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水酸化すいさんかナトリウム

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水酸化すいさんかナトリウム
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水酸化すいさんかナトリウム
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単位たんい格子こうし空間くうかん充填じゅうてんモデル
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 1310-73-2 チェック
PubChem 14798
ChemSpider 14114 チェック
UNII 55X04QC32I チェック
EC番号ばんごう 215-185-5
E番号ばんごう E524 (pH調整ちょうせいざい固化こか防止ぼうしざい)
国連こくれん/北米ほくべい番号ばんごう 1823
KEGG C12569 チェック
MeSH Sodium+hydroxide
ChEBI
RTECS番号ばんごう WB4900000
Gmelin参照さんしょう 68430
特性とくせい
化学かがくしき NaOH
モル質量しつりょう 39.99714 g mol−1
外観がいかん 白色はくしょく固体こたい
密度みつど 2.13 g/cm3, 固体こたい
融点ゆうてん

318 °C, 591 K, 604 °F

沸点ふってん

1388 °C, 1661 K, 2530 °F

みずへの溶解ようかい 1110 g / L (20 °C)
メタノールへの溶解ようかい 238 g / L
エタノールへの溶解ようかい << 139 g / L
蒸気じょうきあつ < 18 mmHg (20 °C)
さん解離かいり定数ていすう pKa 13
屈折くっせつりつ (nD) 1.412
危険きけんせい
安全あんぜんデータシート(外部がいぶリンク) External MSDS
GHSピクトグラム 腐食性物質
GHSシグナルワード 危険きけん(DANGER)
Hフレーズ H314
Pフレーズ P260, P264, P280, P301+330+331, P303+361+353, P304+340, P305+351+338, P310, P321, P363, P405, P501
NFPA 704
0
3
1
ALK
関連かんれんする物質ぶっしつ
そのかげイオン 硫化りゅうか水素すいそナトリウム
そのイオン 水酸化すいさんかセシウム
水酸化すいさんかリチウム
水酸化すいさんかカリウム
水酸化すいさんかルビジウム
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

水酸化すいさんかナトリウム(すいさんかナトリウム、えい: sodium hydroxide)は化学かがくしき NaOH であらわされる無機むき化合かごうぶつで、ナトリウム水酸化物すいさんかぶつであり、常温じょうおんつねあつではナトリウムイオン水酸化物すいさんかぶつイオンからなるイオン結晶けっしょうである。苛性かせいソーダ(かせいソーダ、えい: caustic soda)とばれることもおおい。

つよ塩基えんきアルカリ)として広汎こうはんかつだい規模きぼもちいられ、工業こうぎょうてき非常ひじょう重要じゅうよう基礎きそ化学かがくひんの1つである。毒物どくぶつおよげきぶつ取締とりしまりほうによりはらからだおよび5 %をえる製剤せいざいげきぶつ指定していされている。

性質せいしつ

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常温じょうおんでは無色むしょく無臭むしゅう固体こたい試薬しやくとしては白色はくしょくたま粒状りゅうじょうやフレークじょうであるものがおおい。融点ゆうてん 591 K(317.85)、沸点ふってん 1661 K(1387.85)、密度みつど 2.13 g cm−3潮解ちょうかいせいつよく、空気くうきちゅう放置ほうちすると徐々じょじょ吸湿きゅうしつして溶液ようえきじょうとなる。

みずえき溶(20 °C での溶解ようかいは 1110 g L−1)。水中すいちゅう完全かんぜん電離でんり水酸化物すいさんかぶつイオン放出ほうしゅつするため、つよアルカリ性あるかりせいしめす。また、みずかすさいはげしく発熱はつねつし (溶解ようかいねつは 44.5 kJ mol−1)、そのみずおよび溶解ようかいエンタルピー変化へんか以下いかとおりである[1]水溶液すいようえき濃縮のうしゅくするといちみず和物あえもの NaOH・H2O が析出せきしゅつする。

二酸化炭素にさんかたんそ吸収きゅうしゅうする能力のうりょくつよく、水溶液すいようえき実験じっけんしつにおいてその吸収きゅうしゅうざいとしてもちいられる。

市販しはん製品せいひん多少たしょう炭酸たんさんナトリウムふくんでいる(空気くうきちゅう二酸化炭素にさんかたんそ反応はんのうして表面ひょうめん生成せいせいされるものもふくむ)が、50 % (d = 1.52 g cm−3, 19 mol dm−3) 程度ていど濃厚のうこう水溶液すいようえきでは、炭酸たんさんナトリウムはほぼ完全かんぜん沈殿ちんでんしこれをふくまない水溶液すいようえき調整ちょうせい可能かのうとなるため、分析ぶんせき化学かがくにおいて中和ちゅうわしずくじょうなどにもちいられる。

工業こうぎょうようにはフレークじょうやビーズじょうのものもあるが、通常つうじょうまとまって使用しようする場面ばめんでは 48 % 水溶液すいようえき工場こうじょう出荷しゅっか質量しつりょう%)が流通りゅうつうしており、凝固ぎょうこてんやく 10 °C沸点ふってんやく 138 °C性状せいじょう無色むしょく透明とうめいからやや灰色はいいろ密度みつどやく 1.5 g cm−3固体こたいおよび水溶液すいようえきとも空気くうきちゅう二酸化炭素にさんかたんそ吸収きゅうしゅう炭酸たんさんナトリウムしょうじるため、密栓みっせんして保存ほぞんする必要ひつようがある。ガラス徐々じょじょおかケイ酸けいさんナトリウムしょうじて固着こちゃくするため、ガラス瓶がらすびんとくすりわせせん使用しようしない。

また、両性りょうせい元素げんそであるアルミニウム反応はんのうしてアルミンさんナトリウム水溶液すいようえき生成せいせい水素すいそ発生はっせいする。その亜鉛あえんおよびガリウムなどもアルミニウムより反応はんのうせいひくいが水酸化すいさんかナトリウム水溶液すいようえき徐々じょじょ反応はんのうする。

なお、つよいアルカリはタンパク質たんぱくしつアミド結合けつごうペプチド結合けつごう)や油脂ゆしエステル結合けつごう加水かすい分解ぶんかいするので、生体せいたい組織そしき腐食ふしょくする。これが苛性かせいソーダという名称めいしょう由来ゆらいとされる。身体しんたい付着ふちゃくすると化学かがく熱傷ねっしょうこすので、付着ふちゃくした場合ばあい即座そくざ多量たりょうみずでよくあらながすべきである。とくはいったさいは、流水りゅうすいで10ふん以上いじょうあらながし、即座そくざ医師いし手当てあてをけるべきである。[2][3]

製法せいほう

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陰極いんきょく
陽極ようきょく

水酸化すいさんかナトリウムを製造せいぞうするだい規模きぼ工業こうぎょうソーダ工業こうぎょうばれる。もっと現在げんざいでは水酸化すいさんかナトリウム(苛性かせいソーダ)より同時どうじ製造せいぞうされる塩素えんそ需要じゅようほうおおきい。

工業こうぎょうてきには塩化えんかナトリウム原料げんりょうとして、イオン交換こうかん電気でんき分解ぶんかいとを併用へいようするイオン交換こうかんまくほうによって製造せいぞうする。さらに、水素すいそふくなませずイオン交換こうかんまくほうより消費しょうひ電力でんりょくすくないガス拡散かくさん電極でんきょくほうも、2013ねんより東亞とうあ合成ごうせい徳島とくしま工場こうじょうかわきりに商業しょうぎょう運転うんてんはじまっている[4]。いずれの場合ばあいでも、塩素えんそ水酸化すいさんかナトリウムのどちらか一方いっぽうだけを選択せんたくてきることはできない。なお、歴史れきしてきにはイオン交換こうかんまくほう以外いがいに、水銀すいぎんほう隔膜かくまくほう利用りようされてきた。日本にっぽん国内こくないでは水俣病みなまたびょう発生はっせい以降いこう水銀すいぎんほう規制きせいされて隔膜かくまくほう主流しゅりゅうになり、その全量ぜんりょうがイオン交換こうかんまくほうによって製造せいぞうされるようになった。

用途ようと

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基礎きそ工業こうぎょう薬品やくひんのひとつとして多様たよう方面ほうめんもちいられる。水酸化すいさんかナトリウムの2016年度ねんど日本にっぽん国内こくない生産せいさんりょうは 3,860,717 t、消費しょうひりょうは 931,459 t である[5]。2001ねん時点じてん世界せかい生産せいさんりょうは4218まんtであり、アメリカが1/4きょう首位しゅいめた。これに中国ちゅうごく日本にっぽんくわえた3カ国かこくぜん生産せいさんりょう過半数かはんすうめる。

代表だいひょうてき用途ようととしては、単純たんじゅんアルカリとして上水道じょうすいどう下水道げすいどう工業こうぎょう廃水はいすい中和ちゅうわざいとされるほか、ボーキサイトからアルミニウム原料げんりょうであるアルミナ酸化さんかアルミニウム)をすのにも使用しようされる。パンスナック菓子すなっくがしプレッツェル生地きじ水溶液すいようえきけて、表面ひょうめんのつやしとしょくかん改善かいぜんにも利用りようされている。ただし、高温こうおん (170 °C 前後ぜんご) でかれるため、炭酸たんさんナトリウム変化へんか製品せいひんにはのこらない。

石鹸せっけん作用さよう利用りようするもっと基礎きそてき薬品やくひんである。ほとんどの場合ばあい固形こけい石鹸せっけん製造せいぞうには水酸化すいさんかナトリウムがもちいられる。石鹸せっけんベースの洗剤せんざい製造せいぞうにも使つかわれることがあるが、こちらは水酸化すいさんかカリウムもちいる液体えきたい石鹸せっけんがベースの製品せいひんおおい。家庭かていてんぷらあぶら廃油はいゆなどを利用りようした手作てづく石鹸せっけん制作せいさくするさいにもかせない薬品やくひんで、薬局やっきょくとうにて印鑑いんかん身分みぶん証明しょうめいしょがあれば購入こうにゅう可能かのうであるが、水酸化すいさんかナトリウムは大変たいへん危険きけん薬品やくひんであることをけっしてわすれてはならない。強力きょうりょく塩基えんきせい薬品やくひんであるとともに、みずねつおおきいことからおもわぬ爆発ばくはつてき反応はんのうこすことがあり(たとえばフレークの苛性かせいソーダにみずをかけると急激きゅうげき発熱はつねつし突沸する)、不慮ふりょ事故じこにつながりかねない。

水酸化すいさんかナトリウムそのものの強力きょうりょく脱脂だっし作用さようつよし塩基えんきせい溶解ようかい能力のうりょく利用りようして直接ちょくせつ洗浄せんじょうざいとしてもちいられることもあり、市販しはん排水はいすいかんクリーナーは水酸化すいさんかナトリウムを主剤しゅざいとしたものがおおい。またこれにくわえて苛性かせいカリ(水酸化すいさんかカリウム)界面かいめん活性かっせいざいくわ洗浄せんじょうりょく強化きょうかした製品せいひん販売はんばいされている。こちらはおも業務ぎょうむようで、空調くうちょう業界ぎょうかいクリーニングごう使用しようされる。また、油分ゆぶん反応はんのうして鹸化けんかする特性とくせい利用りようして、めっき工場こうじょうなどでの脱脂だっし処理しょりとして利用りようされることもある。

製紙せいし工業こうぎょうにおいては、パルプ製造せいぞうさい原料げんりょう木材もくざいちゅうリグニン溶解ようかいするためのふけかい工程こうてい硫化りゅうかナトリウムとともに多量たりょう消費しょうひされる。

学校がっこう教育きょういく現場げんばで、葉脈ようみゃく実験じっけんおこなさい水溶液すいようえきとして利用りようされることがある。水酸化すいさんかナトリウムの水溶液すいようえきひたして加熱かねつしたあと、にくブラシなどで除去じょきょし、葉脈ようみゃくす。また、みず電気でんき分解ぶんかい英語えいごばん実験じっけんさいみず電気でんきとおしやすくするためにみず水酸化すいさんかナトリウム水溶液すいようえきかすこともある。

過去かこラーメンのコシをすために使つかわれているかんすいだい用品ようひんとして使つかわれていた時期じきもあったが、現在げんざいは、食品しょくひん衛生えいせいほうにより、食品しょくひん添加てんかぶつとしての使用しよう条件じょうけんけられている。製造せいぞうようざいとしてはゆるされるが、最終さいしゅう食品しょくひん完成かんせいまえ中和ちゅうわまた除去じょきょする必要ひつようがある[6]

危険きけんせい

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生体せいたいへの危険きけんせい

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水酸化すいさんかナトリウムの人体じんたいたいする有害ゆうがいせいおもつよアルカリ性あるかりせい起因きいんする腐食ふしょくせいによるものであり、腐食ふしょくせいしめ限界げんかい濃度のうどは2%とかんがえられている[7]OECDテストガイドライン435にしたがったin vitroまくバリア試験しけんほうでは破綻はたん時間じかん13.16ふんという結果けっかられており、GHS分類ぶんるいにおける皮膚ひふ腐食ふしょくせい区分くぶん1に分類ぶんるいされる[8]溶液ようえきでは短時間たんじかん接触せっしょくでもIIまたはIII熱傷ねっしょうこし、動物どうぶつ実験じっけんにおいてもウサギにたいする5%溶液ようえき皮膚ひふへの塗布とふで4あいだ重度じゅうど壊死えし発生はっせい、ブタにたいする8%溶液ようえき塗布とふで15ふん以内いない水泡すいほうしょうじ24%溶液ようえきでは皮下ひか組織そしきたっする壊死えししょうじるなどの試験しけん結果けっか報告ほうこくされている[9][7]。また、OECDテストガイドライン405にしたがったウサギにたいするin vivo安全あんぜんせい試験しけんにおいて水酸化すいさんかナトリウムの2%溶液ようえきなか程度ていど角膜かくまく損傷そんしょう観測かんそくされている[10]。ヒトにたいしてはこう濃度のうど粉塵ふんじん溶液ようえきはいったことによるじゅうあつし損傷そんしょう失明しつめい事例じれいおお報告ほうこくされており、GHS分類ぶんるいにおけるたいするじゅうあつし損傷そんしょう刺激しげきせい区分くぶん1に分類ぶんるいされる[11]水酸化すいさんかナトリウムは固形こけいではくちはいった時点じてん口内こうない粘膜ねんまく損傷そんしょうこるためんでしまうことおこりにくいが、水溶液すいようえき無味むみ無臭むしゅうのためこう濃度のうど溶液ようえきあやまいんによって口腔こうくう食道しょくどう上部じょうぶ消化しょうかかん損傷そんしょう重度じゅうど腐食ふしょくこされ、上部じょうぶ消化しょうかかん壊死えしによる死亡しぼうれいられる[11][7]。また粉塵ふんじんやミストの吸入きゅうにゅうによって呼吸こきゅう粘膜ねんまく刺激しげきじゅうあつしになるとはい水腫すいしゅなどの症状しょうじょうこされる[11]アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい研究所けんきゅうじょ脱出だっしゅつ限界げんかい濃度のうどを10mg/m3としており、2から8mg/m3濃度のうど環境かんきょうでの職業しょくぎょうてき曝露ばくろによって呼吸こきゅう炎症えんしょうしょうじるおそれがあるとしている[9]

水酸化すいさんかナトリウムの有害ゆうがいさく用量ようりょうは1mg/m3とされており[12]日本にっぽん産業さんぎょう衛生えいせい学会がっかい最大さいだい許容きょよう濃度のうどを2mg/m3[13]アメリカ産業さんぎょう衛生えいせい専門せんもん会議かいぎ英語えいごばん曝露ばくろ上限じょうげんを2mg/m3としている[14]。このような濃度のうど範囲はんいにおける水酸化すいさんかナトリウムの曝露ばくろ吸入きゅうにゅうされるナトリウムりょうはヒトが食品しょくひんから摂取せっしゅするりょう比較ひかくしてきわめて微量びりょうであり、またけいがわてき接触せっしょくにおいても水酸化すいさんかナトリウムの体内たいないへの吸収きゅうしゅう非常ひじょうすくないとかんがえられているため、通常つうじょうあつかいにおいて水酸化すいさんかナトリウムへの曝露ばくろちゅうのナトリウム濃度のうどやpHに影響えいきょうあたえることはいとかんがえられている[7]

水生すいせい生物せいぶつへの急性きゅうせい毒性どくせいとしてはネコゼミジンコ英語えいごばんたいする48あいだLC50=40mg/Lという試験しけんデータがある[11]。これは水酸化すいさんかナトリウムによってみずアルカリ性あるかりせいとなることが毒性どくせいしめ原因げんいんかんがえられており[11]河川かせんとう多量たりょう水酸化すいさんかナトリウムが流出りゅうしゅつすることによる魚類ぎょるい斃死へいし事故じこきている[15]

水酸化すいさんかナトリウムのおおくは、電解でんかいソーダほうにより製造せいぞうされる。日本にっぽんでは1915ねん大正たいしょう4ねんごろから工業こうぎょうてき製造せいぞうはじまったが、当時とうじは、同時どうじ生成せいせいされる塩素えんそ公害こうがい対策たいさくそのものの知見ちけんすくなかったために、水酸化すいさんかナトリウムの製造せいぞう工場こうじょう労働ろうどうしゃ付近ふきん住民じゅうみん塩素えんそ中毒ちゅうどく患者かんじゃ発生はっせいした[16]

物理ぶつりてき危険きけんせい

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水酸化すいさんかナトリウム自身じしん不燃ふねんせいであるものの、溶解ようかいねつおおきいため水酸化すいさんかナトリウムをみず溶解ようかいさせるさい沸点ふってんえて発熱はつねつ高温こうおんこうアルカリ溶液ようえき飛散ひさんさせる危険きけんがあり、さらにこの高温こうおん蒸気じょうき飛沫しぶきによって周囲しゅうい可燃かねんせい物質ぶっしつ発火はっかするおそれがある[17][18]。また、湿潤しつじゅん空気くうきなかアルミニウム亜鉛あえんなどの両性りょうせい金属きんぞく反応はんのうして爆発ばくはつせい水素すいそガスを発生はっせいさせる[17]。そのアセトアルデヒドアクロレインなどの重合じゅうごうせい化合かごうぶつたいして触媒しょくばいてきはたらくため、偶発ぐうはつてき接触せっしょくによりはげしく反応はんのうして高温こうおんとなり予期よきせぬ事故じこ発生はっせいする危険きけんせいがある[17][18]

規制きせい

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水酸化すいさんかナトリウムは国際こくさい輸送ゆそうにおいてクラス8腐食ふしょくせい物質ぶっしつ危険きけんぶつとして規制きせいされており、固体こたいのものには国連こくれん番号ばんごう1823[19]水溶液すいようえきには国連こくれん番号ばんごう1824がられている[20]。また、日本にっぽんにおいては毒物どくぶつおよげきぶつ取締とりしまりほうによってげきぶつ指定していされており[21]、さらに毒物どくぶつおよげきぶつ指定していれい水酸化すいさんかナトリウムをふく製剤せいざい含有がんゆうりつ5%以下いかのものをのぞげきぶつとなっている[22]。その水質すいしつ汚濁おだく防止ぼうしほう施行しこうれいによって指定してい物質ぶっしつとされており[23]事故じこなどによって公共こうきょう水域すいいき流出りゅうしゅつしたさいには届出とどけですることが義務ぎむとなっている[24]。アメリカにおいても包括ほうかつてき環境かんきょう対処たいしょ補償ほしょう責任せきにんほうスーパーファンドほう英語えいごばん)における有害ゆうがい物質ぶっしつ指定していされており、その報告ほうこく基準きじゅんりょうは1000ポンドとなっている[18]

出典しゅってん

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  1. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 卜部うらべ𠮷いさお化学かがくしん研究けんきゅう 改訂かいていばん』(三省堂さんせいどう 2019ねん)

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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