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湿式しっしき洗浄せんじょうとう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

湿式しっしき洗浄せんじょうとう(しっしきせんじょうとう)はからのけむりどうガスなどから汚染おせん物質ぶっしつ除去じょきょする装置そうちである。湿式しっしき洗浄せんじょうとうでは、汚染おせんされたガスを洗浄液せんじょうえき噴霧ふんむ洗浄液せんじょうえきんだりして接触せっしょくすることより汚染おせん物質ぶっしつ除去じょきょする。

設計せっけい

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ベンチュリーとう英語えいごばん。ベンチュリーとうではサイクロン分離ぶんりばれるミストエリミネーターをもちいることがおおい。
これは、ミストエリミネーターを上部じょうぶ設置せっちしたじゅうてんとう様々さまざまとうがある。

湿式しっしき洗浄せんじょうとうすなわち大気たいき汚染おせん防止ぼうし装置そうち設計せっけいは、産業さんぎょうようプロセスの条件じょうけん性質せいしつ汚染おせん物質ぶっしつ含有がんゆうする空気くうきによりことなる。入口いりくちガス性状せいじょうやばいじん粒子りゅうし特性とくせいばいじん粒子りゅうし存在そんざいする場合ばあい)がもっと重要じゅうようである。洗浄せんじょうとうは、ばいじん粒子りゅうしやガスじょう汚染おせん物質ぶっしつあつめるよう設計せっけいする。いろいろな湿式しっしき洗浄せんじょうとうがあり自由じゆう配置はいちができる。洗浄液せんじょうえき汚染おせんされたガスのせっえきくなるよう設計せっけいされている。

湿式しっしき洗浄せんじょうとうは、ばいじん粒子りゅうしえきしずくしゅうすることにより除去じょきょする。えきしずくはそのあつめられ、ガスじょう汚染おせん物質ぶっしつ溶解ようかい吸収きゅうしゅうする。洗浄せんじょうとうないのガスちゅうえきしずくは、ミストエリミネーター飛沫しぶき分離ぶんりばれる装置そうちにより出口いでぐちガスから分離ぶんりされる(これらの言葉ことばたがいにもちいることができる)。また、洗浄せんじょうはいえきは、排水はいすい処理しょりしたのち排水はいすいしたりプラントでさい利用りようされる。

湿式しっしき洗浄せんじょうとうこまかな粒子りゅうしあつめる能力のうりょくは、洗浄せんじょうとうへの電力でんりょく投入とうにゅうりょう直接ちょくせつ比例ひれいすることがおおい。スプレーとう英語えいごばんのようなていエネルギー装置そうちは、5マイクロメートルよりおおきな粒子りゅうしあつめるためにもちいられる。1マイクロメートル以下いか粒子りゅうし除去じょきょには、たか効率こうりつるために、通常つうじょうベンチュリーとうのようなエネルギー消費しょうひりょうおお装置そうちや、凝縮ぎょうしゅく洗浄せんじょうとうのように粒子りゅうしおおきくする装置そうち必要ひつようとなる。くわえてただしい設計せっけいまつ分離ぶんりやミストエリミネーターが、たか除去じょきょ効率こうりつるために重要じゅうようである。ミストエリミネーターでしゅうできないえきしずくりょうがふえると、汚染おせん物質ぶっしつ排出はいしゅつレベルをたかめることになる。

ガスじょう汚染おせん物質ぶっしつ除去じょきょする湿式しっしき洗浄せんじょうとう吸収きゅうしゅうとうばれる。たかえきガス、すなわちガスとえき接触せっしょく十分じゅうぶんおこなわれることは、吸収きゅうしゅうとうたか除去じょきょ効率こうりつうえ重要じゅうようである。さまざまな形状けいじょう湿式しっしき洗浄せんじょうとうがガスじょう汚染おせん物質ぶっしつ除去じょきょするためにもちいられる。充填じゅうてんとう英語えいごばんたなだんとうもっと一般いっぱんてきである。

粒子りゅうしとガスをふくむガスの場合ばあい湿式しっしき洗浄せんじょうとうりょう汚染おせん物質ぶっしつ除去じょきょすることのできる唯一ゆいいつ空気くうき汚染おせん防止ぼうし装置そうちである。湿式しっしき洗浄せんじょうとうはばいじん粒子りゅうしとガス両方りょうほうたいしてこう除去じょきょ効率こうりつ達成たっせいことができ、場合ばあいによってはりょう汚染おせん物質ぶっしつこう効率こうりつ除去じょきょする。しかしおおくの場合ばあい、ばいじん粒子りゅうし除去じょきょてきした運転うんてん条件じょうけんは、汚染おせんガスの除去じょきょにはてきしていない。

一般いっぱんに、たかいガス / ばいじん粒子りゅうし同時どうじ除去じょきょ効率こうりつ達成たっせいするためには、容易ようい吸収きゅうしゅうじょちりできる物質ぶっしつである必要ひつようがある(すなわち、ガスが吸収きゅうしゅうえき溶解ようかいしやすく粒子りゅうしがおおきく容易ようい回収かいしゅうできる、もしくは石灰せっかい水酸化すいさんかナトリウムのような洗浄液せんじょうえきもちいるなど)

利点りてん欠点けってん

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湿式しっしき洗浄せんじょうとう(湿式しっしきしゅうじんともばれる)のばいじん粒子りゅうし除去じょきょ性能せいのうを、バグフィルター電気でんきしゅうじん英語えいごばん (EP)にたいして比較ひかく評価ひょうかする。これらの装置そうちたいする湿式しっしき洗浄せんじょうとう利点りてんつぎのとおり

  • 湿式しっしき洗浄せんじょうとうは、たか温度おんど湿しめぶん環境かんきょう使用しようできる。
  • 湿式しっしき洗浄せんじょうとうけむりどうガスが冷却れいきゃくされ、その結果けっか装置そうち全体ぜんたいちいさくなる。
  • 湿式しっしき洗浄せんじょうとうは、ガスとばいじん粒子りゅうし除去じょきょ可能かのうである。
  • 湿式しっしき洗浄せんじょうとうは、腐食ふしょくせいのガスを中和ちゅうわする能力のうりょくつ。

湿式しっしき洗浄せんじょうとう腐食ふしょく欠点けってんであり、同伴どうはんまつの分離ぶんりやミストの除去じょきょが、こう効率こうりつ性能せいのうたり、使用しようえき排水はいすい処理しょりさい利用りよう必要ひつようである。

湿式しっしき洗浄せんじょうとうさんプラント英語えいごばん肥料ひりょうプラント、製鉄せいてつアスファルトプラントやおおきな発電はつでんしょのようなさまざまな工業こうぎょうもちいられている。

湿式しっしき洗浄せんじょうとう利点りてん欠点けってん 装置そうちとの比較ひかく
利点りてん 欠点けってん
  • しょう設置せっち面積めんせき洗浄せんじょうとう温度おんどげたり飽和ほうわとすることによりガスの容量ようりょうらす。そのため、装置そうちおおきさは、下流かりゅうのファンやけむりどうふくめて、装置そうちくらべてちいさくなる。しょう設置せっち面積めんせきのため建設けんせつげたり、洗浄せんじょうとうのより自由じゆう設置せっち可能かのうとなる。
  • 2ばいじん粒子りゅうしげんとならない。一度いちどばいじん粒子りゅうしあつめられると、ホッパーや輸送ゆそうあいだれない。
  • 高温こうおんだか湿度しつどのガスをあつかうことができる。温度おんど制限せいげんはなく、凝縮ぎょうしゅく問題もんだいおこらない。バグフィルターや電気でんきしゅうじんでは問題もんだいとなる。
  • 火災かさい爆発ばくはつ危険きけんすくない。乾燥かんそうしたばいじん粒子りゅうし可燃かねんせい場合ばあいがある。みずをもちいるとばくはつ可能かのうせいがなくなる。
  • ガスとばいじん粒子りゅうし両方りょうほう吸収きゅうしゅうあつまりじんすることができる。
  • 腐食ふしょくみず溶解ようかいした汚染おせん物質ぶっしつは、腐食ふしょくせいたかさん溶液ようえき形成けいせいする可能かのうせいがある。適切てきせつ材質ざいしつ選定せんていきわめて重要じゅうようである。また、湿しめ-いぬい界面かいめん腐食ふしょくをおこす可能かのうせいたかい。
  • たか消費しょうひ電力でんりょくたかしゅうじん効率こうりつるために、たか圧力あつりょく損失そんしつをかける必要ひつようがある。結果けっかとしてたか運転うんてんコストとなる。
  • みず排出はいしゅつ排水はいすい規制きせい合致がっちするよう、沈殿ちんでんや スラッジろ排水はいすい処理しょり必要ひつようである。
  • 生成せいせいぶつ回収かいしゅう困難こんなん洗浄せんじょうとうスラッジの脱水だっすい乾燥かんそうによるばいじん粒子りゅうし回収かいしゅうさい利用りよう費用ひようがかさみむずかしい。

構成こうせい

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湿式しっしき洗浄せんじょうとうのシステムは通常つうじょう下記かきのような構成こうせいである。

  • けむりどうファン系統けいとう
  • ふえ湿しめとう(必要ひつよう場合ばあい)
  • 洗浄せんじょうとう
  • 同伴どうはんまつ分離ぶんりやミストエリミネーター
  • 吸収きゅうしゅうえき供給きょうきゅう系統けいとう(と循環じゅんかん系統けいとう)
  • 排水はいすい処理しょりさい利用りよう系統けいとう
  • 煙突えんとつ

典型てんけいてき湿式しっしき洗浄せんじょうプロセスはつぎのとおりである。

  • からのあつけむりどうガスは、ふえ湿しめとう(洗浄せんじょうとうでのまりを防止ぼうしする必要ひつようがある場合ばあい)にはいる。ここでガスは冷却れいきゃくぞう湿しめされる。ぞう湿しめとうにおいてけむりどうガスに存在そんざいするばいじん粒子りゅうし部分ぶぶんてき除去じょきょされる。
  • ガスはベンチュリーとう導入どうにゅうされる。ここでおよそ半分はんぶんのガスが除去じょきょされる。ベンチュリーとうは95%以上いじょうのばいじん粒子りゅうし除去じょきょ効率こうりつをもつ。
  • ガスは充填じゅうてんとうながれる。ここでのこりのガス(やばいじん粒子りゅうし)が吸収きゅうしゅうされる。
  • 同伴どうはんまつ分離ぶんりやミストエリミネーターによりけむりどうガスに同伴どうはんするえきしずく除去じょきょする。
  • 循環じゅんかんポンプは使用しようみの洗浄液せんじょうえき一部いちぶをベンチュリーとうもどす。循環じゅんかん使用しようし、のこりは排水はいすい処理しょりおくられる。
  • 処理しょりした洗浄液せんじょうえきふえ湿しめとう充填じゅうてんとうさい利用りようする。
  • ファンけむりどうをとおりけむりどうガス煙突えんとつから排出はいしゅつされる。

分類ぶんるい

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湿式しっしき洗浄せんじょうとう運転うんてん方法ほうほう多様たようなことから、をきれいに分類ぶんるいするのはむずかしい。あつまりじんを目的もくてきとした洗浄せんじょうとうは、通常つうじょうガス系統けいとう圧力あつりょく損失そんしつ分類ぶんるいされる。ガスがわ圧力あつりょく損失そんしつとはガスが洗浄せんじょうとうをとおるさいこる圧力あつりょく差違さい、すなわち圧力あつりょく損失そんしつしめす(吸収きゅうしゅうえきとうないへスプレーする圧力あつりょくではない)。

洗浄せんじょうとう圧力あつりょく損失そんしつつぎのとおり分類ぶんるいけされる:

  • てい程度ていどのエネルギーを消費しょうひする洗浄せんじょうとう圧力あつりょく損失そんしつは12.7 cm (5 in)水柱みずばしら以下いかである。
  • ちゅう程度ていどのエネルギーを消費しょうひする洗浄せんじょうとう圧力あつりょく損失そんしつは12.7 から 38.1 cm (5 から15 in)水柱みずばしらである。
  • こう程度ていどのエネルギーを消費しょうひする洗浄せんじょうとう圧力あつりょく損失そんしつは38.1 cm (15 in)水柱みずばしら以上いじょうである。

しかし、おおくの洗浄せんじょうとうひろ圧力あつりょく損失そんしつ範囲はんい運転うんてんされる。これはおのおのの使用しよう目的もくてきによるため、このたね分類ぶんるいけはむずかしい。

湿式しっしき洗浄せんじょうとう分類ぶんるいわけする方法ほうほうに、おもにばいじん粒子りゅうしあつめるのかガスじょう汚染おせん物質ぶっしつなのか、洗浄せんじょうとう利用りよう方法ほうほうによるものがある。しかし、この分類ぶんるいけは洗浄せんじょうとうりょう汚染おせん物質ぶっしつ除去じょきょするためにもちいられることがおおいため、かならずしも明確めいかくでない。

湿式しっしき洗浄せんじょうとうはまた、ガスしょうえき接触せっしょくする(えき分散ぶんさんがた)のか、えきしょうなのか(ガス分散ぶんさんがた)により分類ぶんるいすることができる。洗浄せんじょうとう汚染おせん物質ぶっしつふくむガスがえき接触せっしょくするよう送風そうふうおくえき電力でんりょくやエネルギーをもちいるように設計せっけいされている。これらの種別しゅべつ下記かきしめす。[1]

接触せっしょくエネルギーげん分類ぶんるいした湿式しっしきしゅうじん
湿式しっしきしゅうじん えき接触せっしょくもちいられるエネルギーげん
  • えき分散ぶんさんがた
  • ガス分散ぶんさんがた
  • えきまく
  • わせ
    • えきしょうやガスしょう
    • 機械きかいてき支援しえんがた
  • ガスなが
  • えきなが
  • えきとガスなが
  • エネルギーげん:
    • えきとガスのなが
    • 機械きかい駆動くどう回転かいてんつばさ

材料ざいりょう設計せっけい

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腐食ふしょく化学かがく工業こうぎょうもちいられる洗浄せんじょうシステムにおいてもっとおおきな問題もんだいである。繊維せんい強化きょうかプラスチックや2じゅうコーティングがよく使用しようする材料ざいりょうとして選定せんていされている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ US EPA Air Pollution Training Institute developed in collaboration with North Carolina State University, College of Engineering (NCSU)

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Bethea, R. M. 1978. Air Pollution Control Technology. New York: Van Nostrand Reinhold.
  • Perry, J. H. (Ed.). 1973. Chemical Engineers’ Handbook. 5th ed. New York: McGraw-Hill.
  • Richards, J. R. 1995. Control of Particulate Emissions (APTI Course 413). U.S. Environmental Protection Agency.
  • Richards, J. R. 1995. Control of Gaseous Emissions. (APTI Course 415). U.S. Environmental Protection Agency.
  • Semrau, K. T. 1977. Practical process design of particulate scrubbers. Chemical Engineering. 84:87-91.

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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