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国際 こくさい 政治 せいじ 学 がく (こくさいせいじがく、international politics)とは、国民 こくみん 国家 こっか の概念 がいねん を超 こ えた国際 こくさい 社会 しゃかい における主権 しゅけん 国家 こっか の政策 せいさく 決定 けってい 、安全 あんぜん 保障 ほしょう 、戦争 せんそう と平和 へいわ などの政治 せいじ を検討 けんとう する学問 がくもん 。第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 ご のアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく の影響 えいきょう で広 ひろ まっていったとされる。国際 こくさい 関係 かんけい 論 ろん と同一 どういつ 視 し する見方 みかた もあるが、国際 こくさい 関係 かんけい 論 ろん が経済 けいざい 学 がく 、社会 しゃかい 学 がく 、歴史 れきし 学 がく 、地域 ちいき 研究 けんきゅう などの研究 けんきゅう 成果 せいか を踏 ふ まえ国際 こくさい 関係 かんけい 全体 ぜんたい を学際 がくさい 的 てき に研究 けんきゅう する分野 ぶんや であることを考 かんが えれば、国際 こくさい 政治 せいじ 学 がく は政治 せいじ 学 がく における一 いち 分野 ぶんや として考 かんが えるべきであろう(例 たと えば中嶋 なかじま ・後 こう 掲書25頁 ぺーじ 、百瀬 ももせ ・後 こう 掲書279頁 ぺーじ 参照 さんしょう のこと)。
国際 こくさい 政治 せいじ の歴史 れきし [ 編集 へんしゅう ]
ウェストファリア体制 たいせい と国際 こくさい 政治 せいじ の萌芽 ほうが [ 編集 へんしゅう ]
国際 こくさい 政治 せいじ の歴史 れきし は、三 さん 十 じゅう 年 ねん 戦争 せんそう を終結 しゅうけつ させた1648年 ねん のウェストファリア条約 じょうやく に遡 さかのぼ る。ユトレヒト条約 じょうやく (1713年 ねん )からヴェルサイユ条約 じょうやく (1919年 ねん )の諸 しょ 条約 じょうやく は、「ヨーロッパ公法 こうほう 」として承認 しょうにん されてきた。特 とく にウェストファリア条約 じょうやく の秩序 ちつじょ は国際 こくさい 政治 せいじ の秩序 ちつじょ を成立 せいりつ させるに十分 じゅうぶん な内容 ないよう を持 も っていた。このことから、以後 いご の国際 こくさい 体制 たいせい を「ウェストファリア体制 たいせい (システム)」と呼 よ ぶ。ウェストファリア体制 たいせい とは、主権 しゅけん を持 も った国家 こっか (主権 しゅけん 国家 こっか )が国内 こくない の政治 せいじ に管轄 かんかつ 権 けん を有 ゆう し、国際 こくさい 政治 せいじ においては政治 せいじ 的 てき 主体 しゅたい となるシステムを指 さ す。この成立 せいりつ には条約 じょうやく 締結 ていけつ 後 ご 約 やく 1世紀 せいき を要 よう したが、体制 たいせい は近代 きんだい 国際 こくさい 政治 せいじ の枠組 わくぐ みとなっていく。
ナポレオン戦争 せんそう 以後 いご の国際 こくさい 政治 せいじ は、勢力 せいりょく 均衡 きんこう (balance of power)による外交 がいこう 戦略 せんりゃく がメインとなった。勢力 せいりょく 均衡 きんこう とは、国家 こっか や同盟 どうめい の力 ちから や国益 こくえき が同等 どうとう である状態 じょうたい を示 しめ し、これによって国際 こくさい システムの安定 あんてい を計 はか ろうとする外交 がいこう の方法 ほうほう である。特 とく にイギリス は対 たい 大陸 たいりく 戦略 せんりゃく としてこれを重視 じゅうし した。勢力 せいりょく 均衡 きんこう を成 な りたせようと各国 かっこく が努力 どりょく した結果 けっか 、およそ1世紀 せいき の間 あいだ 、大 おお きな紛争 ふんそう は目立 めだ っていなかった。これを壊 こわ す契機 けいき となったのが、19世紀 せいき 末 まつ から20世紀 せいき 初頭 しょとう にかけて台頭 たいとう した帝国 ていこく 主義 しゅぎ とナショナリズム である。このイデオロギー は、国民 こくみん 国家 こっか が勢力 せいりょく を膨張 ぼうちょう する政策 せいさく に転 てん じ、国際 こくさい 政治 せいじ の安定 あんてい 性 せい は脆弱 ぜいじゃく になる。そして、勢力 せいりょく 均衡 きんこう が破 やぶ れた結果 けっか 、第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん が勃発 ぼっぱつ する。
2度 ど の世界 せかい 大戦 たいせん [ 編集 へんしゅう ]
各国 かっこく が膨張 ぼうちょう 政策 せいさく をとる中 なか 、イデオロギーで戦力 せんりょく の動員 どういん を行 おこ なった各国 かっこく は、第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん に突入 とつにゅう した。戦争 せんそう 中 ちゅう の1917年 ねん ロシア帝国 ていこく はロシア革命 かくめい により崩壊 ほうかい し、後 のち にソビエト連邦 れんぽう となった。戦争 せんそう 後 ご 、アメリカ は債権 さいけん 国 こく となり、社会 しゃかい 主義 しゅぎ 国家 こっか であるソビエト連邦 れんぽう が勢力 せいりょく を持 も つことになった。また、1920年 ねん 1月 がつ に国際 こくさい 連盟 れんめい が設立 せつりつ された。しかし、アメリカ・ソ連 それん の不参加 ふさんか 、集団 しゅうだん 的 てき 安全 あんぜん 保障 ほしょう の不徹底 ふてってい などで、国際 こくさい 機関 きかん としての機能 きのう には限界 げんかい があった。また、戦勝 せんしょう 国 こく イギリス・フランス等 とう も莫大 ばくだい な債務 さいむ を抱 かか えることになり、アメリカが債務 さいむ 免除 めんじょ を行 おこ なわなかったことから敗戦 はいせん 国 こく に莫大 ばくだい な賠償 ばいしょう を求 もと めた賠償 ばいしょう 問題 もんだい は問題 もんだい となり、その後 ご の世界 せかい 恐慌 きょうこう 、ファシズム の到来 とうらい などで、世界 せかい はさらに第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん という全 ぜん 世界 せかい を巻 ま き込 こ んだ戦争 せんそう を戦 たたか うことになる。そして、第 だい 二 に 次 じ 大戦 たいせん の連合 れんごう 国 こく を中心 ちゅうしん に作 つく られたのが国際 こくさい 連合 れんごう である。
冷戦 れいせん と新 あたら しい問題 もんだい [ 編集 へんしゅう ]
第 だい 二 に 次 じ 大戦 たいせん 後 ご の国際 こくさい 世界 せかい は、米 べい ソの冷戦 れいせん で激 はげ しく分裂 ぶんれつ していた。大戦 たいせん の終戦 しゅうせん 以後 いご 、民族 みんぞく 自決 じけつ の原則 げんそく はそれまでの植民 しょくみん 地 ち に発展 はってん し、アジア ・アフリカ 諸国 しょこく が独立 どくりつ していく。60年代 ねんだい には富 と める国 くに と富 と まざる国 くに の間 あいだ において南北 なんぼく 問題 もんだい が発生 はっせい し、南側 みなみがわ の国 くに は、新 しん 国際 こくさい 経済 けいざい 秩序 ちつじょ (New International Economic Order, NIEO)への変革 へんかく を求 もと めた。特 とく に70年代 ねんだい はオイルショック等 とう の要因 よういん で南北 なんぼく 対立 たいりつ が厳 きび しくなっていた。ただし、社会 しゃかい や経済 けいざい は安定 あんてい を遂 と げていた。
国際 こくさい 政治 せいじ 学 がく の理論 りろん [ 編集 へんしゅう ]
現実 げんじつ 主義 しゅぎ /リアリズム[ 編集 へんしゅう ]
主権 しゅけん 国家 こっか を国際 こくさい 政治 せいじ の主体 しゅたい として、国際 こくさい 社会 しゃかい はそれより上位 じょうい 概念 がいねん の存在 そんざい しない無 む 政府 せいふ 状態 じょうたい と考 かんが え、自国 じこく を維持 いじ ・防衛 ぼうえい するための国力 こくりょく や軍事 ぐんじ 力 りょく が最 もっと も重要 じゅうよう だとする。国家 こっか 間 あいだ の勢力 せいりょく 均衡 きんこう が保 たも たれることで国際 こくさい 政治 せいじ は安定 あんてい すると考 かんが える。
自由 じゆう 主義 しゅぎ /リベラリズム[ 編集 へんしゅう ]
国連 こくれん などのように国家 こっか 間 あいだ の取 と り決 き めによるルールが存在 そんざい することから無政府 むせいふ 状態 じょうたい を否定 ひてい し、国際 こくさい 機関 きかん やNGO 、多 た 国籍 こくせき 企業 きぎょう など国家 こっか 以外 いがい の主体 しゅたい も国際 こくさい 秩序 ちつじょ 形成 けいせい に協調 きょうちょう 的 てき に参画 さんかく できると考 かんが える。また、各国 かっこく が相互 そうご に経済 けいざい 的 てき 交流 こうりゅう を深 ふか めることでその依存 いぞん 状態 じょうたい を維持 いじ しようと努 つと めるために、国際 こくさい 政治 せいじ は安定 あんてい しやすいとする(相互 そうご 依存 いぞん 論 ろん )。
構成 こうせい 主義 しゅぎ /コンストラクティヴィズム[ 編集 へんしゅう ]
パワーや利益 りえき などの物質 ぶっしつ 面 めん よりも、規範 きはん やアイデンティティー 、価値 かち といった観念 かんねん 的 てき 要素 ようそ を重視 じゅうし し、これらが国際 こくさい 政治 せいじ の主体 しゅたい を動 うご かし得 え るとする。また、勢力 せいりょく 均衡 きんこう が秩序 ちつじょ を維持 いじ すると認識 にんしき することで均衡 きんこう が機能 きのう 、相互 そうご 依存 いぞん が安定 あんてい につながると認識 にんしき することで依存 いぞん が機能 きのう すると考 かんが える[1] 。
マルクス主義 まるくすしゅぎ [ 編集 へんしゅう ]
経済 けいざい 面 めん ・物質 ぶっしつ 面 めん に着目 ちゃくもく する。マルクス主義 まるくすしゅぎ 国際 こくさい 関係 かんけい 論 ろん の項 こう を参照 さんしょう 。
機能 きのう 主義 しゅぎ ・新 しん 機能 きのう 主義 しゅぎ [ 編集 へんしゅう ]
諸 しょ 国民 こくみん にとって日常 にちじょう 的 てき な利益 りえき を増進 ぞうしん させる専門 せんもん 機関 きかん を作 つく り、機能 きのう 的 てき に統合 とうごう しようとするもの。新 しん 機能 きのう 主義 しゅぎ の項 こう を参照 さんしょう 。
エスニシティの政治 せいじ 。
国際 こくさい 政治 せいじ と国内 こくない 政治 せいじ の違 ちが い[ 編集 へんしゅう ]
国内 こくない 政治 せいじ と国際 こくさい 政治 せいじ を同一 どういつ に見 み るか、別個 べっこ のものと見 み るか。
ジェームズ・ローズノウ は国際 こくさい 政治 せいじ と国内 こくない 政治 せいじ は相互 そうご に浸透 しんとう 化 か しているとして連繋 れんけい 理論 りろん を発表 はっぴょう し、国際 こくさい 政治 せいじ と国内 こくない 政治 せいじ の政治 せいじ システムの繋 つな がりから、その相互 そうご 作用 さよう を見 み ている。
また、ロバート・パットナム はゲーム理論 りろん を派生 はせい させた2レベルゲーム理論 りろん (英語 えいご 版 ばん ) を提唱 ていしょう し、国際 こくさい 政治 せいじ と国内 こくない 政治 せいじ のふたつの構造 こうぞう の連動 れんどう から対外 たいがい 政策 せいさく の決定 けってい 過程 かてい を分析 ぶんせき した。交渉 こうしょう における代表 だいひょう 者 しゃ は、政治 せいじ 家 か として国内 こくない 情勢 じょうせい に制約 せいやく される側面 そくめん と国内 こくない 政治 せいじ 支持 しじ を最大 さいだい 化 か し個人 こじん の政治 せいじ 目標 もくひょう を得 え ようとする側面 そくめん がある。代表 だいひょう 者 しゃ は国際 こくさい 交渉 こうしょう を利用 りよう して国内 こくない 政治 せいじ における目標 もくひょう を達成 たっせい したり、国際 こくさい 合意 ごうい を取 と り付 つ けるために国内 こくない 政治 せいじ を再 さい 構築 こうちく したりするなど、ふたつの政治 せいじ を戦略 せんりゃく 的 てき に利用 りよう する[2] 。
大西 おおにし 仁 ひとし は、⒈国際 こくさい 政治 せいじ はそれぞれ様々 さまざま な制度 せいど や文化 ぶんか などを持 も つ国家 こっか 同士 どうし が併存 へいそん する社会 しゃかい において展開 てんかい される一方 いっぽう 、国内 こくない 政治 せいじ はその制度 せいど や文化 ぶんか が概 おおむ ね統一 とういつ されている一元 いちげん 的 てき 権力 けんりょく の下 した で展開 てんかい される。⒉国際 こくさい 政治 せいじ の舞台 ぶたい では、武力 ぶりょく 紛争 ふんそう が発生 はっせい した場合 ばあい に国内 こくない 政治 せいじ よりも規模 きぼ が拡大 かくだい しやすく、「伝統 でんとう 的 てき にむき出 だ しの武力 ぶりょく が用 もち いられること」が多々 たた あった。
という、ふたつの相違 そうい 点 てん を挙 あ げている[3] 。
国際 こくさい 政治 せいじ に関 かん する古典 こてん 的 てき 書物 しょもつ [ 編集 へんしゅう ]
^ 高島 たかしま 亜 あ 紗子 さえこ 「「政府 せいふ 」のいない世界 せかい でーー国際 こくさい 政治 せいじ 」木 き 寺元 てらもと 編著 へんちょ 『政治 せいじ 学 がく 入門 にゅうもん 』弘文 こうぶん 堂 どう 、2016、p174。
^ 石黒 いしぐろ 馨 かおる 『入門 にゅうもん ・国際 こくさい 政治 せいじ 経済 けいざい の分析 ぶんせき 』勁草書房 しょぼう 、2007、pp. 36-37。
^ 加茂 かも 利男 としお ・大西 おおにし 仁 ひとし ほか『現代 げんだい 政治 せいじ 学 がく 第 だい 4版 はん 』有斐閣 ゆうひかく アルマ、2012、pp. 32-33。
出典 しゅってん は列挙 れっきょ するだけでなく、脚注 きゃくちゅう などを用 もち いてどの記述 きじゅつ の情報 じょうほう 源 げん であるかを明記 めいき してください。記事 きじ の信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう にご協力 きょうりょく をお願 ねが いいたします。(2015年 ねん 8月 がつ )