空地くうち

住宅じゅうたく地ちの空あき地ち。

空地くうちまたは空あき地ち（あきち）は、農地のうちや宅地たくちなどの利用りよう目的もくてきがなく放置ほうちされた状態じょうたいにある土地とちである。特とくに一般人いっぱんじんが自由じゆうに使つかえるような状態じょうたいになっている土地とちを指さす。漢字かんじ表記ひょうきでは「明地あけち、明あき地ち」と表記ひょうきする場合ばあいもある。また、法律ほうりつ用語ようごとしては「くうち」と読よみ、建築けんちく物ぶつの存在そんざいしない広場ひろば・公園こうえん・緑地りょくち・造成ぞうせい地ち・道路どうろ・駐車ちゅうしゃ場じょうなどを指さす。

有効ゆうこう空地くうちと公開こうかい空地くうち

都市とし計画けいかくにおいては都市としの環境かんきょう改善かいぜんや防災ぼうさいに対たいして有効ゆうこうに資しする道路どうろ・公園こうえん・駐車ちゅうしゃ場じょうなどを有効ゆうこう空地くうち（ゆうこうくうち）と呼称こしょうする。

建築けんちく基準きじゅん法ほうの総合そうごう設計せっけい制度せいどのもとにおいて、土地とち開発かいはつが行おこなわれる民有みんゆう地ちの内部ないぶにおいて塀へいや壁かべなどの遮さえぎるものを設置せっちせずに一般人いっぱんじんの自由じゆうな通行つうこう・利用りようが可能かのうなオープンスペースが設置せっちされた区域くいきを公開こうかい空地くうち（こうかいくうち）と呼よぶ。建築けんちく物ぶつを建設けんせつする際さいに、一定いっていの条件じょうけんを満みたす公開こうかい空地くうちを設もうける場合ばあいには、その見返みかえりに容積ようせき率りつや高たかさ制限せいげんの緩和かんわを受うけることが可能かのうとなっている（建築けんちく基準きじゅん法ほう第だい59条じょうの2）。

環境かんきょう空地くうち

大だい規模きぼ建物たてものの建設けんせつに伴ともない、許認可きょにんか監督かんとくを行おこなう側がわである自治体じちたいでは、建築けんちく基準きじゅん法ほう第だい59条じょうの2（総合そうごう設計せっけい）の許可きょか基準きじゅんを踏ふまえて「環境かんきょう空地くうち」と呼よばれる空地くうちを建築けんちく物ぶつの建築けんちくに係かかる住環境じゅうかんきょうへの配慮はいりょ等とうに関かんする指導しどう要綱ようこうや条例じょうれい等とうによって創出そうしゅつさせる附置ふち義務ぎむ規定きていを定さだめている。東京とうきょう都との足立あだち区くでは、環境かんきょう整備せいび基準きじゅんの協議きょうぎ事項じこう第だい39条じょうで、環境かんきょう空地くうちの整備せいびを「環境かんきょう空地くうち」とは、周辺しゅうへん環境かんきょうの向上こうじょうや憩いこいの場ばとなるよう、樹木じゅもく等とうを整備せいびする開放かいほう的てきな空間くうかん、と規定きていしている。対応たいおう手法しゅほうや規模きぼ等とうや、創出そうしゅつ手法しゅほうもさまざまで、川崎かわさき市しの優良ゆうりょう建築けんちく物ぶつ等とう整備せいび事業じぎょうの例れいでは、供給きょうきゅうする住宅じゅうたくは規定きていの面積めんせき要件ようけんを満みたすこと、建築けんちく物ぶつは景観けいかんに配慮はいりょした意匠いしょうとすること、などの事項じこうのほか、一定いってい割合わりあい以上いじょうの周辺しゅうへん市街地しがいちに寄与きよする空地くうち（つまり環境かんきょう空地くうち）を整備せいびすること、と規定きていしている。

東京とうきょう都との世田谷せたがや区くでは、区くの建築けんちく物ぶつの建築けんちくに係かかる住環境じゅうかんきょうの整備せいびに関かんする条例じょうれい第だい18条じょうで環境かんきょう空地くうちの設置せっちをうたっており、敷地しきち面積めんせきが一定いってい規模きぼ以上いじょうの敷地しきちに建たてる場合ばあいは設もうけなければならない規則きそくとなっている。規模きぼの基準きじゅん例れいはおなじく東京とうきょう都との目黒めぐろ区くの、大だい規模きぼ建築けんちく物ぶつ等とうの建築けんちくに係かかる住環境じゅうかんきょうの整備せいびに関かんする条例じょうれい第だい13条じょうで環境かんきょう空地くうちの確保かくほをうたっており、これによると指定してい建築けんちく物ぶつの建築けんちくをしようとする建築けんちく主ぬしは、規則きそくで定さだめる基準きじゅんに従したがい、その敷地しきち内ないに敷地しきち面積めんせきの100分ぶんの10以上いじょうの土地とちを環境かんきょう空地くうち（敷地しきちの道路どうろ境界きょうかい線せん又または隣地りんち境界きょうかい線せんに沿そって設もうける空地くうち（商業しょうぎょう系けい地域ちいきにおいては、外部がいぶ空間くうかんと一体いったい的てきに連続れんぞくしている形態けいたいであって、一般いっぱんの利用りように供きょうされている限かぎりにおいて、建築けんちく物ぶつの内部ないぶに設もうけるものを含ふくむ。）をいう。）として確保かくほしなければならない、ただし、敷地しきち面積めんせきが2,000平方へいほうメートル以上いじょうの指定してい建築けんちく物ぶつの建築けんちくであって、前条ぜんじょう、次つぎ条じょう及および第だい15条じょうの規定きていによる措置そちをすべて講こうじた場合ばあいは、この限かぎりでない、と定さだめている。神奈川かながわ県けんの茅ヶ崎ちがさき市しの例れいでは浜見平はまみだいら地区ちく都市としデザインガイドラインにおいて、環境かんきょう空地くうち率りつの導入どうにゅうを図はかっている。

歩道ほどう状じょう空地くうち

設置せっちさせる空地くうちの一種いっしゅに広場ひろば状じょう空地くうちのほかに歩道ほどう状じょう空地くうちの附置ふち義務ぎむがある。特とくに４ｍを超こえない道路どうろに対たいして道路どうろに沿そって私有地しゆうちの中なかに設置せっちされるものである。自治体じちたいは歩道ほどう状じょう空地くうちを「主要しゅような公共こうきょう施設しせつである公共こうきょう空地くうち」として規定きていするため、歩道ほどう状じょう空地くうちを設置せっちすることは建けんぺい率りつに有利ゆうりに働はたらく。これは開発かいはつがなされる敷地しきちに接せっする歩道ほどうに歩道ほどう状じょうに空地くうちを設もうけることで、歩道ほどうと一体いったいとなった歩行ほこう者しゃ空間くうかんの形成けいせいを図はかり、主要しゅような公共こうきょう施設しせつの配置はいちと近隣きんりんの歩行ほこう者しゃネットワークとの関係かんけいに配慮はいりょするというものである。歩道ほどうのように整備せいびするが開発かいはつ建物たてもの敷地しきちに設置せっちされる空地くうちのため、正式せいしきには歩道ほどうではなく、敷地しきちを開放かいほうしている歩道ほどう状じょう公開こうかい空地くうちであり、ゆとりある歩行ほこう者しゃ空間くうかんを確保かくほするために、歩道ほどうと一体いったいとなった歩道ほどう状じょう空地くうちを整備せいびする。ゆえに私有地しゆうちといえども管理かんり者しゃは勝手かってに設置せっち物ぶつ等とうをおいてはならないとされる。

これも自治体じちたい等とうで規模きぼや規定きてい手法しゅほうなどはさまざまで、上記じょうきの目黒めぐろ区くのケースの例れいでは第だい14条じょうに歩道ほどう状じょう空地くうちの整備せいびがうたっており、大だい規模きぼ建築けんちく物ぶつ（敷地しきち面積めんせきが2,000平方へいほうメートル以上いじょうのものに限かぎる。）及および開発かいはつ許可きょか対象たいしょう区域くいき内ない建築けんちく物ぶつの建築けんちくをしようとする建築けんちく主ぬしは、その敷地しきちに接せっする道路どうろに沿そって、一般いっぱん公衆こうしゅうの利用りように供きょうする歩道ほどう状じょうの空地くうちを規則きそくで定さだめる基準きじゅんに従したがい整備せいびするよう努つとめなければならない、としている。

戦前せんぜんにおける空地くうち

戦前せんぜんにおいては、市街地しがいち建築けんちく物ぶつ法ほう（大正たいしょう8年ねん4月がつ5日にち法律ほうりつ第だい37号ごう）において空地くうち地区ちく、防空ぼうくう法ほう (昭和しょうわ12年ねん4月がつ5日にち法律ほうりつ第だい47号ごう)において空地くうちが規定きていされていた。市街地しがいち建築けんちく物ぶつ法ほうの空地くうち地区ちくは敷地しきち内ないの空地くうちの最低さいてい限度げんどを定さだめるものであり、1931年ねん施行しこう令れい改正かいせいにより同どう法ほう施行しこう令れい第だい14条じょうの２を追加ついかし「行政ぎょうせい官庁かんちょうは土地とちの状況じょうきょうに依より特とくに必要ひつようと認みとめむるときは区域くいきを指定していし其その区域くいき内ないに於おける建築けんちく物ぶつの敷地しきち内ないに存そんせしむべき空地くうちの最小さいしょう限度げんどを定ていむることを得とく」が追加ついかされ、また、1938年ねん法ほう改正かいせいにより同どう法ほう第だい11条じょう第だい2項こうに「主務しゅむ大臣だいじんは必要ひつようと認みとめむるときは高度こうど地区ちくを指定していし其その地区ちく内ないに於おける建築けんちく物ぶつに付づけ高だかの最低さいてい限度げんど若わかは最高さいこう限度げんどを定さだめ又または空地くうち地区ちくを指定していし其その地区ちく内ないに於おける建築けんちく物ぶつに付づけ床ゆか面積めんせきの敷地しきち面積めんせきに対たいする割合わりあい及敷地ちの境界きょうかい線せんよりの距離きょりの限度げんどを定ていむることを得とく」とした。主務しゅむ大臣だいじんが都市とし計画けいかく施設しせつとして指定していするものであり、空地くうち地区ちく制度せいどの目的もくてきは防空ぼうくうと住宅じゅうたく地ちの環境かんきょう保全ほぜんであったことが指摘してきされている。空地くうち地区ちくは第だい１種しゅ～第だい６種しゅまで段階だんかい的てきに設定せっていされるものであるが、最もっとも厳きびしいい制限せいげんの係かかる第だい1種しゅ空地くうち地区ちくでは敷地しきち面積めんせきに対たいする床ゆか面積めんせきの割合わりあいが20％以下いかに制限せいげんされる。空地くうち地区ちくは戦後せんごも建築けんちく基準きじゅん法ほう（昭和しょうわ25年ねん5月がつ24日にち法律ほうりつ第だい201号ごう）に引ひき継つがれたが、容積ようせき率りつ制限せいげんの導入どうにゅうに伴ともない廃止はいしされている。防空ぼうくう法ほうに基もとづく空地くうちはより厳きびしい建築けんちく制限せいげんが係かかるものであったが、昭和しょうわ21年ねんに同どう法ほうが廃止はいしされ、空地くうちは一部いちぶで都市とし計画けいかく法ほうにおける緑地りょくち地域ちいきとして継承けいしょうされたが、今日きょうでは廃止はいしされている（詳細しょうさいは空そら緑地りょくち、または、東京とうきょう緑地りょくち計画けいかくを参照さんしょう）。

関連かんれん項目こうもく

• 遊あそび場ば
• 緑地りょくち
• 更地さらち