あげられた。2008年ねん4月がつより、かつて野球やきゅう部ぶを甲子園こうしえんに導みちびいた中央ちゅうおう高校こうこうの後身こうしんの中央ちゅうおう中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうに赴任ふにん。野球やきゅう解説かいせつ者しゃとしても例年れいねん甲子園こうしえん大会たいかいの民放みんぽうラジオ中継ちゅうけいで実況じっきょう解説かいせつ者しゃを務つとめている。2010年ねん1月がつ下旬げじゅんに幕張まくはりメッセで行おこなわれた全日本ぜんにほん野球やきゅう会議かいぎ主催しゅさいの指導しどう者しゃ講習こうしゅう会かいでは岩井いわい美樹みき、金きむ光興みつおき二に、渡辺わたなべ元もと智さとしと共ともに学生がくせい野球やきゅう指導しどう者しゃの代表だいひょうとしてパネリストを務つとめる。

2021年ねん3月がつ末まつで定年ていねん退職たいしょくとなった。部員ぶいん不足ふそくで2020年ねん秋あきの県けん大会たいかいを辞退じたいしたため公式こうしき戦せん最後さいごの指揮しきは2020年ねん7月がつ26日にちの代替だいたい大会たいかいで対たい群馬ぐんま県立けんりつ高崎たかさき高校こうこう戦せんであった。県立けんりつ高崎たかさき高校こうこうは自身じしんの母校ぼこうの前橋まえばし高校こうこうのライバル校こうとしても知しられ惜おしくも敗退はいたいとなった。

2022年ねん4月がつ1日にち、再さい任用にんよう教員きょういんとして桐生きりゅう高校こうこうに赴任ふにんし、第だい74回かい春季しゅんき関東かんとう地区ちく高等こうとう学校がっこう野球やきゅう大会たいかい群馬ぐんま県けん予選よせんでは責任せきにん教師きょうしとしてベンチ入いりした。7月9日にちに開幕かいまくした夏なつの全国ぜんこく高校こうこう野球やきゅう選手権せんしゅけん群馬ぐんま大会たいかいでは同校どうこうの監督かんとくを務つとめた。7月12日にち、1回戦かいせんで高崎経済大たかさきけいざいだい付づけと対戦たいせんし、延長えんちょう11回かい5-6で敗やぶれた。