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社会構成主義 (国際関係学) - Wikipedia コンテンツにスキップ

社会しゃかい構成こうせい主義しゅぎ (国際こくさい関係かんけいがく)

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社会しゃかい構成こうせい主義しゅぎ / 構成こうせい主義しゅぎ(コンストラクティビズム、(social) constructivism)は、国際こくさい関係かんけい重要じゅうよう側面そくめんが、人間にんげん本性ほんしょうあるいは世界せかい政治せいじにおけるそのほかの本質ほんしつてき性質せいしつ不可避ふかひ帰結きけつというよりもむしろ歴史れきしてきかつ社会しゃかいてき左右さゆうされるものだと主張しゅちょうする国際こくさい関係かんけいろん学派がくはである[1]国際こくさい関係かんけいにおける規範きはんアイディアアイデンティティ重視じゅうしするアプローチである。論者ろんしゃによっては「社会しゃかい構成こうせい主義しゅぎ」もしくは「社会しゃかい構築こうちく主義しゅぎ」とばれる。

展開てんかい

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ニコラス・オナフ国際こくさい関係かんけいの「社会しゃかいてき構築こうちくされた」性質せいしつ強調きょうちょうする世界せかい政治せいじ研究けんきゅうたいするアプローチを描写びょうしゃするために「構成こうせい主義しゅぎ」という用語ようごつくしたと一般いっぱんにみなされている[2]現代げんだい構成こうせい主義しゅぎ理論りろんはオナフによる先駆せんくてき業績ぎょうせきだけでなく、(ポスト構造こうぞう主義しゅぎ親和しんわてきな)リチャード・アシュリーフリードリッヒ・クラトチウィルジョン・ラギーによる業績ぎょうせきにもその起源きげんさかのぼる。しかし、国際こくさい関係かんけいろんにおいて社会しゃかい構成こうせい主義しゅぎ著名ちょめい提唱ていしょうしゃ一人ひとりげるとすれば、アレクサンダー・ウェントであることに異論いろんはないとおもわれる。『国際こくさい組織そしき』に掲載けいさいされたウェントの論文ろんぶんアナーキーは国家こっかつくすもの―権力けんりょく政治せいじ社会しゃかいてき構成こうせい」(1992ねん)は、しん現実げんじつ主義しゅぎしゃしん自由じゆう主義しゅぎ制度せいどろんしゃ双方そうほうかかえている欠陥けっかん(つまり物質ぶっしつ主義しゅぎ粗野そや形態けいたいへの関与かんよ)であるとかんがえるものに挑戦ちょうせんするための理論りろんてき土台どだいしめした。「権力けんりょく政治せいじ」のような現実げんじつ主義しゅぎ中心ちゅうしん概念がいねんさえも社会しゃかいてき構築こうちくされたもの、つまり生来せいらいてき所与しょよではなく、人間にんげん実践じっせんによって変革へんかく可能かのうであることを提示ていじしようとこころみることによって、ウェントは、国際こくさい関係かんけい研究けんきゅうしゃ構成こうせい主義しゅぎてき視座しざから広範こうはん争点そうてんにおいて研究けんきゅう追及ついきゅうする方法ほうほう開拓かいたくした。ウェントは、さらにこれらのかんがえをかれ主要しゅよう業績ぎょうせきである『国際こくさい政治せいじ社会しゃかい理論りろん』(1999ねん)で発展はってんさせている。

1980年代ねんだい後半こうはんおよび1990年代ねんだい初頭しょとう以降いこう構成こうせい主義しゅぎは、(しん現実げんじつ主義しゅぎおよび(しん自由じゆう主義しゅぎとならぶ国際こくさい関係かんけいろんにおける主要しゅよう学派がくはのひとつとしてみとめられるようになった。ジョン・ラギー[3]やほかの論者ろんしゃたちによれば、構成こうせい主義しゅぎをいくつかのバリエーションに区別くべつすることができるとされる。 一方いっぽうで、しん現実げんじつ主義しゅぎしん自由じゆう主義しゅぎ制度せいどろんといった学界がっかい主流しゅりゅうぞくする研究けんきゅうしゃたちにもひろれられ、かれらとのあいだ活発かっぱつ論争ろんそうしているマーサ・フィネモアキャスリン・シッキンク、アレクサンダー・ウェントのような構成こうせい主義しゅぎしゃがいる。他方たほうで、言説げんせつ言語げんごがく重視じゅうしするラディカルな構成こうせい主義しゅぎしゃがいる。

理論りろん

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構成こうせい主義しゅぎは、しん現実げんじつ主義しゅぎやネオリベラル制度せいどろん前提ぜんていとは反対はんたいに、国際こくさい関係かんけい側面そくめんおおくがどのように「社会しゃかいてき構築こうちくされている」のか、つまり社会しゃかい実践じっせん相互そうご作用さよう継続けいぞくする過程かていによって国際こくさい関係かんけい内実ないじつあたえられるのかをおも提示ていじしようとする。アレクサンダー・ウェントによると、ひろれられている構成こうせい主義しゅぎ基本きほんてき主張しゅちょうは、(1)人間にんげん組織そしき構造こうぞう物質ぶっしつてきちからではなくむしろ共有きょうゆうされた理念りねんによっておも決定けっていされる、(2)ごうてき主体しゅたいのアイデンティティと利益りえきは、自然しぜんによってあたえられるのではなくむしろこれら共有きょうゆうされた理念りねんによって構築こうちくされる、というものである[4]

現実げんじつ主義しゅぎへの挑戦ちょうせん

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しん現実げんじつ主義しゅぎが、構成こうせい主義しゅぎ形成けいせいにおいて、国際こくさい関係かんけいろん支配しはいてき言説げんせつであったので、構成こうせい主義しゅぎ初期しょき理論りろんてき業績ぎょうせき大半たいはんは、しん現実げんじつ主義しゅぎ基本きほんてき前提ぜんてい挑戦ちょうせんすることであった。ケネス・ウォルツの『人間にんげん国家こっか戦争せんそう』で最初さいしょ展開てんかいされ、しん現実げんじつ主義しゅぎ中心ちゅうしんてきテキストであるかれの『国際こくさい政治せいじ理論りろん』で明確めいかくされた主張しゅちょう、つまり国際こくさい政治せいじ重要じゅうよう内容ないようおおくが国際こくさいシステムの構造こうぞうによって説明せつめいされると主張しゅちょうする意味いみしん現実げんじつ主義しゅぎしゃ基本きほんてきに「構造こうぞう主義しゅぎしゃ」である。とくに、国際こくさい政治せいじは、国際こくさいシステムがアナーキーである、つまりいかなる上位じょうい権威けんいもなく、そのわり形式けいしきてき平等びょうどうなユニット(主権しゅけん国家こっか)からるという事実じじつによっておも決定けっていされる。ユニットはすべてみずからの領土りょうどたいして主権しゅけん行使こうしする。そのようなアナーキーは、だれにもたよることなく安全あんぜんみずからで獲得かくとくするという「自助じじょ」などの特定とくてい行動こうどう諸国しょこくいる。このような国家こっか行動こうどう、そしてパワーによる自己じこ利益りえき擁護ようご国際こくさい政治せいじおおくを説明せつめいするとしん現実げんじつ主義しゅぎしゃろんじている。このため、しん現実げんじつ主義しゅぎしゃは、ユニットあるいは国家こっか次元じげんでの国際こくさい政治せいじ説明せつめい退しりぞける傾向けいこうにある[5][6]。ユニット次元じげんへの注目ちゅうもくは、ウォルツによって還元かんげん主義しゅぎ攻撃こうげきされている[7]

構成こうせい主義しゅぎは、とくにウェントの初期しょき業績ぎょうせきでは、しん現実げんじつ主義しゅぎしゃによって「構造こうぞう」にかえせられた因果いんがてきパワーが実際じっさいには「所与しょよ」ではなく、構造こうぞうそれ自体じたい社会しゃかいてき実践じっせんによって構築こうちくされていることを提示ていじすることによってこの前提ぜんてい挑戦ちょうせんした。システムにおける主体しゅたいのアイデンティティと利益りえき性質せいしつ、そして(アナーキーをふくむ)社会しゃかい制度せいどがアクターにたいしてゆうする意味いみかんする前提ぜんていからはなれてしまうと、しん現実げんじつ主義しゅぎの「構造こうぞう」は、なにあきらかにしていない、「ふたつの国家こっか友好国ゆうこうこくなのか敵対てきたいこくなのか、相互そうご主権しゅけん承認しょうにんしているのか、王朝おうちょうてき紐帯ちゅうたいっているのか、修正しゅうせい主義しゅぎ国家こっかなのか現状げんじょう維持いじ国家こっかなのかなどについて予測よそくしない」とウェントはろんじる[8]。このような行動こうどう特徴とくちょうがアナーキーでは説明せつめいできず、そのわりに主要しゅよう主体しゅたい利益りえきやアイデンティティにかんする証拠しょうこ導入どうにゅう必要ひつようとするので、システムの物質ぶっしつてき構造こうぞう(アナーキー)へのしん現実げんじつ主義しゅぎ焦点しょうてんあやまっている[9]。しかし、ウェントはさらに議論ぎろんすすめて、アナーキーが国家こっか拘束こうそくする方法ほうほうが 国家こっかがアナーキーを知覚ちかくし、国家こっか自身じしんのアイデンティティや利益りえき知覚ちかくすることに依拠いきょしているため、アナーキーはかならずしも「自助じじょ」のシステムでさえもないとろんじる。ある国家こっかにとっての安全あんぜん獲得かくとくがほかの国家こっかにとって安全あんぜん喪失そうしつ意味いみする、競争きょうそうてきかつ相対そうたいてき概念がいねんとして安全あんぜん国家こっかかんするしん現実げんじつ主義しゅぎ仮定かていしたがかぎりで、自助じじょ国家こっかいるにぎない。もし他国たこく安全あんぜん否定ひていてき影響えいきょうあたえることなくみずからの安全あんぜん最大さいだいできる「協調きょうちょうてき安全あんぜん保障ほしょうであれ、あるいは国家こっか他国たこく安全あんぜん自国じこくにとっても価値かちあるものとみなす「集団しゅうだんてき安全あんぜん保障ほしょうであれ、安全あんぜん保障ほしょう代替だいたい概念がいねん国家こっかがそのわりにっているならば、アナーキーは、けっして自助じじょにつながらないのである[10]しん現実げんじつ主義しゅぎ結論けつろんは、こうして、社会しゃかい制度せいど意味いみ主体しゅたいによって構築こうちくされる方法ほうほうかんする不問ふもん仮定かていにほとんど依拠いきょしている。重要じゅうようなことに、しん現実げんじつ主義しゅぎしゃはこのてん認識にんしきできないために、そのような意味いみ不変ふへんであるとあやまって仮定かていし、しん現実げんじつ主義しゅぎ観察かんさつ背後はいご重要じゅうよう説明せつめい作業さぎょう実際じっさいっている社会しゃかい構築こうちく過程かてい研究けんきゅう排除はいじょしている。

アイデンティティと利益りえき

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構成こうせい主義しゅぎしゃ国際こくさいてき主体しゅたい行為こういへのアナーキーの決定的けっていてき効果こうかかんするしん現実げんじつ主義しゅぎ結論けつろん拒否きょひして、しん現実げんじつ主義しゅぎささえる物質ぶっしつ主義しゅぎからとおざかるにつれて、国際こくさい関係かんけい理論りろんするさい中心ちゅうしんてき位置いちめる国際こくさいてき主体しゅたいのアイデンティティと利益りえきにとって必要ひつよう空間くうかんつくしている。主体しゅたい自助じじょのシステムのいのちほうによって統制とうせいされているのではないため、アイデンティティと利益りえきはその行為こうい分析ぶんせきするときに重要じゅうようなものになっている。国際こくさいシステムの性質せいしつおなじく、構成こうせい主義しゅぎしゃは、アイデンティティや利益りえきを(伝統でんとうてき現実げんじつ主義しゅぎ)をつらぬ人間にんげん本性ほんしょう命令めいれいのような)物質ぶっしつてきちから客観きゃっかんてき基礎きそけるものではなく、理念りねんおよびその理念りねん社会しゃかいてき構築こうちく結果けっかだとる。

マーサ・フィネモアは、主体しゅたい利益りえき認識にんしき社会しゃかいてき構築こうちく過程かてい国際こくさい組織そしきかかわっている状況じょうきょうかんする影響えいきょうりょくのある研究けんきゅうられている[11]。『国際こくさい社会しゃかいにおける国家こっか利益りえき』で、フィネモアは、「パワーの構造こうぞうではなく、意味いみ社会しゃかい価値かち国際こくさい構造こうぞう調査ちょうさすることで国家こっか利益りえき国家こっか行為こうい理解りかいするための体系たいけいてきなアプローチを発展はってんさせる」ことをこころみている[12]。「利益りえき発見はっけんされるのをっているのではなく、社会しゃかいてき相互そうご作用さようつうじて構築こうちくされる」と説明せつめいする[12]。フィネモアは、そのような構築こうちくみっつの事例じれい研究けんきゅう、つまりユネスコの創設そうせつ、ジュネーヴ議定ぎていしょにおける国際こくさい赤十字せきじゅうじ役割やくわり貧困ひんこんへの態度たいどたいする世界銀行せかいぎんこう影響えいきょうりょくかんする事例じれい提示ていじする

これらの過程かてい研究けんきゅうは、国家こっか利益りえきとアイデンティティにたいする構成こうせい主義しゅぎてき態度たいど例証れいしょうである。その性格せいかく形成けいせい研究けんきゅうすることが国際こくさいシステムを説明せつめいする構成こうせい主義しゅぎ方法ほうほうろんまれているように、そのような利益りえきやアイデンティティは国家こっか行為こうい中心ちゅうしんてき決定けってい要因よういんである。しかし、国家こっか属性ぞくせいであるアイデンティティや利益りえきへのさい注目ちゅうもくにもかかわらず、構成こうせい主義しゅぎしゃかならずしも国際こくさい政治せいじのユニット次元じげん分析ぶんせき焦点しょうてんしぼっているわけではないことに注意ちゅういすることは重要じゅうようである。理念りねん過程かていがアイデンティティや利益りえき社会しゃかいてき構築こうちく説明せつめいする傾向けいこうがある一方いっぽうで、そのような理念りねん過程かてい国際こくさいてきなアクターに影響えいきょうあたえる構造こうぞう自体じたい形成けいせいすることをフィネモアやウェントのような構成こうせい主義しゅぎしゃがともに強調きょうちょうする。しん現実げんじつ主義しゅぎしゃとの決定的けっていてきちがいは、この国際こくさい構造こうぞう生来せいらいてき物質ぶっしつてきではなくむしろ観念かんねんてきであるとみなすことである[13][14]

研究けんきゅう領域りょういき

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おおくの構成こうせい主義しゅぎしゃは、主体しゅたい社会しゃかいてき構築こうちくぶつとして国際こくさい舞台ぶたいにおける「社会しゃかいてき現実げんじつ」の目標もくひょう脅威きょうい恐怖きょうふ文化ぶんか、アイデンティティその要素ようそることで国際こくさい関係かんけい分析ぶんせきする。重要じゅうよう編著へんちょ[15]構成こうせい主義しゅぎしゃたち[16]は、とりわけ軍事ぐんじてき安全あんぜん保障ほしょうじょう争点そうてんをめぐって国際こくさいシステムがどのようにうごいているのかにかんするおおくの伝統でんとうてき現実げんじつ主義しゅぎ仮定かてい挑戦ちょうせんした。 トーマス・ビアステーカーシンシア・ウェーバー[17]は、国際こくさい関係かんけいにおける中心ちゅうしんてき主題しゅだいである国家こっか主権しゅけん進化しんか理解りかいするために構成こうせい主義しゅぎ適用てきようした。またロドニー・ブルース・ホール[18]とダニエル・フィルポット[19]業績ぎょうせきは、国際こくさい政治せいじ動態どうたいにおけるおも変革へんかくかんする構成こうせい主義しゅぎ理論りろん発展はってんさせた。国際こくさい政治せいじ経済けいざいがくでは、構成こうせい主義しゅぎ適用てきようはそれほどられない。この分野ぶんやでの注目ちゅうもくすべき構成こうせい主義しゅぎ業績ぎょうせきれいには、ヨーロッパ通貨つうか同盟どうめいかんするカスリーン・マクナマラの研究けんきゅう[20]や、アメリカにおけるレーガノミクスの登場とうじょうについてのマーク・ブライスの分析ぶんせき[21]ふくまれる。

言語げんご修辞しゅうじ国際こくさいシステムの社会しゃかいてき現実げんじつ構築こうちくするためにいかに利用りようされるのかに焦点しょうてんてることによって、構成こうせい主義しゅぎしゃは、国際こくさい関係かんけいにおける進歩しんぽについて純粋じゅんすい物質ぶっしつ主義しゅぎてき存在そんざいろん忠実ちゅうじつ現実げんじつ主義しゅぎしゃよりも楽観らっかんてきだとしばしばみなされているが、しかしおおくの構成こうせい主義しゅぎしゃは、構成こうせい主義しゅぎてきかんがえの「リベラル」な性格せいかく疑問ぎもんていし、権力けんりょく政治せいじからの解放かいほう可能かのうせいかんして現実げんじつ主義しゅぎてき悲観ひかん主義しゅぎつよいシンパシーを表明ひょうめいしている[22]

構成こうせい主義しゅぎは、国際こくさい関係かんけいふたつの主導しゅどうてき理論りろんである現実げんじつ主義しゅぎ自由じゆう主義しゅぎたいする代替だいたいぶつとして提示ていじされるが、しかし、ふたつの理論りろんとまったくことなるというわけではかならずしもないと主張しゅちょうする研究けんきゅうしゃもいる[23]。ウェントは、主導しゅどうてき現実げんじつ主義しゅぎしゃおよびしん現実げんじつ主義しゅぎしゃと、アナーキーの存在そんざい国際こくさいシステムにおける国家こっか中心ちゅうしんせいのような重要じゅうよう仮定かていのいくつかを共有きょうゆうしている。しかし、ウェントは、物質ぶっしつ主義しゅぎてきではなく文化ぶんかてきにアナーキーをとらえている。かれはまた、国際こくさい関係かんけい理論りろんにおけるアクターとしての国家こっか仮定かてい洗練せんれんされた理論りろんてき擁護ようご提供ていきょうする。これは、ある構成こうせい主義しゅぎしゃがこれらの仮定かていのいくつかについてウェントに挑戦ちょうせんしているように、国際こくさい関係かんけいろん学界がっかいにおいて論争ろんそうじょう争点そうてんである(たとえば、Review of International Studies, vol. 30, 2004を参照さんしょう)。

近年きんねん展開てんかい

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自覚じかくてき社会しゃかい構築こうちく過程かてい研究けんきゅうしている研究けんきゅうしゃのグループは「構成こうせい主義しゅぎしゃ」のレッテルをけている。かれらは、「主流しゅりゅう」の構成こうせい主義しゅぎが、国際こくさい関係かんけいの「科学かがくてき」アプローチを追求ついきゅうすることで言語げんごろんてき転回てんかい社会しゃかい構築こうちく主義しゅぎ理論りろんもっと重要じゅうよう洞察どうさつおおくを放棄ほうきしているとろんじる[24]。ジェフリー・チェッケルのような「主流しゅりゅう構成こうせい主義しゅぎしゃでさえも、構成こうせい主義しゅぎしゃ構成こうせい主義しゅぎ学派がくははしける努力どりょく傾注けいちゅうしすぎていると懸念けねん表明ひょうめいしている[25]

台頭たいとうしている構成こうせい主義しゅぎしゃおおくは、現在げんざい理論りろん世界せかい政治せいじにおける習慣しゅうかんてきおよび自省じせいてき行為こうい役割やくわり不適切ふてきせつ注意ちゅういはらっていると主張しゅちょうする[26]。「実践じっせんてき転回てんかい」の提唱ていしょうしゃたちは、心理しんりがくてきおよび社会しゃかいてき生活せいかつにおける習慣しゅうかん重要じゅうようせい強調きょうちょうするピエール・ブルデューのような社会しゃかい理論りろんくわえて、神経しんけい科学かがく業績ぎょうせきから示唆しさている[27] [28]

代表だいひょうてき学者がくしゃ

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Patrick Thaddeus Jackson and Daniel H. Nexon, "Whence Causal Mechanisms? A Comment on Legro" in Dialogue IO Vol. 1, 2002[1]
  2. ^ Robert Jackson and Georg Sørensen, Introduction to International Relations: Theories and Approaches, 3rd Edition(Oxford: Oxford University Press, 2006), p.168
  3. ^ John Gerard Ruggie (1998). “What Makes the World Hang Together? Neo-utilitarianism and the Social Constructivist Challenge”. International Organization (CUP) 52 (4): 855. doi:10.1162/002081898550770. 
  4. ^ Alexander Wendt, Social Theory of International Politics (Cambridge: Cambridge University Press, 1999), p.1
  5. ^ Alexander Wendt, Social Theory of International Politics (Cabridge: Cambridge University Press, 1999), pp.8-15
  6. ^ Chris Brown, Understanding International Relations (Basingstoke: Palgrave Publishing, 2005), pp.40-43
  7. ^ Kenneth Waltz, Theory of International Politics (McGraw-Hill Higher Education, 1979)
  8. ^ Alexander Wendt, "Anarchy is What States Make of It: the Social Construction of Power Politics" in International Organization (46:2, Spring 1992), p.396
  9. ^ Alexander Wendt, "Anarchy is What States Make of It: the Social Construction of Power Politics" in International Organization (46:2, Spring 1992), pp.396-399
  10. ^ Alexander Wendt, "Anarchy is What States Make of It: the Social Construction of Power Politics" in International Organization (46:2, Spring 1992), pp.399-403
  11. ^ Stephen Walt writes on the back cover of Finnemore's book "Many writers have asserted that social structures assert a powerful impact on national preferences...but Finnemore is the first to present sophisticated evidence for this claim."
  12. ^ a b Martha Finnemore, National Interests In International Society (New York: Cornell University Press, 1996), p.2
  13. ^ Martha Finnemore, National Interests In International Society (New York: Cornell University Press, 1996), pp.6-7
  14. ^ Alexander Wendt, Social Theory of International Politics (Cambridge: Cambridge University Press, 1999), pp.29-33
  15. ^ The Culture of National Security (New York: Columbia University Press, 1996)
  16. ^ Elizabeth Kier, Jeffrey Legro, Peter Katzenstein, and many others
  17. ^ Thomas J. Biersteker and Cynthia Weber, eds., State Sovereignty As Social Construct (Cambridge: Cambridge University Press, 1996)
  18. ^ Rodney Bruce Hall, National Collective Identity (New York: Columbia University Press, 1999)
  19. ^ Daniel Philpott, Revolutions in Sovereignty: How Ideas Shaped Modern International Relations (Princeton, NJ: Princeton University Press, 2001)
  20. ^ Kathleen R. McNamara, The Currency of Ideas: Monetary Politics in the European Union (Ithaca, NY: Cornell University Press, 1999)
  21. ^ Mark Blyth Great Transformations: Economic Ideas and Institutional Change in the Twentieth Century (Cambridge: Cambridge University Press, 1992)
  22. ^ Patrick Thaddeus Jackson, ed. "Bridging the Gap: Towards a Realist-Constructivist Dialogue" in International Studies Review vol. 6, 2004, pp. 337-352
  23. ^ Andrew Moravscik, Taking Preferences Seriously: A Liberal Theory of International Politics" in International Organization vol. 51, 1997
  24. ^ Maja Zehfuss, Constructivism in International Relations: The Politics of Reality (Cambridge: Cambridge University Press, 2002)
  25. ^ Jeffrey Checkel, “Social Constructivisms in Global and European Politics” in Review of International Studies Vol.30, 2004
  26. ^ Iver B. Neumann, "Returning Practice to the Linguistic Turn: The Case of Diplomacy" in Millennium: Journal of International Studies vol. 31, 2002
  27. ^ Ted Hopf, Social Construction of International Politics: Identities & Foreign Policies, Moscow, 1955 and 1999 (Ithaca, NY: Cornell University Press, 2002)
  28. ^ Vincent Pouliot, "The Logic of Practicality: A Theory of Practice of Security Communities" in International Organization vol. 62, 2008

関連かんれん項目こうもく

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