潮境しおざかい

潮境しおざかい（しおざかい、boundary of water-masses、oceanic front）とは、異ことなる水みず塊かたまりの境界きょうかいのこと。これは一般いっぱんに、優勢ゆうせいな海流かいりゅう帯おびや、海流かいりゅうの収束しゅうそく帯たいに一致いっちする。海水温かいすいおん、塩分えんぶんなど海水かいすいの物理ぶつり的てき、化学かがく的てき性質せいしつがほぼ一様いちようなもののかたまりを水みず塊かたまりというが、その境目さかいめである潮境しおざかいを横断おうだんして観測かんそくすると、水温すいおん、塩分えんぶん、栄養えいよう塩しお、溶存ようぞん酸素さんそ量りょうなどが急変きゅうへんし、水色みずいろ、透明とうめい度ども著いちじるしく変かわるので肉眼にくがんでわかることが多おおい。潮境しおざかい海域かいいきにおける海うみ況きょうは時間じかん的てきにも場所ばしょ的てきにも変動へんどうが激はげしく、寒暖かんだん両りょう水みず塊かたまりがモザイク状じょうに入いり乱みだれたり、局部きょくぶ的てきな収束しゅうそく、沈降ちんこう域いきや発散はっさん、湧ゆう昇のぼり域いきが複雑ふくざつに配列はいれつされていたりする。

流ながれに乗のって寒暖かんだん両りょう系けいの魚さかな群ぐんが密集みっしゅうしやすく，また湧ゆう昇のぼり流りゅうが栄養分えいようぶんを運はこび上あげてプランクトンを繁殖はんしょくさせるため、有利ゆうりな漁場ぎょじょうとなることが多おおい。親潮おやしおと黒潮くろしおの接触せっしょくする三陸さんりく沖おきや、ラブラドル海流かいりゅうとメキシコ湾流わんりゅうの接せっするニューファウンドランド沖おきなどがその好例こうれいである。

潮目しおめ

潮目しおめ（しおめ、current-rip）とは、局所きょくしょ的てきな表面ひょうめんの流ながれの収束しゅうそく線せんをいう。多おおくは潮境しおざかいが海面かいめんに現あらわれたもの。強つよい収束しゅうそくによって、泡あわや、海藻かいそう、木片もくへんなどが集積しゅうせきしていたり、鏡かがみのような海面かいめんにさざ波なみが立たっていたりするので、肉眼にくがんでも識別しきべつできることが多おおい。顕著けんちょな潮目しおめは著いちじるしい不連続ふれんぞく性せいを示しめし、わずかな距離きょりで水温すいおんが数すう度ども変化へんかすることがある。

類義語るいぎごと語義ごぎの変遷へんせん

潮境しおざかいは現在げんざいでは異ことなる水みず塊かたまりの境界きょうかいという意味いみで広ひろく使つかわれている。しかし、時代じだいによってはその語義ごぎが現代げんだいと異ことなっていたり、その類義語るいぎごである「潮合しおあい（線せん）」や「潮目しおめ」が代かわりに使つかわれていたりするので、過去かこの文献ぶんけんを読よむ際さいは注意ちゅういが必要ひつようである。このことは「潮境しおざかいとその類義語るいぎごの語義ごぎ変遷へんせんの歴史れきし」に詳くわしく書かかれている。これによれば、「潮境しおざかい」の初はつ記載きさい者しゃは宇田うだ道隆みちたか（1931）で、そのときの意味いみは現在げんざいの潮目しおめに近ちかい意味いみであった。

関連かんれん項目こうもく

• 水みず塊かたまり
• 海流かいりゅう

外部がいぶリンク

• “潮境しおざかい”. 学習がくしゅう百科ひゃっか事典じてん（学研がっけんキッズネット）. 2021年ねん4月がつ20日はつか閲覧えつらん。