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正当 せいとう 防衛 ぼうえい (せいとうぼうえい、仏 ふつ : légitime défense )とは、急迫 きゅうはく 不正 ふせい の侵害 しんがい に対 たい し、自分 じぶん または他人 たにん の生命 せいめい ・権利 けんり を防衛 ぼうえい するため、やむを得 え ずにした行為 こうい をいう。正当 せいとう 防衛 ぼうえい には、刑事 けいじ 上 じょう の正当 せいとう 防衛 ぼうえい と民事 みんじ 上 じょう の正当 せいとう 防衛 ぼうえい がある。
正当 せいとう 防衛 ぼうえい は各種 かくしゅ の違法 いほう 性 せい 阻却事由 じゆう のなかでも、ごく一般 いっぱん 的 てき に知 し られているものである。
正当 せいとう 防衛 ぼうえい は自然 しぜん 発生 はっせい 的 てき な権利 けんり と考 かんが えられ、「正当 せいとう 防衛 ぼうえい は書 か かれた法 ほう ではなく生 う まれた法 ほう である」(キケロ )や「正当 せいとう 防衛 ぼうえい は歴史 れきし を有 ゆう しない」あるいは「正当 せいとう 防衛 ぼうえい には何 なん らの歴史 れきし もないしまたありえない」(カール・グスタフ・ガイプ (ドイツ語 ご 版 ばん ) [注釈 ちゅうしゃく 1] )といわれるようにきわめて古 ふる い時代 じだい から不可 ふか 罰 ばつ 性 せい が承認 しょうにん されてきた。
正当 せいとう 防衛 ぼうえい の本質 ほんしつ は私人 しじん による直接的 ちょくせつてき 反撃 はんげき 行為 こうい である。法治 ほうち 国家 こっか としての制度 せいど が整備 せいび された社会 しゃかい 体制 たいせい のもとでの不正 ふせい な侵害 しんがい の排除 はいじょ は本来 ほんらい は国家 こっか 機関 きかん の任務 にんむ とされ、被害 ひがい 者 しゃ その他 た の私人 しじん による実力 じつりょく 行動 こうどう は社会 しゃかい 秩序 ちつじょ を乱 みだ すことから原則 げんそく として許 ゆる されていない。直接 ちょくせつ 行動 こうどう は国家 こっか 社会 しゃかい の整備 せいび に伴 ともな う社会 しゃかい 秩序 ちつじょ の統制 とうせい 力 りょく の拡大 かくだい とともにその範囲 はんい は縮小 しゅくしょう され、正当 せいとう 防衛 ぼうえい は現代 げんだい 国家 こっか において唯一 ゆいいつ 是認 ぜにん される直接 ちょくせつ 行動 こうどう ともいわれている。一方 いっぽう 、正当 せいとう 防衛 ぼうえい の範囲 はんい は当初 とうしょ は生命 せいめい に対 たい する侵害 しんがい についてのみ認 みと められていたが、あらゆる利益 りえき 保護 ほご に正当 せいとう 防衛 ぼうえい を認 みと めるべきとの考 かんが えがあらわれ、身体 しんたい や財産 ざいさん の保護 ほご のためにも正当 せいとう 防衛 ぼうえい は認 みと められるようになった。
歴史 れきし
ローマ法 ほう では生命 せいめい や身体 しんたい に対 たい する暴力 ぼうりょく 行為 こうい に対 たい する実力 じつりょく による防御 ぼうぎょ は認 みと められていたが一般 いっぱん 的 てき に正当 せいとう 防衛 ぼうえい という概念 がいねん で構成 こうせい されていたわけではなかった。また、古代 こだい ゲルマン法 ほう では正当 せいとう 防衛 ぼうえい と個人 こじん 的 てき 復讐 ふくしゅう との混同 こんどう がみられるとされている。正当 せいとう 防衛 ぼうえい が一般 いっぱん 的 てき な形 かたち で説 と かれるようになるのは13世紀 せいき 以降 いこう になってからである。カロリーナ刑事 けいじ 法典 ほうてん (英語 えいご 版 ばん ) では正当 せいとう 防衛 ぼうえい の概念 がいねん や立証 りっしょう 方法 ほうほう を詳 くわ しく規定 きてい していたが、それは生命 せいめい や身体 しんたい に対 たい するものに限定 げんてい されていた。その後 ご 、正当 せいとう 防衛 ぼうえい の対象 たいしょう となる法益 ほうえき は漸次 ぜんじ 拡大 かくだい し、1801年 ねん のフォイエルバッハ の刑法 けいほう 論 ろん によって正当 せいとう 防衛 ぼうえい は総論 そうろん 的 てき 地位 ちい にまで引 ひ き上 あ げられたとされる。
日本 にっぽん の刑法 けいほう 上 じょう の正当 せいとう 防衛 ぼうえい [ 編集 へんしゅう ]
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節 ふし は
特 とく に
記述 きじゅつ がない
限 かぎ り、
日本 にっぽん 国内 こくない の
法令 ほうれい について
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法令 ほうれい 改正 かいせい を
反映 はんえい していない
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急迫 きゅうはく 不正 ふせい の
侵害 しんがい に
対 たい して、
自己 じこ 又 また は
他人 たにん の
権利 けんり を
防衛 ぼうえい するため、やむを
得 え ずにした
行為 こうい は、
罰 ばっ しない。
— 刑法 けいほう 36条 じょう 1項 こう
正当 せいとう 防衛 ぼうえい は急迫 きゅうはく 不正 ふせい の侵害 しんがい に対 たい するものでなければならない。
急迫 きゅうはく
急迫 きゅうはく とは法益 ほうえき の侵害 しんがい が切迫 せっぱく していることをいい、過去 かこ の法益 ほうえき 侵害 しんがい や将来 しょうらい の法益 ほうえき 侵害 しんがい に対 たい しては正当 せいとう 防衛 ぼうえい は成立 せいりつ しない。
急迫 きゅうはく 性 せい は防衛 ぼうえい の効果 こうか の発生 はっせい する時 とき を標準 ひょうじゅん に決定 けってい される。忍 しの び返 がえ しのような防衛 ぼうえい 設備 せつび をあらかじめ設 もう けておき、その防衛 ぼうえい の効果 こうか が急迫 きゅうはく な侵害 しんがい に対 たい して発生 はっせい するような場合 ばあい には正当 せいとう 防衛 ぼうえい が成立 せいりつ し得 う る。
急迫 きゅうはく 性 せい は被害 ひがい の現在 げんざい 性 せい とは無関係 むかんけい である(昭和 しょうわ 24年 ねん 8月 がつ 18日 にち 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ 判決 はんけつ 刑 けい 集 しゅう 3巻 かん 9号 ごう 1467頁 ぺーじ )。
急迫 きゅうはく 性 せい は侵害 しんがい が予期 よき されていたとしても失 うしな われない(昭和 しょうわ 46年 ねん 11月16日 にち 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ 判決 はんけつ 刑 けい 集 しゅう 25巻 かん 8号 ごう 996頁 ぺーじ )。一方 いっぽう 、侵害 しんがい を契機 けいき として相手方 あいてがた に積極 せっきょく 的 てき に加害 かがい 行為 こうい を行 おこな う意思 いし (積極 せっきょく 的 てき 加害 かがい 意思 いし )を有 ゆう するときは侵害 しんがい の急迫 きゅうはく 性 せい の要件 ようけん は否定 ひてい される(昭和 しょうわ 52年 ねん 7月 がつ 21日 にち 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ 判決 はんけつ 刑 けい 集 しゅう 31巻 かん 4号 ごう 747頁 ぺーじ )。
不正 ふせい
不正 ふせい とは違法 いほう であることをいう。客観 きゃっかん 性 せい 違法 いほう 性 せい 論 ろん によると、責任 せきにん 無能力 むのうりょく 者 しゃ の行為 こうい に対 たい する正当 せいとう 防衛 ぼうえい や故意 こい のない行為 こうい に対 たい する正当 せいとう 防衛 ぼうえい も成立 せいりつ する。
動物 どうぶつ の挙動 きょどう や自然 しぜん 現象 げんしょう が「不正 ふせい の侵害 しんがい 」に当 あ たるかどうかという問題 もんだい (対物 たいぶつ 防衛 ぼうえい )がある。ある者 もの が飼 か い犬 いぬ を杭 くい につないでいたところ大 だい 地震 じしん が発生 はっせい して杭 くい が倒 たお れ、暴 あば れ出 だ した飼 か い犬 いぬ が通行人 つうこうにん に噛 か みついてきた場合 ばあい に、通行人 つうこうにん のその犬 いぬ に対 たい する反撃 はんげき に正当 せいとう 防衛 ぼうえい が成立 せいりつ するかという問題 もんだい である。法 ほう は人間 にんげん 共同 きょうどう 体 たい の規範 きはん であり違法 いほう 判断 はんだん の対象 たいしょう は人間 にんげん の行為 こうい に限 かぎ られるとし緊急 きんきゅう 避難 ひなん の問題 もんだい として扱 あつか うべきとする対物 たいぶつ 防衛 ぼうえい 否定 ひてい 説 せつ と人間 にんげん 共同 きょうどう 体 たい と関係 かんけい のある動物 どうぶつ については違法 いほう 評価 ひょうか の対象 たいしょう として考 かんが えるべきとする対物 たいぶつ 防衛 ぼうえい 肯定 こうてい 説 せつ がある。
侵害 しんがい
侵害 しんがい とは権利 けんり に対 たい する実害 じつがい や危険 きけん があることをいう。侵害 しんがい にあたる行為 こうい は作為 さくい か不作為 ふさくい かを問 と わない。
自己 じこ 又 また は他人 たにん の権利 けんり を防衛 ぼうえい するため[ 編集 へんしゅう ]
自己 じこ 又 また は他人 たにん の権利 けんり
「権利 けんり 」は成 なり 法 ほう 上 じょう で権利 けんり の名 な の付 つ いているものに限 かぎ らず、広 ひろ く法律 ほうりつ 上 じょう 保護 ほご されている利益 りえき (法益 ほうえき )をいう。
「他人 たにん 」には国家 こっか 正当 せいとう 防衛 ぼうえい の濫用 らんよう を憂慮 ゆうりょ して国家 こっか を含 ふく まないとする学説 がくせつ もあるが、通説 つうせつ は自然人 しぜんじん の私益 しえき (個人 こじん 的 てき 法益 ほうえき )に限 かぎ らず公益 こうえき (国家 こっか 的 てき 法益 ほうえき や社会 しゃかい 的 てき 法益 ほうえき )を防衛 ぼうえい するためにも正当 せいとう 防衛 ぼうえい は成立 せいりつ するとしている。なお、他人 たにん の法益 ほうえき を防衛 ぼうえい するための正当 せいとう 防衛 ぼうえい は緊急 きんきゅう 救助 きゅうじょ ともいう。
防衛 ぼうえい の意思 いし
正当 せいとう 防衛 ぼうえい について規定 きてい した刑法 けいほう 36条 じょう 1項 こう を見 み ると「自己 じこ または他人 たにん の権利 けんり を防衛 ぼうえい するため」となっているが、正当 せいとう 防衛 ぼうえい が成立 せいりつ するためには権利 けんり (利益 りえき )を防衛 ぼうえい するために行為 こうい するのだという主観 しゅかん 的 てき な認識 にんしき (防衛 ぼうえい の意思 いし )が必要 ひつよう であるとする主観 しゅかん 説 せつ と不要 ふよう とする客観 きゃっかん 説 せつ に二分 にぶん されている。
客観 きゃっかん 説 せつ (防衛 ぼうえい の意思 いし 不要 ふよう 説 せつ )から主観 しゅかん 説 せつ (防衛 ぼうえい の意思 いし 必要 ひつよう 説 せつ )に対 たい しては正当 せいとう 防衛 ぼうえい の成立 せいりつ 範囲 はんい が著 いちじる しく狭 せま くなり不当 ふとう であるという批判 ひはん があり、主観 しゅかん 説 せつ から客観 きゃっかん 説 せつ に対 たい しては明 あき らかに犯罪 はんざい 的 てき な意図 いと をもって行 おこな われた行為 こうい までが正当 せいとう 防衛 ぼうえい となってしまい著 いちじる しく不当 ふとう であるという批判 ひはん がある。
通説 つうせつ ・判例 はんれい は主観 しゅかん 的 てき 正当 せいとう 化 か 要素 ようそ として防衛 ぼうえい の意思 いし を必要 ひつよう としている(主観 しゅかん 説 せつ )。当初 とうしょ の判例 はんれい は、防衛 ぼうえい の意思 いし とは純粋 じゅんすい な防衛 ぼうえい の動機 どうき や目的 もくてき に限定 げんてい して考 かんが える目的 もくてき 説 せつ をとっていた。この見解 けんかい によれば怒 いか りや逆上 ぎゃくじょう といった防衛 ぼうえい とは異 こと なる動機 どうき があればもはや「防衛 ぼうえい の意思 いし 」は存在 そんざい せず、正当 せいとう 防衛 ぼうえい も成立 せいりつ しないと考 かんが えた。しかし急 きゅう に他者 たしゃ から攻撃 こうげき を受 う けた場合 ばあい に冷静 れいせい さを保 たも って防衛 ぼうえい の目的 もくてき のみから反撃 はんげき することは困難 こんなん であり、正当 せいとう 防衛 ぼうえい が成立 せいりつ する場合 ばあい を極端 きょくたん に制限 せいげん してしまうという批判 ひはん があった。その後 ご 、判例 はんれい は防衛 ぼうえい の意思 いし の内容 ないよう について「急迫 きゅうはく 不正 ふせい の侵害 しんがい を認識 にんしき しつつ、これを避 さ けようとする単純 たんじゅん な心理 しんり 状態 じょうたい 」であるというように解釈 かいしゃく を変更 へんこう することで、憤激 ふんげき や逆上 ぎゃくじょう から反撃 はんげき 行為 こうい を加 くわ えても直 ただ ちに防衛 ぼうえい の意思 いし がないとされることはない、すなわち憤激 ふんげき や逆上 ぎゃくじょう していても正当 せいとう 防衛 ぼうえい が成立 せいりつ しうる場合 ばあい があるとしているという立場 たちば に変 か わっている。その一方 いっぽう 、防衛 ぼうえい の意思 いし が全 まった く無 な い、防衛 ぼうえい に名 な を借 か りて積極 せっきょく 的 てき に加害 かがい する行為 こうい (積極 せっきょく 的 てき 加害 かがい 行為 こうい )については防衛 ぼうえい の意思 いし が否定 ひてい されることを認 みと めている。
「やむを得 え ず」の意味 いみ
正当 せいとう 防衛 ぼうえい が成立 せいりつ するには必要 ひつよう やむを得 え ずになされた行為 こうい でなければならない。ただし、緊急 きんきゅう 避難 ひなん のように必 かなら ずしも他 た にとるべき方法 ほうほう がないこと(厳格 げんかく な法益 ほうえき の均衡 きんこう )までは要 よう しない。
正当 せいとう 防衛 ぼうえい の成立 せいりつ には厳格 げんかく な法益 ほうえき の均衡 きんこう 性 せい は必要 ひつよう としないが、反撃 はんげき 行為 こうい は侵害 しんがい 行為 こうい の強 つよ さに応 おう じた相当 そうとう なものでなければならない(昭和 しょうわ 44年 ねん 12月4日 にち 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ 判決 はんけつ 刑 けい 集 しゅう 23巻 かん 12号 ごう 1573頁 ぺーじ )。正当 せいとう 防衛 ぼうえい の成立 せいりつ には具体 ぐたい 的 てき 事情 じじょう の下 した で社会 しゃかい 的 てき ・一般 いっぱん 的 てき 見地 けんち からみて必要 ひつよう かつ相当 そうとう の行為 こうい であること(相当 そうとう 性 せい 、社会 しゃかい 的 てき 適合 てきごう 性 せい )が必要 ひつよう である。
防衛 ぼうえい 行為 こうい
防衛 ぼうえい 行為 こうい は侵害 しんがい 者 しゃ (の法益 ほうえき )に対 たい して反撃 はんげき したものでなければならない。不正 ふせい の侵害 しんがい 者 しゃ に対 たい する反撃 はんげき 行為 こうい として発砲 はっぽう された弾丸 だんがん が第三者 だいさんしゃ に当 あ たったような場合 ばあい には第三者 だいさんしゃ に対 たい する関係 かんけい では緊急 きんきゅう 避難 ひなん の問題 もんだい となる。
防衛 ぼうえい 行為 こうい として適切 てきせつ なものであれば結果 けっか 的 てき に人 ひと が死亡 しぼう しても違法 いほう となるものではなく、さらに真 しん に必要 ひつよう である場合 ばあい (銃器 じゅうき をもって多数 たすう 人 じん を人質 ひとじち にしている場合 ばあい などで、生命 せいめい に対 たい する危害 きがい を防止 ぼうし するために必要 ひつよう やむを得 え ないとき)には射殺 しゃさつ する意図 いと で武器 ぶき を使用 しよう して相手方 あいてがた を殺害 さつがい することもできる。
過剰 かじょう 防衛 ぼうえい ・誤 あやま 想 そう 防衛 ぼうえい ・誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 防衛 ぼうえい [ 編集 へんしゅう ]
防衛 ぼうえい 行為 こうい はあったが正当 せいとう 防衛 ぼうえい の要件 ようけん を欠 か いているため違法 いほう 性 せい が阻却されない場合 ばあい として過剰 かじょう 防衛 ぼうえい 、誤 あやま 想 そう 防衛 ぼうえい 、誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 防衛 ぼうえい がある。
急迫 きゅうはく 不正 ふせい の侵害 しんがい はあるが、その反撃 はんげき 行為 こうい が防衛 ぼうえい の程度 ていど を超 こ え刑法 けいほう 36条 じょう 1項 こう の「やむを得 え ずにした行為 こうい 」とは言 い えない場合 ばあい には正当 せいとう 防衛 ぼうえい とはならず、このような場合 ばあい を過剰 かじょう 防衛 ぼうえい という。過剰 かじょう 防衛 ぼうえい では防衛 ぼうえい 行為 こうい の相当 そうとう 性 せい を欠 か いているため違法 いほう 性 せい は阻却されず、情状 じょうじょう により責任 せきにん が軽 かる いと解 ほぐ されるときは、刑 けい を軽減 けいげん したり免除 めんじょ したりすることが出来 でき る(刑法 けいほう 36条 じょう 2項 こう )。
急迫 きゅうはく 不正 ふせい の侵害 しんがい がないにもかかわらず、こうした侵害 しんがい があると誤 あやま 想 そう して防衛 ぼうえい 行為 こうい を行 おこな うことを誤 あやま 想 そう 防衛 ぼうえい という。誤 あやま 想 そう 防衛 ぼうえい の場合 ばあい にも違法 いほう 性 せい は阻却されない。
急迫 きゅうはく 不正 ふせい の侵害 しんがい がないにもかかわらず、こうした侵害 しんがい があると誤 あやま 想 そう して防衛 ぼうえい 行為 こうい を行 おこな い、かつ、それが行為 こうい 者 しゃ の誤 あやま 想 そう した侵害 しんがい に対 たい する防御 ぼうぎょ としては過剰 かじょう な行為 こうい であることを誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 防衛 ぼうえい という。
過剰 かじょう 防衛 ぼうえい の場合 ばあい に刑 けい が減免 げんめん される根拠 こんきょ については争 あらそ いがある。一 ひと つは不正 ふせい な侵害 しんがい を行 おこな った加害 かがい 者 しゃ の法益 ほうえき を保護 ほご する必要 ひつよう が減少 げんしょう することを重視 じゅうし する違法 いほう 減少 げんしょう 説 せつ である。もう一 ひと つは、正当 せいとう 防衛 ぼうえい が必要 ひつよう とされるような緊急 きんきゅう 事態 じたい においては適法 てきほう な行為 こうい をするということについては期待 きたい 可能 かのう 性 せい が減少 げんしょう することを重視 じゅうし する責任 せきにん 減少 げんしょう 説 せつ である。両 りょう 説 せつ の違 ちが いは誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 防衛 ぼうえい のときに浮 う き彫 ぼ りとなる。すなわち、違法 いほう 減少 げんしょう 説 せつ によれば誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 防衛 ぼうえい について36条 じょう 2項 こう を適用 てきよう して刑 けい を減免 げんめん することが否定 ひてい され、他方 たほう 、責任 せきにん 減少 げんしょう 説 せつ によれば誤 あやま 想 そう 過剰 かじょう 防衛 ぼうえい にも同 どう 条 じょう を適用 てきよう して刑 けい の減免 げんめん を認 みと めることも可能 かのう となる。
挑発 ちょうはつ 防衛 ぼうえい (自 じ 招侵害 しんがい )・相互 そうご 挑発 ちょうはつ (喧嘩 けんか )[ 編集 へんしゅう ]
自 じ 招侵害 しんがい とは、急迫 きゅうはく 不正 ふせい の侵害 しんがい を自 みずか ら招 まね いた者 もの が当該 とうがい 侵害 しんがい に対 たい して構成 こうせい 要件 ようけん に該当 がいとう する防衛 ぼうえい 行為 こうい を行 おこな った場合 ばあい 、正当 せいとう 防衛 ぼうえい として違法 いほう 性 せい が阻却されるのか、という問題 もんだい である。日本 にっぽん の判例 はんれい (最 さい 決 けつ 平成 へいせい 20年 ねん 5月 がつ 20日 はつか )によれば、被告人 ひこくにん の不正 ふせい な行為 こうい により自 みずか ら招 まね いた侵害 しんがい に対 たい しては、侵害 しんがい 者 しゃ の攻撃 こうげき が被告人 ひこくにん 自身 じしん の暴行 ぼうこう の程度 ていど を大 おお きく越 こ えるものでないなどの事情 じじょう の下 もと で、被告人 ひこくにん の反撃 はんげき 行為 こうい が正当 せいとう とされる状況 じょうきょう における行為 こうい とはいえないから正当 せいとう 防衛 ぼうえい は認 みと められないとする。通説 つうせつ は、理論 りろん 構成 こうせい はともかく、一定 いってい の場合 ばあい には正当 せいとう 防衛 ぼうえい の成立 せいりつ を否定 ひてい する。これに対 たい し、一部 いちぶ の有 ゆう 力説 りきせつ は、正当 せいとう 防衛 ぼうえい の成立 せいりつ を認 みと めたうえで、自 じ 招行為 こうい について構成 こうせい 要件 ようけん 該当 がいとう 性 せい ひいては犯罪 はんざい の成立 せいりつ を認 みと める。「原因 げんいん において自由 じゆう な行為 こうい 」における判例 はんれい ・通説 つうせつ の理論 りろん 構成 こうせい と類似 るいじ するこの理論 りろん 構成 こうせい は、「原因 げんいん において違法 いほう な行為 こうい (actio illicita in causa)」と呼 よ ばれている。
相互 そうご 挑発 ちょうはつ としての喧嘩 けんか について判例 はんれい は正当 せいとう 防衛 ぼうえい は成立 せいりつ しないとしてきたが(昭和 しょうわ 7年 ねん 1月 がつ 25日 にち 大審院 だいしんいん 判決 はんけつ 刑 けい 集 しゅう 11巻 かん 1頁 ぺーじ 、昭和 しょうわ 23年 ねん 6月 がつ 22日 にち 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ 判決 はんけつ 刑 けい 集 しゅう 2巻 かん 7号 ごう 694頁 ぺーじ )、具体 ぐたい 的 てき 状況 じょうきょう を考慮 こうりょ して正当 せいとう 防衛 ぼうえい が成立 せいりつ する場合 ばあい があることを示唆 しさ する判例 はんれい (昭和 しょうわ 24年 ねん 2月 がつ 22日 にち 最高 さいこう 裁判所 さいばんしょ 判決 はんけつ 刑 けい 集 しゅう 3巻 かん 2号 ごう 216頁 ぺーじ )もある。2017年 ねん (平成 へいせい 29年 ねん )1月 がつ 11日 にち には、前年 ぜんねん 6月 がつ に埼玉 さいたま 県 けん 川口 かわぐち 市 し 内 うち の路上 ろじょう で60代 だい 男性 だんせい Bとトラブルになり、Bに道 みち を塞 ふさ がれた為 ため Bの自転車 じてんしゃ を蹴 け ったところ、Bに何 なん 度 ど も殴 なぐ られたため1発 はつ 殴 なぐ り返 がえ して転倒 てんとう させ、Bの頭 あたま に全治 ぜんち 6ヶ月 かげつ の重傷 じゅうしょう を負 お わせたとして、傷害 しょうがい 罪 ざい で起訴 きそ (求刑 きゅうけい :懲役 ちょうえき 3年 ねん )された40代 だい 男性 だんせい Aに対 たい し、さいたま地方裁判所 ちほうさいばんしょ が「Bの行為 こうい は質的 しつてき にも量的 りょうてき にも上回 うわまわ っており、Aの反撃 はんげき は正当 せいとう でないとは言 い えない」として正当 せいとう 防衛 ぼうえい を認 みと め、無罪 むざい をい渡 いわた した[16] 。
民事 みんじ 上 じょう の正当 せいとう 防衛 ぼうえい とは、他人 たにん の不法 ふほう 行為 こうい に対 たい して自己 じこ や他人 たにん の権利 けんり を防衛 ぼうえい するため、やむを得 え ずにした行為 こうい によって他者 たしゃ に損害 そんがい を与 あた えたとしても損害 そんがい 賠償 ばいしょう 責任 せきにん は発生 はっせい しないとする制度 せいど をいう。
英 えい 米 べい 法 ほう 上 じょう の民事 みんじ 上 じょう の正当 せいとう 防衛 ぼうえい [ 編集 へんしゅう ]
英 えい 米 べい 法 ほう でも、他人 たにん (原告 げんこく )に損害 そんがい を与 あた えた者 もの (被告 ひこく )が、もともと原告 げんこく の不法 ふほう な行為 こうい に対 たい して自 みずか らの人格 じんかく 的 てき または財産 ざいさん 的 てき 利益 りえき を守 まも るため合理 ごうり 的 てき にみて必要 ひつよう な措置 そち をとったために損害 そんがい を発生 はっせい させたものであると認 みと められるときには、被告 ひこく はその損害 そんがい についての責任 せきにん を免 まぬか れるものとされている。
日本 にっぽん の民法 みんぽう 上 じょう の正当 せいとう 防衛 ぼうえい [ 編集 へんしゅう ]
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特 とく に
記述 きじゅつ がない
限 かぎ り、
日本 にっぽん 国内 こくない の
法令 ほうれい について
解説 かいせつ しています。また
最新 さいしん の
法令 ほうれい 改正 かいせい を
反映 はんえい していない
場合 ばあい があります。
ご自身 じしん が現実 げんじつ に遭遇 そうぐう した事件 じけん については法律 ほうりつ 関連 かんれん の専門 せんもん 家 か にご相談 そうだん ください。 免責 めんせき 事項 じこう もお読 よ みください。
日本 にっぽん の民法 みんぽう では、他人 たにん の不法 ふほう 行為 こうい に対 たい し、自己 じこ 又 また は第三者 だいさんしゃ の権利 けんり または法律 ほうりつ 上 じょう 保護 ほご される利益 りえき を防衛 ぼうえい するため、やむを得 え ず加害 かがい 行為 こうい をした者 もの は、損害 そんがい 賠償 ばいしょう の責任 せきにん を負 お わないと規定 きてい している(民法 みんぽう 720条 じょう 1項 こう 本文 ほんぶん )。刑法 けいほう 上 じょう の緊急 きんきゅう 避難 ひなん との違 ちが いは、正当 せいとう 防衛 ぼうえい が他人 たにん の行為 こうい からの防衛 ぼうえい であり、緊急 きんきゅう 避難 ひなん は他人 たにん の所有 しょゆう する物 もの から発生 はっせい した危険 きけん に対 たい する防衛 ぼうえい が問題 もんだい となる点 てん である。また、刑法 けいほう 上 じょう の正当 せいとう 防衛 ぼうえい と民法 みんぽう 上 じょう の正当 せいとう 防衛 ぼうえい は、前者 ぜんしゃ が犯罪 はんざい の正否 せいひ に関 かか わる問題 もんだい である一方 いっぽう 、後者 こうしゃ は損害 そんがい 賠償 ばいしょう 責任 せきにん の有無 うむ という問題 もんだい である。そして両者 りょうしゃ が成立 せいりつ する場面 ばめん も一致 いっち しない。
例 たと えば、暴漢 ぼうかん から逃 のが れるため他人 たにん の家 いえ の門 もん を壊 こわ して敷地 しきち 内 ない へ逃 に げ込 こ んだ場合 ばあい を考 かんが える。他人 たにん の家 いえ の門扉 もんぴ を破壊 はかい する行為 こうい について、民法 みんぽう 上 じょう では他人 たにん の不法 ふほう 行為 こうい から自己 じこ の生命 せいめい 身体 しんたい を防衛 ぼうえい するためにした行為 こうい であるから正当 せいとう 防衛 ぼうえい の問題 もんだい となる。そして、ここでいう正当 せいとう 防衛 ぼうえい の問題 もんだい とは、壊 こわ した門扉 もんぴ を弁償 べんしょう しなければいけないか否 ひ かという問題 もんだい のことである。一方 いっぽう 、刑法 けいほう 上 じょう は不正 ふせい の侵害 しんがい 者 しゃ とは無関係 むかんけい である第三者 だいさんしゃ の財産 ざいさん を侵害 しんがい しているのだから、緊急 きんきゅう 避難 ひなん の問題 もんだい となる。なお、被害 ひがい 者 しゃ (門扉 もんぴ の権利 けんり 者 しゃ )から不法 ふほう 行為 こうい 者 しゃ (暴漢 ぼうかん )への損害 そんがい 賠償 ばいしょう 請求 せいきゅう を妨 さまた げない(第 だい 720条 じょう 第 だい 1項 こう 但書 ただしがき )。
^ ドイツの法学 ほうがく 者 しゃ 。1808-1864
大塚 おおつか 仁 ひとし 『刑法 けいほう 概説 がいせつ (総論 そうろん )改訂 かいてい 増補 ぞうほ 版 ばん 』有斐閣 ゆうひかく 、1992年 ねん 。ISBN 4-641-04117-2 。
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望月 もちづき 礼 あや 二郎 じろう 『英 えい 米 べい 法 ほう 』青 あお 林 りん 書院 しょいん 、1997年 ねん 。
田村 たむら 正博 まさひろ 『警察 けいさつ 行政 ぎょうせい 法 ほう 解説 かいせつ 全 ぜん 訂 てい 第 だい 二 に 版 はん 』東京法令出版 とうきょうほうれいしゅっぱん 、2015年 ねん 。ISBN 978-4-8090-1336-2 。