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かぶ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

生物せいぶつがくにおいてかぶ(かぶ、えい: strain)とは、微生物びせいぶつやそれにるいする培養ばいようによって維持いじされるものの、どういち系統けいとうのものをあらわす。ウイルスの分類ぶんるいでももちいられる[1]分離ぶんりしたもの、との意味いみ分離ぶんりかぶ(isolate)というかたり使つかわれる。

たとえば細菌さいきんるい菌類きんるい研究けんきゅうする場合ばあい、まず野外やがいから試料しりょうり、これを適当てきとう方法ほうほう培養ばいようし、そこから出現しゅつげんするさまざまな微生物びせいぶつなかから目指めざすものをす。つまり純粋じゅんすい培養ばいようおこなうわけだが、そのさいされた微生物びせいぶつを、まず適当てきとう培地ばいち、たいていは寒天かんてん培地ばいちうえにくっつける。これをける表現ひょうげんすることもおおい。そしてその微生物びせいぶつがそこでよくそだつと、やがてシャーレのなかいちはいになって、栄養えいよう使つかくしてんでしまう。それではこまるので、そうなるまえに、コロニー一部いちぶってあたらしい培地ばいちいてやる(つぎだい培養ばいよう表現ひょうげんすることもおおい)。これをかえすことで、その微生物びせいぶつ手元てもとつづけられる。

したがって、その場合ばあい研究けんきゅう対象たいしょう微生物びせいぶつ単独たんどく個体こたい区別くべつすることはできず、このようにぎによって維持いじする系統けいとうをその対象たいしょうとせざるをない。そのような系統けいとうのことをかぶぶ。おそらくみ、おおきくそだつとはなしてはぐ、という操作そうさより植物しょくぶつかぶからの連想れんそうであろう。英語えいごstrainには植物しょくぶつかぶ意味いみはなく、家系かけい意味いみする言葉ことばである。なお、野外やがいサンプルから微生物びせいぶつりだして培養ばいようする場合ばあい、まず分離ぶんり(isolation)という操作そうさ必須ひっすである。したがってこれによってられたかぶのことをisolateという場合ばあいもある。

当初とうしょ培養ばいようした微生物びせいぶつ系統けいとう意味いみするかたりであったが、培養ばいようという手法しゅほうがさまざまな方面ほうめん適用てきようされるにつれ、この言葉ことば範囲はんいひろげた。細胞さいぼう培養ばいようにおいては、不死ふしによって半永久はんえいきゅうてきつぎだい培養ばいよう可能かのうになった培養ばいよう細胞さいぼうを、かぶ細胞さいぼうかぶあるいはかぶ細胞さいぼう、cell line)とぶ。さらには、高等こうとう植物しょくぶつ生長せいちょうてん培養ばいようによって繁殖はんしょくさせたものをもかぶれいがある。わばぎゃく輸入ゆにゅうである。

同一どういつかぶ細胞さいぼう分裂ぶんれつかえしによって継承けいしょうされるものであるから、基本きほんてきにはどういち細胞さいぼうからのクローンであり、遺伝いでんてきには同質どうしつ集団しゅうだんであるとかんがえられる。細胞さいぼうがくなどの分野ぶんやにおいてはそのようなてん共通きょうつう素材そざいがあったほう統一とういつした研究けんきゅうができるため、実験じっけん材料ざいりょうとして多数たすう培養ばいようかぶがそれぞれに固有こゆうをつけてあつかわれている。その一般いっぱんには野外やがいから分離ぶんりしたものを野性やせいかぶとく変異へんいあらわしたものを変異へんいかぶえい: variant strain、mutant strain)、あるいは栄養えいよう要求ようきゅうかぶなどというようにもちいる。

ただし、培養ばいようちゅうあらたな変異へんいしょうじる場合ばあいもある。そこからあたらしい発見はっけんがある場合ばあいもあるが、一般いっぱんにはせっかく確立かくりつしたかぶであるから、変異へんいこさないほうのぞましい。そのため、現在げんざい[いつ?]では低温ていおん真空しんくう乾燥かんそうなどの細胞さいぼう活動かつどうしていない状態じょうたいでの保存ほぞんおこなわれている。また、さまざまな微生物びせいぶつ培養ばいよう細胞さいぼうなどのかぶ収集しゅうしゅう保存ほぞんし、研究けんきゅう教育きょういく産業さんぎょううえ理由りゆうなどで必要ひつようとするもの配布はいふする機関きかんもある。これらの機関きかんは、植物しょくぶつ系統けいとう種子しゅしかたち保存ほぞんするシードバンクなどとともに、ジーンバンクあるいはセルバンク(遺伝子いでんし細胞さいぼう銀行ぎんこう)とばれることがある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 国立こくりつ感染かんせんしょう研究所けんきゅうじょウイルスだい武田たけだ直和なおかず白土しらつち東子とうこおかさとし一郎いちろう片山かたやま和彦かずひこ宇田川うだがわ悦子えつこ名取なとり克郎かつろう宮村みやむら達男たつおカリシウイルスの命名めいめい変更へんこうについて病原びょうげん微生物びせいぶつ検出けんしゅつ情報じょうほう(IASR)Vol.24(12)No.286, p 311 - 312、2003ねん平成へいせい15ねん

関連かんれん項目こうもく

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