ソーダ工業こうぎょう

電解でんかい法ほうによるソーダプラント

ソーダ工業こうぎょう（ソーダこうぎょう）は、無機むき化学かがく工業こうぎょうの一いち分野ぶんやであり、電解でんかいソーダ工業こうぎょうとソーダ灰はい工業こうぎょうの総称そうしょうである。塩化えんかナトリウムの分解ぶんかいにより、水酸化すいさんかナトリウム（苛性かせいソーダ）、塩素えんそ、水素すいそ、炭酸たんさんナトリウム（ソーダ灰はい）などの基礎きそ化学かがく原料げんりょうを製造せいぞうする。工業こうぎょうの発展はってんにより、水酸化すいさんかナトリウムに比くらべ塩素えんその需要じゅようが増ますことから、国くにによっては塩素えんそ工業こうぎょうとも呼よぶ。

技術ぎじゅつと製品せいひん

炭酸たんさんナトリウムはソルベー法ほう、水酸化すいさんかナトリウムと塩素えんそは電解でんかい法ほうにより製造せいぞうされる。電解でんかい法ほうはさらに隔膜かくまく法ほう、水銀すいぎん法ほう、イオン交換こうかん膜まく法ほうなどに分類ぶんるいできる。隔膜かくまく法ほうは電解でんかい槽そうの陽極ようきょく側がわと陰極いんきょく側がわをアスベストの隔膜かくまくで仕切しきるものであるが、溶液ようえきを濃縮のうしゅくして塩化えんかナトリウムを析出せきしゅつ除去じょきょする工程こうていでエネルギーを要ようすることと、製品せいひんに塩化えんかナトリウムが残存ざんそんし、品質ひんしつが劣おとるという欠点けってんがある。水銀すいぎん法ほうは純度じゅんどが高たかい水酸化すいさんかナトリウムが得えられるが、水銀すいぎんの毒性どくせいがあることから、日本にっぽんでは行おこなわれなくなった。

日本にっぽんでの主流しゅりゅうであるイオン交換こうかん膜まく法ほうでは、電解でんかい槽そうをフッ素ふっそ系けい高分子こうぶんしポリマー製せいのイオン交換こうかん膜まくで仕切しきり、陽極ようきょく側がわに塩化えんかナトリウムの飽和ほうわ水溶液すいようえき、陰極いんきょく側がわに純じゅん水みずを満みたす。これに電流でんりゅうを通とおすと、陽極ようきょくから塩素えんそガス、陰極いんきょくから水素すいそガスが発生はっせいし、陰極いんきょく側がわの液えきはイオン交換こうかん膜まくを透過とうかしたナトリウムイオンにより水酸化すいさんかナトリウム水溶液すいようえきとなる。水素すいそガスは洗浄せんじょう・冷却れいきゃくを経へて、圧縮あっしゅく水素すいそとしてボンベに詰つめて出荷しゅっかされる。塩素えんそガスは洗浄せんじょう・冷却れいきゃく・脱水だっすいを経へて、ボンベに詰つめた塩素えんそガスや液体えきたい塩素えんそ、塩化えんか物ぶつなどとして出荷しゅっかされる。水酸化すいさんかナトリウムは、蒸発じょうはつ缶かんで50%まで濃縮のうしゅくした苛性かせいソーダ液えき、あるいは固形こけい工程こうていを経へて、固体こたい苛性かせいソーダとして出荷しゅっかされる。

イオン交換こうかん膜まく法ほうで水酸化すいさんかナトリウムを1トン製造せいぞうする場合ばあい、原料げんりょうの塩化えんかナトリウム1.5トンと、約やく2,500kWhの電力でんりょくを必要ひつようとし、0.886トンの塩素えんそと、0.025トンの水素すいそが副ふく生せいする。原料げんりょうの電気でんき分解ぶんかいに多おおくの電力でんりょくを要ようするのが特徴とくちょうであり、日本にっぽんではソーダ工業こうぎょう全体ぜんたいで年間ねんかんあたり約やく100億おくkWhの電力でんりょくを消費しょうひする。そのうち約やく9割わりが電気でんき分解ぶんかい、残のこりがポンプ動力どうりょくや工場こうじょうの照明しょうめいなどに使つかわれる。これはアルミニウム精錬せいれん、フェロアロイ工業こうぎょう、カーバイド工業こうぎょうに次ついで大おおきなもので、日本にっぽんの産業さんぎょう用よう電力でんりょくの3%、化学かがく工業こうぎょうの消費しょうひ電力でんりょくの18%を占しめる。自家じか発電はつでん比率ひりつは63%で、産業さんぎょう用よう電力でんりょくの自家じか発電はつでん比率ひりつ31%に比くらべ高たかい値ねとなっている。24時じ間あいだ操業そうぎょうの工場こうじょうでは、電力でんりょく需給じゅきゅう調整ちょうせいの観点かんてんから夜間やかんは主おもに電力でんりょく会社かいしゃの深夜しんや電力でんりょくを利用りようしている。日本にっぽんのソーダ工業こうぎょうの省しょうエネ技術ぎじゅつは世界せかいで最もっとも進すすんだものであり、電力でんりょく原げん単位たんい（水酸化すいさんかナトリウム1トンの製造せいぞうに要ようする電力でんりょく）は1965年ねん度どの3,465kWh/tから2010年度ねんどの2,445kWh/tまで減少げんしょうした。これは、消費しょうひ電力でんりょくの少すくないイオン交換こうかん膜まく法ほうの普及ふきゅうによるものである。日本にっぽんの化学かがくメーカーの東亞とうあ合成ごうせいとカネカは、燃料ねんりょう電池でんちの技術ぎじゅつを応用おうようしてさらに電力でんりょく消費しょうひの少すくないガス拡散かくさん電極でんきょく法ほうの実用じつよう化かに向むけた研究けんきゅうを進すすめている。これは水素すいそガスを併産しない代かわり、電力でんりょく消費しょうひ量りょうはイオン交換こうかん膜まく法ほうに比くらべ2/3程度ていどとなる。

イオン交換こうかん膜まく法ほう ： ${\ce {NaCl + H2O -> NaOH + {\frac {1}{2}}Cl2 + {\frac {1}{2}}H2}}$

ガス拡散かくさん電極でんきょく法ほう ： ${\ce {NaCl + {\frac {1}{2}}H2O + {\frac {1}{4}}O2 -> NaOH + {\frac {1}{2}}Cl2}}$

原料げんりょうとなる塩化えんかナトリウムは、日本にっぽんの全ぜん需要じゅよう804万まんトンのうち75%、605万まんトンがソーダ工業こうぎょう用ようとして消費しょうひされた。海水かいすい塩しおはにがりが多おおく不向ふむきであるため原料げんりょう塩しおはすべて輸入ゆにゅうで賄まかなわれており、産地さんちはオーストラリア5割わり、メキシコ4割わり、インド1割わりで構成こうせいされている。製造せいぞうコストに占しめる割合わりあいは、原料げんりょうの輸入ゆにゅう塩しおが1割わり強きょう、電力でんりょくが3割わり強きょうとなっている。

製品せいひんの需要じゅようは、水酸化すいさんかナトリウムでは化学かがく薬品やくひん26%、無機むき薬品やくひん15%、紙かみパルプ工業こうぎょう11%、水みず処理しょり7%、化学かがく繊維せんい・石油せきゆ化学かがく工業こうぎょう各かく4%など。塩素えんそでは塩化えんかビニル31%、無機むき薬品やくひん9%、塩素えんそ系けい溶剤ようざい8%、クロロメタン7%、酸化さんかプロピレン6%、ウレタン原料げんりょう5%など。炭酸たんさんナトリウムはガラス製品せいひん32%、板いたガラス24%、無機むき薬品やくひん11%、石鹸せっけんおよび洗剤せんざい8%、化学かがく薬品やくひん7%、鉄鋼てっこう5%などとなっている。水素すいそはボイラー燃料ねんりょうとして自家じか消費しょうひされるほか、純度じゅんどが高たかいことから半導体はんどうたい製造せいぞうにも使つかわれる。ソーダ工業こうぎょう自体じたいは無機むき化学かがく工業こうぎょうであるが、製品せいひんはこのように有機ゆうき化学かがく工業こうぎょうを含ふくめ、幅広はばひろい分野ぶんやで使用しようされる。

歴史れきし

ソーダ工業こうぎょうの歴史れきしは数すう千せん年ねん前まえまで遡さかのぼり、その頃ころエジプトで発見はっけんされた天然てんねんソーダを原料げんりょうとしたガラス製品せいひんが地中海ちちゅうかい沿岸えんがんで発展はってんした。一方いっぽう、油脂ゆしを木きの灰はいと煮詰につめた物ものの洗浄せんじょう効果こうかが発見はっけんされ、これは石鹸せっけんの基もととなった。のちにソーダ原料げんりょうとして木灰きばいより海草かいそうの灰はいが適てきしていることが分わかると、産地さんちである地中海ちちゅうかい沿岸えんがんでは16世紀せいきから17世紀せいきにかけてヨーロッパ主要しゅよう国こくによる争奪そうだつ戦せんに発展はってんした。スペイン継承けいしょう戦争せんそうに敗やぶれ、天然てんねんソーダの主要しゅよう産地さんちであるスペインのバリラからの供給きょうきゅうが断たたれたフランス政府せいふは1775年ねんに製造せいぞう法ほうの懸賞けんしょうを行おこなった。ニコラ・ルブランは1783年ねんにルブラン法ほうを発明はつめいし、この懸賞けんしょうに応募おうぼした。19世紀せいきに入はいると、ルブラン法ほうはイギリスに伝つたわり、飛躍ひやく的てきに普及ふきゅうした。19世紀せいき後期こうきに大量たいりょうの電力でんりょくが得えられるようになると、1890年ねんにドイツで直立ちょくりつ隔膜かくまく法ほう、1891年ねんにアメリカで水平すいへい隔膜かくまく法ほう、1899年ねんにイギリスで改良かいりょう直立ちょくりつ隔膜かくまく法ほうが相次あいついで開発かいはつされた。一方いっぽう、ベルギーの化学かがく者しゃエルネスト・ソルベーは、コークスの燃焼ねんしょうにより副ふく生せいするアンモニアを使用しようして炭酸たんさん水素すいそナトリウムを製造せいぞうするソルベー法ほうを開発かいはつした。ソルベーは、ソルベー法ほう技術ぎじゅつの独立どくりつ的てき組合くみあい組織そしきであるソルベー・シンジケートを構築こうちく。同どう技術ぎじゅつに着目ちゃくもくしたイギリスのブラナーとモンドはブラナモンド社しゃ (Brunner Mond) を設立せつりつし、ソルベーに工業こうぎょう実施じっし権けんを持もたせる代かわりに、販売はんばい権けんを一いち手てに引ひき受うけた。1890年ねん、ルブラン法ほうの事業じぎょう者しゃはユナイテッドアルカリ社しゃ (United Alkali Company) を設立せつりつしてこれに対抗たいこうしたが、1907年ねんには全ぜん世界せかいのソーダ生産せいさん量りょうの90%がソルベー・シンジケートによるものとなり、1926年ねんには、ユナイテッドアルカリ社しゃはブラナモンド社しゃのグループに取とり込こまれ、ノーベル工業こうぎょう社しゃ (Nobel Industries) 、イギリス染料せんりょう社しゃとともにインペリアル・ケミカル・インダストリーズ（ICI）を設立せつりつした。

日本にっぽんにおける歴史れきし

日本にっぽん舎しゃ密みつ工業こうぎょう 1908年ねん頃ごろ

戦国せんごく時代じだい末期まっき、日本にっぽんにガラスや石鹸せっけんが伝来でんらいし、江戸えど時代じだいには国内こくないで小規模しょうきぼな製造せいぞうが行おこなわれた。本格ほんかく的てきなソーダ工業こうぎょうが始はじまったのは明治めいじ時代じだいに入はいってからであり、1881年ねん（明治めいじ14年ねん）に大蔵省おおくらしょう造幣ぞうへい寮りょう（現在げんざいの造幣局ぞうへいきょく）で、自家じか生産せいさんする硫酸りゅうさんの消費しょうひ策さくとして、肥料ひりょうなどとともに炭酸たんさんナトリウムの製造せいぞうを始はじめた。同年どうねんには大蔵省おおくらしょう紙幣しへい寮りょう（現在げんざいの国立こくりつ印刷いんさつ局きょく）も紙幣しへい用紙ようしの抄しょう紙しに必要ひつような炭酸たんさんナトリウムと次つぎ亜あ塩素えんそ酸さんカルシウムの製造せいぞうを開始かいしした。1885年ねん、紙幣しへい寮りょうは東京とうきょうの王子おうじに新しん工場こうじょうを建設けんせつし、炭酸たんさんナトリウムや次つぎ亜あ塩素えんそ酸さんカルシウム、硫酸りゅうさんの本格ほんかく的てきな製造せいぞうを開始かいししたが、造幣ぞうへい寮りょうのソーダ事業じぎょうは民間みんかんに移うつされた。王子おうじ工場こうじょうは1890年ねんに宮みや内省ないせい御料ごりょう局きょくに移管いかんされたのち、1895年ねんにはソーダ部門ぶもんを民間みんかん企業きぎょうの関東かんとう硫曹株式会社かぶしきがいしゃ（現在げんざいの日産化学工業にっさんかがくこうぎょう）に払はらい下さげた。製法せいほうは、当時とうじとしても時代遅じだいおくれのルブラン法ほうであり、国際こくさい競争きょうそう力りょくは劣おとっていた。民間みんかんでのソーダ事業じぎょうは、1889年ねんに日本にっぽん舎しゃ密みつ工業こうぎょう株式会社かぶしきがいしゃ（現在げんざいの日産化学工業にっさんかがくこうぎょう）が、山口やまぐち県けん小野田おのだ村むら（現在げんざいの山陽さんよう小野田おのだ市し）で硫酸りゅうさんとソーダの製造せいぞうを開始かいししたのが始はじまりである。1896年ねんごろから、多おおくの民間みんかん企業きぎょうが電解でんかい法ほうの研究けんきゅうを行おこなったが、発電はつでん機きや電極でんきょく、隔膜かくまくなどの資材しざいの入手にゅうしゅが困難こんなんであったこと、ソルベー・シンジケートが製造せいぞう方法ほうほうを極秘ごくひにしていたことなどにより、成功せいこうには至いたらなかった。

1929年ねんの昭和しょうわ恐慌きょうこうを機きに、ICIは炭酸たんさんナトリウムのダンピング攻勢こうせいを仕掛しかけてきたが、日本にっぽんメーカーはすでに合理ごうり化かにより原価げんかの引ひき下さげを実現じつげんしていたことと、1931年ねん12月の金きむ輸出ゆしゅつ禁止きんし令れいにより円えんが暴落ぼうらくしたため失敗しっぱいに終おわった。水酸化すいさんかナトリウムについても、品質ひんしつ向上こうじょうにより日本にっぽんメーカーがICIのシェアを奪うばっていった。そして1937年ねん、ICIは日本にっぽん市場いちばから撤退てったいし、日本にっぽんメーカーによる国内こくない市場いちば独占どくせんに至いたった。

1914年ねん（大正たいしょう3年ねん）に第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんがはじまると、炭酸たんさんナトリウムの輸入ゆにゅうが激減げきげんし、価格かかくが暴騰ぼうとうした。これを受うけ、1916年ねんに旭硝子あさひがらす（現在げんざいのAGC）、1917年ねんに台湾たいわん肥料ひりょう、1918年ねんに日本曹達にほんそうだ工業こうぎょう（現在げんざいのトクヤマ。日本曹達にほんそうだとは別べつ法人ほうじん）が相次あいついでソルベー法ほうの工場こうじょうを建設けんせつした。1921年ねん、鈴木すずき商店しょうてん系けいの太陽たいよう曹達そうだがケニアのマガディ湖この天然てんねんソーダ販売はんばい権けんを取得しゅとくすると、日本にっぽんであえて高こうコストな炭酸たんさんナトリウムを製造せいぞうする必要ひつようはないとする国産こくさんソーダ灰はい産業さんぎょう無用むよう論ろんが巻まき起おこった。しかし、天然てんねんソーダの品質ひんしつ上じょうの問題もんだいや、ユダヤ系けいであるブラナモンド社しゃとマガディ・ソーダ社しゃがいつまで低てい価格かかくで卸おろしてくれるか不透明ふとうめいであることなどから国産こくさんソーダ灰はい産業さんぎょう無用むよう論ろんは終息しゅうそくに至いたる。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後のちには日本にっぽん独自どくじの技術ぎじゅつとして、炭酸たんさんナトリウムと、肥料ひりょうの原料げんりょうとなる塩化えんかアンモニウムを製造せいぞうする「塩しお安やす併産法ほう」が開発かいはつされた。ポリ塩化えんかビニル樹脂じゅしの需要じゅようの伸のびにより、1965年ねんには塩素えんその需要じゅようが水酸化すいさんかナトリウムを上回うわまわるようになった。1966年ねん、ソルベー法ほうによる水酸化すいさんかナトリウムの製造せいぞうを終了しゅうりょうし、電解でんかい法ほうによる製造せいぞうに統一とういつされた。電解でんかい法ほうのうち主流しゅりゅうであった水銀すいぎん法ほうは、水銀すいぎんによる公害こうがい問題もんだいを受うけ、1973年ねんに全すべて水銀すいぎん不ふ使用しようの方法ほうほうに切きり替かえることが決定けってい。1979年ねんにイオン交換こうかん膜まく法ほうによる商業しょうぎょう生産せいさんが開始かいしし、1986年ねんまでに隔膜かくまく法ほうおよびイオン交換こうかん膜まく法ほうに置おき換かえられた。1999年ねんからは全量ぜんりょうが、隔膜かくまく法ほうに比くらべ低ていコストかつ高こう品質ひんしつなイオン交換こうかん膜まく法ほうでの製造せいぞうとなっている。さらに、イオン交換こうかん膜まく法ほうより消費しょうひ電力でんりょくの少すくないガス拡散かくさん電極でんきょく法ほうも、2013年ねんより東亞とうあ合成ごうせい徳島とくしま工場こうじょうを皮かわきりに商業しょうぎょう運転うんてんが開始かいしした。

日本にっぽんのソーダ工業こうぎょうの現況げんきょう

日本標準にっぽんひょうじゅん産業さんぎょう分類ぶんるいでは、無機むき化学かがく工業こうぎょう製品せいひん製造せいぞう業ぎょうの一いち分野ぶんやとして、分類ぶんるいコード1621が割わり当あてられている。

日本にっぽんのソーダ工場こうじょうは、コンビナート立地りっち型がたと地域ちいき立地りっち型がたに大別たいべつできる。前者ぜんしゃは大だい規模きぼな製造せいぞう設備せつびを有ゆうし、塩化えんかビニル工場こうじょうへの原料げんりょう塩素えんその供給きょうきゅうに重おもきを置おいている。後者こうしゃは北海道ほっかいどう、福島ふくしま県けん浜はま通どおり、北陸ほくりく地方ちほう、九州きゅうしゅう地方ちほうなど各地かくちに位置いちし、工場こうじょうの規模きぼは中規模ちゅうきぼなものが多おおい。炭酸たんさんナトリウム工場こうじょうは1938年ねんには11社しゃが運営うんえいしていたが、天然てんねんソーダ灰はいとの競争きょうそうを経へて、2012年ねん現在げんざいは山口やまぐち県けん周しゅう南市みなみいちのトクヤマと宇部うべ市しのセントラル硝子せんとらるがらすの計けい2か所しょのみが稼働かどうしている。現在げんざい、日本にっぽんでソーダ事業じぎょうを行おこなっている主要しゅよう企業きぎょうは、日本にっぽんソーダ工業こうぎょう会かい#会員かいいんを参照さんしょうのこと。

2011年ねん度どの統計とうけいでは、水酸化すいさんかナトリウムの生産せいさん量りょうは約やく382万まんトンで、ピークの2004年ねん以降いこう減少げんしょう傾向けいこうにある。日本にっぽん国内こくないの需要じゅようは341万まんトンで、2万まん4千せんトンが輸入ゆにゅうされ42万まん8千せんトンが輸出ゆしゅつされた。輸入ゆにゅう量りょうは増加ぞうか傾向けいこうにある。塩素えんその生産せいさん量りょうは334万まんトンであった。塩酸えんさんの生産せいさん量りょうは合成ごうせい塩酸えんさん82万まん5千せんトン・副ふく生なま塩酸えんさん136万まんトンの、計けい219万まんトンで、合成ごうせい塩酸えんさんは2005年ねん以降いこう増加ぞうか傾向けいこうにあるのに対たいし、副ふく生なま塩酸えんさんは2006年ねん以降いこう微減びげん傾向けいこうにある。液体えきたい塩素えんそは45万まん8千せんトンが生産せいさんされたが、1997年ねん度どの半分はんぶん以下いかの量りょうである。高度こうど晒粉さらしこは2万まん5千せんトン、次つぎ亜あ塩素えんそ酸さんナトリウム（濃度のうど12%換算かんさん）は93万まんトンが生産せいさんされた。炭酸たんさんナトリウムは35万まん4千せんトンが生産せいさんされたが、最盛さいせい期きの1979年ねんの生産せいさん量りょう140万まんトンに比くらべ約やく1/4の量りょうとなっている。輸入ゆにゅう量りょうは31万まん7千せんトンであったが、これもピークの2002年ねんの6割わり強きょうである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 通商産業省つうしょうさんぎょうしょう基礎きそ産業さんぎょう局きょく監修かんしゅう『化学かがく産業さんぎょう -21世紀せいきへの展望てんぼう-』化学かがく工業こうぎょう日報にっぽう社しゃ、1997年ねん。ISBN 4-87326-236-4。 
• 南みなみ正明まさあき『化学かがく業界ぎょうかい大だい研究けんきゅう』産学さんがく社しゃ、2007年ねん。ISBN 978-4-7825-3231-7。 
• 日本にっぽんソーダ工業こうぎょう会かい『ソーダの世界せかいシリーズ(4) ソーダ工業こうぎょうと電力でんりょくの話はなし』1994年ねん。 

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんソーダ工業こうぎょう会かい

外部がいぶリンク

• 日本にっぽんソーダ工業こうぎょう会かい