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へい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本にっぽんさんへいひとつ、西宮にしのみや神社じんじゃだい練塀ねりべい
ポーランドルブシュけんのこ石積いしつみのふるへい

へい(へい、えい: wallあるいはfence)とは、いえ敷地しきちなどにおいて、との境界きょうかい設置せっちするがこいで、区画くかく目隠めかくし、防火ぼうか侵入しんにゅう防止ぼうし目的もくてきもうけられる工作こうさくぶつ障壁しょうへきしがらみとはべつものである。[よう説明せつめい]

へいかきるい構造こうぞうによってけると、かきがきなど外部がいぶ見通みとおしが可能かのうなものをいい、へい見通みとおしがかない連続れんぞくせいのあるかべ[1]へいかきるい材料ざいりょう工法こうほうによってけると、1.土塀どべい、2.いしへい、3.いたへい竹垣たけがき生垣いけがき屋敷やしきりん、4.れんがへい分類ぶんるいされる[2]

材料ざいりょうによる分類ぶんるい

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へいもちいられる材料ざいりょうにより、いたへい土塀どべいいしへい、れんがへい煉瓦れんが)、コンクリートブロック(CB)へい鉄筋てっきんコンクリート(RC)へいなどに分類ぶんるいされる[3]

土塀どべい(どべい)

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土塀どべい形態けいたい名称めいしょう様々さまざま代表だいひょうてき土塀どべいへい築地つきじへいがある[2]

いしへい(いしべい)

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いしへい石材せきざいもちいたへいである。石積いしつ構造こうぞうぶつには伝統でんとうてきには地場じば石材せきざいもちいられ、石材せきざい性質せいしつ由来ゆらいする地域ちいき固有こゆう技術ぎじゅつがある[2]。このような石材せきざいれいとして大谷石おおやいしがある[2]

いたへい(いたべい)

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いたへい木材もくざいもちいたへいである。本来ほんらい土塀どべいいしへい土木どぼく技術ぎじゅつ技術ぎじゅつ基盤きばんとするのにたいし、いたへい造園ぞうえん技術ぎじゅつ技術ぎじゅつ基盤きばんとする[2]。そのため伝統でんとうてき工法こうほうによるへいかきるい技術ぎじゅつめん分類ぶんるいする場合ばあいいたへい竹垣たけがき生垣いけがき屋敷やしきりんとともに造園ぞうえん技術ぎじゅつ技術ぎじゅつ基盤きばんとするへいかきるいとしてひとつにまとめられることがある[2]

煉瓦れんがへい(れんが‐べい)

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煉瓦れんがへい西洋せいよう起源きげんへいである[2]

なお、粘土ねんど赤土あかつちあいだ土塊つちくれかわら煉瓦れんがなどをめてげたへいへいという[2]へい土塀どべい分類ぶんるいされることもあるが、しゅ材料ざいりょうかならずしもではないためいしへいやれんがへい分類ぶんるいされることもある[2]窯業ようぎょうとしてられる佐賀さがけん有田ありたまちでは「トンバイへい」としょうするへいがある。これは、トンバイ(のぼかまきずいたり、こわしたりするときにでてくる内壁ないへきよう耐火たいか煉瓦れんが)や不要ふようとなったすえせきなどを赤土あかつちぜてかためてへいざいとして使用しようしたものである。

コンクリートブロック(CB)へい

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コンクリートブロックへい建築けんちくようコンクリートブロック積上つみあげながら鉄筋てっきん・モルタルにより一体化いったいかさせ建築けんちくするくみせきづくり一種いっしゅであり、明治めいじ以降いこうのレンガによるくみせきづくり技術ぎじゅつどう時期じき日本にっぽん導入どうにゅうされたものである。

鉄筋てっきんコンクリート(RC)へい

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鉄筋てっきんコンクリートへい現場げんばかたわく鉄筋てっきんなまコンしつらえにより建築けんちくする現場げんばちのへいと、工場こうじょうはがねせいがたわくにて製造せいぞう現場げんば敷設ふせつするプレキャストコンクリート(PCa)へいふたつにけられる。

欧州おうしゅうにおけるへい

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イギリスでは畑地はたち牧草ぼくそう放牧ほうぼく境界きょうかいしめすために自然しぜんせきでモルタルをもちいないひく構造こうぞうぶつ(dry-stone wallあるいはたんにstone wallという)が設置せっちされた[4]。18世紀せいき農地のうち改革かいかくさいに4ねん周期しゅうき輪作りんさくてきするように土地とち分割ぶんかつしてかこ必要ひつようしょうじたことにはしはっする[4]。dry-stone wall(stone wall)はヒツジなどが荒天こうてん風雨ふううけたり、がけあめみぞ(gully)に転落てんらくするのをふせ役割やくわりもあった[4]

日本にっぽんにおけるへい

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へいには形状けいじょうにより、築地つきじへい(ついじべい)、源氏げんじへい(げんじべい)、からへい(からべい)、とおるへい(すきべい)、しがらみばんへい(さくいたべい)、ささらへい(ささらこべい)、たてばんへい(たていたべい)、大和塀やまとべい(やまとべい)などの種類しゅるいがある[3][1]

古来こらいより、唐破風からはふ屋根やねをもつからへい寺院じいんびょうなどに、上部じょうぶ連子つれこをもつとおるへい神社じんじゃなどに採用さいようされた[1]

法令ほうれいによる規定きてい

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建築けんちく基準きじゅんほう施行しこうれい)におけるブロックへい規定きてい[5]
補強ほきょうコンクリートブロックづくり くみせきづくりいし煉瓦れんがとう
たか 2.2m以下いか 1.2m以下いか
あつ たかさ2mちょう場合ばあいは15cm以上いじょう

たかさ2m以下いか場合ばあいは10cm以上いじょう

たかさの1/10以上いじょう
基礎きそ たかさ1.2mちょう場合ばあいは、基礎きそたかさ35cm以上いじょうふかさ30cm以上いじょう ふかさ20cm以上いじょう
鉄筋てっきん 基礎きそ部分ぶぶん充分じゅうぶん定着ていちゃくさせる。

かべりょうはしすみかくれる。

・80cm以内いないたてすじ横筋よこすじれる。

鉄筋てっきん先端せんたんかぎじょうげる。

鉄筋てっきん周囲しゅういをモルタルでめる。

ひかえかべ間隔かんかく たかさ1.2mちょう場合ばあいは、へいながさ3.4m以下いかごとひかかべ設置せっち

ひかかべながさはかべたかさの1/5以上いじょう

ながさ4m以下いかごとひかかべ設置せっち

ひかかべながさはかべたかさの1.5ばい以上いじょう

ブロックへい危険きけんせい

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日本にっぽんにおいては、1960年代ねんだい以降いこう高度こうど経済けいざい成長せいちょう敷地しきち内部ないぶ見通みとおすことのできないコンクリートせいたかブロックへいおお設置せっちされたが、地震じしんによるブロックへい倒壊とうかい問題もんだいされるようになったことや、内部ないぶ見通みとおせないことはそとから敷地しきちない犯罪はんざい気付きづかないケースなど防犯ぼうはんじょう問題もんだいがあるとされ、近年きんねんではブロックを2、3だん程度ていどかさねたうえアルミせいフェンス設置せっちするケースがおお見受みうけられる。過疎かそでは震度しんど6きょう、7のだい地震じしんでもエクステリア倒壊とうかいによる死亡しぼう被害ひがい発生はっせいしなかったが、震度しんど5きょうでも大都市だいとしやその周辺しゅうへん発生はっせいした場合ばあいは、死亡しぼう被害ひがい発生はっせいしていた。これは都市とし住宅じゅうたく密集みっしゅうには、狭隘きょうあい道路どうろ敷地しきち家屋かおく近接きんせつした隣地りんち境界きょうかいせんなどの理由りゆうで、ふる危険きけんなブロックへいがそのまま数多かずおおのこされていることが原因げんいんである。また、阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさいときにはふるいブロックへい倒壊とうかいし、ガラス破片はへんじょうとなって凶器きょうきとなり道路どうろをふさぐ要因よういんとなった[6]日本にっぽん建築けんちく防災ぼうさい協会きょうかいは、ブロックへい点検てんけん安全あんぜんチェックポイントとして以下いかげている[7][8]

1、へいたかさが地盤じばんから2.2m以下いかであること。
2、へいあつみが10cm以上いじょうであること(たかさが2.2mえの場合ばあいは15cm以上いじょう)。
3、へいたかさが1.2mえの場合ばあいへいながさが3.4m以下いかごとにひかかべがあること。
4、コンクリートの基礎きそがあること。
5、へいかたむき、ひびれがないこと。
6、へい鉄筋てっきんはいっていること(直径ちょっけい9mm以上いじょう縦横じゅうおうどもに80cm間隔かんかく以下いかはいすじされており、たてすじ絶頂ぜっちょうおよ基礎きそ横筋よこすじに、横筋よこすじたてすじにそれぞれかぎけされているか、基礎きそふかさが30cm以上いじょうあること)。

[7] ※6にかんしては、素人しろうとでは判断はんだんできないため専門せんもん相談そうだんする必要ひつようがある[7]

へいのねっこ工法こうほう

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金沢工業大学かなざわこうぎょうだいがく民間みんかん企業きぎょうとの共同きょうどう開発かいはつおこなった「へいのねっこ」。耐震たいしん振動しんどう試験しけん国内こくないでは唯一ゆいいつ実施じっししているプレキャストコンクリートへい製品せいひん

ブロックへいわる工法こうほうとして、工場こうじょうせいのコンクリート製品せいひんもちいたプレキャストコンクリートへい工法こうほうがある。ブロックへい問題もんだいてんはその構造こうぞうたい脆弱ぜいじゃくさ(モルタル充填じゅうてんうすさによる中性ちゅうせい基礎きそとCBのあいだとうからの水分すいぶん侵入しんにゅうなどによる鉄筋てっきん腐食ふしょく)・施工しこう監理かんりあまさ(基礎きそ構造こうぞう適切てきせつでないことがおおいが確認かくにん申請しんせいがほぼおこなわれていない)に由来ゆらいする。したがって基礎きそからへいかべたいまで一体化いったいかされている工場こうじょう製品せいひん場合ばあいはこの問題もんだいてんがなく、現場げんば鉄筋てっきんコンクリートへい比較ひかくして施工しこうによる不良ふりょう発生はっせいがたい。しかしながら現状げんじょう普及ふきゅうしている製品せいひんすくなく、金沢工業大学かなざわこうぎょうだいがく民間みんかん企業きぎょうとで共同きょうどう開発かいはつおこな特許とっきょ取得しゅとくをしている「へいのねっこ[9]」がられている。「へいのねっこ」はプレキャストコンクリートへいとして国内こくない唯一ゆいいつ耐震たいしん振動しんどう試験しけん実施じっししている製品せいひんである。[9]


FIT工法こうほう

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岐阜大学ぎふだいがく農学部のうがくぶ民間みんかん企業きぎょうとの共同きょうどう開発かいはつ可能かのうとなったFit Wall。「FIT工法こうほう」として特許とっきょ取得しゅとく

耐震たいしんエクステリア開発かいはつしん技術ぎじゅつとして、鉄筋てっきんコンクリートせいへい比較ひかくして20%から25%の重量じゅうりょう軽量けいりょうされたパネル構法を採用さいようしたてい重心じゅうしん木質もくしつかべ岐阜大学ぎふだいがく農学部のうがくぶ民間みんかん企業きぎょうとの共同きょうどう開発かいはつ可能かのうとなった。木質もくしつかべ場合ばあい雨水あまみず対策たいさく問題もんだいとなるが、完全かんぜん防水ぼうすい処理しょり技術ぎじゅつほどこしたものが「FIT工法こうほう」として特許とっきょ取得しゅとくし、岐阜ぎふけん事業じぎょう可能かのうせい評価ひょうか制度せいどにおいてA評価ひょうか認定にんていされたほか、リフォームようのコンクリートブロックとう耐震たいしん補強ほきょう金具かなぐ開発かいはつされ、防災ぼうさい安全あんぜん協会きょうかいから災害さいがい有効ゆうこうな「防災ぼうさいせい品等ひんとう推奨すいしょうひん」の認定にんていけ、岐阜ぎふけん事業じぎょう可能かのうせい評価ひょうか制度せいどでA評価ひょうか認定にんていされた[8]。さらに新設しんせつ改修かいしゅうけの「FIT WALL」は、コンクリート1m2たり150kgにたいし1m2たり30-40kgでてい重心じゅうしん倒壊とうかいしにくいうえまんいち倒壊とうかいしても人的じんてき被害ひがいすくなくてうえ、ユニットがたであるため工事こうじが1にちみ、デザインも自由じゆうにできる[6]

伝統でんとうてき日本にっぽん家屋かおく新設しんせつされたしん素材そざい使用しようしたへい

出典しゅってん

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  1. ^ a b c コトバンク「へい”. 2018ねん8がつ11にち閲覧えつらん[よう出典しゅってん]
  2. ^ a b c d e f g h i 西村にしむらあきら彦・曽根そね直幸なおゆき栗原くりはら正夫まさお木村きむらゆうかい「わがくににおけるへいかきるいかか伝統でんとうてき工法こうほう地域ちいきてき特徴とくちょうかんする研究けんきゅう 土塀どべいいしへい」、土木どぼく講演こうえん研究けんきゅうしゅう Vol.35 2015ねん 土木どぼく学会がっかい、2020ねん4がつ15にち閲覧えつらん
  3. ^ a b へい 住宅じゅうたく建築けんちく専門せんもん用語ようご辞典じてん、2020ねん4がつ15にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c 三谷みたに康之やすゆき英語えいご英文えいぶんがく背景はいけい:英国えいこく田園でんえん」(PDF)『成城せいじょう文藝ぶんげいだい110ごう成城大学せいじょうだいがく文芸ぶんげい学部がくぶ、1985ねん3がつ、126-90ぺーじISSN 02865718CRID 15202908851120513282023ねん5がつ23にち閲覧えつらん 
  5. ^ 2-1. ブロックへいおも規定きてい
  6. ^ a b 『エクステリア&ガーデン』2013ねんあきごう 112P 浦崎うらさき正勝まさかつ
  7. ^ a b c 国土こくど交通省こうつうしょう - 建築けんちくぶつへい(ブロックへいくみせきづくり)の安全あんぜん点検てんけんとうについて”. 2018ねん8がつ11にち閲覧えつらん
  8. ^ a b 大林おおばやし株式会社かぶしきがいしゃ - 耐震たいしんエクステリア開発かいはつあゆ”. 2018ねん8がつ11にち閲覧えつらん
  9. ^ a b ハウジング・トリビューン vol.593. (かぶ)そうじゅしゃ. (2020ねん2がつ28にち) 

関連かんれん項目こうもく

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