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くみせきづくり

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くみせきづくり(そせきぞう、えい: masonry construction)は、いし煉瓦れんがコンクリートブロックひとしげてつく建築けんちくぶつ構造こうぞうのこと。英語えいごから、メーソンリーとも場合ばあいがある。

概要がいよう

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煉瓦れんがづくりのセントメアリー・マグダラ教会きょうかい
12世紀せいき 英国えいこく ケンブリッジ
マルクスブルクじょうえる木造もくぞうはり

建材けんざいげて外壁がいへき内壁ないへきといった壁面へきめんをつくり、かべによって屋根やね天井てんじょうなどの上部じょうぶ構造こうぞうぶつささえる。くみせき構造こうぞうくみせきしき構造こうぞうともわれ、はしらりょう屋根やねささえる「構式構造こうぞう」にたいするものである。

日本にっぽんなど、良質りょうしつ木材もくざい豊富ほうふ入手にゅうしゅできる地域ちいきでははしらはり屋根やねささえる構式構造こうぞう一般いっぱんてきであるが、中東ちゅうとうなどのように建築けんちくざいてきした木材もくざい入手にゅうしゅ困難こんなんであった地域ちいきでは、日乾ひぼし煉瓦れんが焼成しょうせい煉瓦れんが石材せきざいなどをもちいてかべをつくり、それによって上部じょうぶ建造けんぞうぶつささえる構造こうぞうひろ利用りようされた。ただしくみせきづくりにおいても壁面へきめん直接ちょくせつ天井てんじょう屋根やね全体ぜんたいささえるケースはまれであり、原始げんしてきなものでは、壁面へきめん穿うがってとおした木造もくぞうはり腕木うでき)によって屋根やねおもみを壁面へきめんつたえたり、建造けんぞうぶつ内部ないぶ木造もくぞう小屋組こやぐ構築こうちくし、それによって屋根やねささえたりする方法ほうほう一般いっぱんてきである。ただし、アーチやそこから派生はせいしたヴォールトドームなどはくみせきざい自身じしんによって上部じょうぶ建造けんぞうぶつささえる仕組しくみとなっており、古代こだいエジプトなど、屋根やねはり使つか木材もくざいさえ不足ふそくした地域ちいきではふるくから利用りようされていた。

なお、くみせきづくりおも建築けんちくざい煉瓦れんが石材せきざいであるが、木材もくざいにおいては、校倉あぜくら(あぜくら)つくログハウスなどがあり、「圧雪あっせつブロック」を使用しようしたものとしては北米ほくべい先住民せんじゅうみんであるイヌイットつく簡易かんい住居じゅうきょはとしてのイグルーがあり、「こおりのブロック」をとおるせっした建築けんちくぶつが、北欧ほくおう日本にっぽん寒冷かんれい冬季とうき限定げんてい宿泊しゅくはく施設しせつなどとして利用りようされ、様々さまざま資材しざい使つかったくみせきづくりがある。

くみせきづくり場合ばあいいしなどのかた材料ざいりょうあつ頑丈がんじょうかべとなるため、外敵がいてきからまもかべ意味合いみあいもつよつ。古代こだいローマではかべ内部ないぶ煉瓦れんが外側そとがわえる部分ぶぶん石造せきぞうとするれいおおい。中央ちゅうおうアジアでは、日乾ひぼし煉瓦れんがげてかべとしている。古代こだいギリシア神殿しんでん建築けんちく石造せきぞうであるが、はしらはり屋根やねささえる構造こうぞうのこされており、元来がんらい木造もくぞう建築けんちくであったことが推察すいさつされる。

ヨーロッパでは当初とうしょ木造もくぞう建築けんちく主流しゅりゅうだったが、オリエントから優秀ゆうしゅう石造せきぞう技術ぎじゅつつたえられると、防火ぼうか目的もくてきなどでくみせきしきもちいた石造せきぞう建築けんちくひろまった。しかしそのさい屋根やねゆか木造もくぞうであったが、ロマネスク形式けいしきゴシック形式けいしきひろまって以後いごは、教会堂きょうかいどう城郭じょうかくなどの建物たてものに、ヴォールト利用りようしたそう石造いしづくりのものがおおつくられるようになった。しかし一般いっぱんてき家屋かおくは、煉瓦れんがんで表面ひょうめん石材せきざいおおい、木製もくせいゆか天井てんじょう切妻きりづま屋根やねそなえたものが主流しゅりゅうだった。また木材もくざいもちいて骨組ほねぐみをつくり、かべには骨組ほねぐみのわくにレンガやいしをはめむ、木骨もっこつづく建物たてものふるくからあった。日乾ひぼし煉瓦れんが家屋かおく中世ちゅうせいヨーロッパの城郭じょうかく建築けんちく場合ばあいも、屋根やねゆか木造もくぞうであったので、壁面へきめん腕木うできとおすためのあな穿うがち、この腕木うできによって屋根やねゆかささえた。

14世紀せいきイギリスのホイットビー修道院しゅうどういん遺跡いせきくみせきづくりかべだけは原型げんけいめている

くみせきづくりもちいられる石材せきざいとう腐朽ふきゅうすることがなく、火災かさいにもつよい。とく加工かこうむずかしいが風化ふうかにもつよ石材せきざいは、その恒久こうきゅうせいたっとばれ、木造もくぞう建築けんちくおお地域ちいきでも教会きょうかいなど特別とくべつ建物たてもの石造いしづくりとしていることもしばしばられる。

くみせきづくり欠点けってん補強ほきょう

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煉瓦れんがコンクリートブロックんだだけでは構造こうぞうてきよわく、水平すいへい方向ほうこう外力がいりょくけて崩壊ほうかいする危険きけんせいがある。とく地震じしんへのたいせいいことから、日本にっぽんではくみせきづくりはほとんど普及ふきゅうせず、6世紀せいき以後いご断続だんぞくてき中国ちゅうごくがわから伝来でんらいしたレンガ(磚)も定着ていちゃくせず、ざい同士どうしわせと強度きょうど重量じゅうりょうかるさによってある程度ていど耐震たいしんせい確保かくほできる木造もくぞうじくぐみ工法こうほう主流しゅりゅうめた。

西洋せいようならった明治めいじ近代きんだいとも煉瓦れんがぐみせきづくりなど洋風ようふう建築けんちく多数たすうあらわれたが、関東大震災かんとうだいしんさいでは煉瓦れんがづくりの建築けんちくぶつはほとんど倒壊とうかいし、おおくの被害ひがいした。近代きんだい以降いこうはその欠点けってん解消かいしょうするため、もともとあなひらいた部材ぶざいもちい、そのあな鉄筋てっきんとおし、さらにその周囲しゅういモルタルコンクリートなどをながむといった方法ほうほうにより構造こうぞうてき強化きょうかされている。しかしくみせきづくり構造こうぞうじょう開口かいこうおおきくれず、高層こうそうむずかしいため、より強度きょうどたか鉄筋てっきんコンクリート(RC)みやつこや、鉄骨てっこつづくり発明はつめい普及ふきゅうにより、現代げんだい建築けんちくおおくははしらはりによる構式構造こうぞうラーメン構造こうぞう)となっている。しかし中南米ちゅうなんべい中東ちゅうとうなどでは、依然いぜんとして煉瓦れんがもちいたくみせきづくりによる伝統でんとうてき建築けんちくぶつることが出来できる。

鉄筋てっきんコンクリートづくり建築けんちくぶつなどで外壁がいへきいしり・煉瓦れんがタイルりなどにするのは、意匠いしょうてきくみせきづくり擬似ぎじてき表現ひょうげんしているものといえる。ぎゃく近代きんだい西洋せいよう建築けんちくにおいて木造もくぞうした建築けんちくぶつえつつある。

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