米べい酒しゅ

オハイオ州しゅうクリーブランドで販売はんばいされた料理りょうり用ようの台湾たいわん菸酒公司こうしの米べい酒しゅ

米べい酒しゅ（みーちゅう、びーちゅう）は台湾たいわんの蒸留酒じょうりゅうしゅ。米べいを原料げんりょうとし、近年きんねんは主おもに料理りょうり酒しゅとして用もちいられている。

歴史れきし

米べい酒しゅの起源きげんは中国ちゅうごく南部なんぶであり、長年ながねんにわたって庶民しょみんに愛飲あいいんされていた。近代きんだいには台湾たいわん総督そうとく府ふ専売せんばい局きょくも他たの酒類しゅるいとともに米べい酒しゅを生産せいさんし、1931年ねんには白しろ粬（ぺーか）を使つかわずクモノスカビを糖化とうか菌きんとして用もちいる製造せいぞう方法ほうほうに切きり替かえた。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後こうは台湾たいわん省しょう菸酒公売こうばい局きょくによって生産せいさんが引ひき継つがれ、1988年ねんに花はな蓮はちす市し郊外こうがいに移転いてんした酒さけ廠しょうでは年間ねんかん270万まんダースの米べい酒しゅ製造せいぞう能力のうりょくがあった。1997年ねんの時点じてんで600mlのビン入いりの米べい酒しゅが25台湾たいわん元もと（当時とうじの為替かわせレートで約やく100円えん）と安価あんかであり、現代げんだいでは香こう腸ちょう作つくりなどの料理りょうり酒しゅや薬酒やくしゅの原料げんりょうとして使つかわれる。

製法せいほう

蓬よもぎ萊米の玄米げんまいのみを原料げんりょうとし、水みずと塩酸えんさんに浸漬しんせきさせた後のちに蒸むし煮にする。冷却れいきゃく後ご、クモノスカビを糖化とうか菌きんとして39℃で50時じ間あいだ糖化とうかを行おこなう。この際さい、先さきに添加てんかした塩酸えんさんは粘ねば度たびを低下ていかさせるとともにpHを調整ちょうせいして糖化とうかを促進そくしんする効果こうかがある。続つづいて36°Cまで温度おんどを下さげて出芽しゅつが酵母こうぼを加くわえ、7 - 12日間にちかんほどアルコール発酵はっこうを行おこなう。この段階だんかいでアルコール度数どすうは10.4 - 12.2%となり、これを蒸留じょうりゅうする。

常つね圧あつで単式たんしき蒸留じょうりゅうして得えられた液体えきたいを貯蔵ちょぞうし、連続れんぞく蒸留じょうりゅうした留とめ出で液えきを少量しょうりょう調合ちょうごうするとアルコール度数どすうは22%となる。ろ過かした後のち、ビン詰づめして出荷しゅっかされる。なお、もち米まいを原料げんりょうとして2回かい蒸留じょうりゅう後ごに0℃で1週間しゅうかん以上いじょう冷却れいきゃくする高級こうきゅう品ひんも存在そんざいし、そのアルコール度数どすうは35%となる。

なお近代きんだい以前いぜんは、粳米うるちまいの粉末ふんまつで団子だんごを作つくり、出芽しゅつが酵母こうぼとカビを混まぜた白しろ粬を加くわえて5 - 6日にちで糖化とうかおよび発酵はっこうを行おこなっていた。この状態じょうたいでアルコール度数どすうは8 - 10%となり、単式たんしき蒸留じょうりゅう器きで蒸留じょうりゅうすれば米べい酒しゅが得えられた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 吉田よしだ元はじめ「台湾たいわんの米べい酒しゅ、紹興酒しょうこうしゅ、紅べに露ろ酒しゅ」『日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい誌し』第だい92巻かん第だい8号ごう、日本にっぽん醸造じょうぞう協会きょうかい、1997年ねん、579-587頁ぺーじ、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.92.579、NAID 10029395721。