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かみよ、皇帝こうていフランツをまもたま

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Gott erhalte Franz den Kaiser
和訳わやくれいかみよ、皇帝こうていフランツをまもたま
関連画像
ハイドンによる皇帝こうてい讃歌さんか自筆じひつ

国歌こっか対象たいしょう
神聖ローマ帝国の旗 かみきよしマ帝国まていこく
オーストリア帝国の旗 オーストリア帝国ていこく
オーストリア=ハンガリー帝国の旗 オーストリア=ハンガリー帝国ていこく

別名べつめい Österreichische Kaiserhymne
(オーストリア皇帝こうてい讃歌さんか
Gott erhalte, Gott beschütze
かみたもちたまえ、かみまもりたまえ)
作詞さくし ローレンツ・レオポルト・ハシュカドイツばん
ヨーゼフ・クリスティアン・フォン・ゼドリッツドイツばん
ヨハン・ガブリエル・ザイドル
作曲さっきょく フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
採用さいよう時期じき 1804ねん
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かみよ、皇帝こうていフランツをまもたま』(かみよ、こうていフランツをまもりたまえ、ドイツ: Gott erhalte Franz den Kaiser)あるいは『オーストリア皇帝こうてい讃歌さんか』(オーストリアこうていさんか、ドイツ: Österreichische Kaiserhymne)は、かみきよしマ帝国まていこくオーストリア帝国ていこく(のちオーストリア=ハンガリー帝国ていこく)の国歌こっかフランツ・ヨーゼフ・ハイドン作曲さっきょくによる。ハイドンによるメロディーはそのすうおおくのさん美歌みかクラシック音楽おんがくなかもちいられ、またドイツの国歌こっかドイツのうた』として転用てんようされている。

作曲さっきょくいた過程かてい[編集へんしゅう]

作曲さっきょく経緯けいいには、2つのせつがある。いずれにせよ、イングランドの『かみ国王こくおうまもたま』の影響えいきょうつよけて成立せいりつしたことは確実かくじつである[1]

だい1のせつ[編集へんしゅう]

フランツ・ヨーゼフ・フォン・ゾーラウドイツばん伯爵はくしゃく
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
フランツ・ヨーゼフ・フォン・ゾーラウドイツばん伯爵はくしゃく作曲さっきょく全体ぜんたいのイニシアティブをとったとするせつ。ゾーラウ伯爵はくしゃくの1820ねん2がつ28にちづけ書状しょじょう内容ないようもとづく[1]

フランス革命かくめい戦争せんそう最中さいちゅうである1796ねんわり、かみきよしマ帝国まていこく(オーストリア)はナポレオンぐんおびやかされるなど政治せいじてき不安定ふあんてい情勢じょうせいにあった。そのため皇帝こうていのもとでの国民こくみん団結だんけつつよもとめられていたが、とき神聖しんせいローマ皇帝こうていフランツ2せい優柔不断ゆうじゅうふだんかつ悲観ひかんてき性格せいかくで、それほど国民こくみんあいされてはいなかった[2]

そこでニーダーエスターライヒしゅう政府せいふ長官ちょうかんフランツ・ヨーゼフ・フォン・ゾーラウドイツばん伯爵はくしゃくは、国民こくみん団結だんけつうなが契機けいきとなるものをつくらんと、詩人しじんローレンツ・レオポルト・ハシュカドイツばんに、イングランドの『かみ国王こくおうまもたま』を手本てほんとして、翌年よくねん皇帝こうてい誕生たんじょう(=1797ねん2がつ12にち)に演奏えんそうするうた歌詞かしくように依頼いらいした[2]。1796ねん10がつ11にち、ハシュカは完成かんせいした歌詞かしを、ゾーラウ伯爵はくしゃくおくった[2]

ゾーラウ伯爵はくしゃくから作曲さっきょく依頼いらいされたハイドンも、1791ねんから92ねん、また1794ねんから95ねんにかけてロンドンにおもむいたときに『かみ国王こくおうまもたまえ』をみみにしており、それをおおいに意識いしきして作曲さっきょくおこなった[3]。(ハイドンの英国えいこく訪問ほうもんについては「ロンドン交響曲こうきょうきょく」も参照さんしょう

だい2のせつ[編集へんしゅう]

ウィーンの宮廷きゅうてい図書館としょかんつとめていたアントン・フランツ・シュミットドイツばんという人物じんぶつしるした書物しょもつもとづく[1]

かみ国王こくおうまもたまえ』をいたハイドンが、ウィーンの音楽おんがく愛好あいこうであるゴットフリート・ヴァン・スウィーテン男爵だんしゃくに、オーストリアにも同様どうよう国歌こっかがあればとべた[1]。スウィーテンがゾーラウ伯爵はくしゃくにこれをつたえ、ゾーラウ伯爵はくしゃくがハシュカに作詞さくし依頼いらいした[1]

作曲さっきょく[編集へんしゅう]

1816ねんごろの楽譜がくふ左上ひだりうえに「Volkslied.」とある

オーケストラには、ハイドン自身じしんで「Volck's Lied」という注記ちゅうきがあり、その意味いみは「国民こくみんうた」とも「民謡みんよう」ともとれる[1]。これに関連かんれんし、作曲さっきょくにハイドンが参考さんこうにした可能かのうせいがある民謡みんようがある。クロアチア民謡みんようかなしき花嫁はなよめ(Zalostna zarucnice)」で、冒頭ぼうとう部分ぶぶん音符おんぷとリズムの輪郭りんかく完全かんぜん一致いっちする[1]H.C.ロビンス・ランドンは、ハイドンが1761ねん以降いこうつかえていたエステルハージ居城きょじょうがあったエステルハーザ付近ふきんでこの民謡みんよううたわれていたと指摘してきしている[4]

カトリックの『ローマ・ミサ典礼てんれいしょ英語えいごばん』にふくまれる《てんにましますわれらのちちよ》とも、冒頭ぼうとう旋律せんりつふくまれるおと一致いっちするなど、類似るいじ指摘してきされている[4]

初演しょえん[編集へんしゅう]

1797ねん1がつ28にちにゾーラウ伯爵はくしゃくがハイドンの浄書じょうしょ出版しゅっぱん許可きょかしているため、それまでには作曲さっきょく完了かんりょうしていたとかんがえられる[3]印刷いんさつ大急おおいそぎでおこなわれ、1がつ30にちには初版しょはん印刷いんさつ完了かんりょうしたらしい[3]。そして皇帝こうていフランツ2せいの29さい誕生たんじょうである1797ねん2がつ12にち、ウィーンのブルク劇場げきじょうにおいて、フランツ2せい臨席りんせきのもとでオーケストラ伴奏ばんそうによって初演しょえんされた[3]初演しょえんまもなく、ハイドンと交流こうりゅうがあったチャールズ・バーニーが、歌詞かし英訳えいやくしてイングランドで紹介しょうかいし、好評こうひょうはくした[5]

歌詞かし[編集へんしゅう]

初演しょえん以降いこう、このうた歌詞かしなんえられている。「皇帝こうてい賛美さんび」というコンセプトはおなじであるが、フランツ2せいときだけでも2えられており、皇帝こうてい代替だいがわりのさい歌詞かしえられることがあった。

初稿しょこうかみきよしマ帝国まていこくはん[編集へんしゅう]

帝国ていこく宝物ほうもつドイツばんつつんだ神聖しんせいローマ皇帝こうていフランツ2せい

かくふし最後さいごにある "Gott erhalte ...." (かみよ、皇帝こうていフランツをまもたまわれらが皇帝こうていフランツを!)はかえす。

(ドイツ歌詞かし

  1. Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
    Lange lebe Franz, der Kaiser,
    In des Glückes hellstem Glanz!
    Ihm erblühen Lorbeerreiser,
    Wo er geht, zum Ehrenkranz!
    Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  2. Laß von seiner Fahne Spitzen
    Strahlen Sieg und Fruchtbarkeit!
    Laß in seinem Rate Sitzen
    Weisheit, Klugheit, Redlichkeit;
    Und mit Seiner Hoheit Blitzen
    Schalten nur Gerechtigkeit!
    Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  3. Ströme deiner Gaben Fülle
    Über ihn, sein Haus und Reich!
    Brich der Bosheit Macht, enthülle
    Jeden Schelm- und Bubenstreich!
    Dein Gesetz sei stets sein Wille,
    Dieser uns Gesetzen gleich.
    Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  4. Froh erleb' er seiner Lande,
    Seiner Völker höchsten Flor!
    Seh' sie, Eins durch Bruderbande,
    Ragen allen andern vor!
    Und vernehm' noch an dem Rande
    Später Gruft der Endkel Chor.
    Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!

日本語にほんごやく

  1. かみよ、皇帝こうていフランツをまもりたまえ
    われらが皇帝こうていフランツを!
    皇帝こうてい長寿ちょうじゅあれ、
    幸運こううんかがやかしき栄光えいこうのうちに!
    皇帝こうていくところ
    月桂樹げっけいじゅいちえだ栄誉えいよ花輪はなわしげれり!
    かみ皇帝こうていフランツをまもたまえ、
    われらが皇帝こうていフランツを!
  2. 陛下へいかはた高々たかだかかかげ、
    勝利しょうりみのりをかがやかせん!
    陛下へいかつどいに
    英知えいち賢明けんめい誠実せいじつかん!
    そして、威厳いげんを煌かせて
    ただ正義せいぎおこなわん!
    かみよ、皇帝こうていフランツをまもたまえ、
    われらが皇帝こうていフランツを!
  3. なんじ豊潤ほうじゅん才幹さいかん
    陛下へいかとその宮殿きゅうでん帝国ていこくむべし!
    悪意あくいをなす不逞ふていな、
    ならずもの悪党あくとうどものいちげきをもやぶるべし!
    なんじほうつね陛下へいかだいしんなり。
    われらには皇帝こうていほうおなじなり!
    かみよ、皇帝こうていフランツをまもたま
    われらが皇帝こうていフランツを!
  4. 祖国そこく!しょ民族みんぞく!たか勲章くんしょう
    歓喜かんきあじわわせよ!
    奮戦ふんせん敢闘かんとうして
    前進ぜんしんすべし!
    霊廟れいびょうさいから
    最期さいご歌声うたごえこえん!
    かみよ、皇帝こうていフランツをまもたまえ、
    われらが皇帝こうていフランツを!

改訂かいていばんオーストリア帝国ていこくはん[編集へんしゅう]

オーストリア皇帝こうていフランツ1せい

かくふし最後さいごにある "Gott erhalte ...." はかえす。

(ドイツ歌詞かし

  1. Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz,
    Hoch als Herrscher, hoch als Weiser,
    Steht er in des Ruhmes Glanz;
    Liebe windet Lorbeerreiser
    Ihm zum ewig grünen Kranz.
    Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  2. Über blühende Gefilde
    Reicht sein Scepter weit und breit;
    Säulen seines Throns sind milde,
    Biedersinn und Redlichkeit,
    Und von seinem Wappenschilde
    Strahlet die Gerechtigkeit.
    Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  3. Sich mit Tugenden zu schmücken,
    Achtet er der Sorgen werth,
    Nicht um Völker zu erdrücken
    Flammt in seiner Hand das Schwert:
    Sie zu segnen, zu beglücken,
    Ist der Preis, den er begehrt,
    Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  4. Er zerbrach der Knechtschaft Bande,
    Hob zur Freiheit uns empor!
    Früh' erleb' er deutscher Lande,
    Deutscher Völker höchsten Flor,
    Und vernehme noch am Rande
    Später Gruft der Enkel Chor:
    Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!

日本語にほんごやく

  1. かみ皇帝こうていフランツをまもりたまえ
    われらが皇帝こうていフランツを!
    統治とうちしゃとしては気高けだかく、賢人けんじんとしては高尚こうしょうに、
    陛下へいか栄光えいこうかがやきのなかちたまう
    慈愛じあい月桂樹げっけいじゅえだみて
    皇帝こうてい常緑じょうりょく花輪はなわあたえん
    かみよ、皇帝こうていフランツをまもりたまえ
    われらが皇帝こうていフランツを!
  2. はなにて
    陛下へいか王権おうけんひろとおくにおよ
    皇帝こうてい玉座ぎょくざはしら
    寛大かんだい誠実せいじつ象徴しょうちょう
    さらに皇帝こうてい紋章もんしょう
    陛下へいか公正こうせいさをあらわ
    かみよ、皇帝こうていフランツをまもりたまえ
    われらが皇帝こうていフランツを!
  3. 陛下へいかはその着飾きかざ
    おもいをめぐらし
    みんさいわいのために
    けん掌中しょうちゅうきらめかせたまう
    みんめぐみをあたえ、さいわいにすること
    これぞ叡慮えいりょにして、陛下へいか希望きぼうなる!
    かみよ、皇帝こうていフランツをまもりたまえ
    われらが皇帝こうていフランツを!
  4. 陛下へいか隷属れいぞくくびき克服こくふく
    われらを自由じゆうへとみちびかれた!
    陛下へいかはドイツしょくにしょ国民こくみんひきいて
    ドイツしょ国民こくみん興隆こうりゅう
    われらは陛下へいか事績じせき
    子々孫々ししそんそんまでうたがん
    かみよ、皇帝こうていフランツをまもりたまえ
    われらが皇帝こうていフランツを!

1835 - 1848年版ねんばんフェルディナント1せい治世ちせい[編集へんしゅう]

オーストリア皇帝こうていフェルディナント1せい

ヨーゼフ・クリスティアン・フォン・ゼドリッツドイツばん作詞さくしによる。

(ドイツ歌詞かし

  1. Segen Öst'reichs hohem Sohne,
    Unserm Kaiser Ferdinand!
    Gott von Deinem Wolkenthrone
    Blick' erhörend auf dies Land!
    Laß Ihn, auf des Lebens Höhen
    Hingestellt von Deiner Hand,
    Glücklich und beglückend stehen,
    Schütze unsern Ferdinand!
    Glücklich und beglückend stehen,
    Schütze unsern Ferdinand!
  2. Alle Deine Gaben spende
    Gnädig Ihm und Seinem Haus';
    Alle deine Engel sende,
    Herr, auf Seinen Wegen aus!
    Gib, daß Recht und Licht und Wahrheit,
    Wie sie Ihm im Herzen glüh'n,
    Lang' in reiner, ew'ger Klarheit
    Noch zu unserm Heile blüh'n!
    Lang' in reiner, ew'ger Klarheit
    Noch zu unserm Heile blüh'n!
  3. Palmen laß Sein Haupt umkränzen,
    Scheuche Krieg und Zwietracht fort;
    Laß' Ihn hoch und herrlich glänzen,
    Als des Friedens Schirm und Hort!
    Laß' Ihn, wenn Gewitter grauen,
    Wie ein Sternbild hingestellt,
    Tröstend Licht hernieder thauen,
    In die sturmbewegte Welt!
    Tröstend Licht hernieder thauen,
    In die sturmbewegte Welt!
  4. Holde Ruh' und Eintracht walte,
    Wo er sanft das Scepter schwingt;
    Seines Volkes Liebe halte
    Freudig Seinen Thron umringt;
    Unaufhörlich festgeschlungen
    Bleibe ewig dieses Band!
    Rufet "Heil" mit tausend Zungen,
    "Heil dem milden Ferdinand!"
    Rufet "Heil" mit tausend Zungen,
    "Heil dem milden Ferdinand!
日本語にほんごやく

かみよ、皇帝こうていフランシスコをすくいたまえ、

われらの善良ぜんりょう皇帝こうていフランツよ、

支配しはいしゃとしてたかく、賢者けんじゃとしてたかく、

かれ栄光えいこうかがやきのなかっています。

あいふう月桂樹げっけいじゅえだ

かれ永遠えいえんみどり花輪はなわを。

かみよ、皇帝こうていフランシスコをすくいたまえ、

わたしたちの善良ぜんりょう皇帝こうていフランツ!

野原のはらについて

かれおうしゃくとおくまでとどきます。

かれ王位おういはしらおだやかで、

正直しょうじきさと誠実せいじつさ、

そしてかれのエスカッションから

正義せいぎかがやかせろ。

かみよ、皇帝こうていフランシスコをすくいたまえ、

わたしたちの善良ぜんりょう皇帝こうていフランツ!

美徳びとくかざるには、

かれ自分じぶん自身じしん心配しんぱいする価値かちがあるとかんがえていますか?

人々ひとびとつぶさないこと

かれなかけんがる。

あなたを祝福しゅくふくするために、あなたをしあわせにするために、

かれのぞ価格かかく

かみよ、皇帝こうていフランシスコをすくいたまえ、

わたしたちの善良ぜんりょう皇帝こうていフランツ!

かれ束縛そくばくきずなやぶり、

わたしたちを自由じゆうげてください!

かれはやくからドイツの土地とち経験けいけんし、

ドイツ民族みんぞく最高さいこうはな

そしてわたしはまだ傍観ぼうかんしゃとしていています

そのまご合唱がっしょうだん地下ちかしつ:

かみよ、皇帝こうていフランシスコをすくいたまえ、

わたしたちの善良ぜんりょう皇帝こうていフランツ!

1854 - 1918年版ねんばんフランツ・ヨーゼフ1せいカール1せい治世ちせい[編集へんしゅう]

オーストリア皇帝こうていフランツ・ヨーゼフ1せい
オーストリア皇帝こうていカール1せい

1848ねん革命かくめい影響えいきょうでフェルディナント1せい退位たいいすると、ふたたび「フランツ」のつ、フランツ・ヨーゼフ1せい治世ちせい到来とうらいした。そのため「かみよ、皇帝こうていフランツをまもたま」からはじまるフランツ1せい治世ちせい歌詞かしがまたもちいられるようになった。これがおよそ6年間ねんかんつづき、1854ねんヨハン・ガブリエル・ザイドル作詞さくしによるあらたな歌詞かしけられた。

(ドイツ歌詞かし

  1. Gott erhalte, Gott beschütze!
    Unsern Kaiser, unser Land!
    Mächtig durch des Glaubens Stütze,
    Führt er uns mit weiser Hand!
    Laßt uns seiner Väter Krone
    Schirmen wider jeden Feind!
    Innig bleibt mit Habsburgs Throne
    Österreichs Geschick vereint!
    Innig bleibt mit Habsburgs Throne
    Österreichs Geschick vereint!
  2. Fromm und bieder, wahr und offen
    Laßt für Recht und Pflicht uns stehn;
    Laßt, wenns gilt, mit frohem Hoffen
    Mutvoll in den Kampf uns gehn
    Eingedenk der Lorbeerreiser
    Die das Heer so oft sich wand
    Gut und Blut für unsern Kaiser,
    Gut und Blut fürs Vaterland!
    Gut und Blut für unsern Kaiser,
    Gut und Blut fürs Vaterland!
  3. Was der Bürger Fleiß geschaffen
    Schütze treu des Kaisers Kraft;
    Mit des Geistes heitren Waffen
    Siege Kunst und Wissenschaft!
    Segen sei dem Land beschieden
    Und sein Ruhm dem Segen gleich;
    Gottes Sonne strahl' in Frieden
    Auf ein glücklich Österreich!
    Gottes Sonne strahl' in Frieden
    Auf ein glücklich Österreich!
  4. Laßt uns fest zusammenhalten,
    In der Eintracht liegt die Macht;
    Mit vereinter Kräfte Walten
    Wird das Schwere leicht vollbracht,
    Laßt uns Eins durch Brüderbande
    Gleichem Ziel entgegengehn
    Heil dem Kaiser, Heil dem Lande,
    Österreich wird ewig stehn!
    Heil dem Kaiser, Heil dem Lande,
    Österreich wird ewig stehn!
  5. An des Kaisers Seite waltet,
    Ihm verwandt durch Stamm und Sinn,
    Reich an Reiz, der nie veraltet,
    Uns're holde Kaiserin.
    Was als Glück zu höchst gepriesen
    Ström' auf sie der Himmel aus:
    Heil Franz Josef, Heil Elisen,
    Segen Habsburgs ganzem Haus!
    Heil Franz Josef, Heil Elisen,
    Segen Habsburgs ganzem Haus!
  6. Heil auch Öst'reichs Kaisersohne,
    Froher Zukunft Unterpfand,
    Seiner Eltern Freud' und Wonne,
    Rudolf tönt's im ganzen Land,
    Unsern Kronprinz Gott behüte,
    Segne und beglücke ihn,
    Von der ersten Jugendblüthe
    Bis in fernste Zeiten hin.
    Von der ersten Jugendblüthe
    Bis in fernste Zeiten hin.

日本語にほんごやく

  1. かみたもちたまえ、かみまもりたまえ!
    われらの皇帝こうていわれらのくにを![6]
    皇帝こうていは、信仰しんこうたすけをつうじて力強ちからづよく、
    智慧ちえうでもっわれらをみちびきたまう!
    先祖せんぞ代々だいだいみかどかんむりわれらを
    あらゆるてきからまもりなむ!
    オーストリアの運命うんめい維持いじされん
    ハプスブルクのみかどけん親密しんみつむすびつきて!
    オーストリアの運命うんめい維持いじされん
    ハプスブルクのみかどけん親密しんみつむすびつきて!
  2. 敬虔けいけんにして誠実せいじつにして真実しんじつにして開明かいめいてき
    権利けんり義務ぎむ賛成さんせいせん
    よろこばしい希望きぼうがあらば
    われらのたたかいに敢然かんぜんおもむくべし
    月桂樹げっけいじゅしんめて
    われらの皇帝こうていたから
    われらのくにたからを!
    われらの皇帝こうていたから
    われらのくにたからを!
  3. 兄弟きょうだい熱烈ねつれつにつくりげしものよ
    われらの皇帝こうていまもたま
    勇敢ゆうかん精神せいしん武器ぶきもっ
    芸術げいじゅつ科学かがく勝利しょうりせん!
    あたえられし土地とち祝福しゅくふくされ
    皇帝こうてい名誉めいよおなじく祝福しゅくふくさる
    平和へいわうらなるかみ太陽たいようかがやきは
    さいわいなるオーストリアのうえにあり!
    平和へいわうらなるかみ太陽たいようかがやきは
    さいわいなるオーストリアのうえにあり!
  4. 強固きょうこ団結だんけつすべし
    統一とういつなかにこそちからあれ
    団結だんけつしたちからもっ統治とうちせん
    困難こんなんがたやすく成就じょうじゅすれども
    兄弟きょうだいひとつにまとめ
    共通きょうつう目標もくひょう目指めざさん!
    皇帝こうていまんさい大地だいちいやしつ
    オーストリアはながしえにあらん!
    皇帝こうていまんさい大地だいちいやしつ
    オーストリアはながしえにあらん
  5. 皇帝こうていのそばにあって統治とうちされ
    血筋ちすじ気質きしつつうじてむすびつき
    おとろえぬ魅力みりょくゆたかな
    われらが気高けだか皇后こうごう
    幸運こううんもっと崇高すうこうにするものが
    てんよりりょう陛下へいかそそ
    フランツ・ヨーゼフまんさいエリーザベトまんさい
    ハプスブルクのいえすべてに祝福しゅくふくあれ!
    フランツ・ヨーゼフまんさいエリーザベトまんさい
    ハプスブルクのいえすべてに祝福しゅくふくあれ!
  6. オーストリアの皇帝こうてい子息しそくまんさい
    一層いっそううれしき未来みらいあかし
    ちちみかど母后ぼこうよろこ
    「ルドルフ!」とこえくにちゅうひびわた
    かみよ、皇太子こうたいしまもたま
    祝福しゅくふくたまえ、よろこばしたま
    わかさの開花かいかはじまりより
    とお未来みらいのときまで
    わかさの開花かいかはじまりより
    とお未来みらいのときまで

1854ねん改訂かいていによって、皇帝こうてい個人こじんめいふくまれていない一般いっぱんてき内容ないようによる歌詞かしになった[6]。ただしフランツ・ヨーゼフ1せいエリーザベト皇后こうごうむかえたのち加筆かひつされた5ばんルドルフ皇太子こうたいし誕生たんじょう加筆かひつされた6ばんには、個人こじんめいふくまれている。

だいいち世界せかい大戦たいせんのさなかにカール1せい皇位こうい継承けいしょうすると、歌詞かし改訂かいていしようとするうごきがあったが、そのまえハプスブルク帝国ていこく敗戦はいせんとともに瓦解がかいした。すなわち、カール1せい治世ちせいでは最後さいごまでフランツ・ヨーゼフ1せいとき歌詞かしもちいられた。1989ねん4がつ1にちもよおされた最後さいご皇后こうごうツィタ・フォン・ブルボン=パルマ葬儀そうぎと、2011ねん7がつ16にちもよおされた最後さいご皇太子こうたいしオットー・フォン・ハプスブルク葬儀そうぎでも、この「1854年版ねんばん」のだい1ばん唱和しょうわされている。

共和きょうわせい移行いこう[編集へんしゅう]

最後さいごのオーストリア皇太子こうたいしオットー・フォン・ハプスブルク

最後さいご皇帝こうていカール1せいが1922ねん亡命ぼうめいさきマデイラとう崩御ほうぎょしたのち、その遺児いじであるもと皇太子こうたいしオットーを「オーストリア皇帝こうてい」とあおおう党派とうはによって、ハイドンの旋律せんりつあらたな歌詞かしけられた。

(ドイツ歌詞かし
In Verbannung, fern den Landen
Weilst Du, Hoffnung Österreichs.
Otto, treu in festen Banden
Steh´n zu Dir wir felsengleich.
Dir, mein Kaiser, sei beschieden
Alter Ruhm und neues Glück!
Bring den Völkern endlich Frieden,
Kehr zur Heimat bald zurück!
Bring den Völkern endlich Frieden,
Kehr zur Heimat bald zurück!

日本語にほんごやく
とおはなれた亡命ぼうめいしゃ
あなたはオーストリアの希望きぼうです。
オットー、堅実けんじつ関係かんけい忠実ちゅうじつ
わたしたちはいわのようにっています。
あなた、わたし皇帝こうていは、あたえられました。
ふる栄光えいこうあたらしい幸運こううんを!
最後さいごには、人々ひとびと平和へいわをもたらします。
すぐに故郷こきょうにご帰還きかんを!
最後さいごには、人々ひとびと平和へいわをもたらします。
すぐに故郷こきょうにご帰還きかんを!

オーストリア=ハンガリー帝国ていこく崩壊ほうかい成立せいりつしただいいち共和きょうわこくは、帝政ていせい時代じだい国歌こっかがず、共和きょうわこく初代しょだい首相しゅしょうカール・レンナー作詞さくしヴィルヘルム・キーンツル作曲さっきょくによる『かがやかしきこく、ドイツ・オーストリアドイツばん』を国歌こっかとした[6]

しかしこのきょくはあまり国民こくみんれられず、1930ねんにはハイドンの皇帝こうてい讃歌さんか旋律せんりつオットカール・ケルンシュトックドイツばん永遠えいえん祝福しゅくふくけよドイツばん』をせたものを国歌こっかとするという布告ふこくされた[6]だい世界せかい大戦たいせん、それまでの国歌こっか使用しよう連合れんごうこくによって禁止きんしされ[6]結果けっかてきヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲さっきょくとされる旋律せんりつもちいた『山岳さんがくくに大河たいがくに』が制定せいていされたが、ふたたびハイドンのきょくをオーストリア国歌こっか位置いちもど努力どりょくもなされた。

編曲へんきょくなど[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 木村きむら佐千子さちこドイツけん国歌こっかについて」『独協大どっきょうだいがくドイツがく研究けんきゅうだい53ごう獨協大どっきょうだいがく、2005ねん3がつ、1-37ぺーじISSN 03899799NAID 110008790421 
  • Hughes, Rosemary (1970) Haydn. ロンドン: Dent.
  • Robbins Landon, H. C. and David Wyn Jones (1988) Haydn: His Life and Music, Thames and Hudson.
  • Gerlach, Sonja (1996) Haydn: Variationen über die Hymne 'Gott erhalte'; authentische Fassung für Klavier". Munich: G. Henle.
  • Peter Diem: Die Symbole Österreichs. Kremayr & Scheriau, ウィーン 2002, ISBN 3-218-00594-9.
  • Herbert Hopfgartner: Die Kaiserhymne - eine Haydnarbeit!?! In: AGMOE: Musikerziehung, ウィーン 2009.
  • Jones, David Wyn (2009) Oxford Composer Companions: Haydn. オックスフォード: オックスフォおっくすふぉド大学どだいがく出版しゅっぱんきょく.
  • Mathew, Nicholas (2013) Political Beethoven. ケンブリッジ: ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがく出版しゅっぱんきょく. Extracts are posted on line at Google Books.

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]