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中和ちゅうわしずくじょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
しずくじょう準備じゅんび。この写真しゃしんにはうつっていないが、ビュレットクランプはさまれている。指示しじやくとしてフェノールフタレインもちいると溶液ようえきピンク色ぴんくいろになる。

中和ちゅうわしずくじょう(ちゅうわてきてい)は濃度のうど未知みちさん塩基えんき濃度のうど既知きちさん塩基えんき中和ちゅうわしてさん塩基えんき濃度のうどめる操作そうさしずくじょう)である。さん塩基えんきしずくじょう(さんえんきてきてい、acid-base titration)ともいう。

この操作そうさによって未知みちさん塩基えんき溶液ようえき定量ていりょう分析ぶんせきおこなうことができる。このしずくじょうにはさん塩基えんき中和ちゅうわ反応はんのうもちいる。pKaさん解離かいり指数しすう)やKa(さん解離かいり定数ていすう)をpHのグラフからもとめることもできる。また、化学かがく物質ぶっしつ純度じゅんどめるのにももちいられる。

アルカリしずくじょうさんしずくじょう[編集へんしゅう]

アルカリしずくじょう(Alkalimetry)とさんしずくじょう(acidimetry)は中和ちゅうわ反応はんのうもとづく容量ようりょう分析ぶんせき一種いっしゅである。 アルカリしずくじょう塩基えんき(アルカリ)の濃度のうど決定けっていするのにとくした分析ぶんせきほうである。一方いっぽうさんしずくじょうさん濃度のうど決定けっていするための分析ぶんせきほうである[1]

必要ひつよう装置そうち[編集へんしゅう]

しずくじょう必要ひつよう装置そうち以下いかのとおり。

方法ほうほう[編集へんしゅう]

しずくていまえ適切てきせつ指示しじやくえら必要ひつようがある。等量とうりょうてん英語えいごばんしずくじょうもちいるさん塩基えんき種類しゅるいによってわり、等量とうりょうてんにおけるpHはおおよそつぎのようになっている。

弱酸じゃくさんじゃく塩基えんき中和ちゅうわ反応はんのうする場合ばあい中和ちゅうわてんはそのさん塩基えんき解離かいり定数ていすう大小だいしょうによる。もし両者りょうしゃ平衡へいこう定数ていすうどう程度ていどなら、中和ちゅうわてん中性ちゅうせい(pH=7)付近ふきんになる。しかし、中和ちゅうわてん付近ふきんいろ変化へんか明瞭めいりょうではないため弱酸じゃくさんじゃく塩基えんきで(あるいはじゃく塩基えんき弱酸じゃくさんで)しずくじょうすることはまれである。

指示しじやくいろわるてん終点しゅうてんぶ。終点しゅうてんのpH付近ふきん変色へんしょくいきにもつ指示しじやく使つかうのがのぞましい。

まず、ビュレットを標準ひょうじゅん溶液ようえきで、ピペットを濃度のうど未知みち溶液ようえききょうあらし、コニカルビーカーを蒸留じょうりゅうすいだつイオンすいなどのじゅんみずあらう。

つぎに、一定いってい体積たいせき濃度のうど未知みち溶液ようえきをピペットでとり、コニカルビーカーにうつす。このときコニカルビーカーに少量しょうりょう指示しじやくくわえる。

その濃度のうど既知きち溶液ようえきをコニカルビーカーにとしていく。この段階だんかいまでに、未知みち溶液ようえき中和ちゅうわ必要ひつよう溶液ようえきりょう概算がいさんしておく。コニカルビーカーない溶液ようえきいろわったてん終点しゅうてんとし、そのてんでのビュレットのみを記録きろくしておく。これを1かいしずく定値ていちとする。

おなしずくじょうすくなくとも3かいおこない、平均へいきんをとって正確せいかくさを向上こうじょうさせる。ビュレットのみの始点してん終点しゅうてんみを記録きろくしておく。終点しゅうてんから始点してんいてしずくじょうようした溶液ようえき体積たいせきもとめる。終点しゅうてんはコニカルビーカーのえきいろわり、もともどらなくなったてんとする。

指示しじやくは、強酸きょうさんつよし塩基えんき中和ちゅうわしずくじょうではブロムチモールブルー弱酸じゃくさんつよし塩基えんき中和ちゅうわしずくじょうではフェノールフタレイン強酸きょうさんじゃく塩基えんき中和ちゅうわしずくじょうではメチルオレンジもちいる。ただし、塩基えんきのpHが13.5よりおおきく、さんのpHが5.5よりおおきい場合ばあいアリザリンイエロー指示しじやくとしてもちいられる。一方いっぽうさんのpHが0.5よりちいさく、塩基えんきのpHが8.5よりちいさい場合ばあいチモールブルーもちいられる。

弱酸じゃくさんしずくじょう[編集へんしゅう]

弱酸を強塩基で滴定した際のpHのプロット
弱酸じゃくさんつよ塩基えんきしずくじょうしたさいのpHのプロット

弱酸じゃくさん溶液ようえきつよ塩基えんきしずくじょうしたさいのpH変化へんか以下いかの4つに分類ぶんるいされる[2]

  1. 最初さいしょのpH
  2. 中和ちゅうわてんまでのpH
  3. 中和ちゅうわてんでのpH
  4. 中和ちゅうわてん以降いこうでのpH

したしき弱酸じゃくさん濃度のうどの1000ばい以上いじょうある場合ばあいにのみ成立せいりつする。もしそうでない場合ばあいは、近似きんじもちいずより正確せいかく計算けいさんおこなRICEチャート英語えいごばん必要ひつようとなる。以下いかはRICEチャートの簡略かんりゃくである。

1. 最初さいしょのpH弱酸じゃくさん溶液ようえき場合ばあいだいたい以下いかしきあらわされる。

さん解離かいり定数ていすうさん溶液ようえき濃度のうどである。

2. 中和ちゅうわてんまでのpH弱酸じゃくさん共役きょうやく塩基えんき英語えいごばん)の生成せいせいりょうによる。したしきしたがって計算けいさんおこなうことで任意にんいてんでのpHを計算けいさんできる(以下いかヘンダーソン・ハッセルバルヒのしき変形へんけいである)

ただし

  • 弱酸じゃくさんさん解離かいり定数ていすう対数たいすうをとってまけ記号きごうをつけたもの(さん解離かいり指数しすう
  • 溶液ようえきくわえられたつよし塩基えんきのモルすう
  • しずくていまえにあった弱酸じゃくさんのモルすう

である。

対数たいすうすうの、分子ぶんし分母ぶんぼひとしい場合ばあい)、しんすうは1に、対数たいすうは0になる。このときのpHはpKaひとしくなり、中和ちゅうわてんまでの半分はんぶん

塩基えんきしずくじょうえきもちいたときのpH変化へんかのアニメーション

3. 中和ちゅうわてんでは弱酸じゃくさん完全かんぜん中和ちゅうわされ、その共役きょうやく塩基えんき変化へんかしている。pHは7よりおおきく、以下いかしきよりもとめられる。

  1. 中和ちゅうわてんにおいて

うえの3つの関係かんけいもちいると、中和ちゅうわてんでのpHをもとめるしきつぎのようになる。

  • ただしさん濃度のうど塩基えんき濃度のうどである。
  • またみず電離でんり定数ていすうさん解離かいり定数ていすうである。

さん塩基えんきによって中和ちゅうわされたさいのpHはさん塩基えんきつよさに依存いぞんする。さん塩基えんきつよさがおな場合ばあい中和ちゅうわてんのpHは7になる。

4. 中和ちゅうわてん以降いこうでは溶液ようえきには2種類しゅるい塩基えんきふくまれている。さん中和ちゅうわによってしょうじた弱酸じゃくさん共役きょうやく塩基えんき過剰かじょう滴下てきかされたつよし塩基えんきである。しかし、しずくじょうえき中和ちゅうわによってしょうじた共役きょうやく塩基えんきよりつよ塩基えんきであるから、溶液ようえきのpHはつよ塩基えんきによってまる。したがって、溶液ようえきのpHはしたしきによってもとめられる。

以上いじょうのpH変化へんか正確せいかくひとつのしきあらわすことができる[3]

  • しずくじょう進度しんど中和ちゅうわてんより手前てまえではφふぁい < 1、中和ちゅうわてんではφふぁい = 1、中和ちゅうわてん以降いこうではφふぁい > 1である)
  • さん塩基えんき濃度のうど
  • さん溶液ようえき塩基えんき溶液ようえき体積たいせき
  • 電離でんりした弱酸じゃくさん割合わりあい
  • さん電離でんり定数ていすう
  • はH+およびOH濃度のうど

このしき少々しょうしょう複雑ふくざつではあるが、中和ちゅうわしずくじょうでのpH変化へんかひとつのしきあらわしている。

しずくてい溶液ようえきいろ[編集へんしゅう]

プロットほう[編集へんしゅう]

しずくていプロセスにおけるpHは純粋じゅんすいさん純粋じゅんすい塩基えんきにおけるである。プロトンを1個いっこしか放出ほうしゅつしないさん塩基えんき中和ちゅうわ反応はんのうについては比較的ひかくてきpHが計算けいさんしやすい。水酸化物すいさんかぶつイオンや水素すいそイオンを複数個ふくすうこ放出ほうしゅつできるさん塩基えんき場合ばあい計算けいさん複雑ふくざつになる。平衡へいこうグラフ(equiligraph)[4]などの理論りろん[5]複数ふくすう平衡へいこうわせを説明せつめいするためにもちいられてきた。これらは応用おうようしやすいが、利用りようされることはすくない。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ The Chemical Age – Chemical Dictionary – Chemical Terms. Hesperides. (2007-03-15). p. 14. ISBN 1-4067-5758-6. https://books.google.com/books?id=Ae138bkVCqoC&pg=PA14 
  2. ^ Quantitative Chemical Analysis, 7Ed. by Daniel C. Harris. Freeman and Company 2007.
  3. ^ Explicit expressions of the general form of the titration curve英語えいごばん in terms of concentration: Writing a single closed-form expression for the titration curve for a variety of titrations without using approximations or segmentation. Bibcode1993JChEd..70..209D. doi:10.1021/ed070p209. 
  4. ^ Freiser, H. (1963). Ionic Equilibria in Analytical Chemistry. Kreiger. ISBN 0-88275-955-8 
  5. ^ The Equligraph: Revisiting an old tool”. 2015ねん10がつ4にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]