櫻田さくらだ淳あつし

櫻田さくらだ 淳あつし（さくらだ じゅん、1965年ねん1月がつ29日にち - ）は、日本にっぽんの政治せいじ学者がくしゃ。

東洋とうよう学園がくえん大学だいがく教授きょうじゅ。専せん門もんは国際こくさい政治せいじ学がく、安全あんぜん保障ほしょう。日本にっぽん国際こくさいフォーラム政策せいさく委員いいん。雪ゆき斎ときとも。

経歴けいれき

宮城みやぎ県けん栗原くりはら市しで生うまれ、南部なんぶ地方ちほうで育そだつ。青森あおもり県立けんりつ八戸はちのへ第だい一いち養護ようご学校がっこう中学ちゅうがく部ぶ（出生しゅっしょう時じ以来いらいの脳性のうせい小児しょうに麻痺まひで身体しんたい障害しょうがい者しゃ手帳てちょう2級きゅうと認定にんてい）から青森あおもり県立けんりつ八戸はちのへ高等こうとう学校がっこうに進すすみ、北海道大学ほっかいどうだいがく法学部ほうがくぶを卒業そつぎょう後ご、東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん法学ほうがく政治せいじ学がく研究けんきゅう科か修士しゅうし課程かていを修了しゅうりょう。

愛知あいち和男かずお衆議院しゅうぎいん議員ぎいんの政策せいさく担当たんとう秘書ひしょ、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく大学院だいがくいん法学ほうがく研究けんきゅう科か非常勤ひじょうきん講師こうし、東洋とうよう学園がくえん大学だいがく現代げんだい経営けいえい学部がくぶ専任せんにん講師こうしを務つとめる。2005年ねん9月、愛知あいちが衆議院しゅうぎいん議員ぎいんに返かえり咲ざいたため政策せいさく担当たんとう秘書ひしょに復帰ふっきし、東洋とうよう学園がくえん大学だいがく兼任けんにん講師こうしとなった。2007年ねん4月がつ、政策せいさく担当たんとう秘書ひしょを辞じし東洋とうよう学園がくえん大学だいがく准じゅん教授きょうじゅ、2011年ねん4月がつより同どう教授きょうじゅ。

1996年ねん、論文ろんぶん「日本にっぽんの戦後せんごと国家こっか論ろんの不在ふざい」により、第だい1回かい読売よみうり論壇ろんだん新人しんじん賞しょう・最優秀さいゆうしゅう賞しょう受賞じゅしょう。以降いこう、雑誌ざっし『中央公論ちゅうおうこうろん』などを中心ちゅうしんにして現実げんじつ主義しゅぎの立場たちばから論陣ろんじんを張はる。2001年ねん、第だい1回かい正論せいろん新風しんぷう賞しょう受賞じゅしょう。雑誌ざっし『諸君しょくん！』や『正論せいろん』にも頻繁ひんぱんに寄稿きこうしていた。

2022年とし5月がつ、ロシアのウクライナ侵攻しんこうに伴ともなうロシア政府せいふによる日本にっぽんへの報復ほうふく措置そち（ロシア連邦れんぽうへの日本にっぽん政府せいふの政策せいさくに対たいする報復ほうふく措置そちに関かんしてのロシア外務省がいむしょう声明せいめい）によって、ロシア連邦れんぽうへの入国にゅうこくを恒久こうきゅう的てきに禁止きんしされた。

主張しゅちょう

外交がいこう

9・11事件じけん以降いこう、保守ほしゅ論壇ろんだんのなかの反米はんべい論ろんを「観念かんねん主義しゅぎ」と呼よび、2002年ねん9月17日にちの小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう内閣ないかく総理そうり大臣だいじんの北朝鮮きたちょうせん訪問ほうもん以降いこうに保守ほしゅ論ろん壇内だんないで浮上ふじょうした対たい北きた強硬きょうこう論ろんや核かく武装ぶそう論ろんなどのタカ派は的てき主張しゅちょうを批判ひはんした。また、安倍晋三あべしんぞう政権せいけんの保守ほしゅイデオロギーを鮮明せんめいにした政策せいさくにも懐疑かいぎ的てき・批判ひはん的てきな態度たいどを示しめした。山崎やまざき正和まさかず・五ご百ひゃく旗頭はたがしら眞しん・岡崎おかざき久ひさ彦など親米しんべい現実げんじつ主義しゅぎ者しゃの系譜けいふにあることを自負じふし、ジョセフ・ナイに倣ならってタカ派はでもハト派はでもない、外交がいこうを重視じゅうしする「フクロウ派は」を自認じにんしている。近時きんじもメディアやブログなどで、一部いちぶの保守ほしゅ論壇ろんだんや保守ほしゅ論客ろんかくへの批判ひはんを続つづけている。日本にっぽんについては、かつて長谷川はせがわ如是閑にょぜかんが指摘してきした「職人しょくにんの国くに」という視点してんを重視じゅうしせよと唱となえている。

福祉ふくし

出生しゅっしょう時じに患わずらった脳性のうせい小児しょうに麻痺まひによる重度じゅうど身体しんたい障害しょうがいを抱かかえる。従来じゅうらいの社会しゃかい福祉ふくしを「障害しょうがい者しゃを隔離かくりするだけのもの」と批判ひはん。さらに「入試にゅうしや論文ろんぶん執筆しっぴつの際さい、たとえ答こたえが分わかっていて文章ぶんしょう能力のうりょくがあっても、体からだが不自由ふじゆうなため十分じゅうぶんなものが書かけなかった。自分じぶんには能力のうりょくがあってもそれを十分じゅうぶんに生いかせる社会しゃかいではない」として、福祉ふくし政策せいさくの再考さいこうとバリアフリー社会しゃかいの推進すいしんを主張しゅちょうした。

また、乙おつ武洋たけひろ匡ただし著ちょ『五体ごたい不満足ふまんぞく』が巻まき起おこしたブームを批判ひはんし、論文ろんぶん「「五体ごたい不満足ふまんぞく」を巡めぐる奇妙きみょうな論理ろんり」を著あらわした。本人ほんにんは、「障害しょうがい者しゃという立場たちばに寄よりかかった活動かつどう」を批判ひはんしたこともあり、福祉ふくしを題材だいざいにした言論げんろんを封印ふういんすることを表明ひょうめいし、以降いこうは雑誌ざっし媒体ばいたいでは福祉ふくしについて論ろんじていない。

著書ちょしょ

単たん著ちょ

• 『「福祉ふくし」の呪縛じゅばく――自助じじょ努力どりょく支援しえん型がた政策せいさくの構想こうそう』（日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ、1997年ねん）
• 『国家こっかへの意志いし』（中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ〈中公叢書ちゅうこうそうしょ〉、2000年ねん）
• 『「弱者じゃくしゃ救済きゅうさい」の幻影げんえい――福祉ふくしに構造こうぞう改革かいかくを』（春秋しゅんじゅう社しゃ、2002年ねん）
• 『奔流ほんりゅうの中なかの国家こっか』（勁草書房しょぼう、2002年ねん）
• 『国家こっかの役割やくわりとは何なにか』（筑摩書房ちくましょぼう〈ちくま新書しんしょ〉、2004年ねん）
• 『漢書かんしょに学まなぶ「正ただしい戦争せんそう」』（朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん〈朝日あさひ新書しんしょ〉、2008年ねん）
• 『「常識じょうしき」としての保守ほしゅ主義しゅぎ』（新潮社しんちょうしゃ〈新潮しんちょう新書しんしょ〉、2012年ねん）

共著きょうちょ・編著へんちょ

• （小しょう浜はま逸郎いつお）『「弱者じゃくしゃ」という呪縛じゅばく』（PHP研究所けんきゅうじょ、2001年ねん）
• 『リベラルからの反撃はんげき――アジア・靖国やすくに・9条じょう』（論ろん座ざ編集へんしゅう部ぶ編へん、朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん〈朝日あさひ選書せんしょ〉、2006年ねん）

論文ろんぶん

• 「北朝鮮きたちょうせんを『自滅じめつ』や『暴発ぼうはつ』に追おい込こまないために―〈対たい朝ちょう戦略せんりゃくで求もとめられる日本にっぽんの『現実げんじつ主義しゅぎ思考しこう』〉」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2002年ねん12月がつ号ごう）
• 「『日本にっぽん核かく武装ぶそう』は安全あんぜん保障ほしょう論議ろんぎの徒花あだばなである―〈『トマホーク・ミサイル』導入どうにゅうこそ急務きゅうむだ〉」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2003年ねん6月がつ号ごう）
• 「対たい米べい『説得せっとく力りょく』の確保かくほを国家こっか目標もくひょうとせよ―『普通ふつうの国くに』は必要ひつよう条件じょうけんにすぎない」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2004年ねん5月がつ号ごう）
• 「自衛隊じえいたいは『共感きょうかんを呼よぶ軍隊ぐんたい』である―海外かいがい活動かつどうで培つちかった住民じゅうみんとの信頼しんらい関係かんけい」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2004年ねん11月がつ号ごう）
• 「北朝鮮きたちょうせん制裁せいさい論ろんの愚ぐ―『暴朝膺懲ようちょう』の錯誤さくごに陥おちいらないために」『論ろん座ざ』（2005年ねん5月がつ号ごう）
• 「リベラルの責任せきにん―『普通ふつうの国くに』になればまた出番でばんがやってくる」『論ろん座ざ』（2005年ねん7月がつ号ごう）
• 「自民党じみんとうの〈変貌へんぼう〉と保守ほしゅ・右翼うよく層そうの〈分裂ぶんれつ〉」『論ろん座ざ』（2006年ねん1月がつ号ごう）
• 「今いまこそ対たい中ちゅうデタントに舵かじを切きれ」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2006年ねん5月がつ号ごう）
• 「対たい中ちゅう関係かんけいという『抵当ていとう』は解除かいじょできるのか―『時代じだいに招まねかれた宰相さいしょう』の条件じょうけん」『論ろん座ざ』（2006年ねん10月がつ号ごう）
• 「安倍あべ外交がいこうは『フクロウ』の道みちを歩あゆめ」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2007年ねん2月がつ号ごう）
• 「『核かく・ミサイル』と『拉致らち』、『二兎にとを追おう』戦略せんりゃくの隘路あいろ」『論ろん座ざ』（2007年ねん5月がつ号ごう）
• 「民主党みんしゅとうは消費しょうひ税ぜい選挙せんきょ後ごの社会党しゃかいとうの轍わだちを踏ふむか」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2007年ねん9月がつ号ごう）
• 「日本にっぽん核かく武装ぶそう論ろん、退場たいじょうのとき」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2009年ねん7月がつ号ごう）
• 「日米にちべい同盟どうめいにおける『可か測はか性せい』の本質ほんしつ―戦争せんそうの『遺産いさん』を踏ふまえて」『環たまき』（2010年ねん春はる号ごう）
• 「今いまこそ『平和へいわの代償だいしょう』を再読さいどくする時とき」『中央公論ちゅうおうこうろん』（2010年ねん9月がつ号ごう）
• 「近代きんだい日本にっぽんと沖縄おきなわの『位置いち』」『環たまき』（2010年ねん秋あき号ごう）

外部がいぶリンク

• 雪ゆき斎ときの随想ずいそう録ろく ―とある政治せいじ学徒がくとの戯言ざれごと（本人ほんにんのブログ）
• 櫻田さくらだ淳あつし-産経さんけいニュース
• 東洋とうよう学園がくえん大学だいがく