微分 びぶん 方程式 ほうていしき dy /dx = x 2 − x − 2 に対応 たいおう する slope field (英語 えいご 版 ばん ) に対 たい する3つの積分 せきぶん 曲線 きょくせん .
数学 すうがく において,積分 せきぶん 曲線 きょくせん (せきぶんきょくせん,英 えい : integral curve )は常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき あるいは方程式 ほうていしき 系 けい の特定 とくてい の解 かい を表 あらわ すパラメトリック曲線 きょくせん である.微分 びぶん 方程式 ほうていしき がベクトル場 じょう あるいは slope field (英語 えいご 版 ばん ) として表 あらわ されているとき,対応 たいおう する積分 せきぶん 曲線 きょくせん は各 かく 点 てん で場 ば に接 せっ する .
積分 せきぶん 曲線 きょくせん は,微分 びぶん 方程式 ほうていしき やベクトル場 じょう の性質 せいしつ や解釈 かいしゃく に応 おう じて,様々 さまざま な他 ほか の名前 なまえ で呼 よ ばれる.物理 ぶつり 学 がく では,電場 でんじょう や磁場 じば に対 たい する積分 せきぶん 曲線 きょくせん は field line (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれ,流体 りゅうたい の速度 そくど 場 じょう (英語 えいご 版 ばん ) に対 たい する積分 せきぶん 曲線 きょくせん は流 ながれ 線 せん と呼 よ ばれる.力学 りきがく 系 けい では,系 けい を記述 きじゅつ する微分 びぶん 方程式 ほうていしき の積分 せきぶん 曲線 きょくせん は軌道 きどう と呼 よ ばれる.
F をベクトル場 じょう とする,つまり,デカルト座標 ざひょう のベクトル値 ち 関数 かんすう (F 1 , F 2 , ..., F n ) とする.x (t ) をデカルト座標 ざひょう (x 1 (t ), x 2 (t ), ..., x n (t )) のパラメトリック曲線 きょくせん とする.このとき x (t ) が F の積分 せきぶん 曲線 きょくせん (integral curve) であるとは,それが次 つぎ の常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき の自 じ 励系 の解 かい であることをいう:
d
x
1
d
t
=
F
1
(
x
1
,
…
,
x
n
)
⋮
d
x
n
d
t
=
F
n
(
x
1
,
…
,
x
n
)
.
{\displaystyle {\begin{aligned}{\frac {dx_{1}}{dt}}&=F_{1}(x_{1},\ldots ,x_{n})\\&\vdots \\{\frac {dx_{n}}{dt}}&=F_{n}(x_{1},\ldots ,x_{n}).\end{aligned}}}
そのような系 けい は1つのベクトルの方程式 ほうていしき として書 か ける:
x
′
(
t
)
=
F
(
x
(
t
)
)
.
{\displaystyle \mathbf {x} '(t)=\mathbf {F} (\mathbf {x} (t)).\!\,}
この方程式 ほうていしき は曲線 きょくせん に沿 そ った任意 にんい の点 てん x (t ) において曲線 きょくせん に接 せっ するベクトルはちょうどベクトル F (x (t )) であり,したがって曲線 きょくせん x (t ) はベクトル場 じょう F に各 かく 点 てん で接 せっ するということを言 い っている.
与 あた えられたベクトル場 じょう がリプシッツ連続 れんぞく ならば,ピカール・リンデレフの定理 ていり により,小 ちい さい時間 じかん に対 たい して一意的 いちいてき なフローが存在 そんざい する.
可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい への一般 いっぱん 化 か [ 編集 へんしゅう ]
M を Cr 級 きゅう ,r ≥ 2 のバナッハ多様 たよう 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) とする.通常 つうじょう 通 どお り,TM で M の接 せっ 束 たば を表 あらわ す.自然 しぜん な射影 しゃえい を π ぱい M : TM → M は
π ぱい
M
:
(
x
,
v
)
↦
x
{\displaystyle \pi _{M}:(x,v)\mapsto x}
で与 あた えられる.M 上 うえ のベクトル場 じょう は接 せっ 束 たば TM の切断 せつだん ,すなわち,多様 たよう 体 たい M の各 かく 点 てん にその点 てん での M の接 せっ ベクトルを割 わ り当 あ てる写像 しゃぞう である.X を C r −1 級 きゅう の M 上 うえ のベクトル場 じょう とし,p ∈ M とする.時間 じかん t 0 で p を通 とお る X の積分 せきぶん 曲線 きょくせん とは,次 つぎ のような C r −1 級 きゅう 曲線 きょくせん α あるふぁ : J → M である:t 0 を含 ふく む実数 じっすう 直線 ちょくせん R の開 ひらき 区間 くかん J 上 うえ で定義 ていぎ されていて,
α あるふぁ
(
t
0
)
=
p
;
{\displaystyle \alpha (t_{0})=p;\,}
α あるふぁ
′
(
t
)
=
X
(
α あるふぁ
(
t
)
)
for all
t
∈
J
{\displaystyle \alpha '(t)=X(\alpha (t)){\text{ for all }}t\in J}
を満 み たす.
常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき との関係 かんけい [ 編集 へんしゅう ]
時間 じかん t 0 で p を通 とお るベクトル場 じょう X の積分 せきぶん 曲線 きょくせん α あるふぁ の上記 じょうき の定義 ていぎ は,α あるふぁ が次 つぎ の常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき の初期 しょき 値 ち 問題 もんだい の局所 きょくしょ 的 てき な解 かい であるということと同 おな じである:
α あるふぁ
(
t
0
)
=
p
;
{\displaystyle \alpha (t_{0})=p;\,}
α あるふぁ
′
(
t
)
=
X
(
α あるふぁ
(
t
)
)
.
{\displaystyle \alpha '(t)=X(\alpha (t)).\,}
それは J 内 うち の時間 じかん に対 たい してのみ定義 ていぎ されていて,すべての t ≥ t 0 (もちろん t ≤ t 0 も)に対 たい して定義 ていぎ されている必要 ひつよう はないという意味 いみ で局所 きょくしょ 的 てき である.したがって,積分 せきぶん 曲線 きょくせん の存在 そんざい と一意 いちい 性 せい を証明 しょうめい する問題 もんだい は常微分 じょうびぶん 方程式 ほうていしき ・初期 しょき 値 ち 問題 もんだい の解 かい を見 み つけそれが一意 いちい であることを示 しめ す問題 もんだい と同 おな じである.
時間 じかん 微分 びぶん についての注意 ちゅうい [ 編集 へんしゅう ]
上 うえ で α あるふぁ ′(t ) は時刻 じこく t での α あるふぁ の微分 びぶん ,時刻 じこく t で「α あるふぁ が指 さ している方向 ほうこう 」を表 あらわ す.より抽象 ちゅうしょう 的 てき な視点 してん からは,これはフレシェ微分 びぶん である:
(
d
t
f
)
(
+
1
)
∈
T
α あるふぁ
(
t
)
M
.
{\displaystyle (\mathrm {d} _{t}f)(+1)\in \mathrm {T} _{\alpha (t)}M.}
M が R n の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう という特別 とくべつ な場合 ばあい には,これはよく知 し っている微分 びぶん
(
d
α あるふぁ
1
d
t
,
…
,
d
α あるふぁ
n
d
t
)
{\displaystyle \left({\frac {\mathrm {d} \alpha _{1}}{\mathrm {d} t}},\dots ,{\frac {\mathrm {d} \alpha _{n}}{\mathrm {d} t}}\right)}
である,ただし α あるふぁ 1 , ..., α あるふぁ n は通常 つうじょう の座標 ざひょう 方向 ほうこう についての α あるふぁ の座標 ざひょう である.
同 おな じことは誘導 ゆうどう 写像 しゃぞう (英語 えいご 版 ばん ) のことばでさらに抽象 ちゅうしょう 的 てき に述 の べることができる.J の接 せっ 束 たば TJ は自明 じめい 束 たば J × R であり,すべての t ∈ J に対 たい して ι いおた (t ) = 1 (より正確 せいかく には ι いおた ((t , 1)) = 1 )なるこの束 たば の自然 しぜん な切断 せつだん ι いおた が存在 そんざい する.曲線 きょくせん α あるふぁ は次 つぎ の図式 ずしき が可 か 換 かわ になるような束 たば 写像 しゃぞう α あるふぁ ∗ : TJ → TM を誘導 ゆうどう する:
このとき時間 じかん 微分 びぶん α あるふぁ ′ は合成 ごうせい α あるふぁ ′ = α あるふぁ ∗ ∘ ι いおた であり,α あるふぁ ′(t ) は点 てん t ∈ J におけるその値 ね である.
Lang, Serge (1972). Differential manifolds . Reading, Mass.–London–Don Mills, Ont.: Addison-Wesley Publishing Co., Inc.