武蔵むさし知ち県けん事ごと

武蔵むさし知ち県けん事ごと（むさしちけんじ）は、1868年ねん（明治めいじ元年がんねん）に主おもに武蔵むさし国こく内うちの旧きゅう幕府ばくふ領りょうの管轄かんかつのために明治めいじ政府せいふによって置おかれた地方ちほう長官ちょうかん。旧きゅう幕府ばくふの馬喰ばくろ町まち御用ごよう屋敷やしき詰づめ代官だいかん3名めいの支配しはい所しょをおおむね引ひき継ついだ3つの知ち県けん事ごとの通称つうしょうである。現在げんざいの東京とうきょう都と、埼玉さいたま県けん、神奈川かながわ県けん、千葉ちば県けんのそれぞれ一部いちぶを管轄かんかつした。

概要がいよう

1868年ねん（慶応けいおう4年ねん）4月がつ11日にちの江戸城えどじょう開城かいじょうを経へて、江戸えど周辺しゅうへんの支配しはい権けんをほぼ掌握しょうあくした明治めいじ新しん政府せいふは、同年どうねん5月11日にち、新しん政府せいふ軍ぐんの軍政ぐんせい下かに置おいていた江戸えど市し中ちゅうの旧きゅう町奉行まちぶぎょう支配しはい地域ちいきを管轄かんかつする江戸えど府ふを設置せっちした。江戸えど府ふは、7月がつ17日にちに江戸えどが東京とうきょうに改称かいしょうされるとともに東京とうきょう府ふ（第だい1次じ）に改称かいしょうされている。

一方いっぽう、江戸えど近傍きんぼうの旧きゅう幕府ばくふ領りょうおよび旗本はたもと知行ちぎょう地ちについては、6月19日にちに忍にん藩はん士しの山田やまだ政則まさのり（一いち太夫たゆう）、翌よく20日にちに旧きゅう幕府ばくふ代官だいかんの松村まつむら長ちょう為ため（忠四郎ちゅうしろう）、さらに7月がつ10日とおかには旧きゅう幕府ばくふ代官だいかん手しゅ附ふの桑山くわやま効こう（圭けい助すけ）を、それぞれ知ち県けん事ごとに任にんじた。山田やまだは武蔵むさし国こく内うちの足立あだち郡ぐんを中心ちゅうしんに約やく11.4万まん石せき、松村まつむらは従前じゅうぜん自みずからの支配しはい所しょであった武蔵むさし国内こくないの多摩たま郡ぐん・荏原えばら郡ぐん・入間いるま郡ぐんを中心ちゅうしんに約やく10万まん石せき、桑山くわやまは武蔵むさし国こくおよび下総しもうさ国内こくないの葛飾かつしか郡ぐんを中心ちゅうしんに約やく13万まん石せきの旧きゅう幕府ばくふ領りょう・旗はた本領ほんりょうなどを管轄かんかつした。知ち県けん事ごとはその後ごそれぞれ宮原みやはら忠英ただひで、古賀こが定雄さだお（一平いっぺい）、河瀬かわせ秀治しゅうじに交代こうたい。新しん政府せいふの支配しはいが安定あんていした1869年ねん（明治めいじ2年ねん）、3知ち県けん事ごとの管轄かんかつ区域くいきをそれぞれ大宮おおみや県けん（県庁けんちょうは東京とうきょう府ふ馬喰ばくろ町まちに設置せっち）、品川しながわ県けん、小菅こすげ県けんとした。

沿革えんかく

• 慶応けいおう4年ねん=明治めいじ元年がんねん
  • 閏うるう4月がつ21日にち（1868年ねん6月11日にち） - 府ふ藩はん県けん設置せっちの政体せいたい書しょが公布こうふされ、府ふ藩はん県けん三さん治ち制せいが施行しこう。
  • 6月19日にち（1868年ねん8月がつ7日にち） - 山田やまだ政則まさのりが知ち県けん事ごとに就任しゅうにん。
  • 6月がつ20日はつか（1868年ねん8月がつ8日にち） - 旧きゅう幕府ばくふ代官だいかんの松村まつむら長ちょう為ためが知ち県けん事ごとに就任しゅうにん。
  • 7月がつ10日とおか（1868年ねん8月がつ27日にち） - 旧きゅう幕府ばくふ代官だいかんの桑山くわやま効こうが知ち県けん事ごとに就任しゅうにん。
  • 8月がつ8日にち（1868年ねん9月23日にち） - 松村まつむら長ちょう為ため知ち県けん事ごとが古賀こが定雄さだお（一平いっぺい）に交代こうたい。
  • 11月5日にち（1868年ねん12月18日にち） - 町まち地ちとその周辺しゅうへんが東京とうきょう府ふ（第だい1次じ）に編入へんにゅう。
  • 12月23日にち（1869年ねん2月がつ4日にち） - 桑山くわやま効こう知ち県けん事ごとが河瀬かわせ秀治しゅうじに交代こうたい。
• 明治めいじ2年ねん
  • 1月がつ10日とおか（1869年ねん2月がつ20日はつか） - 山田やまだ政則まさのり知ち県けん事ごとが宮原みやはら忠英ただひでに交代こうたい。
  • 1月がつ13日にち（1869年ねん2月がつ23日にち） - 河瀬かわせ知とも県けん事ごとの管轄かんかつ区域くいきに小菅こすげ県けんを設置せっち。
  • 2月がつ9日にち（1869年ねん3月21日にち） - 宮原みやはら、古賀こが各かく知ち県けん事ごとの管轄かんかつ区域くいきにそれぞれ大宮おおみや県けん（のち浦和うらわ県けん）、品川しながわ県けんを設置せっち。

管轄かんかつ区域くいき

詳細しょうさいは浦和うらわ県けん、品川しながわ県けん、小菅こすげ県けんの項目こうもくを参照さんしょう。

• 大竹おおたけ左ひだり馬うま太郎たろう支配しはい所しょほか114,450石せき　→　山田やまだ政則まさのり　→　宮原みやはら忠英ただひで　→　大宮おおみや県けん　→　浦和うらわ県けん
• 松村まつむら忠四郎ちゅうしろう支配しはい所しょ、増上寺ぞうじょうじ領りょうほか100,000石せき　→　松村まつむら長ちょう為ため　→　古賀こが定雄さだお　→　品川しながわ県けん
• 佐々井ささい半はん十じゅう郎ろう支配しはい所しょ、東ひがし叡山えいざん領りょうほか137,200石せき　→　桑山くわやま効こう　→　河瀬かわせ秀治しゅうじ　→　小菅こすげ県けん

歴代れきだい知事ちじ

• 1868年ねん（慶応けいおう4年ねん）6月19日にち - 1869年ねん（明治めいじ2年ねん）1月がつ10日とおか ： 知ち県けん事ごと・山田やまだ政則まさのり（忍にん藩士はんし）
• 1868年ねん（慶応けいおう4年ねん）6月がつ20日はつか - 1868年ねん（慶応けいおう4年ねん）8月がつ8日にち ： 知ち県けん事ごと・松村まつむら長ちょう為ため（旧きゅう幕府ばくふ代官だいかん）
• 1868年ねん（慶応けいおう4年ねん）7月がつ10日とおか - 1868年ねん（明治めいじ元年がんねん）12月23日にち ： 知ち県けん事ごと・桑山くわやま効こう（旧きゅう幕府ばくふ代官だいかん手しゅ附ふ）
• 1868年ねん（慶応けいおう4年ねん）8月がつ8日にち - 1869年ねん（明治めいじ2年ねん）2月がつ9日にち ： 知ち県けん事ごと・古賀こが定雄さだお（佐賀さが藩はん士し）
• 1868年ねん（明治めいじ元年がんねん）12月23日にち - 1869年ねん（明治めいじ2年ねん）1月がつ13日にち ： 知ち県けん事ごと・河瀬かわせ秀治しゅうじ（宮津みやづ藩はん士し）
• 1869年ねん（明治めいじ2年ねん）1月がつ10日とおか - 1869年ねん（明治めいじ2年ねん）2月がつ8日にち ： 知ち県けん事ごと・宮原みやはら忠英ただひで（前まえ太政官だじょうかん弁べん事ごと）

関連かんれん項目こうもく

• 武蔵むさし国こく
• 東京とうきょう府ふ
• 神奈川かながわ県けん - 多摩たま郡ぐんの大だい部分ぶぶんを一時いちじ的てきに管轄かんかつ。
• 埼玉さいたま県けん
• 入間いるま県けん
• 府ふ藩はん県けん三さん治ち制せい