この項目 こうもく では、法用 ほうよう 語 ご について説明 せつめい しています。災害 さいがい など緊急 きんきゅう 時 じ の避難 ひなん ・退避 たいひ 行動 こうどう については「避難 ひなん 」をご覧 らん ください。
緊急 きんきゅう 避難 ひなん (きんきゅうひなん)とは、急迫 きゅうはく な危険 きけん ・危難 きなん を避 さ けるためにやむを得 え ず他者 たしゃ の権利 けんり を侵害 しんがい したり危難 きなん を生 しょう じさせている物 もの を破壊 はかい したりする行為 こうい であり、本来 ほんらい ならば法的 ほうてき 責任 せきにん を問 と われるものであるが、一定 いってい の条件 じょうけん の下 した に免除 めんじょ されるものをいう。
刑法 けいほう 、民法 みんぽう 、国際 こくさい 法 ほう においてそれぞれ意味 いみ が異 こと なるので、以下 いか 、個別 こべつ に解説 かいせつ する。
刑法 けいほう における緊急 きんきゅう 避難 ひなん は、人 ひと や物 ぶつ から生 しょう じた現在 げんざい の危難 きなん に対 たい して、自己 じこ または第三者 だいさんしゃ の権利 けんり や利益 りえき (生命 せいめい 、身体 しんたい 、自由 じゆう 、または財産 ざいさん など)を守 まも るため、他 た の手段 しゅだん が無 な いためにやむを得 え ず他人 たにん やその財産 ざいさん に危害 きがい を加 くわ えたとしても、やむを得 え ずに生 しょう じさせてしまった損害 そんがい よりも避 さ けようとした損害 そんがい の方 ほう が大 おお きい場合 ばあい には犯罪 はんざい は成立 せいりつ しないという制度 せいど である。
「必要 ひつよう は法 ほう をもたない」という一般 いっぱん 原則 げんそく はかなり古 ふる くから認 みと められてきたものであるが、学問 がくもん 上 じょう では緊急 きんきゅう 避難 ひなん は正当 せいとう 防衛 ぼうえい よりもさらに遅 おく れて刑法 けいほう 学 がく に登場 とうじょう した。
緊急 きんきゅう 避難 ひなん の本質 ほんしつ に関 かん しては次 つぎ のような学説 がくせつ の対立 たいりつ がある。
違法 いほう 性 せい 阻却説 せつ
緊急 きんきゅう 避難 ひなん は違法 いほう 性 せい 阻却事由 じゆう であり犯罪 はんざい は成立 せいりつ しないとする学説 がくせつ 。
放任 ほうにん 行為 こうい 説 せつ
緊急 きんきゅう 避難 ひなん 行為 こうい は放任 ほうにん 行為 こうい であり違法 いほう 性 せい が阻却されるとする学説 がくせつ 。放任 ほうにん 行為 こうい 説 せつ に対 たい しては刑法 けいほう 上 じょう の行為 こうい は違法 いほう か適法 てきほう かであり積極 せっきょく 的 てき に違法 いほう でないものはすべて適法 てきほう 行為 こうい であり妥当 だとう でないという批判 ひはん がある
法益 ほうえき 衡量説 せつ
小 ちい さな法益 ほうえき を犠牲 ぎせい にしてでも大 おお きい法益 ほうえき を保護 ほご することは法 ほう 秩序 ちつじょ の要求 ようきゅう にも合致 がっち するとして違法 いほう 性 せい が阻却されるとする学説 がくせつ 。違法 いほう 性 せい 阻却説 せつ (法益 ほうえき 衡量説 せつ )は日本 にっぽん の刑法 けいほう 学 がく では通説 つうせつ となっている。
責任 せきにん 阻却説 せつ
緊急 きんきゅう 避難 ひなん は第三者 だいさんしゃ の法益 ほうえき を侵害 しんがい しており違法 いほう な行為 こうい ではあるが期待 きたい 可能 かのう 性 せい を欠 か くため責任 せきにん 阻却事由 じゆう として犯罪 はんざい は成立 せいりつ しないとする学説 がくせつ 。
他人 たにん の法益 ほうえき のための緊急 きんきゅう 避難 ひなん の場合 ばあい には期待 きたい 可能 かのう 性 せい を欠 か くとはいえないのではないかという批判 ひはん がある。
二分 にぶん 説 せつ
緊急 きんきゅう 避難 ひなん は原則 げんそく として違法 いほう 性 せい 阻却事由 じゆう であるが、例外 れいがい として責任 せきにん 阻却事由 じゆう となる場合 ばあい もあるとする学説 がくせつ 。二分 にぶん 説 せつ はドイツの刑法 けいほう 学 がく では通説 つうせつ となっている。
処罰 しょばつ 阻却事由 じゆう 説 せつ
緊急 きんきゅう 避難 ひなん が成立 せいりつ する場合 ばあい でもその行為 こうい は違法 いほう かつ有 ゆう 責 せめ な行為 こうい であり犯罪 はんざい は成立 せいりつ するが処罰 しょばつ 阻却事由 じゆう であるとする学説 がくせつ 。
緊急 きんきゅう 避難 ひなん が成立 せいりつ する場合 ばあい でも犯罪 はんざい は成立 せいりつ するという解釈 かいしゃく は、現行 げんこう 刑法 けいほう の立場 たちば とは明 あき らかに矛盾 むじゅん するため、この説 せつ をとる論者 ろんしゃ はみられなくなっている。
日本 にっぽん の刑法 けいほう 上 じょう の緊急 きんきゅう 避難 ひなん [ 編集 へんしゅう ]
この
節 ふし は
特 とく に
記述 きじゅつ がない
限 かぎ り、
日本 にっぽん 国内 こくない の
法令 ほうれい について
解説 かいせつ しています。また
最新 さいしん の
法令 ほうれい 改正 かいせい を
反映 はんえい していない
場合 ばあい があります。
ご自身 じしん が現実 げんじつ に遭遇 そうぐう した事件 じけん については法律 ほうりつ 関連 かんれん の専門 せんもん 家 か にご相談 そうだん ください。 免責 めんせき 事項 じこう もお読 よ みください。
日本 にっぽん の刑法 けいほう では、自己 じこ 又 また は他人 たにん の生命 せいめい 、身体 しんたい 、自由 じゆう 又 また は財産 ざいさん に対 たい する現在 げんざい の危難 きなん を避 さ けるため、やむを得 え ずにした行為 こうい は、これによって生 しょう じた害 がい が避 さ けようとした害 がい の程度 ていど を超 こ えなかった場合 ばあい に限 かぎ り、罰 ばっ しないと規定 きてい している(刑法 けいほう 37条 じょう 1項 こう )。
日本 にっぽん の刑法 けいほう 学 がく では緊急 きんきゅう 避難 ひなん は違法 いほう 性 せい 阻却事由 じゆう とみる説 せつ が通説 つうせつ となっている。
日本 にっぽん の刑法 けいほう では条文 じょうぶん の位置 いち からも正当 せいとう 行為 こうい 、正当 せいとう 防衛 ぼうえい 、緊急 きんきゅう 避難 ひなん の順 じゅん に規定 きてい されており、前 ぜん 二 に 者 しゃ が明 あき らかに違法 いほう 性 せい 阻却事由 じゆう であることから緊急 きんきゅう 避難 ひなん も違法 いほう 性 せい 阻却事由 じゆう と解 かい されている。違法 いほう 性 せい が阻却されるためには刑法 けいほう 37条 じょう の要件 ようけん を満 み たす必要 ひつよう がある。なお、以下 いか の刑法 けいほう 37条 じょう の要件 ようけん を満 み たさない場合 ばあい でも期待 きたい 可能 かのう 性 せい を欠 か く場合 ばあい には責任 せきにん が阻却されることがあり得 え る(超 ちょう 法規 ほうき 的 てき 緊急 きんきゅう 避難 ひなん と呼 よ ぶ)。
緊急 きんきゅう 避難 ひなん は現在 げんざい の危難 きなん を避 さ けるためのものでなければならない。
現在 げんざい
現在 げんざい とは法益 ほうえき の侵害 しんがい の危険 きけん が直接 ちょくせつ 切迫 せっぱく していることをいい、過去 かこ の危難 きなん や将来 しょうらい の危難 きなん に対 たい しては緊急 きんきゅう 避難 ひなん は成立 せいりつ しない。
危難 きなん は現在 げんざい にあれば一時 いちじ 的 てき なものでも継続 けいぞく 的 てき なものでもよい。
危難 きなん
危難 きなん とは法益 ほうえき を侵害 しんがい させる結果 けっか を生 しょう じるような危険 きけん な状態 じょうたい をいい、客観 きゃっかん 的 てき に存在 そんざい するものでなければならない。
正当 せいとう 防衛 ぼうえい の「急迫 きゅうはく 不正 ふせい の侵害 しんがい 」とは異 こと なり、危難 きなん は不正 ふせい なものである必要 ひつよう はなく、人 ひと の行為 こうい のほか自然 しぜん 現象 げんしょう や動物 どうぶつ の動作 どうさ などでもよい。
自己 じこ または他人 たにん の生命 せいめい ・身体 しんたい ・自由 じゆう ・財産 ざいさん を守 まも るため[ 編集 へんしゅう ]
緊急 きんきゅう 避難 ひなん は自己 じこ 又 また は他人 たにん の生命 せいめい ・身体 しんたい ・自由 じゆう ・財産 ざいさん を守 まも るためにするものでなければならない。
自己 じこ 又 また は他人 たにん の生命 せいめい 、身体 しんたい 、自由 じゆう 又 また は財産 ざいさん
刑法 けいほう 37条 じょう 1項 こう の「自己 じこ 又 また は他人 たにん の生命 せいめい 、身体 しんたい 、自由 じゆう 又 また は財産 ざいさん 」が制限 せいげん 列挙 れっきょ か例示 れいじ 列挙 れっきょ かで争 あらそ いがあるが、通説 つうせつ は例示 れいじ 列挙 れっきょ であり名誉 めいよ 等 とう についても緊急 きんきゅう 避難 ひなん は成立 せいりつ すると解 げ する。
避難 ひなん の意思 いし
避難 ひなん の意思 いし についても正当 せいとう 防衛 ぼうえい における防衛 ぼうえい の意思 いし の要 よう 否 ひ に対応 たいおう した問題 もんだい がある。
やむを得 え ずにした行為 こうい (補充 ほじゅう の原則 げんそく )[ 編集 へんしゅう ]
「やむを得 え ず」は正当 せいとう 防衛 ぼうえい について定 さだ めた刑法 けいほう 36条 じょう と文言 もんごん は同 おな じであるが、緊急 きんきゅう 避難 ひなん を定 さだ めた刑法 けいほう 37条 じょう の「やむを得 え ず」の場合 ばあい には他 た にとるべき方法 ほうほう がなかった場合 ばあい でなければならない(補充 ほじゅう の原則 げんそく )。正当 せいとう 防衛 ぼうえい が違法 いほう 行為 こうい に対 たい する反撃 はんげき 行為 こうい であるのに対 たい し、緊急 きんきゅう 避難 ひなん は危難 きなん とは無関係 むかんけい な第三者 だいさんしゃ への危難 きなん の転嫁 てんか を内容 ないよう とするため要件 ようけん が厳格 げんかく になっている。
緊急 きんきゅう 避難 ひなん の場合 ばあい には、避難 ひなん 行為 こうい によって生 しょう じた害 がい が避 さ けようとした害 がい の程度 ていど を超 こ えないことを要 よう する(法益 ほうえき 権衡 けんこう の原則 げんそく 、法益 ほうえき 権衡 けんこう 保持 ほじ の原則 げんそく )。法益 ほうえき の比較 ひかく は実際 じっさい には容易 ようい でなく、法 ほう 秩序 ちつじょ 全体 ぜんたい の精神 せいしん に基 もと づき具体 ぐたい 的 てき な場合 ばあい について客観 きゃっかん 的 てき かつ合理 ごうり 的 てき に判断 はんだん するほかないとされる。
過剰 かじょう 避難 ひなん ・誤 あやま 想 そう 避難 ひなん ・誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 避難 ひなん [ 編集 へんしゅう ]
避難 ひなん 行為 こうい はあったが緊急 きんきゅう 避難 ひなん の要件 ようけん を欠 か いているため違法 いほう 性 せい が阻却されない場合 ばあい として過剰 かじょう 避難 ひなん 、誤 あやま 想 そう 避難 ひなん 、誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 避難 ひなん がある。
現在 げんざい の危難 きなん はあるが、その避難 ひなん 行為 こうい が緊急 きんきゅう の程度 ていど を超 こ えた場合 ばあい には緊急 きんきゅう 避難 ひなん とはならず、このような場合 ばあい を過剰 かじょう 避難 ひなん という。過剰 かじょう 避難 ひなん では違法 いほう 性 せい は阻却されず、情状 じょうじょう により責任 せきにん が軽 かる いと解 ほぐ されるときは、刑 けい を軽減 けいげん したり免除 めんじょ したりすることが出来 でき る(刑法 けいほう 37条 じょう 2項 こう )。
現在 げんざい の危難 きなん がないにもかかわらず、こうした危難 きなん があると誤 あやま 想 そう して避難 ひなん 行為 こうい を行 おこな うことを誤 あやま 想 そう 避難 ひなん という。誤 あやま 想 そう 避難 ひなん の場合 ばあい にも違法 いほう 性 せい は阻却されない。
現在 げんざい の危難 きなん がないにもかかわらず、こうした危難 きなん があると誤 あやま 想 そう して避難 ひなん 行為 こうい を行 おこな い、かつ、それが行為 こうい 者 しゃ の誤 あやま 想 そう した危難 きなん に対 たい する避難 ひなん としては過剰 かじょう な行為 こうい であることを誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 避難 ひなん という。
これらには正当 せいとう 防衛 ぼうえい の過剰 かじょう 防衛 ぼうえい 、誤 あやま 想 そう 防衛 ぼうえい 、誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 防衛 ぼうえい に対応 たいおう した問題 もんだい がある。誤 あやま 想 そう 避難 ひなん 及 およ び誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 避難 ひなん については錯誤 さくご を参照 さんしょう 。
自 みずか ら招 まね いた危難 きなん に緊急 きんきゅう 避難 ひなん が成立 せいりつ するかどうかについては、故意 こい によって招来 しょうらい した危難 きなん については緊急 きんきゅう 避難 ひなん は許 ゆる されないとする学説 がくせつ や緊急 きんきゅう 避難 ひなん の他 ほか の要件 ようけん を充足 じゅうそく する限 かぎ り自 じ 招危難 なん に対 たい する緊急 きんきゅう 避難 ひなん も可能 かのう とする学説 がくせつ があるほか、判例 はんれい には過失 かしつ による自 じ 招行為 こうい に対 たい する緊急 きんきゅう 避難 ひなん を否定 ひてい したもの(大正 たいしょう 13年 ねん 12月12日 にち 大審院 だいしんいん 判決 はんけつ 刑 けい 集 しゅう 3巻 かん 867頁 ぺーじ )もある。ただし、過失 かしつ による自 じ 招危難 なん に対 たい する緊急 きんきゅう 避難 ひなん を否定 ひてい する見解 けんかい に対 たい しては、過失 かしつ により火 ひ を出 だ した者 もの には緊急 きんきゅう 避難 ひなん が認 みと められないことになるなど不合理 ふごうり であるという批判 ひはん がある。
業務 ぎょうむ 上 じょう 特別 とくべつ の義務 ぎむ がある者 もの の特 とく 則 そく [ 編集 へんしゅう ]
緊急 きんきゅう 避難 ひなん の規定 きてい (刑法 けいほう 37条 じょう 1項 こう )は業務 ぎょうむ 上 じょう 特別 とくべつ の義務 ぎむ がある者 もの には適用 てきよう されない(刑法 けいほう 37条 じょう 2項 こう )。
警察官 けいさつかん や自衛 じえい 官 かん 、消防 しょうぼう 吏員 りいん 、消防 しょうぼう 団 だん 員 いん などは、その業務 ぎょうむ の性質 せいしつ 上 じょう 、危難 きなん に赴 おもむ くべき社会 しゃかい 的 てき 責任 せきにん を負 お っていると考 かんが えられ、緊急 きんきゅう 避難 ひなん を理由 りゆう にその義務 ぎむ に反 はん することは認 みと められない。ただし、これらの者 もの の緊急 きんきゅう 避難 ひなん が絶対 ぜったい 的 てき に認 みと められないわけではない。例 たと えば他人 たにん の法益 ほうえき を守 まも るための緊急 きんきゅう 避難 ひなん は一般 いっぱん 原則 げんそく に従 したが って認 みと められると解 ほぐ されている。警察官 けいさつかん 職務 しょくむ 執行 しっこう 法 ほう 第 だい 7条 じょう (武器 ぶき の使用 しよう )はこのことを予想 よそう した上 うえ で明文 めいぶん で規定 きてい している。また、自己 じこ の法益 ほうえき を守 まも る場合 ばあい でもその本来 ほんらい の義務 ぎむ の履行 りこう と調和 ちょうわ が図 はか られる範囲 はんい 内 ない で緊急 きんきゅう 避難 ひなん は成立 せいりつ し得 う る。消火 しょうか 活動 かつどう 中 ちゅう の消防 しょうぼう 士 し 、消防 しょうぼう 団 だん 員 いん が崩 くず れてきた建物 たてもの の下敷 したじ きになるのを避 さ けるため隣家 りんか の板 いた 塀 へい を破 やぶ って避難 ひなん した場合 ばあい には緊急 きんきゅう 避難 ひなん が成立 せいりつ する。
民事 みんじ 上 じょう の緊急 きんきゅう 避難 ひなん とは、一定 いってい の危難 きなん から自己 じこ または第三者 だいさんしゃ の権利 けんり を守 まも るため、やむを得 え ずにした行為 こうい によって他者 たしゃ に損害 そんがい を与 あた えたとしても損害 そんがい 賠償 ばいしょう 責任 せきにん は発生 はっせい しないとする制度 せいど をいう。
日本 にっぽん の民法 みんぽう 上 じょう の緊急 きんきゅう 避難 ひなん [ 編集 へんしゅう ]
この
節 ふし は
特 とく に
記述 きじゅつ がない
限 かぎ り、
日本 にっぽん 国内 こくない の
法令 ほうれい について
解説 かいせつ しています。また
最新 さいしん の
法令 ほうれい 改正 かいせい を
反映 はんえい していない
場合 ばあい があります。
ご自身 じしん が現実 げんじつ に遭遇 そうぐう した事件 じけん については法律 ほうりつ 関連 かんれん の専門 せんもん 家 か にご相談 そうだん ください。 免責 めんせき 事項 じこう もお読 よ みください。
日本 にっぽん の民法 みんぽう における緊急 きんきゅう 避難 ひなん は、他人 たにん の物 もの によって生 しょう じた急迫 きゅうはく の危難 きなん に対 たい して、自己 じこ または第三者 だいさんしゃ の権利 けんり を防衛 ぼうえい するためにその物 もの を毀損 きそん する行為 こうい については不法 ふほう 行為 こうい による責任 せきにん を問 と わないというものである。民法 みんぽう 720条 じょう 2項 こう に規定 きてい がある。
例 たと えば、他人 たにん の飼 か い犬 いぬ (生物 せいぶつ であるが民法 みんぽう 上 じょう はあくまで「物 もの 」として扱 あつか われる)が暴走 ぼうそう して襲 おそ ってきた場合 ばあい にこれを撃退 げきたい するのが民法 みんぽう 上 じょう の緊急 きんきゅう 避難 ひなん である。他 ほか にも、今 いま にも崩 くず れそうなブロック塀 へい がある場合 ばあい に所有 しょゆう 者 しゃ の確認 かくにん をとらないままこれを取 と り壊 こわ してしまう行為 こうい などが緊急 きんきゅう 避難 ひなん にあてはまる。
なお、正当 せいとう 防衛 ぼうえい も民法 みんぽう に規定 きてい されている(民法 みんぽう 720条 じょう 1項 こう 本文 ほんぶん )。両者 りょうしゃ の違 ちが いは、正当 せいとう 防衛 ぼうえい が「他人 たにん の不法 ふほう 行為 こうい 」に対 たい する防衛 ぼうえい であるのに対 たい して、緊急 きんきゅう 避難 ひなん は「他人 たにん の物 もの から生 しょう じた急迫 きゅうはく の危険 きけん 」に対 たい する防衛 ぼうえい であることである。つまり、正当 せいとう 防衛 ぼうえい は他人 たにん の行為 こうい からの防衛 ぼうえい であり、緊急 きんきゅう 避難 ひなん は他人 たにん の所有 しょゆう する物 もの からの防衛 ぼうえい が問題 もんだい となる。例 たと えば、暴漢 ぼうかん から逃 のが れるため他人 たにん の家 いえ の門 もん を壊 こわ して敷地 しきち 内 ない へ逃 に げ込 こ んだ場合 ばあい 、刑法 けいほう 上 じょう では緊急 きんきゅう 避難 ひなん の問題 もんだい となるが、民法 みんぽう 上 じょう は正当 せいとう 防衛 ぼうえい の問題 もんだい となる。
なお、被害 ひがい 者 しゃ (飼 か い犬 いぬ の権利 けんり 者 しゃ )から不法 ふほう 行為 こうい 者 しゃ (飼 か い犬 いぬ をして襲 おそ わしめる事 こと につき責任 せきにん のあるもの)への損害 そんがい 賠償 ばいしょう 請求 せいきゅう を妨 さまた げない(720条 じょう 1項 こう 但書 ただしがき 、同 どう 条 じょう 2項 こう )。例 たと えば、持 も ち主 ぬし Aから飼 か い犬 いぬ を預 あず かって散歩 さんぽ に連 つ れて行 い ったCが、過失 かしつ により犬 いぬ を放 はな してしまい、結果 けっか 犬 いぬ がBを襲 おそ ったため、やむをえずBが犬 いぬ を撃退 げきたい した場合 ばあい 、AはBではなくCに対 たい して損害 そんがい 賠償 ばいしょう 請求 せいきゅう をする事 こと ができる。
英 えい 米 べい 法 ほう 上 じょう の民事 みんじ 上 じょう の緊急 きんきゅう 避難 ひなん [ 編集 へんしゅう ]
英 えい 米 べい 法 ほう でも、他人 たにん (原告 げんこく )に損害 そんがい を与 あた えた者 もの (被告 ひこく )が、原告 げんこく とは無関係 むかんけい に生 しょう じた一定 いってい の危難 きなん から被告 ひこく 自身 じしん または第三者 だいさんしゃ の人格 じんかく 的 てき または財産 ざいさん 的 てき 利益 りえき を守 まも るため合理 ごうり 的 てき にみて必要 ひつよう な措置 そち をとったために損害 そんがい を発生 はっせい させたものであると認 みと められるときには、被告 ひこく はその損害 そんがい についての責任 せきにん を免 まぬか れるものとされている。
国際 こくさい 法 ほう 上 じょう の緊急 きんきゅう 避難 ひなん [ 編集 へんしゅう ]
国際 こくさい 法 ほう における緊急 きんきゅう 避難 ひなん (necessity) とは、国家 こっか が重 じゅう 大 だい かつ急迫 きゅうはく の危険 きけん から自国 じこく にとって本質 ほんしつ 的 てき な利益 りえき (essential interest) を保護 ほご するために国際 こくさい 法 ほう 違反 いはん の措置 そち が講 こう じられたとしても、他 た に手段 しゅだん が無 な く相手 あいて 国 こく に本質 ほんしつ 的 てき な利益 りえき に対 たい する重大 じゅうだい な侵害 しんがい が発生 はっせい しないならば例外 れいがい 的 てき に適法 てきほう とされる行為 こうい のことをいう。これは国際 こくさい 慣習 かんしゅう 法 ほう 上 じょう 認 みと められた違法 いほう 性 せい 阻却事由 じゆう である。緊急 きんきゅう 避難 ひなん が必要 ひつよう となる状態 じょうたい のことを緊急 きんきゅう 状態 じょうたい (state of necessity) という。
このことは、国際司法裁判所 こくさいしほうさいばんしょ (ICJ) の「ガブチコヴォ・ナジュマロシュ計画 けいかく 事件 じけん 」判決 はんけつ (1997年 ねん 、ガブチコヴォ(ハンガリー )とナジュマロシュ(チェコスロヴァキア )に跨 またが る水門 すいもん を建設 けんせつ するため締結 ていけつ された条約 じょうやく に関 かん しての紛争 ふんそう )において確認 かくにん されている。
また、国際 こくさい 連合 れんごう の国際 こくさい 法 ほう 委員 いいん 会 かい (ILC: International Law Commission) が国家 こっか 責任 せきにん に関 かん する国際 こくさい 慣習 かんしゅう 法 ほう の法典 ほうてん 化 か を推進 すいしん しており、そこで2001年 ねん に採択 さいたく された「国際 こくさい 違法 いほう 行為 こうい に対 たい する国家 こっか 責任 せきにん (Responsibility of States for internationally wrongful acts)」条約 じょうやく 案 あん の25条 じょう にも緊急 きんきゅう 避難 ひなん に関 かん する規定 きてい があり、上記 じょうき 判決 はんけつ もこの条文 じょうぶん の草案 そうあん (当時 とうじ 33条 じょう )を緊急 きんきゅう 避難 ひなん が可能 かのう となる要件 ようけん について述 の べる際 さい に引用 いんよう している。