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原産地名称保護制度 - Wikipedia コンテンツにスキップ

原産地げんさんち名称めいしょう保護ほご制度せいど

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
PDO(原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご)のロゴ
ただし、とうマークはフランス語ふらんすごのもの。

原産地げんさんち名称めいしょう保護ほご制度せいど(げんさんちめいしょうほうごせいど)とは、農業のうぎょうかんするヨーロッパの制度せいどひとつで、農産物のうさんぶつ食品しょくひん原産地げんさんちめいそのものを独占どくせんてき排他はいたてき利用りようできる権利けんり保護ほごする制度せいどである。このようもちいられる生産せいさんひん名前なまえは『地理ちりてき表示ひょうじ』とばれ、知的ちてき財産ざいさんけんひとつ。

ヨーロッパにおける地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいどは、2020ねん現在げんざい農産物のうさんぶつおよび食品しょくひん品質ひんしつ制度せいどかんする欧州おうしゅう議会ぎかいおよび欧州おうしゅう理事りじかいの2012ねん11月21にち欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012 」で規定きていされている[注釈ちゅうしゃく 1]原産地げんさんち名称めいしょう (Designation of origin) は、日本語にほんごでは原産地げんさんち呼称こしょうともばれ、地理ちりてき表示ひょうじ一種いっしゅである。本稿ほんこうでは原産地げんさんち呼称こしょう保護ほごそのものだけでなく、おな規則きそくさだめられている地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご[注釈ちゅうしゃく 2]伝統でんとうてき特産とくさんひん保護ほご任意にんいてき品質ひんしつ用語ようごについてもべる。

なお、地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごのテーマで「品質ひんしつ (quality)」という単語たんごもちいられるが、この文脈ぶんみゃく使つかわれる品質ひんしつかたりは、その製品せいひんこのましい特質とくしつ性質せいしつし、ISO9000:2015「品質ひんしつマネジメントシステム-基本きほんおよ用語ようご定義ていぎされる「品質ひんしつ」とはことなる。ISO9000で定義ていぎされる品質ひんしつは、顧客こきゃく期待きたい要求ようきゅうたす度合どあいをう。一般いっぱんに「あの肉屋にくやにく品質ひんしつはいい」「あのメーカーのカメラの品質ひんしつはいい」などという場合ばあい品質ひんしつは、普通ふつうは「購入こうにゅうしゃ期待きたいこたえている」という意味いみであり、これはISO9000で定義ていぎされるところの品質ひんしつである。その製品せいひんこのましい特質とくしつ性質せいしつたとえば独特どくとく風味ふうみ独創どくそうてき機能きのうそのものをして「にく品質ひんしつ」とか「カメラの品質ひんしつ」とっているわけではない。本稿ほんこうでは「品質ひんしつ」という単語たんごを、ISO9000で定義ていぎされる「品質ひんしつ」の意味いみ以外いがいには、なるべくもちいないようにした。

地理ちりてき表示ひょうじ

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シャンパン
フランスのシャンパーニュ地方ちほうにおいて、AOCでめられた仕様しようもとづいて製造せいぞうされた発泡はっぽうワインだけが"シャンパン"の名前なまえ使用しようできる。
夕張ゆうばりメロン
日本にっぽんにおける地理ちりてき表示ひょうじれい地理ちりてき表示法ひょうじほうもとづき、地理ちりてき表示ひょうじとして登録とうろくもされている。

地理ちりてき表示ひょうじとはなにかということについて、ひろれられている定義ていぎはないが[1]、ある生産せいさんぶつ特筆とくひつされるしつ評判ひょうばん、その特性とくせい理由りゆうを、その製品せいひんさんする土地とち地理ちりてき要因よういんひと自然しぜん環境かんきょう要因よういん本質ほんしつてきもとめることができるとき、製品せいひんがそのようなかぎられた特定とくてい地区ちく地方ちほうしたものであることを地理ちりてき表示ひょうじしめ[1]。そのようなものが地理ちりてき表示ひょうじである。

この一般いっぱんてき意味いみでの地理ちりてき表示ひょうじ英語えいごではGI、GIsあるいはGI'sともりゃくされる (Geographical Indications)。たとえば、発泡はっぽうワイン世界せかい各地かくち生産せいさんされているが、フランスのシャンパーニュ地方ちほう生産せいさんされている発泡はっぽうワインはとくシャンパンとしてほか発泡はっぽうワインとは区別くべつされている。シャンパンの名前なまえがシャンパーニュ地方ちほう生産せいさんされた発泡はっぽうワインであることをしめ地理ちりてき表示ひょうじである。地理ちりてき表示ひょうじはそれが本物ほんものであり、地域ちいきつたわる伝統でんとうてき産物さんぶつであることをあらわ[2]。そしてこのシャンパーニュ地方ちほう生産せいさんされているという地理ちりてき表示ひょうじが、発泡はっぽうワインとはちが特別とくべつ発泡はっぽうワイン、つまり本物ほんもののシャンパンであるという付加ふか価値かちをつけているのである。日本にっぽんれいでいえば夕張ゆうばりメロン吉野よしのかずら紀州きしゅう備長ずみなどが地理ちりてき表示ひょうじにあたる。

ヨーロッパの地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいどでは、その保護ほご対象たいしょうとなる地理ちりてき名前なまえ現地げんちでの呼称こしょうにとどまらず、外国がいこく国語こくご翻訳ほんやくされた呼称こしょうわせて保護ほご対象たいしょうとなる[3]。つまり、たとえば、フランス語ふらんすごの “Champagne" は地理ちりてき表示ひょうじとして保護ほごされている。この場合ばあい英語えいごの“Champagne”(おなじつづりだが発音はつおんちがう)、ドイツの“Champagner”、日本語にほんごの「シャンパン」もおなじように保護ほごされているので、これらのかたりしめ地域ちいきがい生産せいさんされた製品せいひん以外いがいにこれらの名前なまえ使用しようすることはできない。また、保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじを「―ふう」あるいは「模造もぞう―」などというふう使つかうことも禁止きんしされている[4]たとえば、保護ほごされているコニャックという地理ちりてき表示ひょうじ使つかった「コニャックふうブランデー」であるとか、「模造もぞうコニャック」というような名称めいしょう使用しようできない。

さくらエビの佃煮つくだに
"佃煮つくだに"は地理ちりてき表示ひょうじだが、保護ほごされるまえ一般いっぱん名詞めいしになった。

地理ちりてき表示ひょうじ特別とくべつ保護ほごしないとすると、消費しょうひしゃにとってその製品せいひん地理ちりてき地名ちめいとの関係かんけいうしなわれてしまうし、さらにわるいケースでは地理ちりてき表示ひょうじ一般いっぱん名詞めいし[注釈ちゅうしゃく 3]となってしまい[5]、そうなると地理ちりてき表示ひょうじ付加ふか価値かちかなくなってしまう。たとえば、佃煮つくだに本来ほんらい江戸えどつくだとう由来ゆらいする[6]地理ちりてき表示ひょうじである。つまり、つくだとう生産せいさんされたから佃煮つくだにったのだが、いま佃煮つくだにはどこで生産せいさんされようとも、しょうさかななどを甘辛あまから食品しょくひん一般いっぱん名詞めいしとなっている。かりに、現在げんざい東京とうきょう中央ちゅうおうつくだにおいて、「佃煮つくだに」を生産せいさんして市場いちばしても、つくだをもって佃煮つくだに差別さべつはかって付加ふか価値かちをつけることはできないし、そもそも「佃煮つくだに」をつくだないしつくだとうむすびつけてかんがえることが一般いっぱんてきなのかどうかもわからない。地理ちりてき表示ひょうじ付加ふか価値かちでありつづけるには、その地理ちりてき表示ひょうじを、該当がいとうする生産せいさんぶつたいして独占どくせんてき排他はいたてき使用しようできる権利けんり特別とくべつあたえる必要ひつようがあるのである。

また、このような付加ふか価値かち地理ちりてき表示ひょうじは、それ自体じたい財産ざいさんとされうるべきものであり、商標しょうひょう特許とっきょ著作ちょさくけんというような知的ちてき財産ざいさん一種いっしゅである。1994ねんつくられたWTO設立せつりつ協定きょうてい付属ふぞくしょ1CであるTRIPS協定きょうてい知的ちてき財産ざいさん全体ぜんたいほこするための協定きょうていであるが、そのだい3せつ(22じょうと23じょう)に地理ちりてき表示ひょうじかんする規定きていさだめられている。地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょうているが、商標しょうひょう特定とくてい生産せいさんしゃ製品せいひんにつけるものであるのにたいし、地理ちりてき表示ひょうじ特定とくてい地域ちいき製品せいひんたいしてつけるものであるというてんことなる[7]

地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご世界せかいてきには以下いか条約じょうやく協定きょうてい規定きていされている[8]

地理ちりてき表示ひょうじ知的ちてき財産ざいさんとちがい、知的ちてき所有しょゆうけんだけでなく、貿易ぼうえき農業のうぎょう政策せいさくという3つのテーマの交差こうさするてんにあるテーマであり、はげしい議論ぎろん対象たいしょうになっている[9]。そもそも自由じゆう貿易ぼうえき知的ちてき所有しょゆうけんあいだ関係かんけい不明瞭ふめいりょう議論ぎろんになっており、したがってWTOに知的ちてき所有しょゆうけんふくまれることにたいする理論りろんてき根拠こんきょ明確めいかくなままなのである[10]。また、農業のうぎょう団体だんたい先進せんしんこくのどこでも強力きょうりょくなロビー活動かつどうをしているもので、さらに政府せいふおおくの補助ほじょきんしているのがふつうである。地理ちりてき表示ひょうじ外国がいこくさんてい価格かかく農業のうぎょう製品せいひん対抗たいこうする手法しゅほうひとつで、これは農業のうぎょう製品せいひんについてきゅう世界せかいしん世界せかいたいする法的ほうてき保護ほご保証ほしょうするこころみであるとひろ理解りかいされている[9]

地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごする方法ほうほう

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地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごすることの背景はいけいには、特別とくべつ性格せいかくをもつ農産物のうさんぶつ食品しょくひんとく原産地げんさんちとのむすびつきのあるものたいする需要じゅようがあることがあげられる。これはしち伝統でんとうてき製品せいひんへの消費しょうひしゃ要求ようきゅう次第しだいおおきくなり、また、農産物のうさんぶつ多様たようせい維持いじすることにも関心かんしんけられている[11]からである。一方いっぽう生産せいさんしゃ立場たちばからえば、その努力どりょく見合みあ対価たいかることができなければこのような様々さまざましつ生産せいさんぶつ生産せいさん継続けいぞくすることはできない。そのためには取引とりひき業者ぎょうしゃ生産せいさんしゃ製品せいひん特性とくせいについてつたえる手段しゅだん必要ひつようであり、それが市場いちばただしく表示ひょうじされる手段しゅだん必要ひつようとなるのである[12]

このように様々さまざましつ製品せいひんたいする対価たいかられる枠組わくぐみは農村のうそん経済けいざいてき利益りえきをもたらし、それは山間さんかん遠隔えんかくのような農業のうぎょう収入しゅうにゅう割合わりあいたか地域ちいき顕著けんちょあらわれる[13]。また、地理ちりてき表示ひょうじがもたらす製品せいひんのブランド価格かかくにより、地方ちほう雇用こよう創出そうしゅつして過疎かそふせぎ、しばしば観光かんこう産業さんぎょう飲食いんしょく産業さんぎょうにおいて重要じゅうよう波及はきゅう効果こうかをもたらす[14]。このようなことから、地理ちりてき表示ひょうじ地域ちいき発展はってん寄与きよしうるとされている[14]

この地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごするためには3つの方法ほうほうがある[15]

江戸えど甘味噌あまみそ
地理ちりてき表示ひょうじ地域ちいき団体だんたい商標しょうひょうとして登録とうろくされ、保護ほごされている。権利けんりしゃである東京とうきょう味噌みそ工業こうぎょう協同きょうどう組合くみあい組合くみあいいんのみが江戸えど甘味噌あまみそ商標しょうひょう使用しようできる。

ひとつは商標しょうひょう一種いっしゅとして保護ほごする方法ほうほうで、北米ほくべいなどでれられている。日本にっぽんでも地域ちいき団体だんたい商標しょうひょうとして産地さんち名前なまえかんした商標しょうひょう登録とうろくでき、これは特許庁とっきょちょう管理かんりしている。2006ねん改正かいせいされた商標しょうひょうほう施行しこうされて最初さいしょ青森あおもりけん田子たごまちのたっこにんにくが登録とうろくされたほか、山形やまがたけん米沢よねざわうし[注釈ちゅうしゃく 5]福井ふくいけん越前えちぜんがに、東京とうきょう江戸えど甘味噌あまみそなどが地域ちいき団体だんたい商標しょうひょうとして登録とうろくされている[16]日本にっぽんでは、地域ちいき団体だんたい商標しょうひょう制度せいど確立かくりつする以前いぜんには「地域ちいきめい」+「商品しょうひん役務えきむ普通ふつう名称めいしょう」という文字もじ商標しょうひょう商標しょうひょうとして登録とうろくできなかった。地名ちめい普通ふつう名称めいしょう一般いっぱん使つかわれているものであって、特定とくてい個人こじん団体だんたい独占どくせんてき使用しようさせるわけにはいかないからである。しかしそのとき、「地域ちいきめい」+「商品しょうひん役務えきむ普通ふつう名称めいしょう」はだれにでもなににでも使用しようできることになって、地域ちいき特産とくさんひん特別とくべつものとして積極せっきょくてきそだてようとしている場合ばあいには不都合ふつごうである。たとえば長年ながねん工夫くふう努力どりょくをして商品しょうひんのブランドをきずいてきても、偽物にせもの出回でまわことがあるからである[17]

日本にっぽん地域ちいき団体だんたい商標しょうひょうはすでに確立かくりつした知名度ちめいどをもっているもの対象たいしょうとしている。ものやサービスの名前なまえだけでなく、その名前なまえ特定とくてい団体だんたい(その土地とち業界ぎょうかい団体だんたいなど)との関係かんけいられていることももとめられている[18]ので、あまりにひろもちいられていて、すでに特定とくてい団体だんたいとの関係かんけい希薄きはくになっている場合ばあい(つまり、「どこでもだれでも使つかっている」という状態じょうたい)はこの周知しゅうちせい要件ようけんたしていないとして登録とうろく拒絶きょぜつされる。たとえば、喜多方きたかたラーメンきょう料理りょうり出願しゅつがんはされたが地域ちいき団体だんたい商標しょうひょうとして登録とうろくされなかった[19]

但馬たじまうし
地理ちりてき表示法ひょうじほうもとづいて登録とうろくされた地理ちりてき表示ひょうじのうち最初さいしょ登録とうろくされたもののひとつ。

ふた地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごする独特どくとくの (sui generis) 仕組しくみをととのえることで、これがヨーロッパで採用さいようされている方法ほうほうである。日本にっぽんでも国税局こくぜいきょく所管しょかんする酒税しゅぜい保全ほぜんおよ酒類しゅるいぎょう組合くみあいとうかんする法律ほうりつでワイン、蒸留酒じょうりゅうしゅ清酒せいしゅ地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごしている。たとえば、清酒せいしゅたいして「白山はくさん」のかんするには、石川いしかわけん白山はくさん製造せいぞうされて、そのめられた要件ようけんたさなければならない。そのにも、2014ねん農林のうりん水産物すいさんぶつ食品しょくひんについての地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご目的もくてきとする特定とくてい農林のうりん水産物すいさんぶつとう名称めいしょう保護ほごかんする法律ほうりつ略称りゃくしょう地理ちりてき表示法ひょうじほう)が公布こうふされた。この法律ほうりつ農林水産省のうりんすいさんしょう所管しょかんしている。ただし、日本にっぽん地理ちりてき表示法ひょうじほうもとづいて登録とうろくされた生産せいさんぶつ名前なまえにはいぶりがっこのように地名ちめいはいっていないれいがある。ヨーロッパの地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいどさだめる欧州おうしゅう規則きそくでは、地名ちめいふくまない名前なまえたいしては伝統でんとうてき特産とくさんひん保護ほごという、地理ちりてき表示ひょうじとはべつのカテゴリーが規定きていされている。

日本にっぽんにおいて、地理ちりてき表示法ひょうじほう地域ちいき団体だんたい商標しょうひょうおなじく地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごする仕組しくみであるが、地理ちりてき表示法ひょうじほうもとづいて地理ちりてき表示ひょうじ登録とうろくされるにはたん商品しょうひん名前なまえだけでなく、商品しょうひん生産せいさん方法ほうほう商品しょうひんもとめられる特性とくせいさだめる必要ひつようがあり、登録とうろく権利けんりしゃ品質ひんしつ管理かんりおこなうことがもとめられている[20]ほかにも地域ちいき団体だんたい商標しょうひょう不正ふせい使用しようたいしてただちにみずか損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう差止さしどめ請求せいきゅうおこなうことがるのにたいし、地理ちりてき表示法ひょうじほうもとづく地理ちりてき表示ひょうじ不正ふせい使用しよう行政ぎょうせいまるというちがいがある[20]

タイワンシジミ
シジミ一種いっしゅだが、輸入ゆにゅうされたタイワンシジミ国産こくさんシジミといつわって販売はんばいされ、不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほう違反いはんなどのつみわれるれいがしばしばある。

地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごする方法ほうほうみっとして、不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしなどの一般いっぱんてき規則きそく利用りようして地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごする方法ほうほうもある。日本にっぽんでも、たとえばパルマさんでないハムについてパルマさんであるかのように表示ひょうじすることは、経済けいざい産業さんぎょうしょう所管しょかんする不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほう禁止きんしされている[21]実際じっさいれいとしては、2008ねん大阪おおさか高級こうきゅう料亭りょうてい船場ふなば吉兆きっちょう牛肉ぎゅうにくのみそけの産地さんち偽装ぎそうかん不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほう違反いはん虚偽きょぎ表示ひょうじ)のつみ罰金ばっきんされたれいや、2010ねん中国ちゅうごくさんのワカメを鳴門なるとわかめいつわって販売はんばいしたマルナガ水産すいさん社長しゃちょう逮捕たいほされたれいなどがある。日本にっぽんにおいて地理ちりてき表示ひょうじ不正ふせい利用りよう、つまり産地さんち偽装ぎそうについては、不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほう以外いがいにもべいトレーサビリティほうでもちょくばっ[注釈ちゅうしゃく 6]規定きていさだめられているし、2015ねん以前いぜんはJASほうでもちょくばっ規定きていがあった。そのなか不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほうによる罰則ばっそく一番いちばんおもいので当局とうきょく不正ふせい競争きょうそう防止ぼうしほう違反いはんにより検挙けんきょ起訴きそすることになる[22]おな不正ふせい行為こういについてわざわざかる罰則ばっそく理由りゆうがないからである。

農林水産省のうりんすいさんしょうは2002ねんより「食品しょくひん表示ひょうじ110ばん」を開設かいせつ食品しょくひん偽装ぎそう情報じょうほうせんもんけているほか、検査けんさなどの方法ほうほう業者ぎょうしゃ指導しどう監督かんとくおこな権限けんげんゆうしている。犯罪はんざいせいつよいと判断はんだんされる案件あんけんについては警察けいさつしょ刑事けいじ告発こくはつおこなうことになる。また、新潟にいがたけんでは新潟にいがたさんとされるコメのDNA検査けんさ定期ていきてきおこない、実際じっさいに、新潟にいがたさんいつわってブレンド米ぶれんどまい販売はんばいしていた業者ぎょうしゃを2012ねん刑事けいじ告発こくはつしたこともある。

商標しょうひょうとして地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごする方法ほうほう

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前述ぜんじゅつのように、既存きそん知的ちてき財産ざいさん保護ほご枠組わくぐみのなか地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょうとして保護ほごする方法ほうほうがあり、たとえばアメリカではもっぱら地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょうほうさだめる証明しょうめい商標しょうひょうまたは団体だんたい商標しょうひょうとして保護ほごしている[23]。アメリカでは1946ねんから地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごしており、TRIPS協定きょうてい(1995ねん)よりずっとはや[24]地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょうおなじく以下いかのような機能きのうっているとされている[24]

  1. 製品せいひん出自しゅつじ(生産せいさんしゃ販売はんばいしゃ)をしめすこと
  2. しつ保証ほしょうすること
  3. さまざまなビジネスじょう利益りえきとなること

同国どうこくでは地理ちりてき表示ひょうじをもっぱら企業きぎょう生産せいさんしゃグループの競争きょうそうりょくもとになる知的ちてき所有しょゆうけんとみており、農業のうぎょう振興しんこう地域ちいき伝統でんとう保護ほごという性格せいかくをもつヨーロッパでの地理ちりてき表示ひょうじとは位置いちづけがことなる[25]商標しょうひょう保護ほごする仕組しくみを利用りようする利点りてんとしてはつぎのようなてんがあげられる[26][27]

  • 国内外こくないがいのビジネスにおいてすでに実効じっこうのある制度せいどであり、仲裁ちゅうさい機関きかんもよくわかっている制度せいどである。
  • 先行せんこうする権利けんり優先ゆうせんされること。
  • どのような製品せいひん・サービスも保護ほごすることができる。
  • 政府せいふ地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごのためにあたらしく予算よさん人員じんいんてる必要ひつようがない。
  • たんなる名前なまえだけでない地理ちりてき表示ひょうじ(視覚しかくてき意匠いしょうやスローガンなど)にも容易ようい対応たいおうできる。
  • マドリッド協定きょうてい議定ぎていしょとしてひろれられている。

これにたいして地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょうとはべつものとしてあつか場合ばあい利点りてんにはつぎのようなものがある[28]

  • 地理ちりてき表示ひょうじ一般いっぱんてき名称めいしょうになることはない[注釈ちゅうしゃく 7]
  • 期限きげんであること。
  • 更新こうしん登録とうろくにも、おおくの場合ばあい費用ひようからない。
  • 使用しようしないことによるペナルティや登録とうろくしがない。
  • 一般いっぱん公共こうきょうみであること。
  • 裁判さいばんにおいて第三者だいさんしゃ使用しようじょうきょうあきらかにする必要ひつようがない。
アイダホポテトの証明しょうめい商標しょうひょう(認証にんしょうマーク)
アイダホポテトの地理ちりてき表示ひょうじ証明しょうめい商標しょうひょうとして保護ほごされている。

地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごもちいられる商標しょうひょうのうち、証明しょうめい商標しょうひょうとはその商標しょうひょうがあらかじめさだめられた品質ひんしつたされていることや特別とくべつ特性とくせいつことをしめ商標しょうひょうである。地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご文脈ぶんみゃくでは「証明しょうめい商標しょうひょう」とわれることがおおいが、おおくの場合ばあいそれは認証にんしょうマークである。ただし、アメリカの商標しょうひょうほうでの証明しょうめい商標しょうひょう定義ていぎにはシンボルだけでなく、単語たんご名前なまえなどもふくまれる[27]地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごについては、たとえば、アイダホポテトは地理ちりてき表示ひょうじ証明しょうめい商標しょうひょうとして登録とうろくされている[注釈ちゅうしゃく 8]。アメリカの証明しょうめい商標しょうひょうは、原産地げんさんち表示ひょうじのほかに、製品せいひんやサービスのしち特性とくせいなどを表示ひょうじするものや(たとえばエネルギースター)、特定とくてい団体だんたいぞくするものによって製造せいぞう提供ていきょうされた製品せいひんやサービスであることをしめすものがある(たとえば認定にんていパラリーガル[29][27]

通常つうじょう商標しょうひょうとはちがい、“anti-use-by-owener rule(所有しょゆうしゃ使つかえないまり)”[30]となっている。というのも証明しょうめい商標しょうひょう所有しょゆうしゃは、自分じぶん以外いがいもの製造せいぞうしたものや提供ていきょうするサービスがその証明しょうめい商標しょうひょうしめ要件ようけんたしているということをみとめるだけだからである。証明しょうめい商標しょうひょう地理ちりてき表示ひょうじとして使用しようされる場合ばあい、アメリカのれいでいえば証明しょうめい商標しょうひょう所有しょゆうしゃはほとんどが行政ぎょうせい機関きかんかその外郭がいかく団体だんたいであり[31]私的してき個人こじんではない。それは、該当がいとうする地域ちいきもの自由じゆう使つかえるものであるし、証明しょうめい商標しょうひょう所有しょゆうしゃはその誤用ごよう不法ふほう使用しようふせがなければならず、個人こじん活動かつどうとしては十分じゅうぶんにこれらをこなすことはできないからである[31]たとえば、アイダホポテトの証明しょうめい商標しょうひょう所有しょゆうしゃはアイダホしゅう政府せいふいち機関きかんであるアイダホポテト委員いいんかいである[32]

団体だんたい商標しょうひょう通常つうじょう商標しょうひょうおなじように商品しょうひんやサービスの出自しゅつじあらわすものであるが、その出自しゅつじ特定とくてい一個人いっこじん法人ほうじんではなく、ある団体だんたい構成こうせいいんであることをしめ[33]たとえば、オレゴンしゅうおよびアイダホしゅうスネークがわ流域りゅういき栽培さいばいされているスパニッシュオニオンは「SPANISH ONIONS IDAHO EASTERN OREGON」として団体だんたい商標しょうひょう登録とうろくされている[34]。この商標しょうひょう所有しょゆうしゃはアイダホ・ひがしオレゴンたまねぎ委員いいんかいであり、この商標しょうひょうたまねぎが委員いいんかいのメンバーによって栽培さいばいされたたまねぎであることをあらわす。商標しょうひょう所有しょゆうしゃ自身じしん商品しょうひん販売はんばいせず、商標しょうひょうしめ商品しょうひん宣伝せんでんする役割やくわり[33]。なお、アメリカにおいては、団体だんたい商標しょうひょう (Collective Marks) をさらに狭義きょうぎ団体だんたい商標しょうひょう (Collective trademarks / Collective service marks) と団体だんたい会員かいいん商標しょうひょう (Collective membership marks) にけている[35]。ここでいう団体だんたい商標しょうひょうとはある団体だんたい会員かいいんのみが使用しようできる製品せいひんやサービスにたいする商標しょうひょうであり、団体だんたい会員かいいん商標しょうひょうとはその団体だんたい会員かいいんであることをしめ商標しょうひょうである。団体だんたい商標しょうひょうれいとして、地理ちりてき表示ひょうじとは無関係むかんけいであるが、FTD(Florists' Transworld Delivery – 日本にっぽんはなキューピットのモデルになったサービス)や、団体だんたい会員かいいん商標しょうひょうれいとしてAAA日本にっぽんJAF相当そうとうする団体だんたい)をげることができる[36]

日本にっぽんでは地理ちりてき表示ひょうじふく商標しょうひょう地域ちいき団体だんたい商標しょうひょうとしてたんなる団体だんたい商標しょうひょうとはべつのカテゴリーにしているが、これは世界せかいてきればめずらしいれいで、普通ふつうれいでは通常つうじょう団体だんたい商標しょうひょうとして登録とうろくする[37]

フィラデルフィア・クリームチーズ
フィラデルフィアで製造せいぞうされているわけではないことはだれもが認識にんしきしている。

アメリカにおいては、地名ちめい通常つうじょう商標しょうひょうとして登録とうろくすることもできる。ただし、それはその商品しょうひん出自しゅつじられているものかぎるし、その場合ばあい生産せいさんしめすとはかぎらない。たとえば「フィラデルフィア」はクリームチーズ商標しょうひょうとして商標しょうひょう登録とうろくされている[38]。この場合ばあい当該とうがい製品せいひんフィラデルフィア生産せいさんされていることを意味いみしない。フィラデルフィアはクラフト・ハインツ販売はんばいする軟質なんしつチーズであると消費しょうひしゃ認識にんしきされており、べつ製造せいぞう業者ぎょうしゃがクラフト・ハインツしゃ製品せいひん評判ひょうばん便乗びんじょうすることをふせぐためにこれが商標しょうひょうとして保護ほごされているわけである。地名ちめい商品しょうひんめいかんされている場合ばあいたしかにまずは消費しょうひしゃはその製造せいぞうされたものとかんがえるであろうが、一方いっぽうでこのフィラデルフィアのれいのようにどの会社かいしゃ製品せいひんであるかという製品せいひん出自しゅつじしめはたらきもあるとされている[33]

なお、アメリカでもスイスチーズバーミューダショーツのように地名ちめいもちいてはいてもすでに一般いっぱんてき名称めいしょうになっているものは商標しょうひょうとしても保護ほご対象たいしょうにならない[23]

ヨーロッパの地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいど

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ロックフォール・チーズ
保護ほごされている地理ちりてき表示ひょうじれいとしてもっともられているもののひとつ。パッケージ上面うわつらにある、黄色おうしょくあかまるいマークが保護ほごされる地理ちりてき表示ひょうじのカテゴリーのひとつであるPDO(原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご)のマーク。

たとえば北米ほくべいなどでは地理ちりてき表示ひょうじにはあまり関心かんしんをもたれない。シャンパンについているAOCラベルやスコッチウィスキーやアイリッシュウィスキーのGI'sマークは製品せいひん特徴とくちょうづけることにはならず、地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょうつブランドイメージほどに意味いみたない[39]。それにたいし、ヨーロッパでは土地とち土壌どじょう気候きこう伝統でんとうてき手法しゅほうというものは製品せいひんしつ決定的けっていてき影響えいきょうあたえるとおおくのひとかんがえている[40]。そのため原産地げんさんちがどこであるかという表示ひょうじ敏感びんかんである。

ヨーロッパのいくつかのくにではむかしから地域ちいき特産とくさんぶつ保護ほごし、市場いちばへのアピールをつよめるために地理ちりてき名称めいしょう使用しよう管理かんりするまりを整備せいびしていた。フランスはその分野ぶんやでの第一人者だいいちにんしゃであり、地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいどは、いまをさかのぼること16世紀せいきロックフォール・チーズのためにその名称めいしょう保護ほごしたことにはじまる[41]

1883ねんにはパリ条約じょうやくで false indicationsの条項じょうこう地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご規定きていされていた。1891ねんのマドリッド協定きょうていでもやはり地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごれている。20世紀せいきはいって1958ねんのリスボン協定きょうてい、1994ねんの TRIPS協定きょうていでも地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご規定きていされている。

1992ねんには欧州おうしゅう連合れんごう理事りじかい農産物のうさんぶつおよび食品しょくひんのための原産地げんさんち呼称こしょうおよび地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごかんする理事りじかい規則きそくNo2081/92を制定せいていした。この規則きそくでは原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご (PDO: the protected designation of origin) と地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご (PGI: the protected geographical indication) の枠組わくぐみをさだめている。おなねんに、伝統でんとうてき特産とくさんひん保護ほごかんする理事りじかい規則きそく No 2082/92が制定せいていされた。この認証にんしょう枠組わくぐみは欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそくNo 1848/93の時点じてんから伝統でんとうてき特産とくさんひん保護ほご (TSG:the traditional specialty guaranteed) とばれている[42]。そのこのふたつの理事りじかい規則きそくは、欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012にえられて、2014ねん現在げんざいこの規則きそく地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごかんする現行げんこう規則きそくである。そのにもワインや蒸留酒じょうりゅうしゅ地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごかんする法律ほうりつや、そのさい細則さいそくがあり、おもなものは以下いかひょうのとおりである。

地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごかんするEUのおも法律ほうりつ[43]
成立せいりつねん 名称めいしょう 備考びこう
1989ねん 蒸留酒じょうりゅうしゅ定義ていぎ説明せつめいおよび表示ひょうじかんする一般いっぱん規則きそくさだめる1989ねん5がつ29にち欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo 1576/89 欧州おうしゅう規則きそくNo110/2008にえられた。
1990ねん ワインおよ原料げんりょうのブドウの説明せつめいおよび表示ひょうじのための細則さいそくさだめる1990ねん10日とおかおよび16にち欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそくNo3201/90 欧州おうしゅう規則きそくNo753/2002にえられた。
1991ねん アロマタイズド・ワインとアロマタイズド・ワインを原料げんりょうとした飲料いんりょう、アロマタイズドワイン・のカクテル製品せいひん定義ていぎ説明せつめいおよび表示ひょうじかんする一般いっぱん規則きそくさだめた1991ねん6がつ10日とおか欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo1601/91 欧州おうしゅう規則きそくNo251/2014 にえられた。
1992ねん 農産物のうさんぶつおよび食品しょくひんのための地理ちりてき表示ひょうじおよび原産地げんさんち呼称こしょう保護ほごかんする1992ねん7がつ14にち欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo2081/92 欧州おうしゅう規則きそくNo510/2006にえられた。
農産物のうさんぶつおよび食品しょくひんのための特性とくせい証明しょうめいかんする1992ねん7がつ14にち欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo2082/92 欧州おうしゅう規則きそくNo509/2006にえられた。
1999ねん ワイン市場いちば共通きょうつう組織そしきかんする1999ねん5がつ17にち欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo1493/1999 欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく479/2008にえられた。
1993ねん 農産物のうさんぶつおよび食品しょくひんのための特性とくせい証明しょうめいかんする欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo2082/92の適用てきようかんする細則さいそくさだめる欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそくNo1848/93 欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそくNo1216/2007にえられた。
1994ねん 蒸留酒じょうりゅうしゅ定義ていぎ説明せつめいおよび表示ひょうじかんする一般いっぱん規則きそくさだめる欧州おうしゅう規則きそくNo1576/89およびアロマタイズド・ワインとアロマタイズド・ワインを原料げんりょうとした飲料いんりょう、アロマタイズドワイン・のカクテル製品せいひん定義ていぎ説明せつめい、および表示ひょうじかんする一般いっぱん規則きそくさだめた欧州おうしゅう規則きそく1601/91にたいする、多国たこくあいだ通商つうしょう交渉こうしょうのウルグアイ・ラウンドをまえた補足ほそくとなる欧州おうしゅう規則きそくNo3378/94 欧州おうしゅう規則きそくNo 251/2014にえられた。
2002ねん ワイン分野ぶんや製品せいひん一部いちぶ説明せつめい名称めいしょう表示ひょうじ保護ほごかんして、欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく1493/1999の適用てきようのための規則きそくさだめる2002ねん4がつ29にち欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそくNo753/2002 欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそくNo607/2009にえられた。
2006ねん 伝統でんとうてき特産とくさんひんとしての農産物のうさんぶつおよび食品しょくひんかんする2006ねん3がつ20日はつか欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo509/2006 TGSの規定きてい欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012にえられた。
農産物のうさんぶつおよび食品しょくひんのための地理ちりてき表示ひょうじおよび原産地げんさんち呼称こしょう保護ほごかんする2006ねん3がつ20日はつか欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo510/2006 PDOとPGIの規定きてい欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012にえられた。
農産物のうさんぶつおよび食品しょくひんのための地理ちりてき表示ひょうじおよび原産地げんさんち呼称こしょう保護ほごかん欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo510/2006の実施じっし細則さいそくさだめる2006ねん12月4にち委員いいんかい規則きそくNo1898/2006 委員いいんかい規則きそくNo.664/2014にえられた。
2007ねん 保障ほしょうされた伝統でんとうてき特産とくさんひんとしての農産物のうさんぶつおよび食品しょくひんかんする欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo509/2006導入どうにゅう細則さいそくさだめる2007ねん10がつ18にち欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそくNo1216/2007 委員いいんかい規則きそくNo.664/2014にえられた。
2008ねん 欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo1576/89を廃止はいしし、蒸留酒じょうりゅうしゅ定義ていぎ説明せつめい表示ひょうじおよ地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごかんする2008ねん1かつ15にち欧州おうしゅう議会ぎかいおよび理事りじかい欧州おうしゅう規則きそくNo110/2008 2021ねん欧州おうしゅう規則きそく2019/787にえられる。
2009ねん ワイン分野ぶんや製品せいひん原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご伝統でんとう用語ようごラベル付らべるつけおよ表示ひょうじかんして、欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo479/2008の実施じっし細則さいそくさだめる2009ねん7がつ14にち欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそくNo607/2009
2012ねん 農産物のうさんぶつおよび食品しょくひん品質ひんしつ制度せいどかんする欧州おうしゅう議会ぎかいおよび欧州おうしゅう理事りじかいの2012ねん11月21にち欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012
2014ねん 原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごおよび伝統でんとうてき特産とくさんひん保護ほご統一とういつシンボルを確立かくりつすることにかんすることと、原料げんりょう調達ちょうたつ手続てつづじょう規則きそくおよび移行いこう規則きそくかんして、欧州おうしゅう規則きそく1151/2012にたいする補足ほそくとなる、欧州おうしゅう議会ぎかいおよび欧州おうしゅう理事りじかいの2013ねん12月18にち欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそく664/2014
アロマタイズド・ワイン製品せいひん定義ていぎ説明せつめい表示ひょうじラベル付らべるつけおよび地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごと、欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo1601/91の廃止はいしかんする、欧州おうしゅう議会ぎかいおよび欧州おうしゅう理事りじかいの2014ねん2がつ26にち欧州おうしゅうかい規則きそくNo 251/2014
2019ねん ワイン分野ぶんやにおける原産地げんさんち呼称こしょう地理ちりてき表示ひょうじ伝統でんとう用語ようご保護ほご申請しんせい異議いぎもう手続てつづき、使用しよう制限せいげん製品せいひん仕様しようしょ追加ついか保護ほごし、ラベル付らべるつけと表示ひょうじかんして、欧州おうしゅう議会ぎかいおよび欧州おうしゅう理事りじかいの、欧州おうしゅう規則きそくNo1308/2013の補足ほそくとなる2018ねん10がつ17にち欧州おうしゅう委員いいんかい規則きそく2019/33
蒸留酒じょうりゅうしゅ定義ていぎ説明せつめい表示ひょうじおよびラベル付らべるつけ、食品しょくひん表示ひょうじラベル付らべるつけにおける蒸留酒じょうりゅうしゅ名前なまえ使用しよう蒸留酒じょうりゅうしゅたいする地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご、アルコール飲料いんりょうにおける農業のうぎょう生産せいさんぶつ由来ゆらいのエチルアルコールおよび蒸留じょうりゅうぶつ使用しよう、および欧州おうしゅう規則きそく110/2008の廃止はいしかんする欧州おうしゅう議会ぎかいおよび欧州おうしゅう理事りじかいの2019ねん4がつ17にち欧州おうしゅう規則きそく2019/787 2021ねんから施行しこう

欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012のう「品質ひんしつ制度せいど」とは原産地げんさんち呼称こしょう地理ちりてき表示ひょうじ伝統でんとうてき特産とくさんひんまた「やま産品さんぴん」というような任意にんい品質ひんしつ用語ようご[注釈ちゅうしゃく 9] (OQT: Optional Quality Terms) の保護ほご制度せいど[44]

原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご (PDO) と地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご (PGI)

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カマンベール・ド・ノルマンディのPDO表示ひょうじ
黄色おうしょくあかまるしるし。ただし、フランス語ふらんすご表記ひょうきされている(AOP: Appellation d'origine protégée )。

原産地げんさんち呼称こしょう (designation of origin)とは以下いか要件ようけんたす製品せいひん名前なまえをいう[45]

  • 特定とくてい場所ばしょ地域ちいき、あるいは例外れいがいてき場合ばあいではあるが、くに原産げんさんとすること。
  • 自然しぜん住人じゅうにん要因よういんふく固有こゆう地理ちりてき環境かんきょう製品せいひんしつまたは特性とくせい本質ほんしつてきにあるいはられない要因よういんとなっていること。
  • その生産せいさん工程こうていすべてがめられた地理ちりてき範囲はんいないおこなわれること。

なお、原産地げんさんち呼称こしょう従来じゅうらいのフランスにおけるアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ (AOC) や1958ねんのリスボン協定きょうてい2じょう言及げんきゅうしている原産地げんさんち名称めいしょう (Appellation of Origin) に相当そうとうする。原産地げんさんち名称めいしょう (Appellation of Origin) は一般いっぱんてき地理ちりてき表示ひょうじ一種いっしゅである[46]

シュプレーヴァルト・キュウリ
ドイツのブランデンブルクしゅうシュプレーヴァルトのキュウリのピクルス。写真しゃしん右側みぎがわのラベルのしたがわかくにある黄色おうしょくあおまるしるしがPGIマーク。ただし、ドイツ表記ひょうきされている(GGA:geschüzte geographische Angabe)。

つぎ欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012で規定きていする地理ちりてき表示ひょうじ (geographical indication) とは以下いか要件ようけんたす製品せいひん名前なまえ[47]

  • 特定とくてい場所ばしょ地域ちいき、あるいは例外れいがいてき場合ばあいではあるが、特定とくていくに原産げんさんとすること。
  • そのしつ評判ひょうばん特性とくせい本質ほんしつてき地理ちりてき原産地げんさんち理由りゆういだせること。
  • すくなくともひとつの生産せいさん工程こうていめられた地理ちりてき範囲はんいないおこなわれること。

欧州おうしゅう規則きそくにおける原産地げんさんち呼称こしょう地理ちりてき表示ひょうじおもちがいは製品せいひん地域ちいきむすびつきのつよさにある[48]原産地げんさんち呼称こしょうとして登録とうろく保護ほごけるには、すべての製造せいぞう工程こうていがそのあ原産地げんさんちとしている地域ちいきおこなわれなければならない[注釈ちゅうしゃく 10]。それにたい地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごけるために必要ひつようなの要件ようけんは、対象たいしょう製品せいひん性格せいかく一部いちぶ当該とうがい地域ちいき原因げんいんいだすことができ製造せいぞう工程こうてい一部いちぶ特定とくてい地域ちいきおこなわれていることだけである[50]

以下いかにあげる条件じょうけんてはまる名称めいしょう原産地げんさんち呼称こしょうとしても地理ちりてき表示ひょうじとしても登録とうろくして保護ほご対象たいしょうとすることはできない[51]

  • 一般いっぱんてき単語たんごとなっている場合ばあい
    1. カマンベールチーズはフランスのカマンベール由来ゆらいする地理ちりてき表示ひょうじだが保護ほごされるまえ一般いっぱん名詞めいしになった。そこで、カマンベール・ド・ノルマンディ登録とうろくして、この地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごされている。
    2. 一般いっぱんてき単語たんごとなっているかどうかの判断はんだんはしばしば係争けいそうのポイントになる。たとえば「パルメザン」はこなチーズのことなのか、パルミジャーノ・レッジャーノ地方ちほうのことなのかということについて欧州おうしゅう司法しほう裁判所さいばんしょにわたってあらそわれたが結論けつろんはでていない[52]
  • 動植物どうしょくぶつ種類しゅるい間違まちがえやすく、消費しょうひしゃがその動植物どうしょくぶつ原材料げんざいりょうであると勘違かんちがいしそうなもの。
  • 実在じつざいする地理ちりてき名前なまえであっても、すで登録とうろくされていたり、消費しょうひしゃべつ地域ちいきさんするものと勘違かんちがいするもの
    おな地名ちめい場所ばしょがそれぞれべつ場所ばしょにいくつかあるということはめずらしいことではなく、たとえば、ウィーンという名前なまえむらがボヘミア-モルダヴィア山地さんちにある。
  • 商標しょうひょうとしてすでに登録とうろくされて、特定とくてい製品せいひんすものとして周知しゅうちされているもの。
    これは「商標しょうひょうもつ評判ひょうばん名声めいせい使用しようされている期間きかんらして[53]判断はんだんされる。つまり、商標しょうひょうとして登録とうろくされていても、地理ちりてき表示ひょうじ併存へいそんするかたち登録とうろくされることがありうる。

原産地げんさんち呼称こしょう地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごされている場合ばあいは、それらは明細めいさいしょ (Specification) に適合てきごうしていなければならず、明細めいさいしょ以下いか項目こうもくふくんでいなければならない[54]

  • 製品せいひん名称めいしょう
  • 製品せいひん詳細しょうさい
  • 製品せいひんむすびつく地理ちりてき領域りょういき範囲はんい
  • 製品せいひんがその地域ちいきでもたらされることをたしかにしめすもの
  • 製造せいぞう育成いくせい方法ほうほう
  • 製品せいひんしち特性とくせい地理ちりてき環境かんきょう、またはしつ評判ひょうばん特性とくせい原産地げんさんちむすびつきを実証じっしょうするもの
  • 製品せいひん明細めいさいしょ内容ないようっていることを確認かくにんする機関きかん団体だんたい
  • ラベルのつけかたについての特別とくべつのルール

消費しょうひしゃは、各国かっこく政府せいふ監督かんとくにあるおおやけ明細めいさいしょ規定きていされているしつ基準きじゅん原産地げんさんち適合てきごうしていることをPDOやPGIのロゴマークがしめすということを信頼しんらいしてよい。商標しょうひょう比較ひかくして、このロゴマークで保証ほしょうされる地理ちりてき原産地げんさんち表示ひょうじ経済けいざいてき利益りえきむすびついた重要じゅうよう競争きょうそうりょく意味いみする[55]

伝統でんとうてき特産とくさんひん保護ほご

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リトアニアのジェマイティヤ・バター
サワークリームをおも原料げんりょうとする[56]バターのような食品しょくひん。TSG(伝統でんとうてき特産とくさんひん保護ほご)のれい。パッケージのあおまるいマークがTSGのマーク。

伝統でんとうてき特産とくさんひん保護ほご (TSG:traditional speciality guaranteed) とは伝統でんとうてき製法せいほうやレシピにたいする保護ほご仕組しくみである[57]欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012よりまえ欧州共同体おうしゅうきょうどうたい規則きそくでは原産地げんさんち呼称こしょう地理ちりてき表示ひょうじとはちが規則きそくとして規定きていされていたが、欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012からはおな規則きそく規定きていされている。製品せいひん出自しゅつじしめすものではない。製品せいひん以下いかのいずれかの条件じょうけんたす場合ばあいに、その名称めいしょう伝統でんとうてき特産とくさんひんとして登録とうろくすることができる[58]

  • 対象たいしょう産品さんぴん製造せいぞう処理しょり調合ちょうごうのモードが伝統でんとうてきなやりかた対応たいおうしている。
  • 対象たいしょう産品さんぴん伝統でんとうてき使つかわれてきた原材料げんざいりょうからつくられている。

また、その名称めいしょう以下いかのいずれかの条件じょうけんたさなければならない[59]

  • 対象たいしょう製品せいひんたいして伝統でんとうてき使用しようされていた名称めいしょうである。
  • 対象たいしょう製品せいひん伝統でんとうてき特性とくせい特別とくべつ特性とくせい特定とくていできる名称めいしょうである。

2020ねん5がつ24にち現在げんざい、EUのリストには76品目ひんもくのTSGが記載きさいされている(ステータスはRegisterd, Applied, Published)。リストにはPOD、PGI,、TSGが合計ごうけいで3713項目こうもくせられているので、TSGはPDOやPGIにくらべると利用りよう実績じっせきがずっとすくないとえる。

任意にんいてき品質ひんしつ用語ようご

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欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012では「任意にんいてき品質ひんしつ用語ようご」(Optional quality terms) が品質ひんしつ制度せいどだい階層かいそうとして導入どうにゅうされた。これはその製品せいひんぞくするカテゴリーや育成いくせい方法ほうほう特定とくてい場所ばしょ適用てきようされる製法せいほうじょう属性ぞくせいかんする横断おうだんてき特性とくせいしめすことになる[60]欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012が制定せいていされた時点じてん対象たいしょうとなっていた用語ようごは「やま産品さんぴん (mountain product)」で、欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012の31じょう規定きていされている。山岳さんがく地帯ちたい飼育しいくされ、それが加工かこうひんであれば山岳さんがく地帯ちたい加工かこうされたものにたいして使用しようすることができる。EAGGFによる農村のうそん発展はってんにの支援しえんかんする欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo 1257/1999の18じょう1こう規定きていされている地域ちいきがここでいう山岳さんがく地帯ちたいである[61]

欧州おうしゅう規則きそくNo.1151/2012では、島嶼とうしょ生産せいさんされた食品しょくひんについて欧州おうしゅう委員いいんかいが「しま産品さんぴん (Product of istland farming)」についてのレポートを2014ねん1がつまでに提出ていしゅつすることになっていた。レポートはその任意にんい品質ひんしつ用語ようご利点りてんげたが、最終さいしゅうてきにはしま産品さんぴん用語ようご制定せいてい見送みおくられることになった[62]

喚起かんき (evocation) について

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パルミジャーノ・レッジャーノ
パルメザンのがパルミジャーノ・レッジャーノを喚起かんきするのか、たんなるこなチーズとして認識にんしきされているのかながあいだ議論ぎろんになっている。

欧州おうしゅう規則きそく地理ちりてき表示ひょうじがどのようなことについて保護ほごされているのかを規定きていしている条項じょうこうには「喚起かんき (evocation)」という言葉ことば使つかわれている。たとえば、原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご (PDO) と地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご (PGI) についての欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012の13じょうには「13じょう 1. 登録とうろくされた名称めいしょうは、(b)―いかなる誤用ごよう模造もぞう喚起かんき (evocation)、から保護ほごされる」[63]とされている。ようするに登録とうろくされた名称めいしょう消費しょうひしゃあたまなか喚起かんきするような表現ひょうげん使つかってはいけないということなのだが、これがしばしばあらそいになる。欧州おうしゅう裁判所さいばんしょあらそわれたれいでは、たとえば以下いかのようなれいがある。

カンボゾーラ (Cambozola) C-87/97
ゴルゴンゾーラ (Gorgonzola)を喚起かんきするとしてオーストリアにおける商標しょうひょう登録とうろくしとカルボゾーラの名称めいしょう使用しよう禁止きんしもとめてうったえが提起ていきされた。欧州おうしゅう裁判所さいばんしょはカンボゾーラはゴルゴンゾーラを喚起かんきするものと判断はんだんしたが、商標しょうひょう登録とうろくがなされた当時とうじ法律ほうりつもとづき登録とうろく適当てきとうであったのかどうかを考慮こうりょして、商標しょうひょう使用しよう継続けいぞくについてはオーストリアの裁判所さいばんしょ判断はんだんする必要ひつようがあるとした[64]
パルメザン (Parmesan) C-132/05
C-132/05では直接ちょくせつ喚起かんき」が争点そうてんになったわけではないが、当時とうじ欧州共同体おうしゅうきょうどうたい欧州おうしゅう委員いいんかいが、こなチーズとしてのパルメザンという名前なまえパルミジャーノ・レッジャーノ (parmigiano reggiano) を喚起かんきするものであるにもかかわらず、ドイツ政府せいふはパルミジャーノ・レッジャーノの保護ほご熱心ねっしんでないとうったえを提起ていきしたものである。欧州おうしゅう裁判所さいばんしょ根拠こんきょがないとしてうったえを退しりぞけた[65]

また、裁判さいばん以外いがいれいでは商標しょうひょう登録とうろく拒否きょひされたれいげることができる。ロンカリフォール (RONCARIFORT) がPDOのロックフォール (ROQUEFORT) を喚起かんきし、カソーリヴァ (CAZORLIVA) がやはりPDOのシェラ・デ・カソーラ (SIERRA DE CAZORLA) を喚起かんきするとして、当時とうじ欧州共同体おうしゅうきょうどうたい商標しょうひょう意匠いしょうちょう (OHIM: Office for Harmonization in the Internal Market (Trade Marks and Designs)) にそれぞれの商標しょうひょう登録とうろく拒否きょひされた[66]

本物ほんもののスコッチウィスキーのひとつ: グレンフィディック
「グレン」のかたりはスコッチウィスキーをおもこさせるとされている。

つぎれいは、一見いっけんしたところ商品しょうひん名称めいしょうただちに保護ほごされた原産地げんさんち呼称こしょう (PDO) や地理ちりてき表示ひょうじ (PGI) にているわけではないが、しかし、保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじ喚起かんきするとして欧州おうしゅう規則きそく違反いはんであると最終さいしゅうてき判断はんだんされたれいである。

ウィスキーのネット販売はんばい業者ぎょうしゃが「グレン・ブッヘンバッハ (Glen Buchenbach)」というでドイツせいのウィスキーを販売はんばいした[67]。この名称めいしょうについて、当該とうがいのウィスキーを「グレン・ブッヘンバッハ」の販売はんばいすることをめるよう、イギリスのスコッチウィスキー協会きょうかいはハンブルクのラント裁判所さいばんしょ[注釈ちゅうしゃく 11]うったえを提起ていきしたのである[68]。このウィスキーは、シュトゥットガルトから30キロほどのところにあるベルグレン醸造じょうぞうしょ製造せいぞうされているものであり[67]、このまちはブッヘンバッハがわ沿ってひと生活せいかつしている。もちろん、このウィスキーがドイツのベルグレンで製造せいぞうされたものであることは、ラベルにはっきりと明記めいきしてある[68]。しかし、スコッチウィスキー協会きょうかいによれば「グレン」というかたりはスコットランドにおいて「たに渓谷けいこく」の意味いみひろ使つかわれるかたりで、それはスコッチウィスキーの個々ここ製品せいひん名前なまえとしての商標しょうひょう一部いちぶをなしており、どう協会きょうかい主張しゅちょうするところでは「グレン・ブッヘンバッハ」のはスコットランドや保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじであるスコッチウィスキーとの関連かんれん喚起かんきする (evoke) ものである[69]

このうったえは欧州おうしゅう規則きそくNo110/2008 16じょうもとづいており、そのためハンブルクのラント裁判所さいばんしょ欧州おうしゅう裁判所さいばんしょ意見いけんもとめたのである[70]。なお、欧州おうしゅう規則きそくNo110/2008は酒類しゅるいかんする地理ちりてき表示ひょうじについての規則きそくで、この規則きそくの16じょうは、食品しょくひん一般いっぱん地理ちりてき表示ひょうじかんする規則きそく欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012の13じょうとほぼおな表現ひょうげんで、地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごされる内容ないよう規定きていしている。

欧州おうしゅう裁判所さいばんしょは、保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじやその一部いちぶ直接ちょくせつ使用しようしているわけではないし、保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじ一緒いっしょ使つかわれるかたりであるということ自体じたい誤解ごかいまね表示ひょうじということにはならないとして、この製品せいひん名称めいしょう欧州おうしゅう規則きそくNo110/2008に沿っていないとただちにはみとめなかった[71]。ただし、「グレン」というかたりから平均へいきんてきなヨーロッパの消費しょうひしゃがスコッチウィスキーのイメージを喚起かんき (evocation) するかどうかをハンブルクのラント裁判所さいばんしょ判断はんだんする必要ひつようがあるとした[71]

これをけて審理しんりつづけたハンブルクのラント裁判所さいばんしょは、最終さいしゅうてきに2019ねん2がつ7にちに「グレン・ブッヘンバッハ」の名称めいしょう誤解ごかいまね表示ひょうじであると判断はんだんした[72]。スコッチウィスキー協会きょうかいは、ヨーロッパにおいては名前なまえに「グレン」のかたりかんされているウィスキーはかならずスコッチウィスキーであることをしめしたのにたいし、「グレン・ブッヘンバッハ」がわはスコッチウィスキー以外いがいに「グレン」が使つかわれているという十分じゅうぶん反証はんしょうができなかったのである[72]ってみれば、「グレン」とえばスコッチウィスキーということであり、つまりスコッチウィスキーのイメージを喚起かんきし、間違まちがいや誤解ごかいこすと判断はんだんされた。実際じっさい生産せいさん(ドイツ・ベルグレン)が明記めいきしていあるてんについては、欧州おうしゅう裁判所さいばんしょはこのことが消費しょうひしゃ誤解ごかいする可能かのうせいよわめることはできないという意見いけんくわえている[73]

保護ほごされた原産地げんさんち呼称こしょう使用しようみとめられたれい

[ソースを編集へんしゅう]

アルディ・ズゥト
シャンパンシャーベット(Champagner Sorbet)という商品しょうひんめいについてシャンパーニュ委員いいんかい(CIVC)と5ねんにわたってあらそった。

原産地げんさんち呼称こしょう厳重げんじゅう保護ほごされているといっても、販売はんばいする製品せいひん適当てきとう名前なまえけるとすると、そこに原産地げんさんち呼称こしょうふくまれる場合ばあいもある。たとえば、ドイツのスーパーマーケットであるアルディ・ズゥト (Aldi Süd Dienstleistungs-GmbH & Co. OHG) は2012ねんのクリスマスシーズンに「シャンパンシャーベット (Champagner Sorbet)」という氷菓ひょうかした。これは実際じっさいに12%のシャンパンをふくむシャーベットであった。つまり、この名前なまえは、その製品せいひんにシャンパンが相当そうとうりょうふくまれており、それがこの製品せいひん重要じゅうよう特性とくせいひとつとなっていることをしめしているのである[74]。これにたいしてシャンパーニュ委員いいんかい (CIVC: Comité Interprofessionnel du Vin de Champagne) が、原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご保護ほご対象たいしょうである原産地げんさんち呼称こしょう「シャンパーニュ (Champagne)」の権利けんり侵害しんがいであるとして、ミュンヘンのラント裁判所さいばんしょにシャンパン (Champagner) の名称めいしょう使用しよう差止さしとめうったえを提起ていきした[75]。このうったえは最終さいしゅうてきにドイツの連邦れんぽう裁判所さいばんしょ[注釈ちゅうしゃく 12]あらそわれた。CIVCのうったえは、欧州おうしゅう規則きそくNo1234/2007 118mこうおよび欧州おうしゅう規則きそくNo1308/2013 103こうもとづいており、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ当該とうがい欧州おうしゅう規則きそく解釈かいしゃくについて欧州おうしゅうだいいちしん裁判所さいばんしょ判断はんだんもとめたのである[76]。これにたいして欧州おうしゅうだいいちしん裁判所さいばんしょは、アルディ・ズゥトが当該とうがい氷菓ひょうかにシャンパンの名前なまえ使用しようすることは原産地げんさんち呼称こしょう権利けんり侵害しんがいにはたらないと判断はんだんしめした。

iPhone 5S
CIVCはAppleにたいし「「シャンパン」ゴールド」の名称めいしょう使用しようしないように注意ちゅういうながした[77]

具体ぐたいてきには、以下いかのように説明せつめいしている。シャンパンのしつはシャンパンシャーベットの材料ざいりょう全体ぜんたいなか重要じゅうようではあるものの、シャーベットのなかでそれがすべてではない要素ようそであり[注釈ちゅうしゃく 13]同時どうじにシャーベットの特質とくしつがシャンパンにむすびついていることをシャンパンシャーベットの名称めいしょうしめしている[78]。もし、食品しょくひんがその重要じゅうよう特質とくしつとして、保護ほごされた原産地げんさんち呼称こしょうしめ素材そざい由来ゆらいする特質とくしつっていない場合ばあいは、その原産地げんさんち呼称こしょう使用しよう不適切ふてきせつ使用しようということなる[79]。しかし、アルディはシャンパンシャーベットにおいてシャンパンが重要じゅうよう素材そざいになっているとそのしめすことを、悪意あくいなく意図いとしたのであって、誤解ごかいまね表示ひょうじとはえない[80]、としたのである。

ただし、アルディ・ズットは、2012ねんのクリスマス以降いこうシャンパンシャーベットの販売はんばいをやめた[81]

ちなみに、CIVCはこのけんだけでなく、2013ねんにはiPhone 5sいろのひとつを「シャンパンゴールド」としたApple、2014ねんにはペンネームとして「シャンパン・ジェーン」を使用しようしたワインライター・編集へんしゅうしゃのレイチェル・ジェーン・パウェル、2015ねんにはフロアパネルのシリーズにやはりシャンパンのかたりふくめたボール&ヤングしゃえい)などとシャンパンのかたり使用しようについてあらそった[81]

欧州おうしゅう域外いきがい地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご欧州おうしゅう地理ちりてき表示ひょうじ域外いきがいでの保護ほご

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WTO本部ほんぶ(ジュネーブ)
地理ちりてき表示ひょうじかんする紛争ふんそうがしばしばWTOにまれる。

知的ちてき所有しょゆうけん保護ほごさだめるTRIPS協定きょうていによれば、知的ちてき所有しょゆうけんかんして国民こくみんみとめる待遇たいぐうより不利ふりでない待遇たいぐう他国たこく国民こくみんにもあたえなけれはならないことになっているが[82]、ヨーロッパで地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいど確立かくりつされた当初とうしょかならずしもそうなってはいなかった。

そのため、1999ねんにアメリカは、当時とうじのヨーロッパの地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいど規定きていした欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo 2081/92にかんして、当時とうじ欧州共同体おうしゅうきょうどうたいたいして関税かんぜいおよ貿易ぼうえきかんする一般いっぱん協定きょうてい (GATT) 22じょうもとづくこくあいだ協議きょうぎもうれた(WTO紛争ふんそう案件あんけん番号ばんごう DS174)。2003ねんにもアメリカが議題ぎだい追加ついか再度さいどこくあいだ協議きょうぎもうれたが、結局けっきょくこくあいだ協議きょうぎでは解決かいけつできなかった。そこでアメリカはWTOの紛争ふんそう解決かいけつ機関きかん (DSB:Dispute Settlement Body) にパネル(しょう委員いいんかい)の設置せっち要請ようせいした。オーストラリアと欧州共同体おうしゅうきょうどうたいとのあいだでも同様どうよう紛争ふんそうがあったので(WTO紛争ふんそう案件あんけん番号ばんごう DS290)、DSBはまとめてひとつのパネルを設置せっちした。

アメリカが主張しゅちょうしたことはおもつぎてんにまとめることができる[83]

  1. 地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごかんして、欧州おうしゅう域外いきがいくに国民こくみん製品せいひん差別さべつされている。
  2. 欧州おうしゅう域外いきがい商標しょうひょう保護ほごされていない。

これをうけてパネルが欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく精査せいさしたが、結果けっかをまとめると以下いかよんてんのようになる[84]

保護ほご有効ゆうこうせい
欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく欧州おうしゅう域外いきがい政府せいふ地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご手続てつづきが欧州おうしゅうのものと同等どうとう (equivalence) であることをもとめており[85]欧州おうしゅう保護ほごされている地理ちりてき表示ひょうじ欧州おうしゅう域外いきがい政府せいふしたでも互恵ごけいてき保護ほごされるべきである (reciprocity) としていること[86]は、TRIPS協定きょうてい3じょう1こうおよびGATTIIIじょう4こう違反いはんしているとした。というのも、たしかに「公式こうしきてきにはおなじもの」を適用てきようしているが[注釈ちゅうしゃく 14]、それが欧州おうしゅう域外いきがい国民こくみん製品せいひんたいする機会きかい平等びょうどうをゆがめているとみなした。
申請しんせいおよ異議いぎもうての手続てつづ
WTO加盟かめいこく欧州おうしゅう同様どうよう仕組しくみをつく義務ぎむがない以上いじょう欧州おうしゅうにおける欧州おうしゅう域外いきがい地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご申請しんせいする手続てつづきにかならずしも対応たいおうできるとはかぎらず[87]異議いぎもうてにしても欧州共同体おうしゅうきょうどうたいとは無関係むかんけい自国じこく政府せいふたいしておこなわなければならないのはおな待遇たいぐうとはえない[88]判断はんだんし、GATTXXじょう (d) で規定きていされる例外れいがいとして正当せいとうされるものではないとした。
検査けんさ枠組わくぐ
欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくは、保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじ対象たいしょうとなっている製品せいひんがあらかじめめられた仕様しようっているかどうかを検査けんさする仕組しくみをもとめており、欧州おうしゅう域外いきがいもの地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご申請しんせいする場合ばあい、その地域ちいき検査けんさ仕組しくみがあるという宣言せんげんしょ添付てんぷすることになっていた[89]。しかし、WTO加盟かめいこく欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくさだめられている検査けんさ仕組しくみを自国じこくない確立かくりつしなければならない義務ぎむはなく[90]、したがって欧州おうしゅう域外いきがい申請しんせいしゃはそのような検査けんさ仕組しくみを利用りようできる権利けんりもなけれは、そのような仕組しくみづくりを自国じこく政府せいふもとめる権利けんりもなく、結果けっかとして欧州おうしゅう域内いきないでの地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごけられないことになっていると判断はんだんした[91]
商標しょうひょうとの関係かんけい
保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじ混同こんどうすることをふせぐために、欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくではすでに登録とうろくされている商標しょうひょう権利けんりみとめておらず、これは商標しょうひょう権利けんりさだめたTRIPS協定きょうてい16じょう1こう違反いはんするとアメリカはもうてた。しかしパネルは、このことはTRIPS協定きょうてい17じょう例外れいがい規定きていによって正当せいとうされるとみなした[84]

このパネルの報告ほうこくしょけて、欧州おうしゅう連合れんごう欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo2081/92、No2082/92 をあらためた。

さんりん素麺そうめん
にちおうEPAにて、三輪みわ素麺そうめんなどの日本にっぽん保護ほごされている地理ちりてき表示ひょうじ一部いちぶがヨーロッパでも保護ほごされることになった。

欧州おうしゅう連合れんごう欧州おうしゅう域内いきないでの地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご熱心ねっしんんでいる一方いっぽうで、こくあいだ多国たこくあいだかかわらずそれぞれの貿易ぼうえき交渉こうしょうにおいて欧州おうしゅう地理ちりてき表示ひょうじ権利けんり欧州おうしゅうがいでも保護ほごできるような内容ないよう貿易ぼうえき協定きょうてい締結ていけつするようにも努力どりょくしている[92]前述ぜんじゅつのとおり、貿易ぼうえき相手あいてこくすべてにたい欧州おうしゅう規則きそく一律いちりつ相手あいて同意どういなく欧州おうしゅう同様どうよう地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいど要求ようきゅうするのはTRIPS協定きょうてい違反いはんであるが、個別こべつ貿易ぼうえき交渉こうしょう参加さんかしゃ欧州おうしゅうもとめる地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご実現じつげんする協定きょうていむすぶのならば、それはもちろん問題もんだいにはならない。欧州おうしゅう連合れんごうつぎのようなTRIPSプラス[注釈ちゅうしゃく 15]提案ていあんしている、とラマンは2013ねんのレポートでべている[93]

  • ワインや蒸留酒じょうりゅうしゅたいしてあたえられている地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごのレベル[注釈ちゅうしゃく 16]範囲はんい農産物のうさんぶつ食品しょくひんへの拡大かくだい
  • ワイン、蒸留酒じょうりゅうしゅ、その農業のうぎょう製品せいひんふくむ41の欧州おうしゅうさん製品せいひん[注釈ちゅうしゃく 17]地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご自動的じどうてき絶対ぜったいてき付与ふよ
  • 多国たこくあいだ地理ちりてき表示ひょうじ登録とうろくで、参加さんかこく参加さんかこくわず法的ほうてき有効ゆうこうなものの導入どうにゅう
  • 地理ちりてき名称めいしょうふくむか、それと一致いっちする商標しょうひょう使用しよう禁止きんしし、登録とうろく拒否きょひ
  • 現存げんそんする生産せいさんしゃられている保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじみとめるための、地理ちりてき名称めいしょう保護ほご例外れいがい制限せいげん見直みなお選択肢せんたくし調査ちょうさ

にちおうEPA交渉こうしょうにおいても、ゴルゴンゾーラなどの欧州おうしゅう保護ほごされている地理ちりてき表示ひょうじのいくつかが日本にっぽんでも保護ほごされることになった。もちろん日本にっぽん保護ほごされている地理ちりてき表示ひょうじ一部いちぶ互恵ごけいてき欧州おうしゅうにおいて保護ほごされる。

商標しょうひょうとの関係かんけい

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バヴァリア(ビールの商標しょうひょう)
バヴァリアとはドイツのバイエルンのことであるが、そこで製造せいぞうされているわけではない。バイエルンさんのバイエルンビールというものがにある。

前述ぜんじゅつのとおり、紛争ふんそう処理しょりのためにWTOにまれた欧米おうべいあいだ紛争ふんそう案件あんけんであるDS174においてWTOのDSBが設置せっちしたパネル(しょう委員いいんかい)では、商標しょうひょう欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく[注釈ちゅうしゃく 18]さだめる地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご関係かんけいについてもくわしく検討けんとうされた。

まず、世界せかいてきめとして、TRIPS協定きょうてい商標しょうひょう所有しょゆうしゃがその商標しょうひょう独占どくせんてきもちいることができる権利けんりさだめている[95]

欧州おうしゅうにおける地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいどにおいても、商標しょうひょうとして登録とうろくされている名称めいしょう地理ちりてき表示ひょうじとして登録とうろくできないことにはなっているが、「商標しょうひょうのもつ評判ひょうばん名声めいせい使用しようされている期間きかんらして」[96]条件じょうけんいている。先行せんこうして商標しょうひょうがすでに登録とうろくされていた場合ばあいでも、その商標しょうひょう相応そうおう評判ひょうばん名声めいせいっていなければ、地理ちりてき表示ひょうじとしても登録とうろくされ、別々べつべつ製品せいひんおな名前なまえ共存きょうぞんすることになる[97]

この規定きていおな名前なまえ地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょう共存きょうぞんしたのは、DSBがDS174のために設置せっちしたパネルが議論ぎろんつづけていた時点じてん[注釈ちゅうしゃく 19]ひとつのケースだけであった。それは2001ねん地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご (PGI) として登録とうろくされた「バイエルンビール (Bayerisches Bier)」である[注釈ちゅうしゃく 20]。“BAVARIA”や“HØKER BAJER”などの商標しょうひょう以前いぜんから登録とうろくされていたが、欧州共同体おうしゅうきょうどうたい混乱こんらんするおそれがないとしておな名前なまえバイエルンの地理ちりてき表示ひょうじとして登録とうろくした[98]

ただし、混乱こんらんするおそれがあるかないかは判断はんだんかれるところで、バイエルンビールという商標しょうひょうについてはアメリカは混乱こんらんするおそれがあると主張しゅちょうした[99]。そもそもアメリカの商標しょうひょうほうには“first in time, first in right”(最初さいしょものが、最初さいしょ権利けんりつ)の原則げんそく適用てきようされていて、さき商標しょうひょうとして登録とうろくされたら地理ちりてき表示ひょうじえどもから権利けんり主張しゅちょうすることはできないことになっているのである[92]

このパネルの議論ぎろんにおいては、いずれにしてもバイエルンビールのれい例外れいがいてきれいであるというのが欧州おうしゅうがわ認識にんしきであった。それで当時とうじ欧州共同体おうしゅうきょうどうたい主張しゅちょうするところでは、実際じっさい商標しょうひょう地理ちりてき表示ひょうじ共存きょうぞんしているれいひとつあったとしても、欧州おうしゅうにおいては地理ちりてき名称めいしょう商標しょうひょうとして登録とうろくされることができないことになっていることから、おな名前なまえ地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょう共存きょうぞんするというケースはごくまれである[100]という主張しゅちょうしたのである。ところが、調しらべてみるとカラブリアという商標しょうひょうがパスタの商標しょうひょうとして登録とうろくされていたり、ほかにもダービーヴィナーヴァルドなどの地理ちりてき名称めいしょう商標しょうひょうとして登録とうろくされていることがかった[101]地理ちりてき名称めいしょうかならずしも商標しょうひょう登録とうろくさいけられているわけではないということである。


バドワイザー(ビールの商標しょうひょう)
19世紀せいきにアメリカじん実業じつぎょうがチェコのビールの産地さんち使つかったため、商標しょうひょう地理ちりてき表示ひょうじかさなっている。

このほかにも、欧州共同体おうしゅうきょうどうたいは、商標しょうひょう使用しよう実績じっせきがあり、評判ひょうばん名声めいせいっている場合ばあいについては、消費しょうひしゃ混乱こんらんけるためにそのような地理ちりてき表示ひょうじ登録とうろくできないと欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく規定きていしているとも主張しゅちょうした[102]

しかし、商標しょうひょうとして「バドワイザー」(Budweiser[注釈ちゅうしゃく 21])が欧州おうしゅうないのいくつかのくに登録とうろくされているにもかかわらず、"Budĕjovické pivo"(ブジェヨヴィツキェ・ピヴォ / ブドヴァイス・ビール)、"Českobudĕjovické pivo"(チェスコ・ブジェヨヴィツキェ・ピヴォ / チェコ・ブドヴァイス・ビール)および "Budĕjovický mĕšt’anský var"(ブジェヨヴィツキェ・ミェシタネ・ヴァル / ブドヴァイス市民しみん醸造じょうぞうしょ)が地理ちりてき表示ひょうじとして登録とうろくされている。このことが消費しょうひしゃ混乱こんらんまねきかねないことは、欧州共同体おうしゅうきょうどうたい否定ひていはしなかった[103]

なお、このバドワイザー という商標しょうひょう地理ちりてき表示ひょうじおなじであるのは偶然ぐうぜんではなく、19世紀せいきにアメリカの実業じつぎょうがビールを販売はんばいするさいふるくからビールの産地さんちとしてられているチェコのベーミッシュ・ブトヴァイスにあやかった名前なまえとしてバドワイザーと名付なづけたことによる。さらに、商標しょうひょう評判ひょうばんがあるにしろないにしろ、商標しょうひょう所有しょゆうしゃが、地理ちりてき表示ひょうじとして登録とうろくされることにたいして異議いぎをとなえる機会きかいがないか、かぎられていることもパネルは指摘してきした[104]

このように商標しょうひょう所有しょゆうしゃにとって不利ふりえるれい存在そんざいしないわけではないが、欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく内容ないようは、最終さいしゅうてきにはTRIPS協定きょうていさだめられている例外れいがいとしてみとめられた。ただし、パネルは以下いか事項じこう理由りゆうとしてそのことをみとめるものとした[105]

  1. もしあらたに登録とうろくされる地理ちりてき表示ひょうじが、すでに登録とうろくされている商標しょうひょう関係かんけいがあるものと消費しょうひしゃ誤解ごかいされそうな場合ばあい、その地理ちりてき表示ひょうじ登録とうろくしない[106]
  2. 地理ちりてき表示ひょうじ申請しんせいが、利害りがい関係かんけいのある第三者だいさんしゃ直接ちょくせつ異議いぎもうての対象たいしょうとなる[107]
  3. 欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく地理ちりてき表示ひょうじ使用しようのみを正当せいとうするのであり、先行せんこうする商標しょうひょう所有しょゆうしゃはその地理ちりてき表示ひょうじ商標しょうひょうまぎらわしいかたち使用しようされることをふせぐことはゆるされている[108][109]

なお、現行げんこう欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012では「異議いぎもう手続てつづき」という条項じょうこうがあり(15じょう)、異議いぎもうての方法ほうほう期間きかん規定きていされている。

テキーラ(メキシコ)
『テキーラ』はメキシコで地理ちりてき表示ひょうじとして登録とうろくされている。ヨーロッパでも保護ほごされており商標しょうひょうには使用しようできない。

一方いっぽう欧州おうしゅう自身じしん商標しょうひょう制度せいどでは、地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごするために欧州おうしゅう連合れんごう法律ほうりつ制度せいどあるいは国際こくさい協定きょうていによって除外じょがいされているものは商標しょうひょう登録とうろくできない[110]としている。このことによって、たとえば『Mezcal 52』という商標しょうひょう登録とうろく拒否きょひされたが、その理由りゆうひとつが、登録とうろく出願しゅつがんされた商標しょうひょう地理ちりてき表示ひょうじふくまれていることであった[111]Mezcalはメキシコで地理ちりてき表示ひょうじとして登録とうろく保護ほごされている名称めいしょうである。また、これもメキシコの地理ちりてき表示ひょうじであるTEQUILAふくむとして、『TERRA TEQUILA』という商標しょうひょうがやはり登録とうろく拒否きょひされている[112]欧州おうしゅうとメキシコの貿易ぼうえき協定きょうていによってこれらの地理ちりてき表示ひょうじをヨーロッパでも保護ほごすることになっているのである。

証明しょうめい商標しょうひょう団体だんたい商標しょうひょう地理ちりてき名称めいしょうふくまれていても登録とうろくすることができる。たとえばパルマハムは『PROSCIUTTO DI PARMA』という名称めいしょうやパルマハムのロゴが団体だんたい商標しょうひょうとして登録とうろくされている [113]

地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご (PGI) に商標しょうひょうているとされたれい

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トスカーナのオリーブはたけ
TOSCANOのかたりはPGIとして登録とうろくされている。

以下いかれいあらたに登録とうろくされた商標しょうひょう保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじ (PGI) が対立たいりつしたれいである。あらたに登録とうろく申請しんせいされた商標しょうひょうがすでに登録とうろくされた地理ちりてき表示ひょうじているとされた。なにをもって「ている」とされるのかをしめ事例じれいひとつである。

「トスコロー (TOSCORO)」という商標しょうひょう欧州おうしゅう連合れんごう知的ちてき財産ざいさんちょう (EUIPO: European Union Intellectual Property Office) に申請しんせいされ、2003ねん11月17にち登録とうろくされた [114]。ところが、PGIトスカーナ保護ほご促進そくしん共同きょうどうたい (Consorzio per la tutela dell’olio extravergine di oliva Toscano IGP) が、オリーブオイルについて保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじ (PGI) である「トスカーノ (TOSCANO)」によくていてまぎらわしいという理由りゆうで、欧州おうしゅう規則きそくNo 2081/92[注釈ちゅうしゃく 22]もとづきこの商標しょうひょう登録とうろく無効むこうであるともうてた[115]。これをうけてEUIPOは2013ねん11月29にちにその登録とうろくを、ニース協定きょうていさだめるだい29るい(オリーブオイルがふくまれる)とだい30るい(ドレッシングなどがふくまれる)についてした[116]。これを不服ふふくとする商標しょうひょう「トスコロー」の所有しょゆうしゃはEUIPOに不服ふふくもうてたがききいれらなかった。EUIPOのさい審査しんさ部門ぶもんだい29るいふくまれるオリーブオイルにおいて、PGIの「トスカーノ (TOSCANO)」との類似るいじせいみとめたからである[117]。そのため商標しょうひょう「トスコロー」の所有しょゆうしゃはEUIPOを相手取あいてどって、オリーブオイルについて商標しょうひょう有効ゆうこうであるとみとめるように欧州おうしゅうだいいちしん裁判所さいばんしょうったえを提起ていきしたのである[118]

欧州おうしゅう連合れんごう知的ちてき財産ざいさんちょう
欧州おうしゅうにおける商標しょうひょう登録とうろくつかさどっている。

この裁判さいばんでも主要しゅようなポイントになったのは欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく No 2081/92の13じょう (1) (b) こう使つかわれている「喚起かんき (evocation)」という言葉ことばである。欧州おうしゅう裁判所さいばんしょは、「喚起かんき(evocation)」というかたり意味いみする概念がいねんは、製品せいひんすために使用しようされた用語ようご保護ほごされた名称めいしょう一部いちぶふくみ、その結果けっかとして、消費しょうひしゃがその製品せいひん名前なまえまえにしたときに消費しょうひしゃあたまかぶイメージが、保護ほごされている用語ようごしめされる製品せいひんのイメージであるような場合ばあいふくんでいる[119]、とした。

一方いっぽう商標しょうひょう「トスコロー」の所有しょゆうしゃは、「トスコロー」と「トスカーノ」ではアクセントの場所ばしょちがうのでまったちがってこえる、と主張しゅちょうした[120]。しかし、裁判所さいばんしょ過去かこ判例はんれい引用いんようして、

  • 消費しょうひしゃ単語たんごたときに最初さいしょ部分ぶぶん(この場合ばあいは“tosc”)により注意ちゅういはらうものであること[121]
  • どちらの名称めいしょうおな文字もじ“o”でわっていること[122]
  • 7文字もじのうち5文字もじ共通きょうつうで、しかもどちらも3シラブルで構成こうせいされていること[123]

指摘してきし、それらを根拠こんきょとした類似るいじせいかんするEUIPOのさい審査しんさ部門ぶもん判断はんだん支持しじした。

この判決はんけつにより、EUIPOが商標しょうひょう同士どうし類似るいじせい判断はんだんする基準きじゅん商標しょうひょう保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじ (PGI) の類似るいじせい判断はんだんする基準きじゅんとなることが裁判所さいばんしょによって確認かくにんされ、また、商標しょうひょう登録とうろくしようとするものは既存きそん商標しょうひょうだけでなく保護ほごされた地理ちりてき表示ひょうじ (PGI) や保護ほごされた原産地げんさんち呼称こしょう (PDO) にも注意ちゅういをしなければならないことがになることがしめされたということになる[124]

商標しょうひょう登録とうろくされたれい

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本物ほんもののコニャックのひとつ:
バッシュ・ガブリエルセン
コニャックという地理ちりてき表示ひょうじ過去かこ商標しょうひょう登録とうろく無効むこうにしたれいがある。

以下いかれいは、欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく発効はっこうされるまえ登録とうろくされた商標しょうひょうに、欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくがさかのぼって適用てきようされて商標しょうひょう登録とうろくされたれいである。地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごという「達成たっせいすべき目的もくてき非常ひじょうもとめられて[125]」いることをしめ実例じつれいひとつとしてげる。

フィンランドにおいて“COGNAC”および“HIENOA KONJAKKIA”[注釈ちゅうしゃく 23]という表示ひょうじふくむラベルと“KAHVI-KONJAKKI”および“Café Cognac”という表示ひょうじふくむラベルが、2001ねん商標しょうひょうとして出願しゅつがんされ、2003ねん商標しょうひょう登録とうろくされた[126]。コニャック (Cognac) の地理ちりてき表示ひょうじ権利けんりしゃである全国ぜんこくコニャック専門せんもん事務所じむしょ (BNIC: Bureau National Interprofessionnel du Cognac) は、この商標しょうひょう登録とうろくき、異議いぎをとなえた。それをけたフィンランドの特許とっきょ登録とうろくきょく判断はんだんれたものの、最終さいしゅうてきに2007ねんには両方りょうほうのラベルとも登録とうろく商標しょうひょうとして確認かくにんされた[127]

つぎにBNICはこの最終さいしゅう決定けってい無効むこうにするうったえを裁判所さいばんしょ提起ていきしたのだが[128]審理しんり最中さいちゅうの2008ねんにワインと蒸留酒じょうりゅうしゅ地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごかんする欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo110/2008が発効はっこうされた。あたらしい欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくの23じょう (1) こうによれば、対象たいしょうになっている2つのラベルは商標しょうひょう登録とうろく拒否きょひされるかされるべきものである。そこで、フィンランドの裁判所さいばんしょ欧州おうしゅう裁判所さいばんしょに、2003ねん登録とうろくされた商標しょうひょうたいして2008ねん理事りじかい規則きそく適用てきようされるものかわせたのである[129]

欧州おうしゅう裁判所さいばんしょはこの欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく過去かこにさかのぼって適用てきようされるとした[130]理事りじかい規則きそくを、それが発効はっこうした5ねんまえ商標しょうひょう登録とうろく適用てきようするということは一見いっけんしたところ奇妙きみょうえる。しかし、TRIPS協定きょうてい発効はっこうをうけて、地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごされるべきであることを規定きていしている欧州おうしゅう規則きそくNo3378/94が1996ねんにすでに発効はっこうしており[131]欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo110/2008はそれを継承けいしょうしている規則きそくである[132]。そして欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo110/2008の23じょう (1) こうはその地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご実施じっしするにあたっての統一とういつ条件じょうけんあらわしているにぎない[133]。つまり、この欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくをさかのぼって適用てきようさせるとしても、ほう安定あんていせい原則げんそく[注釈ちゅうしゃく 24]関係かんけいしゃ正当せいとう期待きたい保護ほご原則げんそく[注釈ちゅうしゃく 25]くずすことにはならないとした[134]正当せいとう期待きたい保護ほごされているならば、規則きそく達成たっせいすべき目的もくてき非常ひじょうもとめられている場合ばあいには例外れいがいてき規則きそくをかさのぼって適用てきようしていことになっているので[135]最終さいしゅう結論けつろんとして欧州おうしゅう理事りじかい規則きそくNo110/2008が2003ねん商標しょうひょう登録とうろく適用てきようできるとした。

地理ちりてき表示ひょうじとドメインめい

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インターネット・プロトコル (IP)においては、ネットワークじょう機器ききはそれを識別しきべつするためのIPアドレスっている。ところがIPアドレスは8ビットの数字すうじ(0から255)4つのくみであり人間にんげんあつかうには不便ふべんである。そこで通常つうじょうドメインめい使用しようして通信つうしん相手あいてさき機器きき指定していする。ドメインめい人間にんげんおぼえやすい文字もじおよ記号きごうれつである。ドメインめいDNSサーバたすけをりてIPアドレスに変換へんかんでき、ネットワークじょう機器きき同士どうしはIPアドレスを使つかって接続せつぞくされる。

このDNS仕組しくみは大変たいへん便利べんり仕組しくみで大変たいへん成功せいこうしたといえるのだが、ドメインめい企業きぎょう個人こじん独自どくじせいしめ方法ほうほうひとつになるとDNSは「それ自身じしん成功せいこう犠牲ぎせいしゃとなった[136]」。つまりサイバースクワッティングのことである。悪意あくいってドメインめい取得しゅとくし、それを転売てんばいして金銭きんせん取得しゅとくするものあらわれたのである。そこで、アメリカおよびWIPOメンバー各国かっこく提案ていあんもとづき、WIPOは、DNSを管理かんりするICANNへのレポートを1999ねんにまとめた[137]。それをもとに確立かくりつされたのが統一とういつドメインめい紛争ふんそう処理しょり方針ほうしん (UDRP) である。

UDRPのさだめるところでは、第三者だいさんしゃうったえをこしたもの)が以下いかのことをうったえた場合ばあいにドメインめい所有しょゆうしゃ行政ぎょうせい手続てつづきにおうじなければならないとしている[138]

  1. ドメインめいが、うったえをこしたもの権利けんりっている商標しょうひょう[注釈ちゅうしゃく 26]同一どういつであるかまぎらわしいほどにており、且、
  2. 所有しょゆうしゃがそのドメインめいかんしてなん権利けんりっていないか、合法ごうほうてき利害りがい関係かんけいっておらず、且、
  3. 所有しょゆうしゃ悪意あくいなくそのドメインめい登録とうろくし、使用しようしている場合ばあい

3つの条件じょうけんがすべてそろうことが必要ひつようである。

ゴルゴンゾーラ
られたチーズであることからしばしば地理ちりてき表示ひょうじかんする権利けんり紛争ふんそうもとになる。

ここで注目ちゅうもくすべきであるのはUDRPは商標しょうひょう権利けんりのみを紛争ふんそう処理しょり対象たいしょうとしていることである。WIPOのレポートの暫定ざんていばん(1998ねん12がつ)の段階だんかいでは商標しょうひょうだけでなく、地理ちりてき表示ひょうじふくむすべての知的ちてき所有しょゆうけん対象たいしょう検討けんとうされていた[139]。しかし商品しょうひんめい地理ちりてき表示ひょうじ個人こじん権利けんりなどはそれぞれのくに法律ほうりつたがいに調和ちょうわしているとはえず、UDRPからは除外じょがいされた[140]

リオハ(Rioja)ワイン
リオハワインと無関係むかんけいの rioja.com というドメインめい登録とうろくされたことの正当せいとうせいをあらそった。

もちろん地理ちりてき名称めいしょう同時どうじ商標しょうひょうとしても登録とうろくされていればUDRPの対象たいしょうになる。以下いかれいはUDRPで地理ちりてき表示ひょうじ仕様しよう是非ぜひあらそわれたれいである。

ゴルゴンゾーラと gorgonzola.club (WIPO Case No. D2017-0554)[141]
イタリアのノバラ・ゴルゴンゾーラチーズ保護ほご共同きょうどうたいが、“gorgonzola.club”というドメインめい登録とうろくしたアメリカの人物じんぶつたいしてこしたあらそいである[注釈ちゅうしゃく 27]。アメリカでノバラ・ゴルゴンゾーラチーズ保護ほご共同きょうどうたい所有しょゆうしている商標しょうひょう最終さいしゅう結論けつろん (ADMINISTRATIVE PANEL DECISION) のなかで“CG GORGONZOLA Mark”とばれているアルファベットの“c”と“g”をわせたロゴマークだけで、このロゴマークにはゴルゴンゾーラという名称めいしょうはいっていない。とはいえ、これがゴルゴンゾーラを意味いみするとっている消費しょうひしゃは、たしかに“gorgonzola.club”というドメインめいからゴルゴンゾーラという、そのロゴマークが商標しょうひょう登録とうろくされているイタリア特産とくさんのチーズをかんがえてまぎらわしいであろうことはみとめられた。また、ドメインめい所有しょゆうしゃがこのドメインめいかんしてなんの権利けんり法的ほうてき利害りがい関係かんけいっていないこともみとめられた。しかし、悪意あくいってこのドメインめい登録とうろくした証拠しょうこはないとされた。結論けつろんとして、3つ要件ようけんのすべてをたさなかったのでこのうったえは却下きゃっかされた。
リオハ (Rioja) ワインと rioja.com (WIPO Case no. D2018-0168) [142]
リオハ認定にんてい原産地げんさんち呼称こしょう規制きせい理事りじかいリオハ・ワイン地理ちりてき表示ひょうじ管理かんりになっているが、この組織そしきが1996ねん登録とうろくされたrioja.com というドメインめいたいしてうったえをこした。理事りじかいはリオハのかたりふく商標しょうひょう登録とうろくしていたし、またriojawine.com というドメインめい所有しょゆうしていた。rioja.com の所有しょゆうしゃは、リオハの地名ちめい世界中せかいじゅうにいくつかあり、リオハのかたり商標しょうひょう権利けんり侵害しんがいしているということにはならないと反論はんろんした。しかしWIPOのパネルはUDRP4じょうaこうだいいち条件じょうけんには該当がいとうするとみとめた。しかし、この場合ばあいでもドメインめい所有しょゆうしゃ悪意あくいをもってこのドメインめい登録とうろくしたという証拠しょうこ不十分ふじゅうぶんであるとされ、うったえは却下きゃっかされた。
シャンパンと champagne.co (WIPO Case No D2011-0026)[143]
シャンパーニュ委員いいんかい (CIVC) は champagne.co というドメインにたいしてうったえをこしたのだが、この場合ばあいはCIVCは champagne のかたりかんするなんの商標しょうひょう登録とうろくしていなかったので、うったえは却下きゃっかされた。パネルはUDRPにおいては地理ちりてき表示ひょうじ紛争ふんそう処理しょり対象たいしょうになっていないことを強調きょうちょうし、この決定けってい内容ないよう前述ぜんじゅつのリオハ・ワインにかんするUDRPでも引用いんようされている。また、ドメインめい所有しょゆうしゃはCIVCのうったえをドメインめいぎゃくハイジャック(reverse domain name hijacking:悪意あくいってドメインめい正当せいとうせいかんするうったえをこすこと)だと非難ひなんしたのだが、パネルはハイジャック[注釈ちゅうしゃく 28]にはたらないとした。

うえの3つの事例じれいのうち2つは、UDRP4じょうaこうだいさん条件じょうけんたさないとされている。つまりドメインめい悪意あくいって取得しゅとくされたかどうか、という条件じょうけんである。このことについては WIPO Overview of WIPO Panel Views on Selected UDRP Questions, Third Edition (“WIPO Jurisprudential Overview 3.0”) に、どのような場合ばあい悪意あくいって取得しゅとくされたというのかが規定きていされている。

農業のうぎょう政策せいさくとしての原産地げんさんち呼称こしょうおよび地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご

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有機ゆうき栽培さいばい大豆だいずはたけ(スイス、ヴェルディ)
農産物のうさんぶつ付加ふか価値かちける方法ほうほうとして、有機ゆうき栽培さいばいおこなうというような方法ほうほうもある。

一度いちど原産地げんさんち呼称こしょう地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご対象たいしょうになったならば、その地域ちいき生産せいさんしゃ保護ほご申請しんせいをした団体だんたいぞくしていようといまいと明細めいさいしょとおりに製品せいひん製造せいぞうしていればPDOやPGIの表示ひょうじ使用しようすることができる[50][144]

原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご経済けいざいてき重要じゅうようせいおおきい。農産物のうさんぶつ付加ふか価値かちをつけようとする場合ばあい有機ゆうき農産物のうさんぶつつくるというような方法ほうほうもある。しかし、このたね方法ほうほうではすぐにだれもが参入さんにゅうしてきて生産せいさんしゃるレント[注釈ちゅうしゃく 29]はゼロになる。一方いっぽう地理ちりてき表示ひょうじにより差別さべつした場合ばあいには、それが保護ほごされているかぎ生産せいさん模倣もほうすることはできない。生産せいさんしゃはレントをり、それは労働ろうどうりょく技術ぎじゅつ技能ぎのう土地とち知的ちてき財産ざいさんなどにさい投資とうしされ、また、地域ちいきがいからは生産せいさんひんのプレミアム価格かかく観光かんこう産業さんぎょうむすびつく評判ひょうばん加工かこうひん販売はんばい促進そくしんなどの利益りえきがあり、地理ちりてき表示ひょうじ農村のうそん発展はってんこう循環じゅんかんんできている[145]

原産地げんさんち呼称こしょう保護ほごのような公的こうてき地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいどが、本当ほんとう生産せいさんしゃ経済けいざいてき利益りえきになるかというてん地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご制度せいどをめぐるテーマのひとつである。

小規模しょうきぼ生産せいさんしゃにとっては特別とくべつしつ製品せいひんたいして自身じしん投資とうしすることは、費用ひようかりすぎるし、また大手おおて企業きぎょうくらべて資金しきん調達ちょうたつすることもむずかしい[146]。もっとも、あるしん製品せいひん開発かいはつしたとして、独自どくじのラベリングを適用てきようし、製品せいひん開発かいはつおよび宣伝せんでんを、生産せいさんしゃのグループを組織そしきしてそのグループで負担ふたんすることもできる。この場合ばあい開発かいはつおよび宣伝せんでん広告こうこくしょうじるが、変動へんどう原価げんかすくなく、生産せいさん規模きぼおおきくなる[147]一方いっぽうで、ニッチ戦略せんりゃく選択せんたくし、公的こうてき原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご対象たいしょうとして販売はんばいする場合ばあいは、その特別とくべつしつ実現じつげんするために変動へんどう原価げんかたかくなり、生産せいさんりょうにも制限せいげんがあるが開発かいはつおよび宣伝せんでん広告こうこくひくおさえることができる[147]結論けつろんとしては、原産地げんさんち呼称こしょう保護ほごのラベルが効果こうかてきかどうかは、開発かいはつおよび宣伝せんでん広告こうこくといった固定こてい原価げんかと、生産せいさんかかわる変動へんどう原価げんか比較ひかくまる[147]

地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご自由じゆう競争きょうそう市場いちば

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カンタル(フランス)のサレールしゅうし
この牛乳ぎゅうにゅうは、カンタル地方ちほうおおくの原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご対象たいしょうになっているチーズの原料げんりょうになる。

地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごされた農産物のうさんぶつ食品しょくひん(とく原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご対象たいしょう製品せいひん)の生産せいさんには、それにたずさわる参加さんかしゃあいだである程度ていど調整ちょうせい必要ひつようである[148]。もっともおおくあげられる理由りゆうは、対象たいしょう製品せいひん明細めいさいしょめられた特性とくせい、つまり消費しょうひしゃがその製品せいひんえら理由りゆうとなる特性とくせいがその製品せいひんそなわっていなければならないからである。このことにたいしてはたん製造せいぞう工程こうていのみでなく、サプライチェーン全体ぜんたい管理かんりすることがもとめられる。その一方いっぽうで、たとえば、供給きょうきゅうりょう制限せいげんすることで原料げんりょう価格かかくげるというような、市場いちば適切てきせつ運営うんえいさまたげるおそれもある[149]

とはいえ、原産地げんさんち呼称こしょう保護ほご対象たいしょう製品せいひんかんするサプライチェーンにおいて自由じゆう競争きょうそう実際じっさい阻害そがいされているかというと、かならずしもそういうことにはならない。たとえば、フランスの、カンタルコンテ牛乳ぎゅうにゅう市場いちば調査ちょうさしてみたところ、その市場いちば完全かんぜん競争きょうそう状況じょうきょうのようであった[150]

この地域ちいきではカンタルチーズブルー・ドーヴェルニュフルム・ダンベールサン=ネクテールコンテチーズモルビエなどおおくのPDOチーズがある。

カンタルは原料げんりょう供給きょうきゅう業者ぎょうしゃとく積極せっきょくてき供給きょうきゅうりょう調整ちょうせいなどをおこなっていない(おこなうことができないでいる)れいである。ここでは酪農らくのう企業きぎょうのグループによって設立せつりつされたいくつかの牛乳ぎゅうにゅう処理しょり工場こうじょうが、チーズ製造せいぞう業者ぎょうしゃ原料げんりょう供給きょうきゅうしている。小規模しょうきぼ酪農らくのう供給きょうきゅう参入さんにゅうすることは原理げんりてきには可能かのうであるが、チーズ製造せいぞう業者ぎょうしゃはそのチーズの特性とくせい評判ひょうばん維持いじし、また一般いっぱん市場いちばへの適正てきせいりょう供給きょうきゅう意図いとしているので、新規しんき酪農らくのう参入さんにゅうできない。

一方いっぽうコンテは、原料げんりょう供給きょうきゅう業者ぎょうしゃ供給きょうきゅうりょう調整ちょうせいおこなっているれいである。コンテでは3,000の酪農らくのうが、140ほどの牛乳ぎゅうにゅう処理しょり団体だんたい組織そしきし、フレッシュチーズの製造せいぞうまでおこなう。そのフレッシュチーズは最終さいしゅう工程こうてい熟成じゅくせい業者ぎょうしゃ供給きょうきゅうされ、一般いっぱん市場いちばにチーズを供給きょうきゅうするのはこの熟成じゅくせい業者ぎょうしゃである。しかし、原料げんりょうである牛乳ぎゅうにゅう生産せいさんりょうは、チーズの適性てきせい供給きょうきゅうりょう適正てきせい価格かかく考慮こうりょして酪農らくのうがわめる。

このように原料げんりょう供給きょうきゅう業者ぎょうしゃ役割やくわりちがう2つの地域ちいきであるが、どちらも市場いちば経済けいざいをゆがめているとはみとめられず、有意ゆうい水準すいじゅん5%で原料げんりょう供給きょうきゅう業者ぎょうしゃかマーケットパワー(市場いちば価格かかく支配しはいする能力のうりょく)をっているという、統計とうけいてき有意ゆういなデータはられなかった[151]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 2020ねん現在げんざい最新さいしんばんは2013ねん1がつ3にち統合とうごうされたはん統合とうごうとは、それまで改訂かいていされた部分ぶぶん統合とうごうして規則きそく全体ぜんたいあらためて発行はっこうすることである。欧州おうしゅう規則きそく変更へんこう追加ついかがあると、その部分ぶぶんだけをあたらしい規則きそくとして、あたらしい番号ばんごう公示こうじされる。ある時点じてんで、それまでに公示こうじされた変更へんこう追加ついかされた部分ぶぶんをすべてまとめて、いわば完全かんぜんばんとして規則きそく全体ぜんたい公示こうじしなおす。
  2. ^ ヨーロッパで地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご仕組しくみでは、保護ほご対象たいしょうとなる地理ちりてき表示ひょうじを2つのカテゴリーにけているが、その2つのうちの1つが原産地げんさんち呼称こしょう保護ほごであり、もうひとつに地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごという名前なまえがつけられている。
  3. ^ 英語えいごでは“generic(ジェネリック: 総称そうしょう)。”という。
  4. ^ 地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごとてしても機能きのう団体だんたい商標しょうひょう証明しょうめい商標しょうひょう登録とうろくふくまれている。
  5. ^ 地理ちりてき表示法ひょうじほうもとづく地理ちりてき表示ひょうじとしても登録とうろくされている。
  6. ^ 違反いはん行為こういがあった場合ばあいに、是正ぜせい命令めいれいというような手順てじゅんをとることなく、ただちに罰則ばっそく適用てきようされること。
  7. ^ たとえば、田子たごうられたしらずだから「田子たごうらしらす」というのだ、と消費しょうひしゃ認識にんしきしているかぎり、産地さんちのしらすを田子たごうらしらすと理由りゆうがない。商標しょうひょう保護ほごされていてもセロテープのように一般いっぱん名詞めいしになることがある。もっとも、かマンベルチーズ、パルメザンチーズ、フェタのように一般いっぱん名詞めいしになってしまった、あるいはなりかけている地理ちりてき表示ひょうじもある。
  8. ^ 商標しょうひょうシリアルナンバー: 77335650。また、“IDAHO”という単語たんご活字かつじのデザインとセットでやはり証明しょうめい商標しょうひょうとして登録とうろくされている(商標しょうひょうシリアルナンバー: 76542379 )。
  9. ^ やま産品さんぴん (mountain product) と任意にんい品質ひんしつ用語ようご (Optional Quality Terms) の訳語やくごは、独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじんのう畜産ちくさんぎょう振興しんこう機構きこうのウェブページ「EU、農産物のうさんぶつおよ食品しょくひん品質ひんしつにかかるあらたな規則きそく施行しこう」(2013ねん1がつ8にち、2015ねん1がつ2にち閲覧えつらん)にった。
  10. ^ ただし、原料げんりょうとしてのきている動物どうぶつにく牛乳ぎゅうにゅう生産せいさんについては例外れいがい規定きていがある[49]
  11. ^ 日本にっぽん地方裁判所ちほうさいばんしょにあたる、ドイツのだいいちしん裁判所さいばんしょ
  12. ^ 日本にっぽん最高さいこう裁判所さいばんしょたる、ドイツの上級じょうきゅう裁判所さいばんしょ
  13. ^ つまり、このシャーベットはシャンパンそのものとはまったくべつのものであり、類似るいじひんとして間違まちがわれることはないということ。
  14. ^ つまり、どのくに製品せいひんにもおな欧州おうしゅう規則きそくを「平等びょうどうに」適用てきようすること。
  15. ^ 貿易ぼうえき交渉こうしょうにおいて知的ちてき所有しょゆうけんかんする条件じょうけんめるさい、TRIPSを最低限さいていげん基本きほん条件じょうけんとし、さらに交渉こうしょう当事とうじしゃ追加ついか条件じょうけんくわえたものをぞくにTRIPSプラスとしょうしている。TRIPSそのものともWTOともなん関係かんけいもない。
  16. ^ TRIPS協定きょうていにおいて22じょう一般いっぱんてき地理ちりてき表示ひょうじ保護ほご規定きていしており、23じょうはワインおよ蒸留酒じょうりゅうしゅ地理ちりてき表示ひょうじについてより厳格げんかく保護ほご規定きていしている。
  17. ^ 相手あいてこく制度せいどによっては欧州おうしゅう登録とうろくされているすべての地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごのぞめないので、かぎられた製品せいひんのみの保護ほごでよいとしている[94]
  18. ^ 当時とうじ欧州おうしゅう理事りじかい規則きそく No 2081/92。現在げんざい欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012にあたる。
  19. ^ パネルのレポートは2005ねん3がつ15にちづけ各国かっこく回覧かいらんまわされた。
  20. ^ ドイツのバイエルン(またはババリア)さんであることをしめ地理ちりてき表示ひょうじ
  21. ^ ドイツむとするとブドヴァイザァとなる。
  22. ^ 現在げんざい欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012にわっている。
  23. ^ Konjakki: フィンランドでコニャック (Cognac) のこと。
  24. ^ ここでは、現在げんざい行為こうい将来しょうらいどんな法律ほうりつ法律ほうりつ違反いはんとなるか予測よそくができないというような、不安定ふあんていほう運用うんようをしてはいけないということ。このれい場合ばあい地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごされる、という原則げんそくはすでに確立かくりつされているので、保護ほごされるべきであると予想よそうしてしかるべきであり、ほう安定あんていせい原則げんそくまもられているということ。
  25. ^ 正当せいとう期待きたい保護ほごとは、現行げんこう法律ほうりつによって当然とうぜん予想よそうされる結果けっかはそのとおりに実現じつげんされなけれはならない、ということ。いま場合ばあい期待きたいとは、商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんしたらそのとき法律ほうりつもとづいて登録とうろく実現じつげんされることである。地理ちりてき表示ひょうじ保護ほごされるという規則きそくがすでにあったので、その期待きたい正当せいとう期待きたいではない。
  26. ^ 商品しょうひんやサービスの商標しょうひょう
  27. ^ ただし、ドメインの所有しょゆうしゃはWIPOからのわせを無視むしし、なんの情報じょうほう反論はんろん提出ていしゅつしなかった。
  28. ^ 日本語にほんごではなにかをることをして「―ジャック」というが(シージャックバスジャック電波でんぱジャックなど)、英語えいごでは「ハイジャック」が航空機こうくうきかぎらずなにかをることを意味いみする。
  29. ^ 超過ちょうか利益りえき希少きしょう価値かち評判ひょうばんによってプレミアムのついた価格かかく上乗うわのぶんのこと。

出典しゅってん

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  4. ^ 欧州おうしゅう規則きそくNo1151/2012 13じょう(1)(b)こう. ただし、例示れいじされているのは日本語にほんご単語たんごではなく、'style', 'type', 'method', 'as production in', 'imitation'である。リスボン協定きょうていにも同様どうよう規定きていがある(3じょう)。
  5. ^ Giovannucci D., et. al., pp.15-16.
  6. ^ たとえば、カネハツ、を参照さんしょう
  7. ^ Raustiala, et al.,p.341.
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  32. ^ 商標しょうひょうシリアルナンバー: 77335650などの登録とうろく内容ないよう参照さんしょうのこと。
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参考さんこう文献ぶんけん

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欧州おうしゅう規則きそく

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  • REGULATION (EC) No 3378/94 of the European Parliament and of the Council of 22 December 1994 amending Regulation (EEC) No 1576/89 laying down general rules on the definition, description and presentation of spirit drinks and Regulation (EEC) No 1601/91 laying down general rules on the definition, description and presentation of aromatized wines, aromatized wine-based drinks and aromatized wine-product cocktails following the Uruguay Round of the multilateral trade negotiations, 1994ねん12月22にち.
  • REGULATION (EC) No 110/2008 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 15 January 2008 on the definition, description, presentation, labelling and the protection of geographical indications of spirit drinks and repealing Council Regulation (EEC) No 1576/89, Consolidated version 08/06/2019.
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欧州おうしゅう公報こうほう

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欧州おうしゅう裁判所さいばんしょ判決はんけつ

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国際こくさい条約じょうやくなど

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  • 知的ちてき所有しょゆうけん貿易ぼうえき関連かんれん側面そくめんかんする協定きょうてい(TRIPS協定きょうてい)、1994ねん
  • Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy, 承認しょうにん:1999ねん10がつ24にち.

日本にっぽん法律ほうりつ

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  • 商標しょうひょうほう

特許庁とっきょちょう(日本にっぽん)

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一般いっぱん資料しりょう

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ウェブページ、プレゼンテーションなど

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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