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共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく (きょうつうのうぎょうせいさく)とは、欧州 おうしゅう 連合 れんごう (EU) における農業 のうぎょう 補助 ほじょ に関 かん する制度 せいど や計画 けいかく を扱 あつか う政策 せいさく 。英語 えいご 表記 ひょうき の Common Agricultural Policy の頭文字 かしらもじ をとって CAP とも表記 ひょうき する。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく に充 あ てられるEUの予算 よさん は2005年度 ねんど で4300億 おく ユーロとなっており、この額 がく は全体 ぜんたい のおよそ44%を占 し めている[1] 。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく では生産 せいさん 高 だか や耕地 こうち に対 たい する補助 ほじょ 金 きん の直接 ちょくせつ 支払 しはら いと価格 かかく 維持 いじ メカニズムが組 く み合 あ わされており、また農作物 のうさくもつ の最低 さいてい 価格 かかく の保証 ほしょう 、域外 いきがい からの特定 とくてい 農業 のうぎょう 生産 せいさん 品 ひん に対 たい する関税 かんぜい の賦課 ふか や輸入 ゆにゅう 量 りょう 制限 せいげん の実施 じっし も行 おこな っている。補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど については改革 かいかく が進 すす められており、2005年 ねん から2012年 ねん にかけては輸入 ゆにゅう 量 りょう 制限 せいげん の緩和 かんわ や、補助 ほじょ 金 きん について生産 せいさん 高 だか に基 もと づく支給 しきゅう から農地 のうち の管理 かんり に基準 きじゅん を置 お く方式 ほうしき へと段階 だんかい 的 てき に移行 いこう している。制度 せいど の実施 じっし の細 こま かい部分 ぶぶん は加盟 かめい 国 こく ごとに違 ちが いがあるが、たとえばイギリス では農家 のうか への直接 ちょくせつ 支給 しきゅう が定 さだ められた単一 たんいつ 支払 しはらい 制度 せいど が導入 どうにゅう されている。直接 ちょくせつ 支払 しはら いにあたっては以下 いか の要件 ようけん を満 み たすことが求 もと められる。
対象 たいしょう 農地 のうち において「適正 てきせい な状態 じょうたい 」 (Good Agricultural Condition) が維持 いじ されている。
多角 たかく 化 か や生産 せいさん 者 しゃ 組合 くみあい を設立 せつりつ するなどの農村 のうそん 部 ぶ の発展 はってん に貢献 こうけん している。
環境 かんきょう に寄与 きよ するような農地 のうち 運営 うんえい を実施 じっし している[2] 。
1992年 ねん 以前 いぜん にはEUの農業 のうぎょう に関 かん する支出 ししゅつ が予算 よさん 全体 ぜんたい の61%近 ちか くを占 し めていたが、2013年 ねん までに従来 じゅうらい の共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の支出 ししゅつ が占 し める割合 わりあい をおよそ半分 はんぶん の32%にまで抑 おさ えるという方針 ほうしん が決 き まっている。これとは逆 ぎゃく に1988年 ねん で予算 よさん 全体 ぜんたい の17%となっていた地域 ちいき 政策 せいさく の支出 ししゅつ を、2013年 ねん にはおよそ2倍 ばい の36%にすることになっている[3] 。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の目的 もくてき とは、農家 のうか に対 たい しては適切 てきせつ な生活 せいかつ 水準 すいじゅん を、消費 しょうひ 者 しゃ に対 たい しては適正 てきせい な価格 かかく で良質 りょうしつ な食品 しょくひん をそれぞれ提供 ていきょう するということ、さらには農業 のうぎょう という文化 ぶんか 的 てき な遺産 いさん を保護 ほご するということである。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく は社会 しゃかい の変化 へんか に直面 ちょくめん しており、食品 しょくひん の安全 あんぜん や環境 かんきょう 保護 ほご 、採算 さいさん 性 せい 、代替 だいたい 燃料 ねんりょう への転作 てんさく といったものが次第 しだい に重要 じゅうよう 度 ど を増 ま している。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく は1960年 ねん に欧州 おうしゅう 委員 いいん 会 かい が提唱 ていしょう したことで創設 そうせつ された。これは1957年 ねん に共同 きょうどう 市場 いちば の創設 そうせつ をうたったローマ条約 じょうやく が調印 ちょういん されたことを受 う けたものである。ところが当時 とうじ の欧州 おうしゅう 経済 けいざい 共同 きょうどう 体 たい (EEC) 加盟 かめい 6か国 こく ではそれぞれ国内 こくない 農業 のうぎょう に対 たい して保護 ほご 的 てき な政策 せいさく を実施 じっし しており、とくに生産 せいさん 品目 ひんもく や農作物 のうさくもつ の価格 かかく 維持 いじ 、農家 のうか の経営 けいえい には手厚 てあつ い措置 そち がとられていた。保護 ほご 政策 せいさく の内容 ないよう は国 こく ごとに異 こと なるものの、貿易 ぼうえき の自由 じゆう 化 か がなされればこのような措置 そち は障壁 しょうへき とみなされることになる。そのようななかで一部 いちぶ の加盟 かめい 国 こく 、とりわけフランス や農業 のうぎょう 生産 せいさん 者 しゃ 団体 だんたい は国 こく ごとの手厚 てあつ い農業 のうぎょう 保護 ほご 措置 そち の継続 けいぞく を求 もと めた。そのため共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく が実現 じつげん されるには各国 かっこく での保護 ほご 措置 そち が調整 ちょうせい され、また共同 きょうどう 体 たい にそれらが移管 いかん されなければならなかった。そこで1962年 ねん までに市場 いちば 統合 とうごう 、共同 きょうどう 体 たい による特恵 とっけい 措置 そち 、財源 ざいげん の一体化 いったいか という3つの原則 げんそく が共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の実施 じっし にあたって打 う ち立 た てられた。その後 ご 共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく はEUの政策 せいさく の中心 ちゅうしん に位置 いち づけられている。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく についてはフランスとドイツ の政治 せいじ 的 てき 和解 わかい の産物 さんぶつ であると言及 げんきゅう されることがある。これはドイツの工業 こうぎょう 製品 せいひん がフランス市場 いちば に参入 さんにゅう する引 ひ き換 か えに、ドイツがフランスの農家 のうか に対 たい して資金 しきん 面 めん で援助 えんじょ するという構図 こうず が描 えが かれていることを受 う けた表現 ひょうげん である。ドイツがEUの予算 よさん に対 たい して拠出 きょしゅつ している額 がく と、EUのドイツ向 む けの政策 せいさく にかんする支出 ししゅつ の額 がく との差額 さがく を考 かんが えれば、確 たし かにドイツはEUの財政 ざいせい における最大 さいだい の負担 ふたん 者 しゃ であるといえる。しかし2005年 ねん の時点 じてん で見 み ればフランスもまた負担 ふたん 者 しゃ であるといえ、むしろ経済 けいざい 的 てき にあまり豊 ゆた かではない加盟 かめい 国 こく やスペイン 、ギリシャ 、ポルトガル といった農業 のうぎょう により重心 じゅうしん を置 お いている加盟 かめい 国 こく のほうが受益 じゅえき 者 しゃ であるといえる。なお2004年 ねん 以降 いこう の新規 しんき 加盟 かめい 国 こく に対 たい しては、本来 ほんらい EUから加盟 かめい 国 こく に支払 しはら われる補助 ほじょ 金 きん について、EUの予算 よさん の状況 じょうきょう を考慮 こうりょ すると全額 ぜんがく 支給 しきゅう をすることは不可能 ふかのう であるため、その額 がく を一部 いちぶ 制限 せいげん するという規定 きてい が適用 てきよう されている。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の対象 たいしょう となる品目 ひんもく
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく において価格 かかく の調整 ちょうせい が行 おこな われる特定 とくてい 農作物 のうさくもつ には以下 いか の品目 ひんもく が挙 あ げられている。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の目的 もくてき はローマ条約 じょうやく 第 だい 33条 じょう 第 だい 1項 こう に定 さだ められている(以下 いか 日本語 にほんご 仮 かり 訳 やく )。
# 技術 ぎじゅつ 的 てき 進歩 しんぽ の促進 そくしん と生産 せいさん 要素 ようそ 、とくに労働 ろうどう 力 りょく の最適 さいてき 利用 りよう の確保 かくほ による生産 せいさん 性 せい の増進 ぞうしん
農業 のうぎょう 従事 じゅうじ 者 しゃ の適正 てきせい な生活 せいかつ 水準 すいじゅん の保証 ほしょう
市場 いちば の安定 あんてい
生産 せいさん 能力 のうりょく の確保 かくほ
消費 しょうひ 者 しゃ に対 たい する適正 てきせい 価格 かかく での食料 しょくりょう の供給 きょうきゅう
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく については、農業 のうぎょう そのものの社会 しゃかい 的 てき 構造 こうぞう やさまざまな農業 のうぎょう 地域 ちいき 間 あいだ での構造 こうぞう 上 じょう ・性質 せいしつ 上 じょう の格差 かくさ を考慮 こうりょ に入 い れ、漸次 ぜんじ 的 てき に適切 てきせつ な調整 ちょうせい を行 おこな う必要 ひつよう 性 せい があるとされている(同 どう 条 じょう 第 だい 2項 こう ・仮 かり 訳 やく )。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく はEU域内 いきない の農産物 のうさんぶつ 価格 かかく の水準 すいじゅん の維持 いじ や、生産 せいさん に対 たい する補助 ほじょ といったような複数 ふくすう の手法 しゅほう で運営 うんえい されている。そのメカニズムには以下 いか のようなものがある。
EUへの特定 とくてい 輸入 ゆにゅう 品 ひん に対 たい する関税 かんぜい - 関税 かんぜい 率 りつ は世界 せかい 市場 いちば での価格 かかく をEUの目標 もくひょう 価格 かかく までに引 ひ き上 あ げるような水準 すいじゅん に設定 せってい されている。目標 もくひょう 価格 かかく は、その対象 たいしょう 品 ひん がEU域内 いきない において望 のぞ ましい価格 かかく の最高 さいこう 額 がく となるように設定 せってい される。
EU域内 いきない への食品 しょくひん 輸入 ゆにゅう 量 りょう の制限 せいげん - 一部 いちぶ の非 ひ 加盟 かめい 国 こく に対 たい しては、EU域内 いきない での販売 はんばい に際 さい して特定 とくてい の品目 ひんもく への関税 かんぜい が課 か されていないが、そのかわりに輸入 ゆにゅう 量 りょう 制限 せいげん 措置 そち が実施 じっし されている。この措置 そち は主 おも に、個別 こべつ のEU加盟 かめい 国 こく が従来 じゅうらい より通商 つうしょう 関係 かんけい を持 も っていた国 くに を対象 たいしょう としている。
貯蔵 ちょぞう による価格 かかく 調節 ちょうせつ - 域内 いきない 市場 いちば 価格 かかく が介入 かいにゅう 水準 すいじゅん を下回 したまわ った場合 ばあい 、価格 かかく 引 ひ き上 あ げのためにEUが商品 しょうひん を買 か い上 あ げる。このときの介入 かいにゅう 水準 すいじゅん は目標 もくひょう 価格 かかく を下回 したまわ るように設定 せってい される。つまり域内 いきない 市場 いちば 価格 かかく は介入 かいにゅう 価格 かかく と目標 もくひょう 価格 かかく の間 あいだ で推移 すいい することになる。
農家 のうか に対 たい する補助 ほじょ 金 きん の直接 ちょくせつ 支払 しはら い - これはもともと農家 のうか の生産 せいさん 奨励 しょうれい と食料 しょくりょう 自給 じきゅう 率 りつ の維持 いじ を目的 もくてき に行 おこな われてきた。従来 じゅうらい の補助 ほじょ 金 きん は総 そう 収穫 しゅうかく 量 りょう ではなく一 いち 定量 ていりょう を生産 せいさん する耕地 こうち の面積 めんせき に基 もと づいて支給 しきゅう されてきた。その後 ご 2005年 ねん からこの制度 せいど の改革 かいかく が実行 じっこう され、補助 ほじょ 金 きん は耕作 こうさく 中 ちゅう の農地 のうち 面積 めんせき に基 もと づいて定額 ていがく を支給 しきゅう するようになり、また農業 のうぎょう の手法 しゅほう も環境 かんきょう に配慮 はいりょ しているかということも要件 ようけん となった。この改革 かいかく の狙 ねら いは、農家 のうか にどの作物 さくもつ を生産 せいさん するかを自身 じしん で選択 せんたく する自由 じゆう を与 あた えるということと、補助 ほじょ 金 きん 支給 しきゅう という過剰 かじょう 生産 せいさん の誘引 ゆういん を削減 さくげん するということにある。
生産 せいさん 量 りょう 制限 せいげん および農地 のうち 削減 さくげん 給付 きゅうふ 金 きん - ミルク、穀物 こくもつ 、ワインなど市場 いちば 価格 かかく を上回 うわまわ る補助 ほじょ 金 きん が支払 しはら われるような一部 いちぶ の食品 しょくひん の過剰 かじょう 生産 せいさん を避 さ けようとするために導入 どうにゅう されたものである。過剰 かじょう 生産 せいさん された農作物 のうさくもつ の貯蔵 ちょぞう ・廃棄 はいき は資源 しげん の無駄 むだ であり、このために共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく に対 たい して不満 ふまん が集 あつ まった。このような制度 せいど が導入 どうにゅう されたことを受 う けて第 だい 2次 じ 市場 いちば が発達 はったつ し、とくにミルクの生産 せいさん 制限 せいげん 枠 わく の売買 ばいばい が活発 かっぱつ となり、また一部 いちぶ の農家 のうか では耕作 こうさく が難 むずか しい農地 のうち を削減 さくげん するなど給付 きゅうふ 金 きん 制度 せいど を活用 かつよう している。最近 さいきん では農作物 のうさくもつ の価格 かかく 上昇 じょうしょう やバイオ燃料 ねんりょう への関心 かんしん の高 たか まりから、将来 しょうらい における活用 かつよう が見込 みこ まれることもあって農地 のうち 削減 さくげん 措置 そち が停止 ていし されている。
補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど の変更 へんこう は2011年 ねん までの完了 かんりょう が予定 よてい されているが、各国 かっこく 政府 せいふ には新 あたら しい制度 せいど の導入 どうにゅう 方法 ほうほう について一定 いってい の権限 けんげん が認 みと められている。イギリス 政府 せいふ は新旧 しんきゅう 支給 しきゅう 制度 せいど の両方 りょうほう を稼働 かどう させ、毎年 まいとし 段階 だんかい 的 てき に新 しん 制度 せいど に移行 いこう している。旧 きゅう 制度 せいど での支給 しきゅう 額 がく は2002年 ねん から2003年 ねん の平均 へいきん 額 がく で固定 こてい しており、その後 ご 次 じ 年度 ねんど ごとに削減 さくげん している。この制度 せいど の併用 へいよう により農家 のうか は収入 しゅうにゅう の維持 いじ が可能 かのう となるが、同時 どうじ に新 しん 制度 せいど の下 した で農業 のうぎょう 経営 けいえい の手法 しゅほう を転換 てんかん することが求 もと められている。イギリス以外 いがい の政府 せいふ は様子見 ようすみ としており、できるだけ早 はや い時期 じき に、イギリスとは違 ちが って併用 へいよう 期間 きかん を置 お かず一 いち 度 ど に制度 せいど 変更 へんこう を実施 じっし することにしている。一方 いっぽう で生産 せいさん 量 りょう を下 した 支 ささ えするための補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど を継続 けいぞく することについての裁量 さいりょう は制限 せいげん されている。また制度 せいど が変更 へんこう されることで小規模 しょうきぼ 農家 のうか が補助 ほじょ 金 きん を申請 しんせい する資格 しかく を持 も つようになり、イギリスの農家 のうか では従来 じゅうらい の2倍 ばい の額 がく を受 う け取 と ることができるようになる。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく ではまた域内 いきない での関係 かんけい 法令 ほうれい の統一 とういつ 化 か が図 はか られている。加盟 かめい 国 こく ごとに法令 ほうれい が異 こと なることで相互 そうご 間 あいだ での交易 こうえき に障害 しょうがい が生 しょう じかねない。たとえば防腐 ぼうふ 剤 ざい や食品 しょくひん 着色 ちゃくしょく 料 りょう 、ラベル表示 ひょうじ 、食用 しょくよう 家畜 かちく に投与 とうよ されるホルモン などの薬剤 やくざい や疫病 えきびょう 対策 たいさく 、動物 どうぶつ 保護 ほご といった法令 ほうれい が挙 あ げられる。このような貿易 ぼうえき にあたっての法令 ほうれい 上 じょう の障壁 しょうへき 撤廃 てっぱい は未 いま だに完了 かんりょう していない。
生産 せいさん 品目 ひんもく 別 べつ の補助 ほじょ 金 きん 給付 きゅうふ の割合 わりあい
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく にかかる資金 しきん はEUの欧州 おうしゅう 農業 のうぎょう 指導 しどう 保証 ほしょう 基金 ききん から拠出 きょしゅつ されている。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 改革 かいかく の実施 じっし によってEUの予算 よさん に占 し める共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん の歳出 さいしゅつ の割合 わりあい は着実 ちゃくじつ に下 さ がってきているが、それでもなおおよそ半分 はんぶん を占 し めている。これまで共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん の歳出 さいしゅつ のほとんどがフランスの利益 りえき となってきた。一方 いっぽう で2004年 ねん にEUに新規 しんき 加盟 かめい した国 くに は農業 のうぎょう が盛 さか んであり、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ ではフランスを上回 うわまわ る受益 じゅえき 国 こく となるはずだったが、既存 きそん の規定 きてい により本来 ほんらい 受 う け取 と ることができる補助 ほじょ 金 きん よりも少 すく ない額 がく が支払 しはら われている。これらの国 くに が補助 ほじょ 金 きん を満額 まんがく 受 う け取 と る資格 しかく を有 ゆう するようになったさいに、どのように支払 しはら っていくのかという問題 もんだい では共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 改革 かいかく にあたってフランスの譲歩 じょうほ を引 ひ き出 だ しているが、財政 ざいせい の安定 あんてい 化 か のためにはフランスのさらなる譲歩 じょうほ が欠 か かせないものとなっている。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく は1950年代 ねんだい 末 まつ から1960年代 ねんだい 初頭 しょとう にかけて、当時 とうじ EECの原 げん 加盟 かめい 国 こく が第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 時 どき や戦後 せんご の10年 ねん 以上 いじょう にわたる深刻 しんこく な食糧 しょくりょう 危機 きき を乗 の り越 こ えた末 すえ に打 う ち出 だ されたものである。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく では共同 きょうどう 市場 いちば の設立 せつりつ の一環 いっかん として農作物 のうさくもつ に課 か される関税 かんぜい も免除 めんじょ されるはずだったが、農家 のうか の強 つよ い政治 せいじ 的 てき 圧力 あつりょく を受 う け、また実施 じっし にあたっての課題 かだい が繊細 せんさい だったこともあり、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の完全 かんぜん 実施 じっし には長 なが い年月 としつき を要 よう した。
ローマ条約 じょうやく では共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の一般 いっぱん 的 てき 目的 もくてき が定義 ていぎ されており、またその基本 きほん 理念 りねん は1958年 ねん 7月 がつ のストレーザ会議 かいぎ で取 と りまとめられた。1960年 ねん には共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく のメカニズムが原 げん 加盟 かめい 6か国 こく で取 と りまとめられ、2年 ねん 後 ご の1962年 ねん に各 かく 制度 せいど の実施 じっし が開始 かいし された。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく は1960年 ねん に欧州 おうしゅう 委員 いいん 会 かい のシッコ・マンスホルト のリーダーシップで創設 そうせつ された。これは1957年 ねん に共同 きょうどう 市場 いちば の創設 そうせつ をうたったローマ条約 じょうやく が調印 ちょういん されたことを受 う けたものである。ところが当時 とうじ のEEC加盟 かめい 国 こく ではそれぞれ国内 こくない 農業 のうぎょう に対 たい して保護 ほご 的 てき な政策 せいさく を実施 じっし しており、とくに生産 せいさん 品目 ひんもく や農作物 のうさくもつ の価格 かかく 維持 いじ 、農家 のうか の経営 けいえい には手厚 てあつ い措置 そち がとられていた。保護 ほご 政策 せいさく の内容 ないよう は国 こく ごとに異 こと なるものの、貿易 ぼうえき の自由 じゆう 化 か がなされればこのような措置 そち は障壁 しょうへき とみなされることになる。そのようななかで一部 いちぶ の加盟 かめい 国 こく 、とりわけフランスや、農業 のうぎょう 生産 せいさん 者 しゃ 団体 だんたい は国 こく ごとの手厚 てあつ い農業 のうぎょう 保護 ほご 措置 そち の継続 けいぞく を求 もと めた。そのため共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく が実現 じつげん されるには各国 かっこく での保護 ほご 措置 そち が調整 ちょうせい され、また共同 きょうどう 体 たい にそれらが移管 いかん されなければならなかった。
1962年 ねん までに市場 いちば 統合 とうごう 、共同 きょうどう 体 たい による特恵 とっけい 措置 そち 、財源 ざいげん の一体化 いったいか という3つの原則 げんそく が共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の実施 じっし にあたって打 う ち立 た てられた。その後 ご 共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく はEUの政策 せいさく の中心 ちゅうしん に位置 いち づけられている。
展開 てんかい と改革 かいかく [ 編集 へんしゅう ]
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく はEUの政策 せいさく の中 なか でも改革 かいかく が難 むずか しい分野 ぶんや である。これは1960年代 ねんだい の政策 せいさく の創設 そうせつ 当初 とうしょ から今日 きょう に至 いた るまで変 か わることがなかったものである。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん の意思 いし 決定 けってい 機関 きかん は農業 のうぎょう 理事 りじ 会 かい (加盟 かめい 国 こく の農相 のうしょう による理事 りじ 会 かい )であるが、重要 じゅうよう な政策 せいさく の改革 かいかく 案件 あんけん の票決 ひょうけつ にあたっては全会 ぜんかい 一致 いっち であることが求 もと められており、可決 かけつ されること自体 じたい がまれで、しかも段階 だんかい 的 てき なものにとどまっていた。またEUの創設 そうせつ 期 き 以来 いらい 、ブリュッセル での協議 きょうぎ の場 ば の外 そと では農業 のうぎょう 関係 かんけい のロビー活動 かつどう がEUの農業 のうぎょう 政策 せいさく の決定 けってい に大 おお きな影響 えいきょう を及 およ ぼしてきた。このロビー活動 かつどう の影響 えいきょう 力 りょく が顕著 けんちょ に低下 ていか してきたのは1980年代 ねんだい 以降 いこう のことである。
近年 きんねん 、EUでは対外 たいがい 貿易 ぼうえき との兼 か ね合 あ いや、消費 しょうひ 者 しゃ 保護 ほご 、環境 かんきょう 保護 ほご といった政策 せいさく との競合 きょうごう もあって、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく に変革 へんかく が求 もと められるようになっている。さらにはイギリスやデンマーク などでのEU懐疑 かいぎ 論 ろん の立場 たちば から共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく について、自国 じこく の経済 けいざい にとって不利益 ふりえき を生 しょう じさせているとして批判 ひはん が起 お こっている。
しかし、なおも共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく を継続 けいぞく することはEUの政策 せいさく において重要 じゅうよう な狙 ねら いである。農業 のうぎょう は「特別 とくべつ 」であり、食糧 しょくりょう 生産 せいさん 、ひいては良質 りょうしつ の食事 しょくじ をもたらすということはヨーロッパの共有 きょうゆう 財産 ざいさん であるという見方 みかた がなされ、この考 かんが え方 かた は共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の堅持 けんじ の論拠 ろんきょ として挙 あ げられている。農業 のうぎょう はほかの産業 さんぎょう とは違 ちが うもので、EUの精神 せいしん 、そして財政 ざいせい において大 おお きな存在 そんざい となっている。つまるところ戦後 せんご 間 あいだ もない時期 じき の自給 じきゅう 率 りつ や食糧 しょくりょう 備蓄 びちく の確保 かくほ といった目的 もくてき が今日 きょう もなお続 つづ いているのである。
過去 かこ の改革 かいかく の試 こころ み[ 編集 へんしゅう ]
マンスホルト計画 けいかく とは1960年代 ねんだい に出 だ された構想 こうそう で、小規模 しょうきぼ 農家 のうか を農地 のうち から切 き り離 はな し、これらを統合 とうごう ・大 だい 規模 きぼ 化 か することで効率 こうりつ 性 せい を高 たか めようとすることが試 こころ みられた。しかし農業 のうぎょう の特別 とくべつ な性質 せいしつ や農業 のうぎょう 団体 だんたい による大陸 たいりく 規模 きぼ の圧倒的 あっとうてき なロビー活動 かつどう により本 ほん 計画 けいかく はEUの方針 ほうしん からはずされた。
1968年 ねん 12月21日 にち 、欧州 おうしゅう 委員 いいん 会 かい 農業 のうぎょう 担当 たんとう 委員 いいん マンスホルトは理事 りじ 会 かい に対 たい して、欧州共同体 おうしゅうきょうどうたい (EC) における農業 のうぎょう 改革 かいかく にかんする主意 しゅい 書 しょ を送付 そうふ した。この長期 ちょうき 的 てき 計画 けいかく は「1980年 ねん 農業 のうぎょう 計画 けいかく 」 (1980 Agricultural Programme) 、あるいは作成 さくせい にあたったグループの活動 かつどう 場所 ばしょ であるルクセンブルク の地名 ちめい を取 と って「ガイシェル・グループ報告 ほうこく 書 しょ 」 (Report of the Gaichel Group) ともいわれるもので、ヨーロッパ農業 のうぎょう の新 あたら しい社会 しゃかい 的 てき ・構造 こうぞう 的 てき 政策 せいさく の基礎 きそ が描 えが かれたものである。
マンスホルト計画 けいかく では価格 かかく や市場 いちば の下 しも 支 ささ え政策 せいさく の限界 げんかい について言及 げんきゅう している。それによるとECが少 すく なくとも500万 まん ヘクタールの農地 のうち を削減 さくげん しなければ一部 いちぶ の市場 いちば で不 ふ 均衡 きんこう が生 しょう じるという予測 よそく がなされている。またマンスホルトは農業 のうぎょう 生産 せいさん 高 だか やECの歳出 さいしゅつ が上昇 じょうしょう しているにもかかわらず、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく が実施 じっし されてから農家 のうか の生活 せいかつ 水準 すいじゅん は改善 かいぜん されていないと指摘 してき している。そこでマンスホルトは生産 せいさん 手法 しゅほう の改革 かいかく を行 おこな い、また小規模 しょうきぼ 農家 のうか については早期 そうき に解消 かいしょう して規模 きぼ を拡大 かくだい するべきとしている。すなわちこの計画 けいかく はおよそ500万 まん 人 にん の農家 のうか に対 たい して廃業 はいぎょう を求 もと めていくというもので、これにより農地 のうち を再 さい 分配 ぶんぱい して残 のこ った農家 のうか の大 だい 規模 きぼ 化 か を進 すす めていくというものである。それぞれの地域 ちいき の他 た 業種 ぎょうしゅ の労働 ろうどう 者 しゃ と比較 ひかく して平均 へいきん 的 てき な年収 ねんしゅう を農地 のうち 所有 しょゆう 者 しゃ に保証 ほしょう すれば、農家 のうか は生 い き残 のこ れると考 かんが えられていた。さらに職業 しょくぎょう 訓練 くんれん という点 てん について、マンスホルトは再 さい 訓練 くんれん や早期 そうき 廃業 はいぎょう に対応 たいおう するための福祉 ふくし 計画 けいかく を用意 ようい していた。これらを踏 ふ まえてマンスホルトは加盟 かめい 国 こく に対 たい して採算 さいさん 性 せい の低 ひく い農家 のうか に対 たい する直接 ちょくせつ 助成 じょせい を制限 せいげん するよう求 もと めていった。
ところが農業 のうぎょう 団体 だんたい の反発 はんぱつ の激化 げきか を受 う け、マンスホルトはまもなく自身 じしん の提案 ていあん の一部 いちぶ を縮小 しゅくしょう せざるを得 え なくなった。最終 さいしゅう 的 てき にマンスホルト計画 けいかく は1972年 ねん にそれぞれ農業 のうぎょう 経営 けいえい 者 しゃ の近代 きんだい 化 か 、農家 のうか の廃業 はいぎょう 、農家 のうか の技術 ぎじゅつ 訓練 くんれん にかんする3つの指令 しれい に縮小 しゅくしょう されることとなった。
マンスホルト計画 けいかく からマクシャリー改革 かいかく まで [ 編集 へんしゅう ]
マンスホルト計画 けいかく の失敗 しっぱい の影響 えいきょう で1970年代 ねんだい には農業 のうぎょう 改革 かいかく を進 すす めようとする者 もの がほとんど現 あらわ れず、改革 かいかく の機運 きうん は退潮 たいちょう した。通貨 つうか 統合 とうごう 計画 けいかく の初期 しょき には "Agrimoney" と呼 よ ばれる制度 せいど が導入 どうにゅう されたこともあったが失敗 しっぱい に終 お わり、農業 のうぎょう 改革 かいかく が進 すす められるということにつながらなかった。
1980年代 ねんだい には共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく にとって実質 じっしつ 的 てき に初 はじ めての改革 かいかく が行 おこな われ、これは1992年 ねん 以降 いこう の改革 かいかく につながっていくものとなった。農業 のうぎょう 団体 だんたい が弱体 じゃくたい 化 か した影響 えいきょう で改革 かいかく を行 おこな いやすい状況 じょうきょう ができてきたのである。環境 かんきょう 保護 ほご 運動 うんどう 団体 だんたい が共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 改革 かいかく への支持 しじ を集 あつ め、また農作物 のうさくもつ の過剰 かじょう 生産 せいさん により歳出 さいしゅつ 額 がく が上昇 じょうしょう し、また無駄 むだ な支出 ししゅつ も増加 ぞうか したこともあって共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく のために財政 ざいせい 均衡 きんこう が傾 かたぶ かせかねないという懸念 けねん が高 たか まってきたのである。これらの要因 よういん により1984年 ねん に酪農 らくのう 生産 せいさん 高 だか の制限 せいげん 制度 せいど が導入 どうにゅう され、また1988年 ねん には農家 のうか に対 たい する補助 ほじょ 金 きん 支給 しきゅう 額 がく に上限 じょうげん が設 もう けられることになった。しかし、なおも共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の基礎 きそ は残 のこ り、1992年 ねん まで本格 ほんかく 的 てき な改革 かいかく は着手 ちゃくしゅ されなかった。
1992年 ねん 、欧州 おうしゅう 委員 いいん 会 かい 農業 のうぎょう 担当 たんとう 委員 いいん レイ・マクシャリー が中心 ちゅうしん となって進 すす められた改革 かいかく で生産 せいさん 量 りょう の上昇 じょうしょう に歯止 はど めがかかり、また同時 どうじ に農業 のうぎょう 市場 いちば の自由 じゆう 化 か に向 む けた調整 ちょうせい が行 おこな われた。この改革 かいかく により価格 かかく 下 か 支 ささ え費用 ひよう が穀物 こくもつ で29%、牛肉 ぎゅうにく で15%減少 げんしょう し、また農地 のうち 削減 さくげん や備蓄 びちく 水準 すいじゅん の制限 せいげん に対 たい する給付 きゅうふ 金 きん 制度 せいど や廃業 はいぎょう ・植林 しょくりん 奨励 しょうれい 策 さく が導入 どうにゅう された。
マクシャリー改革 かいかく 以降 いこう 、穀物 こくもつ 価格 かかく は安定 あんてい 水準 すいじゅん に近 ちか づき、農業 のうぎょう 支援 しえん にかかる費用 ひよう の透明 とうめい 性 せい が増 ま し、また収入 しゅうにゅう 支援 しえん と生産 せいさん 支援 しえん を分離 ぶんり する制度 せいど が開始 かいし された。しかし行政 ぎょうせい 上 じょう の複雑 ふくざつ さが伴 ともな ったことにより不正 ふせい を招 まね く結果 けっか となってしまい、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく にかかわる課題 かだい は是正 ぜせい されたというには程遠 ほどとお い状況 じょうきょう となった。
これらの改革 かいかく 以外 いがい に、農業 のうぎょう 補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど についてはGATT のウルグアイ・ラウンド においてEUの域外 いきがい 貿易 ぼうえき 相手 あいて との合意 ごうい に達 たっ する必要 ひつよう があるということも関心事 かんしんじ となっていた。
近年 きんねん の改革 かいかく [ 編集 へんしゅう ]
EU農業 のうぎょう 改革 かいかく の近年 きんねん の課題 かだい となっているのは、価格 かかく 上昇 じょうしょう 対策 たいさく 、食品 しょくひん の安全 あんぜん と品質 ひんしつ の確保 かくほ 、農家 のうか の収入 しゅうにゅう 安定 あんてい の保証 ほしょう である。このほかにも環境 かんきょう 破壊 はかい 、動物 どうぶつ 保護 ほご 、農家 のうか の代替 だいたい 収入 しゅうにゅう 源 げん の開拓 かいたく といったものがある。これらの中 なか には加盟 かめい 国 こく が担 にな っていく課題 かだい もある。
アジェンダ2000 では共通 きょうつう 農業 のうぎょう 改革 かいかく を生産 せいさん 支援 しえん と農村 のうそん 部 ぶ 開発 かいはつ の2本 ほん の「柱 はしら 」に分 わ けている。経営 けいえい 多角 たかく 化 か や生産 せいさん 者 しゃ 集団 しゅうだん の結成 けっせい 、若手 わかて 農家 のうか に対 たい する支援 しえん といった一部 いちぶ の開発 かいはつ 策 さく が導入 どうにゅう されており、また全 ぜん 加盟 かめい 国 こく に対 たい して農業 のうぎょう を行 おこな ううえで環境 かんきょう に配慮 はいりょ するという観点 かんてん を取 と り入 い れるよう義務付 ぎむづ けている。
欧州 おうしゅう 委員 いいん 会 かい 報告 ほうこく 書 しょ (2003年 ねん )[ 編集 へんしゅう ]
ベルギー の経済 けいざい 学者 がくしゃ アンドレ・サピール を長 ちょう とする専門 せんもん 家 か グループが取 と りまとめた報告 ほうこく 書 しょ において、EUの予算 よさん 構造 こうぞう は「歴史 れきし 的 てき 遺物 いぶつ 」となっているとうたわれた[4] 。この報告 ほうこく 書 しょ では富 とみ の創造 そうぞう とEUの結束 けっそく の増進 ぞうしん を企図 きと した施策 しさく に対 たい する歳出 さいしゅつ の方向 ほうこう 性 せい を変 か えて、EUの政策 せいさく を再 さい 検討 けんとう するよう求 もと めている。EU予算 よさん の大 だい 部分 ぶぶん が農業 のうぎょう 政策 せいさく に費 つい やされ、予算 よさん 全体 ぜんたい の拡大 かくだい の見込 みこ みもあまりないことから、政策 せいさく の再 さい 検討 けんとう とはすなわち共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 予算 よさん の削減 さくげん を意味 いみ するものである。確 たし かに本 ほん 報告 ほうこく 書 しょ では共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく についてというよりは、もっぱらEUにとってより有益 ゆうえき な施策 しさく の転換 てんかん について議論 ぎろん されているが、同時 どうじ に農家 のうか に対 たい する支援 しえん 策 さく については加盟 かめい 国 こく が独自 どくじ に実施 じっし していくほうがより効果 こうか 的 てき であるともしている。
しかし本 ほん 報告 ほうこく 書 しょ の趣旨 しゅし はほとんど無視 むし された。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ はEUにおいて当然 とうぜん の事実 じじつ として扱 あつか われ続 つづ け、またフランスは共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ について、2012年 ねん まで変更 へんこう がなされないような取 と り決 き めで合意 ごうい がまとまるよう努 つと めたのである。これについてはフランスが前 まえ もってドイツと合意 ごうい していたために実現 じつげん したものである。またこの合意 ごうい にあたってはイギリスが対 たい 英 えい 払 はらい 戻 もど 措置 そち にかんする自 みずか らの立場 たちば を守 まも り、また農業 のうぎょう 輸出 ゆしゅつ 国 こく の参入 さんにゅう 障壁 しょうへき を低 ひく くするべきであるという主張 しゅちょう が盛 も り込 こ まれている[5] 。
デカップリング(2003年 ねん ) [ 編集 へんしゅう ]
2003年 ねん 6月 がつ 26日 にち 、EU加盟 かめい 国 こく の農相 のうしょう は補助 ほじょ 金 きん の支給 しきゅう 制度 せいど について、一部 いちぶ の例外 れいがい を除 のぞ いて生産 せいさん 量 りょう と切 き り離 はな す(デカップリング)という共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の抜本 ばっぽん 的 てき 改革 かいかく を実施 じっし することを決定 けってい した。新 あら たな「単一 たんいつ 支払 しはらい 方式 ほうしき 」では、環境 かんきょう 、食品 しょくひん 安全 あんぜん 、動物 どうぶつ 保護 ほご についてのさまざまな規定 きてい を遵守 じゅんしゅ する「クロス・コンプライアンス」が条件 じょうけん となった。このような規定 きてい の多 おお くは農業 のうぎょう を行 おこな ううえで、適正 てきせい な実施 じっし を求 もと める勧告 かんこく や個別 こべつ の法的 ほうてき 要件 ようけん といった形 かたち で導入 どうにゅう されている。このような措置 そち の目的 もくてき は、環境 かんきょう 、品質 ひんしつ 、動物 どうぶつ 保護 ほご といった施策 しさく のための財源 ざいげん をより多 おお く確保 かくほ するというものである。
ところがイギリスでは、このような施策 しさく について2005年 ねん 5月 がつ の施行 しこう 初日 しょにち においても細部 さいぶ の調整 ちょうせい が行 おこな われていた。これはEUで示 しめ された概要 がいよう にしたがっていれば、措置 そち の細部 さいぶ は各 かく 加盟 かめい 国 こく ごとにの裁量 さいりょう で決 き めることができるためである。イングランド では単一 たんいつ 支払 しはらい 方式 ほうしき について、耕作 こうさく 可能 かのう な状態 じょうたい で管理 かんり されている農地 のうち 1ヘクタールに対 たい しておよそ230ポンドといった定額 ていがく 制 せい での支給 しきゅう が行 おこな われることになる。スコットランド では過去 かこ の生産 せいさん 実績 じっせき に基 もと づいて支給 しきゅう がなされ、支給 しきゅう 額 がく は大 おお きな幅 はば を持 も つことになる。さらに新 あら たな補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど では、より広 ひろ い休耕 きゅうこう 地 ち に対 たい しても環境 かんきょう 保護 ほご 支援 しえん のための補助 ほじょ 金 きん が支給 しきゅう される。
EU全体 ぜんたい および各国 かっこく の補助 ほじょ 金 きん 関連 かんれん の予算 よさん には上限 じょうげん が設 もう けられている。これは限 かぎ られた財源 ざいげん の中 なか でEUが共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく に充 あ てる予算 よさん の額 がく が増加 ぞうか することが求 もと められるという事態 じたい を避 さ けるためである。
これらの改革 かいかく 派 は 2004年 ねん から2005年 ねん にかけて実行 じっこう に移 うつ されている。加盟 かめい 国 こく は2007年 ねん まで移行 いこう 期間 きかん を設 もう けることで実施 じっし の猶予 ゆうよ が認 みと められており、2012年 ねん までに実行 じっこう することになっている[6] 。
EU拡大 かくだい (2004年 ねん ) [ 編集 へんしゅう ]
2004年 ねん のEU拡大 かくだい により、農業 のうぎょう 従事 じゅうじ 者 しゃ 数 すう は700万 まん 人 にん から1100万 まん 人 にん 、農地 のうち は30%、生産 せいさん 量 りょう は10%から20%それぞれ増加 ぞうか した。2004年 ねん にEUに新規 しんき 加盟 かめい した国 くに は輸出 ゆしゅつ 払戻金 はらいもどしきん [7] や買 か い上 あ げによる介入 かいにゅう といった価格 かかく 下 か 支 ささ え措置 そち を直 ただ ちに受 う けることができるが、一方 いっぽう で補助 ほじょ 金 きん の直接 ちょくせつ 支払 しはら い制度 せいど については2004年 ねん から2013年 ねん の10年間 ねんかん をかけて段階 だんかい 的 てき に実施 じっし することになっており、2004年 ねん は既存 きそん 加盟 かめい 国 こく の25%、2005年 ねん は30%に制限 せいげん されている。またこれらの新規 しんき 加盟 かめい 国 こく は早期 そうき 廃業 はいぎょう 、環境 かんきょう 問題 もんだい 、最低 さいてい 収入 しゅうにゅう 地域 ちいき 、技術 ぎじゅつ 支援 しえん といった対策 たいさく のために、50億 おく ユーロ 規模 きぼ の農村 のうそん 部 ぶ 開発 かいはつ 基金 ききん による措置 そち を受 う けることができる。2002年 ねん に当時 とうじ のEU加盟 かめい 国 こく では、農業 のうぎょう 関連 かんれん 支出 ししゅつ について2013年 ねん まで実質 じっしつ 増加 ぞうか しないことで合意 ごうい している。これにより新規 しんき 加盟 かめい 国 こく に対 たい する支払 しはらい を賄 まかな うために、従来 じゅうらい の加盟 かめい 国 こく に対 たい する補助 ほじょ 金 きん の支払 しはらい 額 がく をおよそ5%削減 さくげん することが求 もと められることになる。また2007年 ねん にルーマニア とブルガリア が加盟 かめい したことにより、削減 さくげん 幅 はば は8%に上昇 じょうしょう することになる。
砂糖 さとう 生産 せいさん の改革 かいかく (2005年 ねん - 2006年 ねん )[ 編集 へんしゅう ]
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の対象 たいしょう となっている品目 ひんもく にテンサイ から生産 せいさん される砂糖 さとう がある。EUは年間 ねんかん 1700万 まん メートルトン を生産 せいさん する世界 せかい 最大 さいだい のテンサイ生産 せいさん 地域 ちいき である。この量 りょう はサトウキビ から砂糖 さとう を生産 せいさん しているブラジル とインド という2大 だい 生産 せいさん 国 こく と同 どう 水準 すいじゅん である[8] 。
1992年 ねん のマクシャリー改革 かいかく や1999年 ねん のアジェンダ2000では、砂糖 さとう はその対象 たいしょう に含 ふく まれていなかった。また砂糖 さとう については Everything But Arms(武器 ぶき 以外 いがい すべて)措置 そち のもと、後発 こうはつ 開発 かいはつ 途上 とじょう 国 こく に市場 いちば 参入 さんにゅう を段階 だんかい 的 てき に認 みと めていた。2005年 ねん 、EU加盟 かめい 国 こく の農相 のうしょう は2006年 ねん から4年 ねん にわたってテンサイの最低 さいてい 価格 かかく を39%引 ひ き下 さ げる計画 けいかく を発表 はっぴょう した[9] 。またロメ協定 きょうてい の砂糖 さとう にかんする議定 ぎてい 書 しょ のもとで、アフリカ・カリブ海 かりぶかい ・太平洋 たいへいよう 諸国 しょこく (ACP諸国 しょこく )のうち19か国 こく [10] がEUに砂糖 さとう を輸出 ゆしゅつ し、EU市場 いちば の砂糖 さとう 価格 かかく を下落 げらく させている。
これらの措置 そち は2005年 ねん 4月 がつ 28日 にち に世界 せかい 貿易 ぼうえき 機関 きかん (WTO) の上級 じょうきゅう 委員 いいん 会 かい によって示 しめ されたEUの砂糖 さとう 施策 しさく に対 たい する決定 けってい に従 したが ったものである。
2006年 ねん 2月 がつ 21日 にち までに、EUは砂糖 さとう にかんする補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど の改革 かいかく 実施 じっし を決 き めている。砂糖 さとう の保証 ほしょう 価格 かかく を36%引 ひ き下 さ げることにしており、これによってヨーロッパでの砂糖 さとう 生産 せいさん 計画 けいかく 量 りょう が大幅 おおはば に減少 げんしょう することになった。EUでは、これは40年 ねん の歴史 れきし を持 も つ共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の下 した では初 はつ となる、砂糖 さとう にの本格 ほんかく 的 てき な改革 かいかく であるとしている[11] 。
この政策 せいさく 転換 てんかん の狙 ねら いは、新興 しんこう 経済 けいざい 国 こく によるEU市場 いちば への参入 さんにゅう を容易 ようい かつ有益 ゆうえき 的 てき なものにするということである。しかしこれについては、利他 りた 的 てき な動 うご きでも理想 りそう 的 てき な転換 てんかん でもなく、EUはただEUの砂糖 さとう の不当 ふとう 廉売 れんばい に対 たい するオーストラリア 、タイ 、ブラジル からの訴 うった えを支持 しじ しているWTO の思惑 おもわく にしたがって行動 こうどう しているに過 す ぎないという批判 ひはん がある。またこのほかに、EU加盟 かめい 国 こく から優遇 ゆうぐう 措置 そち を受 う けているような国 くに はACP諸国 しょこく のような旧 きゅう 宗主 そうしゅ 国 こく ・旧 きゅう 植民 しょくみん 地 ち という関係 かんけい であることが多 おお く、このような国 くに は不利益 ふりえき を被 こうむ る側 がわ にあるという批判 ひはん もある。
補助 ほじょ 金 きん 直接 ちょくせつ 支払 しはら い制限 せいげん 案 あん (2007年 ねん )[ 編集 へんしゅう ]
2007年 ねん 秋 あき 、欧州 おうしゅう 委員 いいん 会 かい は個人 こじん の農地 のうち 所有 しょゆう 者 しゃ や工場 こうじょう 式 しき 農場 のうじょう に対 たい する補助 ほじょ 金 きん の制限 せいげん 案 あん について検討 けんとう してきた報告 ほうこく 書 しょ を受 う け取 と った。しかし過去 かこ には同様 どうよう の改革 かいかく が検討 けんとう されそのたびに失敗 しっぱい しており、とくにイギリスでは Country Land and Business Association や National Farmers Union という2つの有力 ゆうりょく なロビー活動 かつどう 団体 だんたい の反対 はんたい を受 う けている。またドイツでは旧 きゅう 東 ひがし ドイツ時代 じだい から続 つづ いている集団 しゅうだん 農場 のうじょう の経営 けいえい 者 しゃ が変革 へんかく に強 つよ く反対 はんたい した。この改革 かいかく 案 あん は加盟 かめい 国 こく で諮 はか るために同年 どうねん 11月20日 にち に提出 ていしゅつ されている[12] 。
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく はその開始 かいし 当初 とうしょ からさまざまな利害 りがい を持 も つ立場 たちば から激 はげ しい批判 ひはん を受 う けてきた。批判 ひはん はさまざまな方面 ほうめん からなされ、欧州 おうしゅう 委員 いいん 会 かい は共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく を擁護 ようご するため理解 りかい を求 もと め続 つづ けてきた。2007年 ねん 5月 がつ にはスウェーデン がEU加盟 かめい 国 こく として初 はじ めて域内 いきない の農業 のうぎょう 関連 かんれん 補助 ほじょ 金 きん は環境 かんきょう 保護 ほご にかんするものを除 のぞ いて廃止 はいし するべきだという立場 たちば をとるようになった[13] 。
開発 かいはつ に対 たい する反対 はんたい [ 編集 へんしゅう ]
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく への批判 ひはん はグローバリゼーション 支持 しじ 派 は からも反 はん グローバリゼーション派 は からもなされることがある。すなわち、西側 にしがわ 諸国 しょこく は農業 のうぎょう に対 たい して莫大 ばくだい な補助 ほじょ 金 きん を支給 しきゅう しており、経済 けいざい 協力 きょうりょく 開発 かいはつ 機構 きこう (OECD) 加盟 かめい 国 こく の農業 のうぎょう 補助 ほじょ 金 きん の合計 ごうけい はアフリカ 全体 ぜんたい の域内 いきない 総 そう 生産 せいさん (GDP) の額 がく を上回 うわまわ っている。このために競争 きょうそう において不公平 ふこうへい が生 しょう じているが、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく による補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど はアメリカ やそのほかの西側 にしがわ 諸国 しょこく の制度 せいど と同様 どうよう に、ヨーロッパ要塞 ようさい [14] といった問題 もんだい を惹 ひ き起 お こすものとして批判 ひはん される。
さらには、過剰 かじょう 生産 せいさん により余 あま った農業 のうぎょう 製品 せいひん は第 だい 三 さん 世界 せかい に売 う られ、このために第 だい 三 さん 世界 せかい で作 つく られた農業 のうぎょう 製品 せいひん の西側 にしがわ 諸国 しょこく への輸出 ゆしゅつ が阻害 そがい されているということから、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の促進 そくしん により第 だい 三 さん 世界 せかい の農家 のうか の経営 けいえい が成 な りたず、結果 けっか として第 だい 三 さん 世界 せかい を貧困 ひんこん に追 お いやっているという批判 ひはん もなされている。国際 こくさい 連合 れんごう 開発 かいはつ 計画 けいかく は2003年 ねん の人間 にんげん 開発 かいはつ 報告 ほうこく 書 しょ において、2000年 ねん においてEUでは乳牛 にゅうぎゅう 1頭 とう あたり平均 へいきん で913USドルの補助 ほじょ 金 きん が支払 しはら われており、その一方 いっぽう でサブサハラ・アフリカ の住民 じゅうみん 1人 にん あたりには平均 へいきん で8USドルしか支援 しえん がなされていないとしている。
食品 しょくひん 価格 かかく の人為 じんい 的 てき 高騰 こうとう [ 編集 へんしゅう ]
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく による価格 かかく 介入 かいにゅう はEU全域 ぜんいき での食品 しょくひん 価格 かかく の上昇 じょうしょう を招 まね いているとして批判 ひはん されている。しかし介入 かいにゅう 買 か い入 い れや特定 とくてい 品目 ひんもく に対 たい する補助 ほじょ 金 きん の支給 しきゅう 、輸出 ゆしゅつ 払戻金 はらいもどしきん の削減 さくげん といったものから遠 とお ざかっている動 うご きは状況 じょうきょう に若干 じゃっかん の変化 へんか をもたらしている。デカップリング方式 ほうしき となった新 あら たな補助 ほじょ 金 きん 支給 しきゅう 制度 せいど では環境 かんきょう 保護 ほご が狙 ねら いとなっているが、その一方 いっぽう で多 おお くの農家 のうか では補助 ほじょ 金 きん の需給 じゅきゅう がなければ経営 けいえい が成 な りたないとしている。実質 じっしつ で過去 かこ 30年間 ねんかん 以上 いじょう にわたって食品 しょくひん 価格 かかく が下落 げらく し続 つづ けたことにより、生産 せいさん 者 しゃ が販売 はんばい する時点 じてん でコスト割 わ れを起 お こしている。
他方 たほう 18%から28%と輸入 ゆにゅう 関税 かんぜい が高 たか いことにより非 ひ EU生産 せいさん 者 しゃ による競争 きょうそう が制限 せいげん され、食品 しょくひん 価格 かかく は高 たか い水準 すいじゅん を維持 いじ したままとなっている。
小規模 しょうきぼ 農家 のうか への打撃 だげき [ 編集 へんしゅう ]
ヨーロッパのほとんどの政治 せいじ 家 か はいわゆる「家族 かぞく 農場 のうじょう 」や小規模 しょうきぼ 生産 せいさん を振興 しんこう したいという点 てん で一致 いっち しているが、実際 じっさい には共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく は大 だい 規模 きぼ 生産 せいさん 者 しゃ 向 む けの内容 ないよう となっている。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく はそもそもより生産 せいさん 量 りょう の大 おお きい農家 のうか が報 むく われるものとなっているため、大 だい 規模 きぼ 農場 のうじょう は零細 れいさい 農場 のうじょう と比 くら べて補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど の恩恵 おんけい をはるかに大 おお きく受 う けている。例示 れいじ すると農地 のうち 1ヘクタールあたり100ユーロの利益 りえき を出 だ しているという仮定 かてい がなされ、この条件 じょうけん の下 した で1000ヘクタールの農地 のうち を持 も つ農場 のうじょう では合計 ごうけい で10万 まん ユーロの利益 りえき が出 で ることになるが、農地 のうち が10ヘクタールしかない農場 のうじょう では1000ユーロの利益 りえき しか生 う み出 だ さないことになり、規模 きぼ の経済 けいざい というものがまったく考慮 こうりょ されないことになる。そのため共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく による補助 ほじょ 金 きん のほとんどは大 だい 規模 きぼ 農場 のうじょう に支給 しきゅう されることになる。2003年 ねん の改革 かいかく で補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど が生産 せいさん 要素 ようそ から切 き り離 はな され、農場 のうじょう の経営 けいえい 規模 きぼ といったものが考慮 こうりょ されるようになり、そのため従来 じゅうらい のように大 だい 規模 きぼ 農家 のうか が補助 ほじょ 金 きん の受給 じゅきゅう という点 てん では極端 きょくたん に有利 ゆうり になるということがなくなった。すなわち改革 かいかく された補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど では小規模 しょうきぼ 農家 のうか の存続 そんぞく が可能 かのう となる一方 いっぽう で、大 だい 規模 きぼ 農場 のうじょう にはさらに大 おお きな利益 りえき がもたらされることになった。
環境 かんきょう 問題 もんだい [ 編集 へんしゅう ]
一般 いっぱん 的 てき には共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の下 した で農業 のうぎょう 生産 せいさん 量 りょう は大幅 おおはば に上昇 じょうしょう されてきたと考 かんが えられている。同時 どうじ に化学 かがく 肥料 ひりょう や農薬 のうやく が無分別 むふんべつ に使用 しよう されるなど、生産 せいさん 高 だか を増 ふ やすために非 ひ 環境 かんきょう 的 てき な農業 のうぎょう がはびこることになり、深刻 しんこく な環境 かんきょう 問題 もんだい を惹 ひ き起 お こすことになった。ところが2004年 ねん に補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど が抜本 ばっぽん 的 てき に転換 てんかん され、農業 のうぎょう 政策 せいさく において環境 かんきょう 保護 ほご が重視 じゅうし されることになった。これにより脆弱 ぜいじゃく な地域 ちいき における窒素肥料 ちっそひりょう の使用 しよう 量 りょう が制限 せいげん されることになった。補助 ほじょ 金 きん 支給 しきゅう においても厳格 げんかく な環境 かんきょう 保護 ほご 策 さく が講 こう じられているかということが要件 ようけん となり、厳 きび しく監 かん 視 し されることになっている。
加盟 かめい 国 こく の資金 しきん 拠出 きょしゅつ [ 編集 へんしゅう ]
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく のもとでの受益 じゅえき 国 こく (2004年 ねん )
一部 いちぶ のEU加盟 かめい 国 こく にはほかの加盟 かめい 国 こく に比 くら べて農業 のうぎょう の比重 ひじゅう が大 おお きい国 くに がある。そのような国 くに にはフランスやスペイン、ポルトガルなどがあるが、これらの国 くに は共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく のもとで補助 ほじょ 金 きん をより多 おお く受 う け取 と っている。このほかの加盟 かめい 国 こく はEU予算 よさん のほかの分野 ぶんや から恩恵 おんけい を受 う けている。全体 ぜんたい で見 み ると一部 いちぶ の加盟 かめい 国 こく については、EUに対 たい する拠出 きょしゅつ 額 がく がEUから受 う ける財政 ざいせい 支出 ししゅつ を大 おお きく上回 うわまわ ることになり、とくにその差 さ (純 じゅん 拠出 きょしゅつ 額 がく )が最大 さいだい であるのはドイツ、1人 ひとり あたりでの純 じゅん 拠出 きょしゅつ 額 がく が最大 さいだい であるのはオランダ であるが、イギリスやフランスもそのような状況 じょうきょう にある。逆 ぎゃく にギリシャやアイルランド は1人 ひとり あたりの受益 じゅえき 額 がく (純 じゅん 受益 じゅえき 額 がく )が大 おお きくなっている。
フランスの国内 こくない 総 そう 生産 せいさん (GDP) はイギリスと比 くら べるとわずかに下回 したまわ っており、その一方 いっぽう で人口 じんこう はフランスのほうがイギリスより上回 うわまわ っているため1人 にん あたりの収入 しゅうにゅう はイギリスと比 くら べると若干 じゃっかん 少 すく なくなる。ドイツはフランスやイギリスと比 くら べるとGDPは約 やく 25%高 たか いが、1人 ひとり あたりの収入 しゅうにゅう 額 がく は両国 りょうこく とほぼ同 おな じである。EU予算 よさん に定 さだ められた拠出 きょしゅつ 金 きん を全額 ぜんがく 支払 しはら っており、そのためフランスは他国 たこく から補助 ほじょ 金 きん を受 う け取 と っているといわれることはないが、比較的 ひかくてき 新 あたら しい加盟 かめい 国 こく はEUから財政 ざいせい 支援 しえん をわずかしか受 う け取 と っていない一方 いっぽう で、フランスはなおも共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく のもとでの最大 さいだい の純 じゅん 受益 じゅえき 者 しゃ となっている。
対 たい 英 えい 払 はらい 戻 もど 措置 そち と共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく [ 編集 へんしゅう ]
本来 ほんらい イギリスは、マーガレット・サッチャー 政権 せいけん が1984年 ねん に導入 どうにゅう に漕 こ ぎ着 つ けたイギリスへの毎年 まいとし の払 はらい 戻 もど 制度 せいど がなければ、当時 とうじ 加盟 かめい 国 こく の中 なか でも3番目 ばんめ に貧 まず しい国 くに だったにもかかわらずEC予算 よさん において最大 さいだい の純 じゅん 拠出 きょしゅつ 国 こく となっていたはずだった。対 たい 英 えい 払 はらい 戻 もど 制度 せいど が導入 どうにゅう されたことによって、フランスは払戻金 はらいもどしきん の31%を支払 しはら うことになり、この割合 わりあい は加盟 かめい 国 こく の中 なか で最大 さいだい で、ついでイタリア の24%、スペインの14%と続 つづ く[15] 。
加盟 かめい 国 こく 別 べつ の国土 こくど 全体 ぜんたい に占 し める農地 のうち の割合 わりあい (2004年 ねん )
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ の格差 かくさ はイギリスの不満 ふまん を招 まね いている。2004年 ねん には、国 くに 別 べつ の共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ 先 さき の割合 わりあい においてイギリスが9%である一方 いっぽう で、フランスは22%となっている。これは額 がく に直 なお すと、フランスはイギリスに比 くら べて63億 おく 7000万 まん ユーロ多 おお く受 う け取 と っていることになる[16] 。これはフランスの面積 めんせき がイギリスに比 くら べて2倍 ばい 以上 いじょう であることを反映 はんえい したものである。これに対 たい して対 たい 英 えい 払戻金 はらいもどしきん は2005年度 ねんど でおよそ55億 おく ユーロとなった[17] 。イギリスでは、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく が改革 かいかく されずに対 たい 英 えい 払戻金 はらいもどしきん だけが削減 さくげん されていれば、イギリスは非 ひ 効率 こうりつ 的 てき なフランスの農業 のうぎょう を支 ささ えるために拠出 きょしゅつ 金 きん を払 はら うことになっていたという見方 みかた が一般 いっぱん 的 てき となっており、イギリス国民 こくみん の多 おお くは著 いちじる しく不公平 ふこうへい なものであると考 かんが えている。そのため対 たい 英 えい 払戻金 はらいもどしきん にかんしてフランスが「結束 けっそく 」と「わがまま」というような議論 ぎろん を作 つく り出 だ そうとしていることは、イギリスにおいてはフランスがきわめて利己 りこ 的 てき であるというように映 うつ っている。
仮 かり に共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく が変更 へんこう されずに対 たい 英 えい 払 はらい 戻 もど 措置 そち だけが廃止 はいし された場合 ばあい 、2003年度 ねんど の予算 よさん で試算 しさん するとイギリスの純 じゅん 拠出 きょしゅつ 額 がく はフランスのおよそ30倍 ばい となっていた。対 たい 英 えい 払 はらい 戻 もど 制度 せいど があった場合 ばあい でのイギリスの純 じゅん 拠出 きょしゅつ 額 がく は27億 おく 6300万 まん ユーロであるが、払 はらえ 戻 もど 制度 せいど がなかった場合 ばあい は79億 おく 4800万 まん ユーロで、このときのフランスの純 じゅん 拠出 きょしゅつ 額 がく は2億 おく 6900万 まん ユーロとなるのである[18] 。
2005年 ねん 12月、イギリスは2007年 ねん から2013年 ねん のEU予算 よさん 期間 きかん において対 たい 英 えい 払戻金 はらいもどしきん を約 やく 20%削減 さくげん することに合意 ごうい した。このときイギリスは、削減 さくげん された払戻金 はらいもどしきん は共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 予算 よさん に充 あ てず新規 しんき 加盟 かめい 国 こく の発展 はってん に使 つか うこと、他国 たこく の拠出 きょしゅつ 額 がく と比較 ひかく してイギリスの拠出 きょしゅつ 額 がく が調整 ちょうせい されることを条件 じょうけん に挙 あ げている。このとき共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ は従来 じゅうらい どおりに行 おこな うことが合意 ごうい されており、全体 ぜんたい としてみると共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ がEU予算 よさん に占 し める割合 わりあい は小 ちい さくなった。あわせて欧州 おうしゅう 委員 いいん 会 かい がEUの支出 ししゅつ を見直 みなお すということも合意 ごうい された[19] 。
国家 こっか 干渉 かんしょう としての共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく [ 編集 へんしゅう ]
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく に対 たい するおもな批判 ひはん のなかに、制度 せいど の理論 りろん 面 めん や実務 じつむ 面 めん において保護 ほご 貿易 ぼうえき 的 てき であるという論調 ろんちょう がある。干渉 かんしょう を受 う けない自由 じゆう 市場 いちば は経済 けいざい 資源 しげん をより効率 こうりつ 的 てき に分配 ぶんぱい するものであるという考 かんが え方 かた があり、これを掲 かか げる立場 たちば からするといかなる形態 けいたい での政府 せいふ 介入 かいにゅう を許容 きょよう するものではない。「人為 じんい 的 てき に」形成 けいせい された価格 かかく は必然 ひつぜん 的 てき に生産 せいさん においてゆがみをもたらすもので、たいていは過剰 かじょう 生産 せいさん を起 お こすことになる。共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく において設定 せってい された市場 いちば を上回 うわまわ る価格 かかく で穀物 こくもつ が農家 のうか から直接 ちょくせつ 買 か い上 あ げられ、その莫大 ばくだい な在庫 ざいこ で「穀物 こくもつ の山 やま 」ができあがるということがそのことを顕著 けんちょ に示 しめ している。補助 ほじょ 金 きん 制度 せいど があるために、本来 ほんらい 制度 せいど がなければ存続 そんぞく することができない小規模 しょうきぼ 、前 ぜん 時代 じだい 的 てき 、非 ひ 効率 こうりつ 的 てき な農家 のうか の経営 けいえい が維持 いじ できるのである。ゆがみのない経済 けいざい モデルにおいては、市場 いちば における価格 かかく 水準 すいじゅん の決定 けってい は市場 いちば にまかせ、不経済 ふけいざい な農業 のうぎょう は排除 はいじょ するべきであるという考 かんが え方 かた がある。制度 せいど が健全 けんぜん 化 か されれば農業 のうぎょう に浪費 ろうひ されてきた経済 けいざい 資源 しげん を社会 しゃかい 基盤 きばん 整備 せいび や教育 きょういく 、医療 いりょう 保障 ほしょう といったより生産 せいさん 的 てき な分野 ぶんや に振 ふ り向 む けることができる。
経済 けいざい 的 てき 持続 じぞく 可能 かのう 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
経済 けいざい の専門 せんもん 家 か のあいだでは、拡大 かくだい EUにおいて共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく は持続 じぞく 可能 かのう 性 せい がないと考 かんが えられている。実際 じっさい に2004年 ねん 5月 がつ 1日 にち に10か国 こく が新 あら たにEUに加盟 かめい したことで、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ を制限 せいげん しなければならなくなった。新規 しんき 加盟 かめい 国 こく の中 なか で最 もっと も大 おお きいポーランド はおよそ200万 まん 件 けん の小規模 しょうきぼ 農家 のうか を抱 かか えている。この件数 けんすう はほかの新規 しんき 加盟 かめい 国 こく と比 くら べてもはるかに大 おお きいものであるが、これは同時 どうじ に加盟 かめい 国 こく が増 ふ えることで共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく における補助 ほじょ 金 きん の支給 しきゅう 額 がく が急増 きゅうぞう するということも示 しめ している。拡大 かくだい 以前 いぜん においても共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく はEU予算 よさん の極 きわ めて大 おお きな部分 ぶぶん を費 つい やしており、1980年代 ねんだい 後半 こうはん にはその比率 ひりつ が90%を上回 うわまわ ったということもあった。農業 のうぎょう 従事 じゅうじ 者 しゃ の人口 じんこう 比率 ひりつ は小 ちい さく、また農業 のうぎょう から発生 はっせい するGDPも相対 そうたい 的 てき に小 ちい さいということを考 かんが えると、共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく 関連 かんれん 支出 ししゅつ は過剰 かじょう であるという見方 みかた が広 ひろ く浸透 しんとう している。
恩恵 おんけい を受 う ける件数 けんすう [ 編集 へんしゅう ]
共通 きょうつう 農業 のうぎょう 政策 せいさく の恩恵 おんけい を受 う けるのヨーロッパ人 じん はごく少数 しょうすう に限 かぎ られるという批判 ひはん がある。農業 のうぎょう 従事 じゅうじ 者 しゃ はEU域内 いきない の人口 じんこう のわずか%にすぎず、農業 のうぎょう 部門 ぶもん のGDPはEU全体 ぜんたい の3%に満 み たない。ヨーロッパの農家 のうか の件数 けんすう は毎年 まいとし 2%ずつ減少 げんしょう しており、さらにはほとんどのヨーロッパ人 じん が農村 のうそん 部 ぶ ではなく都市 とし 部 ぶ に住 す んでいる。しかしこれに対 たい しては補助 ほじょ 金 きん が農村 のうそん 部 ぶ の環境 かんきょう 保護 ほご に欠 か かせず、また税関 ぜいかん 手数料 てすうりょう を復活 ふっかつ させればいずれにせよ一部 いちぶ の加盟 かめい 国 こく が農家 のうか に対 たい する支援 しえん を行 おこな うという反論 はんろん がなされている。