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欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい

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欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい

Europaiske Atomenergifallesskab(デンマーク
Europaische Atomgemeinschaft(ドイツ
Ευρωπαϊκή Οικονομική Κοινότητα(ギリシア
European Atomic Energy Community英語えいご
Comunidad Europea de la Energia Atomic(スペイン
Communaute europeenne de l'energie atomiqueフランス語ふらんすご
Comunita europea dell'energia atomica(イタリア
Europese Atoomenergie Gemeenschap(オランダ

Comunidade Europeia da Energia Atomica(ポルトガル
加盟かめいこく
本部ほんぶ所在しょざい都市とし ブリュッセル
公用こうよう 23言語げんご
設立せつりつ
- ローマ条約じょうやく発効はっこう
- ブリュッセル条約じょうやく発効はっこう
1958ねん
1958ねん1がつ1にち
1967ねん7がつ1にち
欧州おうしゅう連合れんごうのもとで運営うんえいされている。
欧州おうしゅう連合れんごう
欧州連合の旗
欧州おうしゅう連合れんごう政治せいじ

欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい(おうしゅうげんしりょくきょうどうたい、英語えいご:European Atomic Energy Community)は、欧州おうしゅう連合れんごうえい略称りゃくしょう:EU)のした運営うんえいされているものの、なか独立どくりつした形態けいたい設置せっちされている国際こくさい機関きかん英語えいご表記ひょうきから EAECEuratom (ユーラトム)とも表記ひょうきされる。

1957ねん3がつ25にちローマ条約じょうやくによって欧州おうしゅう経済けいざい共同きょうどうたい(えい略称りゃくしょう:EEC)とともに設立せつりつされ、1967ねんには統合とうごう条約じょうやくにより運営うんえい機関きかん欧州おうしゅう経済けいざい共同きょうどうたいのそれらに継承けいしょうされるが、1993ねん発効はっこうした欧州おうしゅう連合れんごう条約じょうやくによって欧州おうしゅう経済けいざい共同きょうどうたい欧州おうしゅう連合れんごうの3つのはしら構造こうぞうの1つとして吸収きゅうしゅうされたあとも法的ほうてきには独立どくりつして存在そんざいしている。

沿革えんかく[編集へんしゅう]

スエズ危機ききによりヨーロッパ諸国しょこくはエネルギーのだい部分ぶぶん供給きょうきゅう不可能ふかのうとなり、また一部いちぶ禁輸きんゆ対象たいしょうこくでの協調きょうちょうけていたことにより事態じたい深刻しんこくなものにさせていた。この危機ききけて共同きょうどう総会そうかい欧州おうしゅう石炭せきたん鉄鋼てっこう共同きょうどうたいえい略称りゃくしょう:ECSC)について、ほかのエネルギー対象たいしょうとできるように権限けんげん拡大かくだいさせることを提案ていあんした。ところが当時とうじ欧州おうしゅう石炭せきたん鉄鋼てっこう共同きょうどうたい創設そうせつしゃ初代しょだい委員いいんちょうつとめていたジャン・モネは、原子力げんしりょくエネルギーについてはべつ共同きょうどうたい創設そうせつすることをのぞんでいた。ルイ・アルマン当時とうじヨーロッパにおける原子力げんしりょくエネルギーの活用かつようについて研究けんきゅうする立場たちばまかされており、アルマンの報告ほうこくしょでは、埋蔵まいぞう石炭せきたん枯渇こかつによる不足ふそくおぎない、産油さんゆこくへの依存いぞんらすためにかく開発かいはつをさらにすすめる必要ひつようがあるという結論けつろんされた。ところがベネルクスドイツ西にしドイツ)が全般ぜんぱんてき市場いちば統合とうごう積極せっきょくてきであるのにたいして、フランス保護ほご主義しゅぎ立場たちばからこれに反対はんたいし、またジャン・モネも共同きょうどう市場いちば設立せつりつ壮大そうだいすぎできわめて困難こんなんであるとかんがえていた。結局けっきょく双方そうほう妥協だきょうはかるため、モネはそれぞれ個別こべつ共同きょうどうたい設立せつりつすることを提案ていあんした[1]

1956ねんヴァル・ドゥシェスでの共同きょうどう市場いちば原子力げんしりょく共同きょうどうたいについての政府せいふあいだ協議きょうぎひらかれ、そこでしん条約じょうやく要点ようてんりまとめられた。欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたいでは原子力げんしりょく分野ぶんやでの協力きょうりょく関係かんけい促進そくしんし、欧州おうしゅう経済けいざい共同きょうどうたいとともに欧州おうしゅう石炭せきたん鉄鋼てっこう共同きょうどうたい共同きょうどう総会そうかい司法しほう裁判所さいばんしょ共有きょうゆうすることがめられた。一方いっぽう運営うんえい機関きかんについては、欧州おうしゅう石炭せきたん鉄鋼てっこう共同きょうどうたいのそれらにくらべると権限けんげんおさえられることにはなるが、欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい独自どくじ委員いいんかい理事りじかい設置せっちすることとされた。1957ねん3がつ25にち欧州おうしゅう石炭せきたん鉄鋼てっこう共同きょうどうたい加盟かめいこくにより2つのローマ条約じょうやく欧州おうしゅう経済けいざい共同きょうどうたい設立せつりつ条約じょうやく欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい設立せつりつ条約じょうやく)が調印ちょういんされ、りょう条約じょうやくは1958ねん1がつ1にち発効はっこうした[2][3][4]

運営うんえい効率こうりつせいげるため、基本きほん条約じょうやくによってこれら分立ぶんりつされていた運営うんえい機関きかんは1967ねん統合とうごう条約じょうやく統合とうごうされた。欧州おうしゅう石炭せきたん鉄鋼てっこう共同きょうどうたい欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい運営うんえい機関きかん欧州おうしゅう経済けいざい共同きょうどうたいにそれらに継承けいしょうされることになり、これによって法的ほうてきにはそれぞれ独立どくりつした共同きょうどうたいではあったものの、3共同きょうどうたい欧州おうしゅうしょ共同きょうどうたい (ECs) と総称そうしょうされるようになる。1993ねん欧州おうしゅう連合れんごう条約じょうやくにより欧州おうしゅう連合れんごうえい略称りゃくしょう:EU)が発足ほっそくし、3共同きょうどうたい共同きょうどうたいはしらとしてんだ。しかしながら欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたいはなおも個別こべつ法人ほうじんかくゆうしており、欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい設立せつりつ条約じょうやく調印ちょういん以来いらい、ほとんど修正しゅうせいされることなくのこされている。

欧州おうしゅう憲法けんぽう条約じょうやくでは従来じゅうらいのすべての条約じょうやくなどを集約しゅうやくし、欧州おうしゅう連合れんごう行為こういたいする民主みんしゅてき説明せつめい責任せきにん加増かぞうさせることが企図きとされていた。欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい設立せつりつ条約じょうやくはほかの条約じょうやくおなじように修正しゅうせいされることはなく、そのため欧州おうしゅう議会ぎかい欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたいについて権限けんげんがほとんどえないはずであった。しかしながら欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい設立せつりつ条約じょうやく修正しゅうせいされないままとされる理由りゆうとは、欧州おうしゅう憲法けんぽう条約じょうやくにおいても欧州おうしゅう連合れんごうのほかの組織そしき欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたいとを分離ぶんりしたままにしておく理由りゆうおなじであり、すなわちヨーロッパの有権者ゆうけんしゃのあいだにあるはん原子力げんしりょく機運きうん憲法けんぽう条約じょうやく反対はんたいにつながりかねないためであった[5][6][7]欧州おうしゅう憲法けんぽう条約じょうやく発効はっこう断念だんねんされたが、その内容ないよう一部いちぶ継承けいしょうしたリスボン条約じょうやくでも同様どうよう結果けっかとなった。

署名しょめい
発効はっこう
条約じょうやく
1948ねん
1948ねん
ブリュッセル
1951ねん
1952ねん
パリ
1954ねん
1955ねん
パリ協定きょうてい
1957ねん
1958ねん
ローマ
1965ねん
1967ねん
統合とうごう
1986ねん
1987ねん
単一たんいつ議定ぎていしょ
1992ねん
1993ねん
マーストリヒト
1997ねん
1999ねん
アムステルダム
2001ねん
2003ねん
ニース
2007ねん
2009ねん
リスボン
                   
欧州おうしゅうしょ共同きょうどうたい (EC) 欧州おうしゅう連合れんごう (EU) 3つのはしら構造こうぞう
欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい
I

I
欧州おうしゅう石炭せきたん鉄鋼てっこう共同きょうどうたい (ECSC) 2002ねん失効しっこう共同きょうどうたい消滅しょうめつ 欧州おうしゅう連合れんごう
(EU)
    欧州おうしゅう経済けいざい共同きょうどうたい (EEC) 欧州共同体おうしゅうきょうどうたい (EC)
     
III
司法しほう内務ないむ
協力きょうりょく
  警察けいさつ刑事けいじ司法しほう協力きょうりょく
欧州おうしゅう政治せいじ協力きょうりょく 共通きょうつう外交がいこう安全あんぜん保障ほしょう政策せいさく
II
組織そしき設立せつりつ 西欧せいおう同盟どうめい    
(2010ねん条約じょうやく効力こうりょく停止ていし
                   

目的もくてき実績じっせき[編集へんしゅう]

欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい目的もくてきとは原子力げんしりょくとくした市場いちば創設そうせつして共同きょうどうたいちゅう原子力げんしりょくエネルギーを提供ていきょうすること、および原子力げんしりょくエネルギーを開発かいはつして余剰よじょうぶん加盟かめいこくることである。主要しゅよう計画けいかくとしてはだい7研究けんきゅう技術ぎじゅつ開発かいはつフレームワーク計画けいかく (FP7) のしたでの国際こくさいねつかく融合ゆうごう実験じっけん ITER参加さんかげられる。また欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたいでは欧州おうしゅう連合れんごう域内いきないでの原子力げんしりょく計画けいかくたいする融資ゆうし制度せいどもうけている。

ヨーロッパ規模きぼでの規制きせい歴史れきしにおいて、欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい設立せつりつ条約じょうやくだい37じょう環境かんきょうへの影響えいきょう人間にんげん保護ほごというてん拘束こうそくりょく越境えっきょうてき義務ぎむ規定きていしたことは先駆せんくてきなものであった[8]

歴代れきだい委員いいんちょう[編集へんしゅう]

欧州おうしゅう原子力げんしりょく共同きょうどうたい独自どくじ運営うんえい機関きかんゆうしていた1958ねんから1967ねんにかけて、歴代れきだい3にん委員いいんちょうのもとで5にんからなる委員いいんかい存在そんざいした。なお委員いいんちょうはいずれもフランス出身しゅっしんである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 1957-1968 Successes and crises European NAvigator (英語えいご、ほかドイツフランス語ふらんすごようFlash Player)
  2. ^ A European Atomic Energy Community European NAvigator (英語えいご、ほかフランス語ふらんすごようFlash Player)
  3. ^ [The signing of the Rome Treaties The signing of the Rome Treaties] European NAvigator (英語えいご、ほかフランス語ふらんすごようFlash Player)
  4. ^ Drafting of the Rome Treaties European NAvigator (英語えいご、ほかフランス語ふらんすごようFlash Player)
  5. ^ Euratom: nuking Europe's future グリーンピース 2003ねん7がつ9にち 英語えいご
  6. ^ Declaration abolish EURATOM Friends of the earth Europe 2003ねん3がつ3にち 英語えいご
  7. ^ Froggatt, Antony EURATOM Reform EU Energy.Com 英語えいご
  8. ^ Heuel-Fabianek, B.; Kümmerle, E., Möllmann-Coers, M., Lennartz, R. (2008). “The relevance of Article 37 of the Euratom Treaty for the dismantling of nuclear reactors.” (PDF). International Journal for Nuclear Power. ISSN 1431-5254. http://www.fz-juelich.de/portal/lw_resource/datapool/__pages/pdp_1407/atw-2008-06_HEUEL-FABIANEK.pdf 2008ねん8がつ31にち閲覧えつらん. 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]