秦はた淮河

秦はた淮河
内うち秦しん淮河と夫子ふうし廟びょう付近ふきんの街まち並なみ（秦はた淮風光景こうけい区く）
延長えんちょう	110 km
平均へいきん流量りゅうりょう	-- m³/s
流域りゅういき面積めんせき	2,630 km²
水源すいげん	句く容よう市し、溧水区く
水源すいげんの標高ひょうこう	-- m
河口かこう・合流ごうりゅう先さき	長江ながえ
流域りゅういき	中国ちゅうごく

秦はた淮河（しんわいが、Qinhuai River、簡体字かんたいじ: 秦はた淮河、拼音: Qínhuái hé）は、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの江蘇ちぁんすー省しょう南京なんきん市し内うちを貫つらぬく河川かせん。長江ながえ下流かりゅう（揚子江ようすこう）の右みぎ支流しりゅうで、南京なんきん市内しないでは長江ちょうこうを除のぞくと最大さいだいの川かわである。全長ぜんちょうは100キロメートル余あまり、流域りゅういき面積めんせきは2,600平方へいほうキロメートル余あまりで、句く容よう市し（鎮江市し）、溧水区く（南京なんきん市し）、江こう寧やすし区くなどを流ながれている。

流ながれ路ろ

秦はた淮河には南北なんぼく二ふたつの源流げんりゅうがある。北きたの源流げんりゅうは句く容よう河かわといい、句く容よう市し宝たから華山かざんの南みなみ麓ふもとに発はっし、南みなみの源流げんりゅうは溧水河かわといい、溧水区くの東ひがし廬いおり山やまに発はっする。南北なんぼくの二ふたつの源流げんりゅうが江こう寧やすし区く方かた山さん埭西北にしきた村むらで合流ごうりゅうし、方かた山さんを過すぎて北西ほくせいへ向むけて流ながれ、南京なんきん城内じょうのうちへ入はいっている。

南京なんきん城じょうの通つう済ずみ門外もんがいの九きゅう龍りゅう橋きょうで、秦はた淮河は内うち秦しん淮河と外そと秦しん淮河に分流ぶんりゅうしている。内うち秦しん淮河は本流ほんりゅうであり、九きゅう龍りゅう橋きょうの先さきは西にしへ向むかって東水ひがしみず関せきから城内きうちへ入はいり、淮清橋きょうを過すぎ、青あお渓けいと合流ごうりゅうして南西なんせいへ向むかい、利り渉わたる橋きょうを経へて小しょう運河うんがと合流ごうりゅうし、文徳ふみのり橋きょうの下したを通とおり、武たけ定じょう橋きょう、鎮淮橋きょうと過すぎて北西ほくせいへ折おれ、新橋しんばしと上うえ浮橋うきはしを過すぎて陡門橋きょうに至いたり運うん瀆水と合流ごうりゅうする。下した浮橋うきはしを過すぎ、西水にしみず関せきで城内きうちから出でた後のちは外そと秦しん淮河と再ふたたび合流ごうりゅうしている。

外そと秦しん淮河の方ほうは南京なんきん城内じょうのうちへ入はいらない。九きゅう龍りゅう橋きょうを過すぎると一旦いったん南みなみへ転てんじ西にしへ折おれ、長ちょう干ひ橋きょうを経へて落馬らくば澗と合流ごうりゅうし、西にしへ流ながれて賽さい虹にじ橋きょうに至いたりまた二ふたつに分わかれる。本流ほんりゅう（正せい支ささえ）は覓渡橋きょうを過すぎて内うち秦しん淮河と合流ごうりゅうし、北きたへ向むかい石頭いしあたま城じょうに沿そって流ながれ、三さん汊河で長江ちょうこうに流入りゅうにゅうしている。傍流ぼうりゅう（旁つくり支ささえ）は賽さい虹にじ橋きょうを過すぎ江東こうとう橋きょうを通とおり、北きた河口かこうから長江ちょうこうへ流入りゅうにゅうしている。

このほか、江こう寧やすし区く東山ひがしやま街道かいどうと長江ちょうこうの間あいだには、18キロほどの長ながさの秦はた淮新河かわがある。これは1970年代ねんだいになって建設けんせつされた広ひろい人工じんこうの河かわ道どうである。

歴史れきし

内うち秦しん淮河は全長ぜんちょう9.6里さとあり（中国ちゅうごくの里さとはだいたい500メートルほど）、このため「十里じゅうり秦しん淮」と呼よばれている。建たて康やすし（南京なんきん）に首都しゅとが置おかれた六朝りくちょう時代じだい、建たて康やすしの都城みやこのじょう内ないには繁華はんかな居きょ民みん区くや商業しょうぎょう区くが栄さかえ六朝りくちょう文化ぶんかが花開はなひらいていたが、隋ずいが陳ひねを滅ほろぼした後のちは見みる影かげもなく凋落ちょうらくした。南京なんきんが再ふたたび繁華はんかな大だい都会とかいとなるのは明あきら清きよし代だいになってからで、内うち秦しん淮河の両りょう岸きしには人家じんかが密集みっしゅうし、楼閣ろうかくが立たち並ならび非常ひじょうに繁栄はんえいした。明あきら清しん時代じだい、この地ちには科挙かきょの試験場しけんじょうである江南こうなん貢みつぐ院いんや、明太めんたい祖そ朱しゅ元もと璋あきらが設立せつりつした官営かんえいの芸妓げいぎ院いんである富とみ楽らく院いん（旧きゅう院いん）があり、江南こうなん貢みつぐ院いんと富とみ楽らく院いんは内うち秦しん淮河を挟はさんで向むかい同士どうしだった。明あかりの崇たかし禎ただし末すえ年ねんに散文さんぶん家かの張ちょう岱は『秦はた淮河房ぼう』に秦はた淮河の盛況せいきょうぶりを描写びょうしゃしている。

秦はた淮河河かわ房ぼう、便びん寓ぐう、便びん交際こうさい、便びん淫いん冶，房ぼう値ち甚貴、而寓之これ者しゃ無む虚きょ日び。畫が船せん蕭しょう鼓こ、去さ去來きょらい來らい、周しゅう折おり其間。河かわ房ぼう之の外そと、家いえ有ゆう露台ろだい、朱欄しゅらん綺あやぎぬ疏、竹たけ簾すだれ紗しゃ幔。夏月かづき浴よく罷やめ、露台ろだい雜ざつ坐すわ。兩りょう岸水きしみず樓ろう中ちゅう、茉莉まり風ふう起動きどう兒女じじょ香が甚。女おんな各かく團扇うちわ輕けい絝、緩なる鬢びん傾かたぶけ髻たぶさ、軟媚着ぎ人じん。年年ねんねん端午たんご、京きょう城しろ士し女おんな填はま溢、競きおい看み燈船とうせん。

清きよしの康かん熙年間ねんかん、余よ懐ふところが書かいた『板橋いたばし雑記ざっき・秦はた淮燈船せん』にも、秦はた淮河を行いく燈船とうせんの盛況せいきょうぶりが描えがかれている。

秦はた淮燈船せん之の盛もり、天下てんか所しょ無む。兩りょう岸きし河かわ房ぼう、雕欄畫が檻おり、綺あやぎぬ窗まど絲いと障さわ、十里じゅうり珠たま簾すだれ。

現在げんざいの「十里じゅうり秦しん淮」観光かんこうは夫子ふうし廟びょうが中心ちゅうしんで、廟びょう市街しがい景けいが一体いったいとなって「秦はた淮風光景こうけい区く」（中国ちゅうごくの5A級きゅう観光かんこう地ち（2010年ねん認定にんてい））を作つくっている。秦はた淮河は南京なんきん市内しないの他ほかの川かわ同様どうよう、水質すいしつ汚染おせんが激はげしい。市し政府せいふは近年きんねんになって対策たいさくに乗のり出だしている。

外部がいぶリンク

• 文化ぶんか長ちょう廊ろう——秦はた淮河