保険ほけん

保険ほけん（ほけん）は、偶然ぐうぜんに発生はっせいする事故じこ（保険ほけん事故じこ）によって生しょうじる財産ざいさん上じょうの損失そんしつに備そなえて、多数たすうの者ものが金銭きんせん（保険ほけん料りょう）を出だし合あい、その資金しきんによって事故じこが発生はっせいした者ものに金銭きんせん（保険ほけん金きん）を給付きゅうふするための制度せいど。

概要がいよう

保険ほけんは、多数たすうの者ものが保険ほけん料りょうを出だし合あい、保険ほけん事故じこが発生はっせいしたときには、生しょうじた損害そんがいを埋うめ合あわせるため、保険ほけん金きんを給付きゅうふする制度せいどである。保険ほけんの対象たいしょうとされる保険ほけん事故じこには、交通こうつう事故じこ・海難かいなん事故じこ・火災かさい・地震じしん・死亡しぼうなど様々さまざまな事象じしょうがあり、人間にんげん生活せいかつの安定あんていを崩くずす事件じけん・事故じこ・災害さいがいなどの危険きけんに対処たいしょする。

保険ほけん関係かんけいの設定せっていを目的もくてきとする契約けいやくを保険ほけん契約けいやくといい、保険ほけん契約けいやくの当事とうじ者しゃとして、保険ほけん料りょうの支払しはらい義務ぎむを負おう者ものを保険ほけん契約けいやく者しゃ、保険ほけん事故じこが発生はっせいした場合ばあいに保険ほけん金きんを支払しはらうことを引ひき受うける者ものを保険ほけん者しゃという。2010年ねん（平成へいせい22年ねん）4月がつ1日にち施行しこうの保険ほけん法ほう（平成へいせい20年ねん法律ほうりつ第だい56号ごう）では、保険ほけん契約けいやくについて「保険ほけん契約けいやく、共済きょうさい契約けいやくその他たいかなる名称めいしょうであるかを問とわず、当事とうじ者しゃの一方いっぽうが一定いっていの事由じゆうが生しょうじたことを条件じょうけんとして財産ざいさん上じょうの給付きゅうふを行おこなうことを約やくし、相手方あいてがたがこれに対たいして当該とうがい一定いっていの事由じゆうの発生はっせいの可能かのう性せいに応おうじたものとして保険ほけん料りょう（共済きょうさい掛金かけきんを含ふくむ。以下いか同おなじ）を支払しはらうことを約やくする契約けいやくをいう。」と定義ていぎしている。

保険ほけん者しゃとして保険ほけん事業じぎょう（保険ほけん業ぎょう）を営いとなむ会社かいしゃを保険ほけん会社かいしゃといい、日本にっぽんでは保険ほけん業法ぎょうほう（平成へいせい7年ねん法律ほうりつ第だい105号ごう）により規制きせいされている。なお、保険ほけんに関かんする法ほう分野ぶんやを研究けんきゅうする学問がくもん、および保険ほけんに関かんする法令ほうれいを総称そうしょうして広義こうぎの意味いみでの保険ほけん法ほうという。

保険ほけん制度せいどは次つぎに列挙れっきょする考かんがえ方かたを基本きほんとしている。ただし、これらで保険ほけん料りょうの運用うんよう益えきを位置いちづけることはできない。

大数たいすうの法則ほうそく

特定とくていの人ひとについて、保険ほけん事故じこが発生はっせいするかどうかや、いつ保険ほけん事故じこが発生はっせいするかなどは、予測よそくすることができない。しかし、多数たすうの人ひとについて統計とうけいをとり、過去かこの経験けいけんや資料しりょうなども加味かみすれば、一定いってい期間きかんにある保険ほけん事故じこがほぼ確実かくじつに発生はっせいする確かく率りつは算出さんしゅつすることができる。それは、次つぎの原則げんそくで示しめす等式とうしきに書かかれたオメガの値ねである。

給付きゅうふ・反対はんたい給付きゅうふ均等きんとうの原則げんそく

契約けいやく者しゃと保険ほけん会社かいしゃの間あいだに締結ていけつされる保険ほけん契約けいやくにおいて、保険ほけん金きんと保険ほけん料りょうの間あいだでは以下いかの関係かんけいが満みたされることが要請ようせいされる。

$P=\omega Z$ （ただし、Pは保険ほけん料りょう単価たんか、$\omega$は定量ていりょう化かされた保険ほけん事故じこのリスク、Zは保険ほけん金きん）

収支しゅうし相等そうとうの原則げんそく

保険ほけん会社かいしゃが同一どういつのリスクを持もつ保険ほけん契約けいやく者しゃの集団しゅうだんから集あつめた保険ほけん料りょうの総額そうがくと、保険ほけん会社かいしゃがその集団しゅうだんの中なかで支払しはらう保険ほけん金きんの総額そうがくとは等ひとしくなくてはならない。焼やけ太ぶとりは認みとめられず、保険ほけん金きんに充当じゅうとうされなかった保険ほけん料りょうは還付かんぷされる。

歴史れきし

「en:History of insurance」も参照さんしょう

保険ほけんの前史ぜんしとして、紀元前きげんぜん2-3世紀せいきの中国ちゅうごくやバビロニアにおいて、商人しょうにんが荷物にもつを紛失ふんしつ・強奪ごうだつされた際さいの補填ほてんが行おこなわれていた。また、紀元前きげんぜん1世紀せいきのロドス島とうでは共同きょうどう海損かいそんが運用うんようされていた。地中海ちちゅうかい貿易ぼうえきでは冒険ぼうけん貸借たいしゃく（bottomry）という、保険ほけん金きんを商船しょうせんの出航しゅっこう前まえに受うけ取とり、商船しょうせんが無事ぶじに商売しょうばいを終おえると保険ほけん金きんに利子りしをつけて返還へんかんする仕組しくみがあった。

保険ほけんの萌芽ほうがは、古代こだいローマにおけるコレギウム（同どう業者ぎょうしゃ葬儀そうぎ組合くみあい、ラテン語らてんご: collegium）や中世ちゅうせい・近世きんせいヨーロッパにおけるギルド（商工しょうこう業者ぎょうしゃの職種しょくしゅごとの団体だんたい、英えい: guild）などにみられる。1369年ねん、ジェノヴァ共和きょうわ国こくのドージェ（国家こっか元首げんしゅ）であるガブリエレ・アドルノが世界せかい最古さいこの海上かいじょう保険ほけん条例じょうれいを定さだめたといわれている。14世紀せいき後半こうはんから15世紀せいきにかけて、スペインにおいて海上かいじょう保険ほけんの普及ふきゅうが進すすんでいたことは、1432年ねんバルセロナ最古さいこの海上かいじょう保険ほけん条例じょうれい (西にし: Ordenanzas de Magistrados de Barcelona) の制定せいていとその後ごのたび重かさなる改定かいていや各地かくちの新あらたな制定せいていを見みても明あきらかである。バルセロナの商業しょうぎょうの繁栄はんえいは、地中海ちちゅうかい海運かいうんにおいて同地どうちが地理ちり的てきにもイタリアやポルトガルとの貿易ぼうえき取引とりひき上じょうの重要じゅうような拠点きょてんであったことが強つよく影響えいきょうしている。16世紀せいきに入はいると、海上かいじょう保険ほけん市場いちばの中心ちゅうしんがスペイン帝国ていこくへ移うつりはじめ、1538年ねんにはブルゴス海上かいじょう保険ほけん条例じょうれいが制定せいていされた。ブルゴスにはメリノ種しゅ羊毛ようもうが集積しゅうせきし、付づけ保ほ商品しょうひんとなった。ブルゴスは王室おうしつが保護ほごし通商つうしょう院いんをおいていた。1552年ねんカスティーリャ王国おうこくがついに貴金属ききんぞくの輸出ゆしゅつを許ゆるし、穀物こくもつ等とうにおける産業さんぎょう構造こうぞうの脆弱ぜいじゃく性せいを露あらわにした。1570年ねん頃ごろにはリスボンとポルトに保険ほけん取引とりひき所しょ (西にし: Casa dos Seguros) が設もうけられた。このときすでに国際こくさい市場いちばはコンベルソの移住いじゅう等とうにともない、カール5世せいのアントウェルペンからオランダのアムステルダムへ移うつっていた。

1601年ねん、イングランド王国おうこくで最初さいしょの保険ほけん法ほうが制定せいていされた。1622年ねんロンバルディア商人しょうにんが同どう王国おうこくで海上かいじょう保険ほけん業ぎょうを開拓かいたくすると、イギリス商人しょうにんがノウハウをネーデルラントに伝つたえた。その後ごヨーマンが台頭たいとうし羊毛ようもう業ぎょうを担になった。1666年ねんのロンドン大火たいかをきっかけとしてニコラス・バーボンが世界せかいで初はじめて火災かさい保険ほけんを開業かいぎょうした。名誉めいよ革命かくめいの1688年ねんにロイズのコーヒーショップが誕生たんじょうした。1696年ねん、ハンド・イン・ハンド（現げん：アビバ）が発足ほっそくした。1710年ねん、太陽たいよう保険ほけん（現げん：RSA Insurance Group）開業かいぎょう。10年ねん後ご南海なんかい泡沫うたかた事件じけんが起おこり、英えい海上かいじょう保険ほけん業ぎょうがロンドン保険ほけん会社かいしゃとロイヤル・エクスチェンジ保険ほけん会社かいしゃが独占どくせんするようになった（詳細しょうさい）。1752年ねん、フィラデルフィア基金ききんが発足ほっそく。1762年ねん、エクイタブル生命せいめい保険ほけんが誕生たんじょうした。1762年ねん、北米ほくべい保険ほけん会社かいしゃが設立せつりつされた。

1802年ねん、「ロイズの父ちち」とも呼よばれるアンガースタインが王立おうりつ救命きゅうめい艇てい協会きょうかいの母体ぼたいとなる公債こうさい4万まん3千せんポンドの基金ききんを設立せつりつした。この基金ききんは国くにへ移管いかんされるまでにロイズや太陽たいよう保険ほけんだけでなくイングランド銀行いんぐらんどぎんこうやイギリス東ひがしインド会社かいしゃからも資金しきんを得えた。

日本にっぽんにも、古ふるくから社しゃ倉くら・義ぎ倉くら、頼母子講たのもしこう（たのもしこう）、抛ほう銀ぎん（なげがね、投とう銀ぎん）、海上かいじょう請負うけおいなど、保険ほけんに類似るいじした仕組しくみはあった。しかし、今日きょうの保険ほけんは、明治維新めいじいしんのときに欧米おうべいの保険ほけん制度せいどを導入どうにゅうして始はじまったものである。日本にっぽんの海上かいじょう保険ほけん法ほうは、1731年ねんのハンブルク保険ほけん・海損かいそん条例じょうれいを嚆矢こうしとするドイツ法ほうを継受けいじゅしたものであるが、同どう条例じょうれいには1681年ねんルイ14世せいが下くだした海事かいじ勅みことのり令れいが大おおきな影響えいきょうを与あたえており、結局けっきょくドイツ・イタリア・フランスという旧きゅうフランク王国おうこくの海上かいじょう保険ほけん法ほうすべてが同どう条例じょうれいを法ほう源げんとしている。

1859年ねん（安政あんせい6年ねん）には、開港かいこうしたばかりの横浜よこはまで、外国がいこく人じんを対象たいしょうに外国がいこく保険ほけん会社かいしゃによって火災かさい保険ほけんや海上かいじょう保険ほけんの引ひき受うけが始はじめられた。1867年ねん（慶応けいおう3年ねん）には、福澤ふくさわ諭吉ゆきちが『西洋せいよう旅たび案内あんない』の附録ふろくの中なかで、「災難さいなん請合の事こと　イシュアランス」として「生涯しょうがい請合」（生命せいめい保険ほけん）、「火災かさい請合」（火災かさい保険ほけん）、「海上かいじょう請合」（海上かいじょう保険ほけん）の仕組しくみを広ひろく紹介しょうかいした。また、夏目なつめ漱石そうせきも保険ほけん制度せいどの普及ふきゅうを著書ちょしょにて薦すすめている。1879年ねん（明治めいじ12年ねん）には東京とうきょう海上かいじょう保険ほけん会社かいしゃ（現げん：東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん株式会社かぶしきがいしゃ）が、1881年ねん（明治めいじ14年ねん）には明治生命保険めいじせいめいほけん会社かいしゃ（現げん：明治めいじ安田生命保険やすだせいめいほけん相互そうご会社かいしゃ）が創立そうりつされ、本格ほんかく的てきに保険ほけんが行おこなわれるようになった。なお、この19世紀せいき後半こうはんにチューリッヒ保険ほけんやトラベラーズのような保険ほけん会社かいしゃが生うまれていった。

フランスは1816年ねんにアクサを設立せつりつしたが、社会しゃかい保険ほけんの普及ふきゅう度どは第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつまでドイツ帝国ていこくにひけをとった。

20世紀せいきを通つうじて、アメリカの保険ほけん会社かいしゃは投資とうし信託しんたくの主要しゅような購買こうばい層そうであった。

1957年ねんプライス・アンダーソン法ほうの制定せいていがもとで、原発げんぱつ事故じこに備そなえ保険ほけん制度せいどが整ととのえられた。

1970年代ねんだい、フランスへ外そと銀ぎんが雪ゆき崩くずれこみ（詳細しょうさい）、保険ほけんの銀行ぎんこう窓口まどぐち販売はんばいがスタートした。

1981 - 1982年ねん、ロス疑惑ぎわく（保険ほけん金きん殺人さつじん容疑ようぎ）、1993年ねんハートフォード火災かさい保険ほけん会社かいしゃ事件じけんを経へて、外国がいこく法ほうが特とくに求もとめている場合ばあいに新あたらしく反はんトラスト法ほうの域外いきがい適用てきようが認みとめられた。

2008年ねんの世界せかい金融きんゆう危機ききに際さいし、連邦れんぽう準備じゅんび制度せいどはAIG株かぶを79％も取得しゅとくした。

分類ぶんるい

保険ほけん制度せいどは、保険ほけん者しゃ・運営うんえい目的もくてき・保険ほけん事故じこ等とうに着目ちゃくもくして分類ぶんるいできる。保険ほけん商品しょうひんとしての分類ぶんるいはこれと別べつである。

• 国くにや地方自治体ちほうじちたいなどの政府せいふが運営うんえいする公営こうえい保険ほけんと民間みんかん会社かいしゃが運営うんえいする私営しえい保険ほけん（民営みんえい保険ほけん）
• 社会しゃかい保障ほしょう制度せいどの一部いちぶをなす公おおやけ保険ほけんと個人こじんが任意にんいに加入かにゅうする私わたし保険ほけん
• 加入かにゅうが義務ぎむづけられる強制きょうせい保険ほけんと保険ほけん契約けいやく者しゃが任意にんいに加入かにゅうする任意にんい保険ほけん
• 相互そうご扶助ふじょを目的もくてきとする相互そうご保険ほけんと営利えいりを目的もくてきとする営利えいり保険ほけん
• 人ひとの生なま死傷ししょう病びょうなどを保険ほけん事故じことする人ひと保険ほけん（じんほけん）と物ものの滅失めっしつ・毀損きそんを保険ほけん事故じことする物もの保険ほけん（ぶつほけん）
• 航海こうかいに関かんする事故じこによって船ふねや船荷ふなににつき生しょうずる損害そんがいを保険ほけん事故じことする海上かいじょう保険ほけんと陸上りくじょうの各種かくしゅ保険ほけんである陸上りくじょう保険ほけん
• 企業きぎょうを主おもな保険ほけん契約けいやく者しゃとする企業きぎょう保険ほけんと個人こじんを主おもな保険ほけん契約けいやく者しゃとする家計かけい保険ほけん

公営こうえい保険ほけんには、社会しゃかい政策せいさくないし社会しゃかい福祉ふくしとしての保険ほけんである社会しゃかい保険ほけんと経済けいざい政策せいさくとしての保険ほけんである産業さんぎょう保険ほけんがある。

日本にっぽんの社会しゃかい保険ほけんには以下いかのような制度せいどがある。

• 公的こうてき医療いりょう保険ほけん（被用者ひようしゃ保険ほけん、国民こくみん健康けんこう保険ほけん、後期こうき高齢こうれい者しゃ医療いりょう制度せいどなどのユニバーサルヘルスケア）
• 公的こうてき年金ねんきん保険ほけん（国民こくみん年金ねんきん、厚生こうせい年金ねんきんなど）
• 公的こうてき介護かいご保険ほけん
• 労働ろうどう保険ほけん（雇用こよう保険ほけん、労働ろうどう者しゃ災害さいがい補償ほしょう保険ほけん（労災ろうさい保険ほけん））
• 船員せんいん保険ほけん

日本にっぽんの産業さんぎょう保険ほけんは、農業のうぎょう保険ほけん・漁業ぎょぎょう保険ほけん・漁船ぎょせん保険ほけん・輸出ゆしゅつ保険ほけんその他たがある。

私営しえい保険ほけんは、民間みんかんの保険ほけん会社かいしゃが販売はんばい・運営うんえいする保険ほけんで、主おもに生命せいめい保険ほけんと損害そんがい保険ほけんを扱あつかう。

• 生命せいめい保険ほけんとは人ひとの生死せいしに関かんして一定いってい額がくの保険ほけん金きんを支払しはらう保険ほけん
• 損害そんがい保険ほけんとは一定いっていの偶然ぐうぜんの事故じこによって生しょうずることのある損害そんがいを填補てんぽする保険ほけん

保険ほけん会社かいしゃに付づけ保ほ規制きせいを課かし、違反いはんとなる保険ほけん商品しょうひんを規制きせいしている国くにもある。日本にっぽん政府せいふは保険ほけん業法ぎょうほうにより、一部いちぶの例外れいがいを除のぞき、日本にっぽんに支店してん等とうを設もうけない外国がいこく保険ほけん業者ぎょうしゃは、日本にっぽんに住所じゅうしょ・居所きょしょを有ゆうする人ひと若もしくは日本にっぽんに所在しょざいする財産ざいさん又または日本にっぽん国籍こくせきを有ゆうする船舶せんぱく若もしくは飛行機ひこうきに係かかる保険ほけん契約けいやくを締結ていけつしてはならないと定さだめている。

日本にっぽんで保険ほけんを販売はんばいする保険ほけん会社かいしゃは、保険ほけん業法ぎょうほうにより、生命せいめい保険ほけん業ぎょう免許めんきょを受うけた生命せいめい保険ほけん会社かいしゃ、損害そんがい保険ほけん業ぎょう免許めんきょを受うけた損害そんがい保険ほけん会社かいしゃ、外国がいこく保険ほけん業者ぎょうしゃのうち内閣ないかく総理そうり大臣だいじんの免許めんきょを受うけた外国がいこく保険ほけん会社かいしゃに分わけられている。また、日本にっぽんの保険ほけん会社かいしゃには、営利えいり（株主かぶぬしに損益そんえき帰属きぞく）を目的もくてきとする株式会社かぶしきがいしゃの形態けいたいをとる保険ほけん会社かいしゃと、相互そうご扶助ふじょ（契約けいやく者しゃに損益そんえき帰属きぞく）を目的もくてきとする相互そうご会社かいしゃの形態けいたいをとる保険ほけん会社かいしゃがある。相互そうご会社かいしゃは保険ほけん会社かいしゃにのみ認みとめられた会社かいしゃ形態けいたいであり、理論りろん的てきには非ひ営利えいり法人ほうじん（中間なかま法人ほうじん）と位置付いちづけられる。現在げんざい、相互そうご会社かいしゃは生命せいめい保険ほけん会社かいしゃにのみ存在そんざいし、損害そんがい保険ほけん相互そうご会社かいしゃは存在そんざいしない。

もっとも、1995年ねん（平成へいせい7年ねん）に公布こうふされ翌よく1996年ねん（平成へいせい8年ねん）に施行しこうされた新しん・保険ほけん業法ぎょうほうにより、多おおくの面めんで相互そうご会社かいしゃと株式会社かぶしきがいしゃを近接きんせつさせ、相互そうご会社かいしゃと株式会社かぶしきがいしゃとの双方そうほう的てきな組織そしき変更へんこうをできるようにしたため（それまでは株式会社かぶしきがいしゃから相互そうご会社かいしゃへの組織そしき変更へんこうだけが可能かのうだった）、両者りょうしゃの違ちがいはあまり大おおきくない。また、この新しん・保険ほけん業法ぎょうほうでは、生命せいめい保険ほけん会社かいしゃと損害そんがい保険ほけん会社かいしゃの両者りょうしゃが、ともに扱あつかうことのできる保険ほけん分野ぶんや（いわゆる第だい三さん分野ぶんや保険ほけん）を定さだめた。第だい三さん分野ぶんや保険ほけんとは、生命せいめい保険ほけん分野ぶんや・損害そんがい保険ほけん分野ぶんやの両者りょうしゃにまたがる保険ほけんで、医療いりょう保険ほけん、介護かいご保険ほけん、がん保険ほけんなどがこれにあたる。

なお、私営しえい保険ほけんであっても、自動車じどうしゃ損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん（自賠責しばいせき保険ほけん）や地震じしん保険ほけんなど、社会しゃかい政策せいさく的てき目的もくてきを持もって定さだめられた保険ほけんもある。また、かつては政府せいふが運営うんえいしていた簡易かんい保険ほけん（簡易かんい生命せいめい保険ほけん）は、公営こうえい保険ほけんの一ひとつであった。しかし、2007年ねん（平成へいせい19年ねん）10月がつ1日にちからは株式会社かぶしきがいしゃかんぽ生命せいめい保険ほけんが取とり扱あつかっているため、私営しえい保険ほけんに分類ぶんるいされる。

このほか、再さい保険ほけんという保険ほけんもある。再さい保険ほけんとは、保険ほけん者しゃが保険ほけん契約けいやく（元もと受保険ほけん）によって引ひき受うけた責任せきにんの一部いちぶ又または全部ぜんぶを他たの保険ほけん者しゃに保険ほけんさせることを目的もくてきとする保険ほけんである。再さい保険ほけんは、保険ほけんが持もつリスク分散ぶんさん機能きのうをさらに高たかめる作用さようを持もつ。再さい保険ほけんは保険ほけんを対象たいしょうとした保険ほけんなので生命せいめい保険ほけんではないが、例外れいがい的てきに生命せいめい保険ほけんの再さい保険ほけんは生命せいめい保険ほけん会社かいしゃが取とり扱あつかうことができる。再さい保険ほけんは私営しえい保険ほけんとして営いとなまれるほか、公営こうえい保険ほけんとしての再さい保険ほけんもある（地震じしん保険ほけんに関かんする法律ほうりつ3条じょう）。

保険ほけん商品しょうひん

保険ほけん商品しょうひんは、保険ほけん約款やっかんに基もとづいて締結ていけつされる保険ほけん契約けいやくである。保険ほけん約款やっかんは保険ほけん会社かいしゃが定さだめた契約けいやく条項じょうこうであり、契約けいやくの基本きほん的てきな内容ないようを定さだめた普通ふつう保険ほけん約款やっかんと、普通ふつう保険ほけん約款やっかんの規定きていを変更へんこうまたは補完ほかんしている特別とくべつ約款やっかん（特約とくやく）から成なり、契約けいやく者しゃは約款やっかん上じょうの個々ここの条文じょうぶんについて保険ほけん会社かいしゃとの間あいだで変更へんこうの個別こべつ交渉こうしょうを行おこなうことはできない。保険ほけん約款やっかんは保険ほけん契約けいやく者しゃ・被ひ保険ほけん者しゃにとって不利ふりとなりうるため、次つぎのように規制きせいされている。

• 商法しょうほう等とうの法律ほうりつにより保険ほけん約款やっかんの内容ないようを規制きせい（立法りっぽう）
• 金融きんゆう庁ちょうによる保険ほけん約款やっかんの認可にんか・届出とどけで制せい（行政ぎょうせい）
• 解釈かいしゃくが分わかれる場合ばあいは「作成さくせい者しゃ不利ふりの原則げんそく」により契約けいやく者しゃを保護ほご、著いちじるしく不当ふとうな条項じょうこうは裁判さいばんで無効むこう（司法しほう）

主おもな保険ほけん商品しょうひんには以下いかのようなものがある。もっとも、イスラーム圏けんは利子りしを利用りようする点てんやギャンブル性せいを根拠こんきょに保険ほけんをシャリーアに反はんすると考かんがえるため、タカフルという共済きょうさいや頼母子講たのもしこうに似にた商品しょうひんを販売はんばいしている。

生命せいめい保険ほけん（生保せいほ：第だい一いち分野ぶんや）

保険ほけん料りょうが長期間ちょうきかん滞留たいりゅうする事実じじつ上じょうの投資とうし信託しんたく。

終身しゅうしん保険ほけん・養老ようろう保険ほけん・個人こじん年金ねんきん保険ほけん・定期ていき保険ほけん。生存せいぞん保険ほけんは単体たんたいで存在そんざいせず、何なにかしらの死亡しぼう保障ほしょうが付属ふぞくされる。

損害そんがい保険ほけん（損保そんぽ：第だい二に分野ぶんや）

• 海上かいじょう保険ほけん
  • 船舶せんぱく保険ほけん
  • 運送うんそう保険ほけん
  • 貨物かもつ保険ほけん

• 火災かさい保険ほけん
  • 住宅じゅうたく火災かさい保険ほけん
  • 住宅じゅうたく総合そうごう保険ほけん
  • 地震じしん保険ほけん
  • 普通ふつう火災かさい保険ほけん
  • 店舗てんぽ総合そうごう保険ほけん
  • 団地だんち保険ほけん

• 自動車じどうしゃ保険ほけん
  • 自賠責しばいせき保険ほけん（俗称ぞくしょう：強制きょうせい保険ほけん）
  • 任意にんい保険ほけん
• 自転車じてんしゃ保険ほけん

• 賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん
  • 個人こじん賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん
  • 企業きぎょう賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん
  • 専門せんもん職業しょくぎょう人じん賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん
  • 瑕疵かし保証ほしょう責任せきにん保険ほけん
  • 船客せんきゃく傷害しょうがい賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけん

• 傷害しょうがい保険ほけん
  • 普通ふつう傷害しょうがい保険ほけん
  • 家族かぞく傷害しょうがい保険ほけん
  • ファミリー交通こうつう傷害しょうがい保険ほけん
  • 国内こくない旅行りょこう傷害しょうがい保険ほけん
  • 海外かいがい旅行りょこう傷害しょうがい保険ほけん
  • ゴルファー保険ほけん

• その他た
  • 所得しょとく補償ほしょう保険ほけん
  • 医療いりょう費用ひよう保険ほけん
  • 介護かいご費用ひよう保険ほけん
  • 動産どうさん総合そうごう保険ほけん
    • ヨット・モーターボート総合そうごう保険ほけん
    • コンピュータ総合そうごう保険ほけん
    • スマホ保険ほけん
  • ペット保険ほけん

第だい三さん分野ぶんや保険ほけん（傷害しょうがい疾病しっぺい定額ていがく保険ほけん）（生保せいほ、損保そんぽ）

• 医療いりょう保険ほけん
• 疾病しっぺい保険ほけん - がん保険ほけんその他たの三さん大だい生活せいかつ習慣しゅうかん病びょう保険ほけん（＝「特定とくてい疾病しっぺい保険ほけん」〈とくていしっぺいほけん〉という）など
• 介護かいご保険ほけん

保険ほけん会社かいしゃとその一覧いちらん

保険ほけん業法ぎょうほう第だい3条じょうの定さだめにより、保険ほけん会社かいしゃは生命せいめい保険ほけん会社かいしゃと損害そんがい保険ほけん会社かいしゃに分わかれ、いずれも内閣ないかく総理そうり大臣だいじんの免許めんきょを受うけた者ものでなければ行おこなうことができない。また、生命せいめい保険ほけんと損害そんがい保険ほけんはリスクの質しつが異ことなることから、原則げんそくとして一ひとつの会社かいしゃが生命せいめい保険ほけん業ぎょうと損害そんがい保険ほけん業ぎょうを同時どうじに行おこなうことはできないと理解りかいされている（保険ほけん業法ぎょうほう第だい100条じょう）。ただし、生命せいめい保険ほけん会社かいしゃと損害そんがい保険ほけん会社かいしゃはお互たがいを親会社おやがいしゃ・子会社こがいしゃの関係かんけいとすることは認みとめられているため、子会社こがいしゃ方式ほうしきによる相互そうご参入さんにゅうや（保険ほけん業法ぎょうほう第だい106条じょう第だい1項こう）、持株もちかぶ会社かいしゃ方式ほうしきによる兼営けんえいが可能かのうである（保険ほけん業法ぎょうほう第だい271条じょうの18）。外国がいこくの保険ほけん会社かいしゃが日本にっぽんに支店してんや支社ししゃを開設かいせつして日本にっぽんで営業えいぎょうする場合ばあいも、生命せいめい保険ほけんと損害そんがい保険ほけんの分離ぶんりなど同様どうようの規制きせいがあり、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんの免許めんきょが必要ひつようとなる（保険ほけん業法ぎょうほう第だい185条じょう）。

保険ほけん会社かいしゃが破綻はたんした場合ばあい、保険ほけん契約けいやくを結むすんだ契約けいやく者しゃを保護ほごする名目めいもくで「保険ほけん契約けいやく者しゃ保護ほご制度せいど」こと保険ほけん会社かいしゃのセーフティネットが適用てきようされる。保険ほけん契約けいやく者しゃ保護ほご機構きこうが資金しきん援助えんじょを担にない、支払しはらわれるべき保険ほけん金きんや解約かいやく金きんなどを契約けいやく者しゃに支払しはらうことになっている（保険ほけん業法ぎょうほう第だい259条じょう）。なお、外国がいこく企業きぎょうの日本にっぽん支店してんにて契約けいやくした保険ほけんも対象たいしょうに含ふくまれる。

日本にっぽんにおける保険ほけん業ぎょう免許めんきょを取得しゅとくしている損害そんがい保険ほけん会社かいしゃを以下いかに列記れっきする。損害そんがい保険ほけん会社かいしゃについては業界ぎょうかい団体だんたいが日本にっぽん損害そんがい保険ほけん協会きょうかいと外国がいこく損害そんがい保険ほけん協会きょうかいとに分わかれており、さらにそのいずれにも加盟かめいしていない会社かいしゃもある。生命せいめい保険ほけん会社かいしゃは別項べっこうに譲ゆずる（詳細しょうさい）。一定いっていの保険ほけん金きん・保険ほけん期間きかん以下いかの保険ほけんに限定げんていし、免許めんきょ制せいから登録とうろく制せいへの変更へんこうなど規制きせいを緩和かんわした「少額しょうがく短期たんき保険ほけん」（通称つうしょう・ミニ保険ほけん）が2008年ねんから制度せいど化かされており、これは以下いかの一覧いちらんに含ふくまない。ただし、免許めんきょを受うけた下記かき保険ほけん会社かいしゃ（あるいは保険ほけん持株もちかぶ会社かいしゃ）の子会社こがいしゃとして少額しょうがく短期たんき保険ほけん会社かいしゃの設立せつりつや事業じぎょうは可能かのうであり、東京とうきょう海上かいじょうミレア少額しょうがく短期たんき保険ほけんなどの例れいがある。名称めいしょうにおいて「株式会社かぶしきがいしゃ」「相互そうご会社かいしゃ」は省略しょうりゃくする。なお、かつて存在そんざいした保険ほけん会社かいしゃで、受うけ皿ざらとなった保険ほけん会社かいしゃが下したの一覧いちらんに無ないものとしては第一火災海上保険だいいちかさいかいじょうほけんがある。

日本にっぽん損害そんがい保険ほけん協会きょうかい加盟かめい会社かいしゃ

• あいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん（大東京火災海上保険だいとうきょうかさいかいじょうほけん（旧きゅう野村のむら系けい） ＋ 千代田火災海上保険ちよだかさいかいじょうほけん ＋ 同和火災海上保険どうわかさいかいじょうほけん ＋ ニッセイ損害保険にっせいそんがいほけん。 MS&ADインシュアランスグループホールディングスの子会社こがいしゃ）
• アイペット損害そんがい保険ほけん （ペット向むけ保険ほけん専せん門もんの保険ほけん会社かいしゃ）
• アクサ損害そんがい保険ほけん （アクサ生命保険あくさせいめいほけんの子会社こがいしゃ）
• アニコム損害そんがい保険ほけん （ペット向むけ保険ほけん専せん門もんの保険ほけん会社かいしゃ。アニコムホールディングスの子会社こがいしゃ）
• イーデザイン損害そんがい保険ほけん （自動車じどうしゃ保険ほけん専せん門もんの保険ほけん会社かいしゃ。 東京とうきょう海上かいじょうホールディングスの子会社こがいしゃ）
• AIG損害そんがい保険ほけん（AIU損害そんがい保険ほけん ＋ 富士火災海上保険ふじかさいかいじょうほけん。AIGジャパン・ホールディングスの子会社こがいしゃ）
• エイチ・エス損害そんがい保険ほけん （澤田さわだホールディングスとHISの関連かんれん会社かいしゃ）
• SBI損害そんがい保険ほけん （SBIホールディングスの子会社こがいしゃ）
• au損害そんがい保険ほけん （あいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけんとKDDIの合弁ごうべん会社かいしゃ）
• 共栄火災海上保険きょうえいかさいかいじょうほけん（JA共済連きょうさいれん子会社こがいしゃ）
• さくら損害そんがい保険ほけん
• ジェイアイ傷害火災保険じぇいあいしょうがいかさいほけん（JTBとAIG ジャパン・ホールディングスの合弁ごうべん会社かいしゃ。かつては外資がいしの全額ぜんがく出資しゅっし（※当時とうじ社名しゃめいはジャパン・インターナショナル傷害しょうがい火災かさい保険ほけん）であった）
• セコム損害そんがい保険ほけん（旧きゅう：東洋火災海上保険とうようかさいかいじょうほけん（三菱みつびし傍系ぼうけい）→セコム東洋とうよう損害そんがい保険ほけん、セコムの子会社こがいしゃ）
• セゾン自動車じどうしゃ火災かさい保険ほけん（旧きゅう：オールステート自動車じどうしゃ火災かさい保険ほけん、クレディセゾンおよび損保そんぽジャパンの関連かんれん会社かいしゃ。旅行りょこう業ぎょう大手おおてのHISとも提携ていけい。 SOMPOホールディングスの子会社こがいしゃ。そんぽ24と合併がっぺい。）
• ソニー損害そんがい保険ほけん（ソニーグループ（ソニーフィナンシャルホールディングス事業じぎょう子会社こがいしゃ））
• 損害そんがい保険ほけんジャパン（安田火災海上保険やすだかさいかいじょうほけん ＋ 日産火災海上保険にっさんかさいかいじょうほけん ＋ 第だい一いちライフ損害そんがい保険ほけん（第一生命だいいちせいめい子会社こがいしゃ） ＋ 大成火災海上保険たいせいかさいかいじょうほけん ＋ 損害そんがい保険ほけんジャパン・フィナンシャルギャランティー＋興亜火災海上保険こうあかさいかいじょうほけん ＋ 日本火災海上保険にほんかさいかいじょうほけん ＋ 太陽火災海上保険たいようかさいかいじょうほけん。SOMPOホールディングスの子会社こがいしゃ）
• 大同火災海上保険だいどうかさいかいじょうほけん（沖縄おきなわ地盤じばんの保険ほけん会社かいしゃ）
• 東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん（東京海上火災保険とうきょうかいじょうかさいほけん ＋ 日動火災海上保険にちどうかさいかいじょうほけん。 東京とうきょう海上かいじょうホールディングスの子会社こがいしゃ）
• トーア再さい保険ほけん（旧きゅう：東亜とうあ火災かさい海上かいじょう再さい保険ほけん）
• 日新火災海上保険にっしんかさいかいじょうほけん （東京とうきょう海上かいじょうホールディングスの子会社こがいしゃ）
• 日本にっぽん地震じしん再さい保険ほけん（国内こくない損害そんがい保険ほけん会社かいしゃ20社しゃの出資しゅっしにより設立せつりつ）
• 日立ひたちキャピタル損害そんがい保険ほけん（旧きゅう：ユナム・ジャパン傷害しょうがい保険ほけん）
• ペット＆ファミリー損害そんがい保険ほけん
• 三井みつい住友海上火災保険すみともかいじょうかさいほけん（大正たいしょう海上かいじょう火災かさい保険ほけん→三井海上火災保険みついかいじょうかさいほけん ＋ 住友海上火災保険すみともかいじょうかさいほけん。 MS&ADインシュアランスグループホールディングスの子会社こがいしゃ）
• 三井みついダイレクト損害そんがい保険ほけん（三井みついグループ・MSIG系けい。設立せつりつ当初とうしょは三井物産みついぶっさんが筆頭ひっとう株主かぶぬし・支配しはい株主かぶぬしであった。MS&ADインシュアランスグループホールディングスの関連かんれん会社かいしゃ）
• 明治めいじ安田やすだ損害そんがい保険ほけん（明治めいじ損害そんがい保険ほけん ＋ 安田やすだライフ損害そんがい保険ほけん。明治めいじ安田やすだ生命せいめい子会社こがいしゃ）
• 楽天らくてん損害そんがい保険ほけん（旧きゅう：朝日火災海上保険あさひかさいかいじょうほけん（旧きゅう野村のむら系けい）、楽天らくてんインシュアランスホールディングスの子会社こがいしゃ）
• レスキュー損害そんがい保険ほけん

外国がいこく損害そんがい保険ほけん協会きょうかい加盟かめい会社かいしゃ

※カッコ内ないに会社かいしゃ名めい等とうがある場合ばあいは、カッコ内ないが日本にっぽんにおける免許めんきょ会社かいしゃ名めいまたはグループ会社かいしゃ名めい。 ※アルファベット順じゅん

• AIG損害そんがい保険ほけん（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
• アメリカンホーム保険ほけん（アメリカン・ホーム・アシュアランス カンパニー、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
• アトラディウス信用しんよう保険ほけん（オランダ）
• アリアンツジャパン（アリアンツ火災海上保険ありあんつかさいかいじょうほけん、ドイツ）
• カーディフ損害そんがい保険ほけん（フランス）
• Chubb損害そんがい保険ほけん（スイス）
• コファスジャパン信用しんよう保険ほけん（コンパニー・フランセーズ・ダシュランス・プール・ル・コメルス・エクステリュール、フランス）
• ユーラーヘルメス信用しんよう保険ほけん（ユーラーヘルメス・エスエー、ベルギー）
• ゼネラリ保険ほけん会社かいしゃ（アシキュラチオニ・ゼネラリ・エス・ピー・エイ、イタリア）
• HDI Global保険ほけん会社かいしゃ（ドイツ）
• 現代げんだい海上かいじょう火災かさい保険ほけん（韓国かんこく）
• ロイズ保険ほけん組合くみあい（ザ・ソサイエティー・オブ・ロイズ総そう代理だいり店てん ロイズ・ジャパン、イギリス）
• ミュンヘン再さい保険ほけん会社かいしゃ（ドイツ）
• ニューインディア保険ほけん（ザ・ニュー・インディア・アシュアランス・カンパニー・リミテッド、インド国営こくえい）
• アールジーエー・リインシュアランス・カンパニー（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
• スター保険ほけん（スター・インデムニティ・アンド・ライアビリティ・カンパニー、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
• スイス・リー（スイス・リインシュアランス・カンパニー・リミテッド、スイス）
• スイス損害そんがい保険ほけん会社かいしゃ（スイス・リー・インターナショナル・エスイー、ルクセンブルク）
• トランスアトランティック再さい保険ほけん（トランスアトランティック リインシュアランスカンパニー、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
• チューリッヒ保険ほけん（チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー、スイス）

破綻はたんした保険ほけん会社かいしゃ

• 第一火災海上保険だいいちかさいかいじょうほけん相互そうご会社かいしゃ - 2000年ねんに破綻はたん。
• 大成火災海上保険たいせいかさいかいじょうほけん - 2002年ねん 12月、損害そんがい保険ほけんジャパンに吸収きゅうしゅう合併がっぺいされた。
• 大成たいせい再さい保険ほけん株式会社かぶしきがいしゃ - もとは大成火災海上保険たいせいかさいかいじょうほけんの完全かんぜん子会社こがいしゃであったが、2001年ねんのアメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんの影響えいきょうで巨額きょがくの再さい保険ほけん金きん支払しはらいが発生はっせいし、2011年ねん10月がつ14日にちに清算せいさん結ゆい了りょう。

行政ぎょうせい処分しょぶん事例じれい

保険ほけん金きん不払ふばらい問題もんだいという大だい規模きぼな不正ふせいを発生はっせいさせるに至いたってしまうなど、近年きんねんは保険ほけん会社かいしゃやその商品しょうひんを扱あつかう代理だいり店てんでの不正ふせい行為こういが頻発ひんぱつしており、許ゆるし難がたい不正ふせいが判明はんめいした保険ほけん会社かいしゃに対たいして金融きんゆう庁ちょうは度々どど行政ぎょうせい処分しょぶんを与あたえてきた。 金融きんゆう庁ちょうは、金融きんゆう業者ぎょうしゃの起おこした不正ふせい行為こういに対たいする行政ぎょうせい処分しょぶんの事例じれい集しゅうを発表はっぴょうしている。以下いかはこの事例じれい集しゅうから保険ほけん会社かいしゃおよび代理だいり店てんの不正ふせい行為こういが原因げんいんで行政ぎょうせい処分しょぶんを受うけた保険ほけん会社かいしゃのみに絞しぼり込こみ簡略かんりゃく化かしたものである。

• 保険ほけん法ほうは法務省ほうむしょうの所管しょかんであるが、行政ぎょうせい処分しょぶんの根拠こんきょ法ほうは全すべて保険ほけん業法ぎょうほうである。
• 詳くわしくは 金融きんゆう庁ちょう 行政ぎょうせい処分しょぶん事例じれい集しゅう 2008年ねん5月がつ21日にち更新こうしん版ばん を参照さんしょう。

生命せいめい保険ほけん会社かいしゃの行政ぎょうせい処分しょぶん

生損保せいそんぽ業界ぎょうかい全体ぜんたいは2005年ねんから2007年ねんの3年間ねんかんで金融きんゆう庁ちょうから延のべ200件けん以上いじょうの行政ぎょうせい処分しょぶんを受うけている。損害そんがい保険ほけんでは128 万まん件けん以上いじょう、生命せいめい保険ほけんでは164 万まん件けん以上いじょうの保険ほけん金きん不払ふばらいが確認かくにんされた。

保険ほけん会社かいしゃ	処分しょぶん発令はつれい日び	処分しょぶんの種類しゅるい	処分しょぶんの原因げんいん
アクサ生命保険あくさせいめいほけん アクサグループライフ生命せいめい保険ほけん	2002年ねん9月がつ25日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい違反いはん（特別とくべつ利益りえきの提供ていきょう）
日本生命保険にほんせいめいほけん	2003年ねん5月がつ13日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい抵触ていしょく（不適切ふてきせつな表示ひょうじの保険ほけん募集ぼしゅう資料しりょうを使用しようした保険ほけん募集ぼしゅう）
日本にっぽん興亜こうあ生命せいめい保険ほけん	2003年ねん11月6日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい違反いはん、募集ぼしゅうにかかる内部ないぶ管理かんり態勢たいせいの不備ふび、代理だいり店てんによる不ふ適正てきせい募集ぼしゅうの看過かんか
PCA生命せいめい保険ほけん	2003年ねん11月6日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	不祥ふしょう事件じけん届出とどけで書しょ未み提出ていしゅつ
明治生命保険めいじせいめいほけん	2003年ねん12月2日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	配当はいとう金きんの過少かしょう払はらい
明治めいじ安田生命保険やすだせいめいほけん	2005年ねん2月がつ25日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	不適切ふてきせつな保険ほけん金きん等とう不払ふばらい及および保険ほけん募集ぼしゅうによる法令ほうれい違反いはん
三井生命保険みついせいめいほけん	2005年ねん6月がつ10日とおか	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	員外いんがい契約けいやく
明治めいじ安田生命保険やすだせいめいほけん 明治めいじ安田生命保険やすだせいめいほけん代理だいり社しゃ	2005年ねん10月がつ28日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	不適切ふてきせつな保険ほけん金きん等とう不払ふばらい及および保険ほけん募集ぼしゅう、業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれいへの対応たいおう遅延ちえん等とう
日本生命保険にほんせいめいほけん	2006年ねん7月がつ26日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	保険ほけん金きん等とう支払しはらい管理かんり態勢たいせい及および経営けいえい管理かんり態勢たいせいの欠陥けっかん（利用りよう者しゃ保護ほご上じょう問題もんだいあり）
アリコジャパン	2007年ねん11月16日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	保険ほけん商品しょうひんの宣伝せんでん広告こうこく（パンフレット含ふくむ）につき景品けいひん表示法ひょうじほう違反いはんおよび保険ほけん業法ぎょうほう違反いはん
日本生命保険にほんせいめいほけん 第一生命保険だいいちせいめいほけん 明治めいじ安田生命保険やすだせいめいほけん 住友生命保険すみともせいめいほけん 朝日生命保険あさひせいめいほけん 富国生命保険ふこくせいめいほけん 三井生命保険みついせいめいほけん 大同生命保険だいどうせいめいほけん アメリカンファミリー アリコジャパン	2008年ねん7月がつ3日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	経営けいえい管理かんり態勢たいせい及および業務ぎょうむ管理かんり態勢たいせいの不備ふび、 保険ほけん金きん不払ふばらい等とうが確認かくにんされた37社しゃ中ちゅう、多数たすう多額たがくに上のぼった10社しゃに対たいする措置そち

損害そんがい保険ほけん会社かいしゃの行政ぎょうせい処分しょぶん

保険ほけん会社かいしゃ	処分しょぶん発令はつれい日び	処分しょぶんの種類しゅるい	処分しょぶんの原因げんいん
日動火災海上保険にちどうかさいかいじょうほけん	2002年ねん4月がつ25日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	基礎きそ書類しょるい違反いはん（虚偽きょぎ説明せつめいによる基礎きそ書類しょるいの認可にんか申請しんせい等とう）
日動火災海上保険にちどうかさいかいじょうほけん	2002年ねん8月がつ1日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい違反いはん（代理だいり店てんに対たいする本店ほんてんの統制とうせい力りょく不備ふび）
損害そんがい保険ほけんジャパン	2002年ねん8月がつ2日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	不ふ適正てきせい契約けいやくの是正ぜせい処理しょりの放置ほうち
ユナムジャパン	2003年ねん1月がつ9日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい違反いはん（特別とくべつ利益りえきの提供ていきょう及および無む登録とうろく募集ぼしゅう等とう）
あいおい損害そんがい保険ほけん	2003年ねん5月がつ29日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい違反いはん（特別とくべつ利益りえきの提供ていきょう等とう）
日本にっぽん興亜こうあ損害そんがい保険ほけん	2003年ねん11月6日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい違反いはん、募集ぼしゅうにかかる内部ないぶ管理かんり態勢たいせいの不備ふび、代理だいり店てんによる不ふ適正てきせい募集ぼしゅうの看過かんか
日動火災海上保険にちどうかさいかいじょうほけん	2004年ねん8月がつ20日はつか	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい違反いはん（威たけし迫さこ募集ぼしゅう、特別とくべつ利益りえきの提供ていきょう等とう）
東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん 三井みつい住友海上火災保険すみともかいじょうかさいほけん 損害そんがい保険ほけんジャパン 日本にっぽん興亜こうあ損害そんがい保険ほけん あいおい損害そんがい保険ほけん ニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん 富士火災海上保険ふじかさいかいじょうほけん 共栄火災海上保険きょうえいかさいかいじょうほけん 日新火災海上保険にっしんかさいかいじょうほけん 朝日火災海上保険あさひかさいかいじょうほけん セコム損害そんがい保険ほけん 明治めいじ安田やすだ損害そんがい保険ほけん スミセイ損害そんがい保険ほけん 大同火災海上保険だいどうかさいかいじょうほけん ソニー損害そんがい保険ほけん セゾン自動車じどうしゃ火災かさい保険ほけん 三井みついダイレクト損害そんがい保険ほけん そんぽ24損害そんがい保険ほけん エース損害そんがい保険ほけん アクサ損害そんがい保険ほけん ジェイアイ損害そんがい火災かさい保険ほけん アメリカンホーム保険ほけん AIU保険ほけん チューリッヒ保険ほけん アシキュラチオニゼネラリ保険ほけん ニューインディア保険ほけん	2005年ねん11月25日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	支払しはらい管理かんり態勢たいせいの不備ふび等とう
チューリッヒ保険ほけん	2005年ねん11月30日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	重要じゅうよう事項じこう説明せつめい不十分ふじゅうぶん、保険ほけん金きん支払しはらい処理しょりの長期ちょうき滞留たいりゅう等とう
損害そんがい保険ほけんジャパン	2006年ねん5月がつ25日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい違反いはん、法令ほうれい等とう遵守じゅんしゅ態勢たいせい（募集ぼしゅう行為こういにおける法令ほうれい違反いはん等とう）、経営けいえい管理かんり態勢たいせい等とうの不備ふび
三井みつい住友海上火災保険すみともかいじょうかさいほけん	2006年ねん6月がつ21日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい違反いはん、保険ほけん金きん支払しはらい管理かんり態勢たいせい （第だい三さん分野ぶんや商品しょうひんに係かかる保険ほけん金きんの多数たすうの不適切ふてきせつな不払ふばらい等とう）、経営けいえい管理かんり態勢たいせい等とうの不備ふび
大同火災海上保険だいどうかさいかいじょうほけん	2006年ねん11月24日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	法令ほうれい等とう遵守じゅんしゅ態勢たいせい、経営けいえい管理かんり態勢たいせい等とうの不備ふび
東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん 日本にっぽん興亜こうあ損害そんがい保険ほけん あいおい損害そんがい保険ほけん 富士火災海上保険ふじかさいかいじょうほけん 共栄火災海上保険きょうえいかさいかいじょうほけん 日新火災海上保険にっしんかさいかいじょうほけん	2007年ねん3月がつ14日にち	業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい 業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	第だい三さん分野ぶんや商品しょうひんに係かかる保険ほけん金きんの多数たすうの不適切ふてきせつな不払ふばらい
ニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん 日立ひたちキャピタル損害そんがい保険ほけん アメリカンホーム保険ほけん AIU保険ほけん	2007年ねん3月がつ14日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	第だい三さん分野ぶんや商品しょうひんに係かかる保険ほけん金きんの多数たすうの不適切ふてきせつな不払ふばらい
損害そんがい保険ほけんジャパン あいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん 東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん 三井みつい住友海上火災保険すみともかいじょうかさいほけん	2023年ねん12月26日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	東急とうきゅうグループ等とうに対たいする価格かかくカルテル
損害そんがい保険ほけんジャパン SOMPOホールディングス	2024年ねん1月がつ25日にち	業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれい	自動車じどうしゃ修理しゅうり工場こうじょうによる修理しゅうり費ひ水増みずましによる保険ほけん金きん不正ふせい請求せいきゅう

令れい和わ6年ねん1月がつ25日にち

保険ほけんの問題もんだい点てん

価格かかくカルテル

損害そんがい保険ほけん業界ぎょうかいでは、1994年ねん10月がつの公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいの日本にっぽん損害そんがい保険ほけん協会きょうかいに対たいする警告けいこく（自動車じどうしゃ保険ほけんの修理しゅうり工賃こうちんをめぐるカルテル疑惑ぎわく）、1996年ねん12月の日本にっぽん機械きかい保険ほけん連盟れんめいに対たいする排除はいじょ勧告かんこくなど、独占どくせん禁止きんし法ほうをめぐる問題もんだいが顕在けんざい化かしており、1998年ねんの損害そんがい保険ほけん料率りょうりつ算出さんしゅつ団体だんたいに関かんする法律ほうりつを端緒たんしょとして保険ほけん料りょう率りつの自由じゆう化かが進すすめられ、損害そんがい保険ほけん業界ぎょうかいでは保険ほけん料りょう引下ひきさげの競争きょうそうが行おこなわれる環境かんきょうが整ととのえられた。しかし、2005年ねんの保険ほけん金きん支払しはらい漏もれ問題もんだいへの対応たいおうや、2016年ねんの改正かいせい保険ほけん業法ぎょうほうの施行しこう等とうにより、企業きぎょうのなかで、独占どくせん禁止きんし法ほう遵守じゅんしゅ専せん門もんの組織そしきがコンプライアンス部門ぶもんに吸収きゅうしゅうされたり、関係かんけい法令ほうれい中ちゅうの独占どくせん禁止きんし法ほう関連かんれんの研修けんしゅう内容ないようなどの記載きさい削除さくじょなどにより、各社かくしゃで独占どくせん禁止きんし法ほう遵守じゅんしゅに係かかる部門ぶもんが縮小しゅくしょう又または廃止はいしされた。また、2000年代ねんだい以降いこうの合併がっぺいで大手おおて損保そんぽ会社かいしゃ数すうが減少げんしょうし、限かぎられた営業えいぎょう担当たんとう者しゃ同士どうしがコミュニケーションを取とる機会きかいが増加ぞうかした。さらに、2010年代ねんだい後半こうはんからは、自然しぜん災害さいがいの頻発ひんぱつ・激甚げきじん化か等とうにより、損害そんがい保険ほけん業界ぎょうかい全体ぜんたいとして、火災かさい保険ほけんの大幅おおはばな赤字あかじが常態じょうたい化かした。

そのため、損害そんがい保険ほけん大手おおて各社かくしゃは、トップライン（保険ほけん料りょう収入しゅうにゅう）からボトムライン（利益りえき）重視じゅうしに舵かじを切きる又またはボトムラインを向上こうじょうさせる取組とりくみをより強化きょうかした。これにより、保険ほけん契約けいやくの更改こうかいにあたって、特とくに保険ほけん料りょうの値上ねあげや補償ほしょう内容ないようの縮小しゅくしょうなど、保険ほけん契約けいやく者しゃと利害りがいが対立たいりつしやすい交渉こうしょうが行おこなわれる機会きかいが増加ぞうかしてき、さらに、企業きぎょう向むけ保険ほけん契約けいやくでは新規しんき契約けいやく割合わりあいが小ちいさく、営業えいぎょう担当たんとう者しゃにとって、更改こうかい契約けいやくを落おとせないというプレッシャーが年々ねんねん強つよまっていた。

このことから、特とくに共同きょうどう保険ほけんの引受ひきうけにあたって、引受ひきうけ保険ほけん会社かいしゃの担当たんとう者しゃ間あいだで、保険ほけん料りょう等とうを事前じぜんに調整ちょうせいし保険ほけん契約けいやく者しゃ等とうとの交渉こうしょうに係かかる負担ふたん軽減けいげんを図はかる動機どうきの形成けいせいを招まねき、2017年ねんから2020年ねんにに不適切ふてきせつ行為こういの件数けんすうが増加ぞうかし、現在げんざいは横よこばいとなっている。

2023年ねんには、大手おおて損害そんがい保険ほけん会社かいしゃ4社しゃ（あいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん、損害そんがい保険ほけんジャパン、東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん、三井みつい住友海上火災保険すみともかいじょうかさいほけん）が東急とうきゅうグループ等ひとしに対たいし一斉いっせいに補償ほしょう内容ないようを切下きりさげるなどしたカルテルが発覚はっかくし、金融きんゆう庁ちょうが行政ぎょうせい処分しょぶんを付ふしている。

保険ほけん金きん詐欺さぎ

保険ほけんは金銭きんせん面めんでの損失そんしつをカバーするシステムであるが、それを逆手さかてにとって不正ふせいに金銭きんせんを得えようとする事件じけんが後こうを絶たたない。そもそも保険ほけん契約けいやく者しゃと保険ほけん会社かいしゃの関係かんけいは、典型てんけい的てきなプリンシパル＝エージェント関係かんけいとみなされており、逆ぎゃく選択せんたくやモラル・ハザードが発生はっせいする危険きけんを常つねに背負せおっているといえる。保険ほけんにおける逆ぎゃく選択せんたくとは、リスクがより大おおきな者ものが、保険ほけん加入かにゅうに際さいしてより強つよい動機どうきを持もつため、結果けっかとして保険ほけん加入かにゅう者しゃがリスクのより大おおきな者もので占しめられてしまう傾向けいこうをさし、モラル・ハザードとは、保険ほけん加入かにゅうによって保障ほしょう（補償ほしょう）が得えられるために、加入かにゅう者しゃがリスクを回避かいひすることを控ひかえてしまうことをさし、また、保険ほけん者しゃ側がわのモラル・ハザードも存在そんざいする。

例たとえば生命せいめい保険ほけんの場合ばあいは、被ひ保険ほけん者しゃとなる人物じんぶつに過度かどの保険ほけんに加入かにゅうさせ、その人物じんぶつを意図いと的てきに殺害さつがい・自殺じさつ教唆きょうさ、または重度じゅうどの障害しょうがいなどを負おわせる事ことによって、多額たがくの保険ほけん金きんを得えようとしたり、損害そんがい保険ほけんの場合ばあいは対象たいしょうとなる物ものを意図いと的てきに損壊そんかい・または損壊そんかいしたなどと偽いつわって報告ほうこくすることにより保険ほけん金きんを貰もらい、新あたらしい物ものを購入こうにゅうしたり実際じっさいの収入しゅうにゅうに結むすびつけたりしようとする事ことがある（事例じれい）。中なかには実際じっさいに掛かかった費用ひよう（修理しゅうり費用ひようなど）を過大かだい申告しんこくし、その差額さがく分ぶんの金銭きんせんを得えようとする事こともある。

これらは保険ほけん金きんを騙だまし取とる行為こういであり、「保険ほけん金きん詐欺さぎ」という立派りっぱな犯罪はんざいとなる。このような犯罪はんざい行為こういを阻止そしするため、保険ほけん会社かいしゃは、加入かにゅう時じあるいは支払しはらい時じに契約けいやく内容ないようあるいは請求せいきゅう内容ないようを審査しんさしたり、保険ほけん会社かいしゃ間あいだで契約けいやく情報じょうほうや事故じこ情報じょうほうを交換こうかんしたり、調査ちょうさ会社かいしゃに委託いたくしてその保険ほけん事故じこが正当せいとうなものであるかどうかを調査ちょうさすることがある。 児童じどうを対象たいしょうとした生命せいめい保険ほけんでは犯罪はんざいを誘引ゆういんしないよう保険ほけん金きんの上限じょうげんが低ひくく抑おさえられている。また、成人せいじんを対象たいしょうとした場合ばあいでも保険ほけん金きんがある一定いってい額がくを超こえると保険ほけん会社かいしゃ間あいだで情報じょうほう交換こうかんをして被ひ保険ほけん者しゃに複数ふくすうの生命せいめい保険ほけん会社かいしゃから多額たがくの保険ほけん金きんがかけられていないか調査ちょうさする仕組しくみとなっている。

保険ほけん金きんの支払しはらい拒否きょひ（不払ふばらい・調査ちょうさ妨害ぼうがい）

弁護士べんごしの綱紀こうきの乱みだれに関かんする弁護士べんごし会かい委員いいん（刑法けいほう上じょうの公務員こうむいん）には事実じじつ上じょう刑事けいじ責任せきにんがない。

2005年ねん（平成へいせい17年ねん）2月がつ、明治めいじ安田やすだ生命せいめい及および富士火災海上保険ふじかさいかいじょうほけんの保険ほけん金きん不払ふばらい問題もんだいが初はじめて発覚はっかくした。

先さきの行政ぎょうせい処分しょぶん事例じれいに列挙れっきょしたのは、正当せいとうな理由りゆうではなく不当ふとうな理由りゆうで支払しはらいを拒否きょひされた事例じれいである（保険ほけん金きん不払ふばらい事件じけん）。2005年ねんから2008 年ねん、金融きんゆう庁ちょうは損害そんがい保険ほけんは128万まん件けん以上いじょう、生命せいめい保険ほけんは164万まん件けん以上いじょうの未払金みはらいきんの存在そんざいを確認かくにんし、延のべ200件けん以上いじょうの行政ぎょうせい処分しょぶんを行おこなっている。参議院さんぎいんも2007年ねん、調査ちょうさ報告ほうこく書しょを提出ていしゅつした。

新潟にいがた県けん中越なかこし地震じしんでは家屋かおくの倒壊とうかいのため補償ほしょうの調査ちょうさをしたが、建築けんちく学がく的まとには全壊ぜんかいの状態じょうたいにもかかわらず保険ほけん金きんの支払しはらいを避さけるため、外見がいけん上じょう半分はんぶん残のこっているのは一律いちりつ半壊はんかいの扱あつかいをする保険ほけん会社かいしゃもあったといわれる。これは、営業えいぎょう部門ぶもんに比くらべ事故じこ査定さてい（損害そんがい調査ちょうさ）部門ぶもんの人員じんいんを減へらし、専せん門もんの子会社こがいしゃへの業務ぎょうむ委託いたくを進すすめてきた構造こうぞう的てきな問題もんだいから来きていると言いわれる。

また、大手おおて損害そんがい保険ほけん会社かいしゃを中心ちゅうしんに自動車じどうしゃ保険ほけん金きんの支払しはらい漏もれが相次あいついで明あかるみに出でて、監督かんとくする金融きんゆう庁ちょうによる厳きびしい処分しょぶんを受うけた会社かいしゃもあった。これは「損害そんがいが発生はっせいしていても契約けいやく者しゃからの請求せいきゅうがなければ支払しはらわない」という姿勢しせいにも起因きいんするが、過度かどの商品しょうひん開発かいはつ競争きょうそうにより各種かくしゅの特約とくやくが作つくられたものの、営業えいぎょう最さい優先ゆうせんの体質たいしつにより、事故じこ査定さてい部門ぶもんへの案内あんない不足ふそくやシステムチェック機能きのうを開発かいはつの怠慢たいまんが発生はっせいしたことも大おおきな要因よういんと考かんがえられている。

保険ほけん会社かいしゃの代理人だいりにん弁護士べんごしらの多おおくは慈善じぜん事業じぎょうなども行おこなっており、利益りえき相反あいはんの事実じじつを隠かくしたまま請求せいきゅう者しゃ側がわの相談そうだんを受うけたり受任じゅにんして損害そんがい証明しょうめい資料しりょうを横領おうりょうする活動かつどうをしている者ものもいるが、弁護士べんごし会かいや日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごう会かいの綱紀こうき・懲戒ちょうかい委員いいん会かい、あるいは綱紀こうき審査しんさ会かい委員いいんら（検察官けんさつかん・裁判官さいばんかんを含ふくむ）がこれらを懲戒ちょうかいしていない問題もんだいもある。さらに弁護士べんごし会かいの懲戒ちょうかい委員いいん・綱紀こうき委員いいんは刑法けいほうにおいては公務員こうむいん（みなし公務員こうむいん）であるが、委員いいんらによる職権しょっけん濫用らんようについて検察庁けんさつちょうは起訴きそをしていない。

募集ぼしゅう手数料てすうりょう体系たいけい

ミューチュアル・ファンドの隆盛りゅうせいにともない、保険ほけん会社かいしゃが新しん契約けいやくを開拓かいたくして利益りえきを得えようと、自社じしゃの営業えいぎょうマンや嘱託しょくたくの営業えいぎょう会社かいしゃを厚遇こうぐうしている。一部いちぶの保険ほけん販売はんばい員いんや募集ぼしゅう人じん・保険ほけん代理だいり店てんが同おなじく新しん契約けいやく偏重へんちょう・利益りえき先行せんこうの姿勢しせいをとるようになり、新しん契約けいやく締結ていけつのためならば違法いほう行為こういをしても構かまわないと考かんがえる者ものが増ふえてきている。

例たとえば生命せいめい保険ほけんにおいては、募集ぼしゅう人じんや代理だいり店てんへ支払しはらわれる募集ぼしゅう手数料てすうりょう体系たいけいが顧客こきゃくサービスの品質ひんしつを大おおきく下さげている。手数料てすうりょうの支払しはらいにはL字じ払ばらいという独特どくとくのシステムが定着ていちゃくしている。これは「新規しんき契約けいやくを最さい重要じゅうよう視しさせる」システムである。顧客こきゃく対応たいおうの悪質あくしつ化かにとどまらず、顧客こきゃくに損害そんがいを与あたえてしまう事ことも実際じっさいにある。

合意ごういなき保険ほけん契約けいやく

2006年ねん8月がつ頃ころから明あきらかになった問題もんだいとして、消費しょうひ者しゃ団体だんたい信用しんよう生命せいめい保険ほけんがある。

大手おおて消費しょうひ者しゃ金融きんゆう企業きぎょう各社かくしゃが、会社かいしゃを受取うけとり人じんとして債務さいむ者しゃに対たいし生命せいめい保険ほけんを掛かけていた問題もんだいである。債務さいむ者しゃに断ことわり無なく生命せいめい保険ほけんを掛かけていたケースもある。これは債務さいむ者しゃ死亡しぼう（自殺じさつ・生死せいし不明ふめいでの夜逃よにげ等ひとしも含ふくむ）による貸かし倒だおれリスクとそれによる審査しんさの厳格げんかく化かの回避かいひ、債務さいむを相続そうぞくした遺族いぞくの負担ふたんの軽減けいげん、債務さいむ者しゃ死亡しぼう後ごの返済へんさいに関かかわる迷惑めいわくを遺族いぞくにかけない、などの名目めいもくがあるものの、2005年ねん度どでこの消費しょうひ者しゃ団体だんたい信用しんよう生命せいめい保険ほけんで保険ほけん金きんを受うけ取とったケースは4万まん件けん弱じゃくあり、さらに死亡しぼう原因げんいんの半数はんすうの2万まん件けんが不明ふめい、その1割わりが自殺じさつであったことが判明はんめいした。またこの保険ほけん金きんを消費しょうひ者しゃ金融きんゆう企業きぎょう各社かくしゃが合計ごうけい300億おく円えん受領じゅりょうしていたこと、そして一部いちぶには弁済べんさい金きん以上いじょうの保険ほけん金きんを獲得かくとくした例れいもあると判明はんめいした。

一方いっぽうで、保険ほけん会社かいしゃ側がわも大手おおて消費しょうひ者しゃ金融きんゆう各社かくしゃからの多額たがくの保険ほけん料りょう収入しゅうにゅうを考慮こうりょし、契約けいやくより2年ねん以上いじょう経過けいかしての保険ほけん金きん支払しはらいに際さいしては死因しいん等とうを充分じゅうぶんに調査ちょうさせず、安易あんいに死亡しぼう保険ほけん金きん支払しはらいに応おうじていたことも判明はんめいしている。

消費しょうひ者しゃ金融きんゆう業者ぎょうしゃ側がわは契約けいやく書しょを介かいして債務さいむ者しゃに対たいし被ひ保険ほけん者しゃになる事ことを通知つうちしていると主張しゅちょうしているが、実際じっさいには債務さいむ者しゃが己おのれの命いのちに保険ほけん金きんをかけられている事ことが充分じゅうぶんに認識にんしきされていない、とする調査ちょうさ結果けっかもある。

これらの状況じょうきょうから、正常せいじょうな弁済べんさいの見込みこみが薄うすければ回収かいしゅうを優先ゆうせんして債務さいむ者しゃの生命せいめいを顧かえりみず、保険ほけん金きんによる弁済べんさいをも視野しやに入いれた過酷かこくな債務さいむ取立とりたてに走はしる可能かのう性せいを指摘してきし、非難ひなんする声こえが高たかまった。こうした批判ひはんを受うけ、金融きんゆう庁ちょうは2006年ねん9月15日にち、保険ほけん会社かいしゃ及および生命せいめい保険ほけん協会きょうかいに対たいして、消費しょうひ者しゃ団体だんたい信用しんよう生命せいめい保険ほけんの加入かにゅうの際さいに、被ひ保険ほけん者しゃである債務さいむ者しゃに対たいしわかりやすく説明せつめいすることや、保険ほけん金きん支払しはらい時じの遺族いぞくへの確認かくにんの方法ほうほうなどを厳格げんかくに行おこなうよう指導しどうした。 これに対たいして大手おおて消費しょうひ者しゃ金融きんゆうのプロミスは、世間せけんの非難ひなんの声こえを不快ふかいとし、債務さいむ者しゃの家族かぞくの損害そんがいを減へらすための適切てきせつな運用うんようを目指めざすのではなく、2006年ねん10月1日にちより消費しょうひ者しゃ団体だんたい信用しんよう生命せいめい保険ほけんを解約かいやくし、今後こんごは取とり扱あつかわないことを発表はっぴょうした。他たの消費しょうひ者しゃ金融きんゆう会社かいしゃも概おおむね同様どうようの動うごきをとっている。

ただし、同様どうように銀行ぎんこうやローン会社かいしゃ（特とくに住宅じゅうたくローン）等とうにおいても、融資ゆうしの際さいの保証ほしょうとして団体だんたい信用しんよう生命せいめい保険ほけんに加入かにゅうさせるケースは多おおい。これらはあまり問題もんだいにされていない。

2010年ねんには、不本意ふほんいな保険ほけんを掛かけられた状態じょうたいの被ひ保険ほけん者しゃが「契約けいやくの解除かいじょ」を請求せいきゅうできる被ひ保険ほけん者しゃ離脱りだつ制度せいどが導入どうにゅうされたが、この制度せいどを職員しょくいんに周知しゅうちしていない保険ほけん会社かいしゃもあるという。

企業きぎょうが従業じゅうぎょう員いんにかける生命せいめい保険ほけん

企業きぎょうが、従業じゅうぎょう員いんに断ことわり無なく生命せいめい保険ほけんをかけている例れいがある。企業きぎょう側がわの主張しゅちょうとしては、労働ろうどう力りょくの欠如けつじょで生しょうじる業務ぎょうむ上じょうの損害そんがいを埋うめ合あわせる為ため、また、欠員けついんを補充ほじゅうする費用ひようを獲得かくとくするため、としているが、従業じゅうぎょう員いんの生命せいめいをもって利潤りじゅんを得える行為こういであると非難ひなんする声こえもある。一方いっぽうで、保険ほけん会社かいしゃ側がわも、保険ほけん金きん支払しはらいに際さいしては経緯けいいや死因しいん等とうを充分じゅうぶんに調査ちょうさせず、安易あんいに死亡しぼう保険ほけん金きん支払しはらいに応おうじていたことも判明はんめいしている。遺族いぞくにとっては、与あずかり知しらぬところで金かねのやりとりが行おこなわれること、また、死亡しぼう診断しんだん書しょなどが勝手かってに取とり扱あつかわれることについて強つよい憤いきどおりを感かんじる事ことが多おおい。また、言いうなれば赤あかの他人たにんに保険ほけんをかける行為こういを容認ようにんすることは、保険ほけん金きん目当めあての殺人さつじん行為こういを助長じょちょうするという声こえもある。未必みひつの故意こいによる過労かろう死しの看過かんかも懸念けねんされる。

火災かさい保険ほけん

火災かさい保険ほけんにおける保険ほけん金額きんがくは原則げんそくとして対象たいしょうとなる建物たてものの評価ひょうか額がくを上限じょうげんとして設定せっていされる。一般いっぱんに評価ひょうか額がくは年月としつきと共ともに逓減ていげんしていくが、契約けいやくそのものは維持いじし、更新こうしんの際さいにも保険ほけん金額きんがくを見直みなおさずに済すまして、評価ひょうか額がくに対たいして過大かだいな保険ほけん金額きんがく、そして掛かけ金きんが維持いじされることが珍めずらしくない。しかし、保険ほけん金きん支払しはらいにおいては建物たてものの時とき価額かがくが基準きじゅんとなるため、全ぜん損そんの場合ばあいでも、保険ほけん金額きんがくが満額まんがくで支払しはらわれず、減額げんがくされる例れいが見みられる。ただし、評価ひょうか額がくを超過ちょうかした分ぶんの保険ほけん金額きんがくに対応たいおうする部分ぶぶんは無効むこうとなるため、契約けいやく者しゃが過大かだいに支払しはらった保険ほけん料りょうは返還へんかんされる。逆ぎゃくに保険ほけん金額きんがく＜時価じか額がくで差さが著いちじるしい一部いちぶ保険ほけんの場合ばあい、その割合わりあいに応おうじて削減さくげんされるため、超過ちょうか保険ほけんのほうが消費しょうひ者しゃ利益りえき保護ほごになるという面めんもある。

本来ほんらいは更新こうしんを機会きかいに再さい評価ひょうかを行おこなって保険ほけん金額きんがくを適切てきせつに設定せっていしなおすべきであるが、十分じゅうぶんに行おこなわれていない。

乗換のりかえ契約けいやく・転換てんかん契約けいやく

乗換のりかえ契約けいやくは、他社たしゃの商品しょうひんを解約かいやくさせて自社じしゃの商品しょうひんに切きり替かえさせる事ことを言いう。自社じしゃ商品しょうひんの間あいだでも行おこなわれることがある。転換てんかん契約けいやくは自社じしゃの商品しょうひんの責任せきにん準備じゅんび金きんを新あたらしい保険ほけんの責任せきにん準備じゅんび金きんに充当じゅうとうする制度せいどで、「保険ほけんの下取したどり」とも呼よばれる。

本来ほんらいはライフスタイルの変化へんかに伴ともなう保障ほしょう内容ないようの見直みなおしに際さいしてそれまでの保険ほけん契約けいやくを活用かつようするものだが、最近さいきんは低てい金利きんりのために商品しょうひんの予定よてい利率りりつが低ひくく設定せっていされていることから、予定よてい利率りりつの高たかい（保険ほけん料りょうの安やすい）契約けいやくから予定よてい利率りりつの低ひくい（保険ほけん料りょうの低ひくい）契約けいやくに変更へんこうされるケースが多おおい。また、営業えいぎょう職員しょくいんや代理だいり店てんが手数料てすうりょう獲得かくとくのために無理むりな乗換のりかえまたは転換てんかんを行おこなわせるケースもある。

上記じょうきのように保障ほしょう内容ないようを変かえない場合ばあいは一般いっぱんに保険ほけん料りょうは高たかくなるため、見みかけの保険ほけん料りょうを安やすく見みせるために、保険ほけん期間きかんを短みじかくしたり、それまで付加ふかされていた特約とくやくを外はずすといったことが行おこなわれることがある。こういった顧客こきゃくにとって不利ふりな内容ないようは十分じゅうぶんに説明せつめいされることはなく、後あとでトラブルとなることが多おおい。

死し差益さえき

保険ほけん金きんの運用うんようの3つの要素ようそとして、利り差さ損益そんえき（市場いちばでの運用うんよう益えきと支払しはらいの利率りりつの差さ）、費ひ差損さそん益えき（業務ぎょうむ費用ひようの予算よさんと実際じっさいの費用ひようの差さ、いわゆる節約せつやくで益えきを出だす）、そして死し差さ損益そんえき（商品しょうひん設計せっけい上じょうの死亡しぼう率りつと、実際じっさいの死亡しぼう率りつとの差さ）がある。この中なかで、死し差さ損益そんえきについては、人口じんこう統計とうけい等とうから算出さんしゅつされる死亡しぼう率りつを基もとに商品しょうひん設計せっけいを行おこなう一方いっぽうで、保険ほけん加入かにゅう時じには医師いしの診断しんだんや告知こくちを要求ようきゅうしてリスクの高たかい顧客こきゃくを排除はいじょすることから、概がいして契約けいやく者しゃの範囲はんいでは死亡しぼう率りつが低ひくくなる傾向けいこうにあり、恒常こうじょう的てきに利益りえきを生うむ、という指摘してきがある。また、戦後せんご日本にっぽんでは概おおむね寿命じゅみょうは延のび続つづけ、死亡しぼう率りつが下さがる傾向けいこうにあり、対たいして商品しょうひん設計せっけいに用もちいる従前じゅうぜんの統計とうけいでは死亡しぼう率りつが高たかいことから、この面めんでも恒常こうじょう的てきに利益りえきを生うむ、という指摘してきがある。

これに対たいして、バブル崩壊ほうかい後ごの経営けいえいの窮状きゅうじょうを訴うったえる際さいには（失うしなわれた10年ねん）、もっぱら費ひ差さ損益そんえきにかかる経費けいひ削減さくげん・企業きぎょう努力どりょくの限界げんかいと、利り差さ損益そんえきにおける逆ぎゃく鞘さやを訴うったえ、上記じょうきの「乗のせ換かえ」による、予定よてい利率りりつ削減さくげんの動うごきを正当せいとう化かする主張しゅちょうがなされた。さらには、利率りりつの逆ぎゃくざやをアピールした上うえで、既存きそん契約けいやくについても保険ほけん会社かいしゃによる一方いっぽう的てきな予定よてい利率りりつ変更へんこう（予定よてい利率りりつ削減さくげん）のスキームを確立かくりつする試こころみがなされている。一方いっぽうで、死し差さ損益そんえきに関かんしては触ふれず、恒常こうじょう的てきに利益りえきを生うみやすい要素ようそを隠匿いんとくして顧客こきゃくに不利益ふりえきを転嫁てんかしている、という指摘してきがなされている。

変へん額がく保険ほけん

変へん額がく保険ほけんは保険ほけん金きんが運用うんよう実績じっせきによって増減ぞうげんする保険ほけんであり、死亡しぼう保険ほけん金額きんがくについては一定いってい額がくが保証ほしょうされているが、満期まんき保険ほけん金額きんがくは保証ほしょうされていないものが多おおい。バブル期きには、株式かぶしきの運用うんよう比率ひりつを高たかめて保険ほけん金額きんがくが大幅おおはばに上昇じょうしょうしたこともあり、将来しょうらい的てきな株価かぶかの上昇じょうしょう、つまり保険ほけん金額きんがくの上昇じょうしょうを当あて込こんで、借金しゃっきんをして保険ほけんに加入かにゅうさせる販売はんばい方法ほうほうも見みられた。このように販売はんばいされた変へん額がく保険ほけんは、バブル崩壊ほうかいと共ともに運用うんよう実績じっせきが落おち込こんだことから保険ほけん金きんでローンを返済へんさいすることが不可能ふかのうとなり、被ひ保険ほけん者しゃが自殺じさつを選択せんたくする例れいもあった。詳細しょうさいは変へん額がく保険ほけん、バブル景気けいきを参照さんしょうのこと。

保険ほけんの審査しんさにまつわる問題もんだい

2013年ねんにみずほ銀行ぎんこうで、暴力団ぼうりょくだんへの融資ゆうしの存在そんざいを知しりながら放置ほうちしていた問題もんだいが判明はんめいしたのを受うけ、金融きんゆう庁ちょうは損害そんがい保険ほけん大手おおて5社しゃ及および生命せいめい保険ほけん大手おおて3社しゃ（東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん、損保そんぽジャパン、三井みつい住友海上火災保険すみともかいじょうかさいほけん、あいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん、日本にっぽん興亜こうあ損害そんがい保険ほけん、三井生命保険みついせいめいほけん、富国生命保険ふこくせいめいほけん、太陽生命保険たいようせいめいほけん）を対象たいしょうに、融資ゆうし先さきの審査しんさが適切てきせつに行おこなわれているか調査ちょうさを実施じっししたところ、いずれの会社かいしゃも審査しんさを信販しんぱん会社かいしゃに任まかせ切ぎりにしており、事後じご審査しんさも実施じっししていなかったことが、一部いちぶマスコミの報道ほうどうにより判明はんめいした。金融きんゆう庁ちょうは、融資ゆうし先さきに暴力団ぼうりょくだん及およびその関係かんけい者しゃなど反はん社会しゃかい的てき勢力せいりょくが含ふくまれていないか、実態じったい調査ちょうさに乗のり出だしている。

賭博とばくとの関連かんれん

発生はっせいするか不明ふめいな事象じしょう（事故じこや疾病しっぺい）に対たいし事前じぜんに金銭きんせんを支払しはらう行為こういは、賭博とばくと見み做すことができる。また保険ほけん会社かいしゃは集あつめた資金しきんの運用うんよう利子りしで運営うんえいされているため、シャーリアで賭博とばくと利子りしを得えることを禁止きんししているイスラム教いすらむきょうの地域ちいきでは通常つうじょうの保険ほけんが運営うんえいできない。イスラム教徒きょうとはタカフルと呼よばれる共済きょうさいに類似るいじした仕組しくみを利用りようしている。

銀行ぎんこう窓まど販

保険ほけんの銀行ぎんこう窓まど販（バンカシュランス）は日本にっぽんでは2007年ねんに全面ぜんめん解禁かいきんされたが、フランスでは1970年代ねんだいに開始かいしした。

1996年ねん～2001年ねんにかけて行おこなわれた第だい一いち次じ日本にっぽん版ばん金融きんゆうビッグバンにより、金融きんゆう業ぎょうの相互そうご参入さんにゅうに際さいして銀行ぎんこうは保険ほけん・証券しょうけんなどの代理だいり店てん販売はんばい業務ぎょうむを行おこなうことが認みとめられ、銀行ぎんこうという身近みぢかなお金かねの相談そうだんをする場所ばしょが生命せいめい保険ほけんを販売はんばいすることのモラルリスクの観点かんてんからも慎重しんちょうに行おこなわれなければならないとの判断はんだんから段階だんかい的てきに解禁かいきんされた。なお、ここでいうモラルリスクとは、顧客こきゃくの預金よきん残高ざんだかなど資産しさん状況じょうきょうを把握はあくしている金融きんゆう機関きかん側がわが契約けいやく者しゃに本来ほんらい必要ひつようない、または理解りかいできない金融きんゆう商品しょうひんを販売はんばいすることで手数料てすうりょうを得えようという販売はんばい側がわの道徳どうとく的てき・倫理りんり的てきリスクである。2001年ねん4月がつに住宅じゅうたく関連かんれん信用しんよう生命せいめい保険ほけん(団体だんたい信用しんよう生命せいめい保険ほけん)、2002年ねん10月がつから個人こじん年金ねんきん保険ほけん・財形ざいけい保険ほけん、2005年ねん12月から一いち時じ払はらい終身しゅうしん保険ほけん・一時いちじ払はらい養老ようろう保険ほけんなどの貯蓄ちょちく性せい商品しょうひんを中心ちゅうしんに解禁かいきんされ、2007年ねん12月からは定期ていき保険ほけんや終身しゅうしん保険ほけん・医療いりょう保険ほけん・介護かいご保険ほけんなどの平準へいじゅん払はらいも全面ぜんめん解禁かいきんとなった。

解禁かいきん直後ちょくごから個人こじん年金ねんきん保険ほけん・変へん額がく年金ねんきん保険ほけんなどの保険ほけん商品しょうひんが人気にんきとなり、個人こじん年金ねんきん・変へん額がく個人こじん年金ねんきんなどに特とく化かした生命せいめい保険ほけん会社かいしゃが参入さんにゅうを始はじめるなど、老後ろうごの資産しさん形成けいせいと年金ねんきん受給じゅきゅう口座こうざなどの手続てつづきがワンストップでできるメリットが発揮はっきされることとなった。また2005年ねんから解禁かいきんされた一時いちじ払はらい終身しゅうしん保険ほけん・一時いちじ払はらい養老ようろう保険ほけんなど低てい金利きんり政策せいさくの日本にっぽんにおいては各社かくしゃが順調じゅんちょうな販売はんばいを行おこなうなどの活況かっきょうを迎むかえていたが、平準へいじゅん払はらいの定期ていき保険ほけんや終身しゅうしん保険ほけん・医療いりょう保険ほけん・介護かいご保険ほけんなどはなかなか銀行ぎんこう窓口まどぐちで販売はんばいが伸のびなかった。マイナス金利きんり政策せいさくが始はじまると販売はんばいの主力しゅりょくとなっていた一時いちじ払はらい終身しゅうしん保険ほけんなどが各社かくしゃ次々つぎつぎと販売はんばいを停止ていしした。日本生命にほんせいめいによると、世界せかい金融きんゆう危機きき以降いこう、中国ちゅうごくで銀行ぎんこう窓まど販に対たいする規制きせいが段階だんかい的てきに強化きょうかされた。2017年ねんにきて日本にっぽんでは金融きんゆう庁ちょうの指導しどうにより銀行ぎんこう窓まど販が勢いきおいをくじかれたと評ひょうされているが、一方いっぽうでゆうちょ銀行ぎんこうによる投信とうしん販売はんばいがてこ入いれされている。

参考さんこう文献ぶんけん

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• 森荘もりしょう三郎さぶろう『日本にっぽん家屋かおく保険ほけん国営こくえい論ろん : 経済けいざい資料しりょう （經濟けいざい資料しりょう日本にっぽん家屋かおく保險ほけん國營こくえい論ろん）』有斐閣ゆうひかく、1925年ねん。doi:10.11501/1021356。 NCID BN0776177X。国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんサーチ：R100000039-I1021356。 
• 司法省しほうしょう調査ちょうさ部ぶ『保険ほけん関係かんけい論集ろんしゅう』司法省しほうしょう調査ちょうさ部ぶ〈司法しほう資料しりょう ; 第だい250号ごう〉、1939年ねん。doi:10.11501/1270018。 NCID BN1232715X。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:60002132。国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんサーチ：R100000039-I1270018。 
• 村上むらかみ貴美子きみこ「「国営こくえい保険ほけん」論ろんの収斂しゅうれん過程かてい」『関西かんさい福祉ふくし大学だいがく社会福祉学部しゃかいふくしがくぶ研究けんきゅう紀要きよう』第だい17巻かん第だい2号ごう、関西かんさい福祉ふくし大学だいがく社会福祉学部しゃかいふくしがくぶ研究けんきゅう会かい、2014年ねん3月がつ20日はつか、23-30頁ぺーじ、ISSN 1883-566X、NAID 120005436774、NII:1068/00000363。 
• 参議院さんぎいん「生損保せいそんぽ業界ぎょうかいにおける保険ほけん金きん不払ふばらい問題もんだい〜求もとめられる信頼しんらい回復かいふくへ向むけた取組とりくみ〜」（PDF）『立法りっぽうと調査ちょうさ』第だい274号ごう、参議院さんぎいん、2007年ねん、2022年ねん9月がつ30日にち閲覧えつらん。 

関連かんれん項目こうもく

• アクチュアリー
• 保険ほけん料りょう過か徴収ちょうしゅう問題もんだい
• モノライン保険ほけん会社かいしゃ
• エッシャー原理げんり
• 賭博とばく
• タカフル
• 大成たいせい火災かさい

外部がいぶリンク

• 生命せいめい保険ほけん協会きょうかい
• 日本にっぽん損害そんがい保険ほけん協会きょうかい
• 日本にっぽん損害そんがい保険ほけん代理だいり業ぎょう協会きょうかい
• 保険ほけん健全けんぜん化か推進すいしん機構きこう 結ゆい心しん会かい
• 保険ほけん乗合のりあい代理だいり店てん協会きょうかい
• 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんRINGの会かい
• 公的こうてき保険ほけんアドバイザー協会きょうかい
• 損害そんがい保険ほけん料率りょうりつ算出さんしゅつ機構きこう
• 「ややこしい保険ほけんの研究けんきゅう」(全ぜん6回かい、朝日新聞あさひしんぶん掲載けいさい記事きじ、2020年ねん)