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野菊のぎく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
キク
ノコンギク
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
もん : 被子植物ひししょくぶつもん Magnoliophyta
つな : そう子葉しよう植物しょくぶつつな Magnoliopsida
: キク Asterales
: キク Asteraceae
: キク Asteroideae

野菊のぎく(のぎく)とは、野生やせいきくのことである。よくおおくのたねがあり、地域ちいきによってもさまざまなたねがある。

きく野生やせいしゅ

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一般いっぱん栽培さいばいされているきくは、和名わみょうキクキクキクぞく Dendranthema grandiflorum (Ramatuelle) Kitam.)とい、野生やせいのものは存在そんざいせず、中国ちゅうごく作出さくしゅつされたものが伝来でんらいしたとかんがえられている。したがって、きく野生やせいしゅというものはない。

しかしながら、日本にっぽんにはキクにはなかせるものは多数たすうあり、野菊のぎくというのはそのような植物しょくぶつ総称そうしょうとして使つかわれている。辞典じてんなどにはヨメナ別称べっしょうしるしている場合ばあいもあるが、植物しょくぶつ図鑑ずかんひとしではノギクをヨメナの別名べつめいとはなしていない。現在げんざいではもっと身近みぢかられる野菊のぎくのひとつがヨメナであるが、近似きんじしゅ区別くべつするのは簡単かんたんではなく、一般いっぱんには複数ふくすうしゅ混同こんどうされている。キク植物しょくぶつ日本にっぽんやく350しゅ野生やせいしゅがあり、帰化きかしゅ栽培さいばいしゅおおい。おおくのものがなに々ギクのち、そのなかきくらしくえるものもかなりのぞくにわたって存在そんざいする。

野菊のぎく範囲はんい

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野菊のぎくは、野生やせい植物しょくぶつでキクにえるもののことである。キクはキク植物しょくぶつであるが、このるいはなにはおおきな特徴とくちょうがある。きくはな一般いっぱんわれているものは、実際じっさいには多数たすうちいさいはな集合しゅうごうたいであり、これを頭状花とうじょうかじょう。頭状花とうじょうかじょ構成こうせいするはなにはおおきく2つのかたちがあり、1つはサジがたに1まい花弁はなびら発達はったつするしたじょうはな、もう1つは花弁はなびらちいさく5つにれる管状かんじょうはなである。キクのはな場合ばあい外側そとがわにはサジがたしたじょうはなならび、内側うちがわには黄色きいろ管状かんじょうはな密生みっせいするのが基本きほんであるが、栽培さいばいしゅにはかたちわったものもある。

このような特徴とくちょうのキク植物しょくぶつは、非常ひじょうおおい。ガーベラヒマワリコスモスもそうである。しかしこれらのはな野生やせい存在そんざいしても野菊のぎくとはばない。くさかたちえば、ヒマワリはおおきすぎる。タンポポやガーベラのような、ロゼットじょうにあり、くきにはがないものもそれらしくえない。したがって、あまりたかくならず、くきがついた姿すがたのものにかぎられる。また、アキノキリンソウのようにあたまはなちいさいものもそれらしくえない。さらに、きくえばあきはなであるから、あきくものをこうぶことがおおい。

これにてはまりそうなものを以下いかぞくごとにげる。詳細しょうさいについてはかくぐん項目こうもく参照さんしょうされたい。

ごく野菊のぎくらしいもの

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一般いっぱん野菊のぎくばれるのは以下いかのようなものとおもわれる。

キクぞく Dendranthema
キクと同属どうぞくのものは日本にっぽんに15しゅばかりある。したじょうはなたないきくらしくないはなもあるが、おおくは野菊のぎくえるものである。株立かぶだちになり、くきち、あるいはななめにび、互生ごせいする。まるみのあるがいがたで、おおきな鋸歯きょしがあったり、ややふかけるものがおおい。どれも管状かんじょうはな黄色おうしょくしたじょうはなしろのものと黄色おうしょくのものがある。かんむりい。
代表だいひょうてきなのは山野さんやえるものではしろはなリュウノウギク D. japonicum黄色きいろはなシマカンギク D. indicum 、キクタニギク D. boleare海岸かいがんえるしろはなノジギク D. occidentali-japonense 、コハマギク D. arcticum subsp. maekawanum などがあるが、とく最初さいしょふたつが標準ひょうじゅんてき野菊のぎくらしいものである。このぞくのものはキクと同属どうぞくなだけに、きくらしいものがおおいが、イソギク D. pacificum など、したじょうはなのないはなをつけるものもある。さらに、たねあいだ雑種ざっしゅられるのでややこしい。
シオンぞく Aster
単独たんどくくきたかびるものがおおい。じょうのものとくきがつく。くき先端せんたん多数たすう枝分えだわかれして、きくはな多数たすうつく。したじょうはなしろいかむらさきびる。種子しゅし実際じっさいにはやせはて)にはながかんむりがある。
ノコンギクの花序かじょ綿毛わたげえる。
よくられているのはシオンである。非常ひじょうおおきくなるものでたかさは2mにたっする。これはよく栽培さいばいされ、野菊のぎくあつかいされない。しかし、野生やせい小型こがた場合ばあい野菊のぎく認識にんしきされるだろう。ただしかずおおくない。
野菊のぎくとしてはもっともそれらしいのがノコンギク A. ageratoides subsp. ovatus である。山間さんかんさわから人里ひとざとまでひろ分布ぶんぷするごく普通ふつう野菊のぎくで、はな薄紫うすむらさきの、非常ひじょうにヨメナにはなである。コンギクの栽培さいばいひんとしてのあつかいもけてきた。北海道ほっかいどうにはエゾノコンギク var. yezoensis Kitam. がある。たねとしてはほかにも変異へんいおおく、いくつもの亜種あしゅがある。なかでもヤマシロギク A. a. subsp. amplexifolius 、シロヨメナ A. a. subsp. leiophyllus などは山野さんやえるたか野菊のぎくである。
に、シラヤマギク A. scaberゴマナ A. glehniサワシロギク A. rugulosus なども山野さんやでよくかけるもので、たかく、はなちいさい野菊のぎくである。
特殊とくしゅなものとしては、塩性えんせい湿地しっち生育せいいくするウラギク A. tripoliumえい: Sea aster)や海岸かいがん岩場いわばえるイソノギク A. asa-grayi関東かんとう河原かわらえるカワラノギク A. kantoensis紀伊きい半島はんとうとろかい周辺しゅうへん川岸かわぎしにだけえるホソバノギク A. sohayakiensis など、ほかにもいくつか野菊のぎくらしい姿すがた植物しょくぶつがある。同属どうぞくもっと普通ふつうなもののひとつ、ホウキギク A. subulatus はやや湿しめったところでよくかける帰化きか植物しょくぶつであるが、はなちいさいので野菊のぎくという印象いんしょうはない。
ヨメナぞく Kalimeris
ヨメナの花序かじょはなったものをふくむ。
地下茎ちかけいがあり、群落ぐんらくになる。ほそかたちのものがおおい。かんむりはごくみじかく1mmみりめーとる以下いか肉眼にくがんではいようにえる。なお、このぞくをシオンぞくれるかんがえもある。
なにってもヨメナ K. yomena代表だいひょうである。薄紫うすむらさきはなをつける、道端みちばたもっともよくかける野菊のぎくってよい。ただし、本州ほんしゅう中部ちゅうぶ以西いせいのことである。きんえんしゅたものがおおく、カントウヨメナ K. pseudoyomena やオオユウガギク K. incisa など地域ちいきによってもちがたねがある。すべて野菊のぎくってよいだろう。
ハマベノギクぞく Heteropappus

ヨメナぞくやシオンぞくているが、種子しゅしかんむりとおりのながさのものがある。このぞくもシオンぞくふくめるせつがある。

乾燥かんそうした原野げんやえ、ほそをもち、しろ野菊のぎくはなをつけるヤマジノギク H. hisidus海岸かいがん砂地すなじえ、くきい、はサジがたのハマベノギク H. h. subsp. arenarius など。
ハマギクぞく Nipponanthenum

くき木質もくしつする。まるっこくてあつをつけ、やや大柄おおがらしろ野菊のぎくはなをつける。

ハマギク N. nipponicum東北とうほく地方ちほう海岸かいがんせん生育せいいくする。江戸えど時代じだいより栽培さいばいされていた。

ほかにも、若干じゃっかん希少きしょうしゅがある。以上いじょうを、成育せいいく環境かんきょうべつにまとめると、以下いかのようになる。

  • 道端みちばたではノコンギクとヨメナ、それにこれらのきんえんしゅがよくられる。
  • より自然しぜんゆたかな野外やがいでは、上記じょうきしゅのほかに、ひくくてはなおおきなリュウノウギク(しろ)やキクタニギク()、たかくてはなすうおおいヤマシロギク、シラヤマギク、ゴマナなどがられる。現在げんざいほど都市としすすんでいなかった時代じだいには、里山さとやまえるこれらの野菊のぎくももっとなじみふかかったはずである。
  • 海岸かいがんせん岩場いわば砂浜すなはまにはおおくのたねがあるが、地域ちいきによってことなり、またそれほど頻繁ひんぱんにはられない。

これらのだい部分ぶぶん本州ほんしゅうさんである。北海道ほっかいどうには海岸かいがんせいのもの以外いがいではシラヤマギク、サワシロギク、エゾノコンギクなどがある。沖縄おきなわでは海岸かいがんたねのぞくと野菊のぎくはコヨメナくらいしかない。

べつばれるもの

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外見がいけん野菊のぎくのようにえるが、野菊のぎくとはべつあつかわれることがおおいものを以下いかげた。

ミヤマヨメナぞく Miyamayomena
ひく多年草たねんそうで、くきはやや幅広はばひろく、くき先端せんたんはなを1つずつつける。はなむらさきつよしろかんむりい。
ミヤマヨメナ M. savatieri森林しんりんないえる植物しょくぶつで、外見がいけんはヨメナなどとにているが、はな初夏しょかてんおおきくことなる。これを園芸えんげいようそだてたものがミヤコワスレである。

ややおもむきことにするもの

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ほぼきくはなをつけるものの、野菊のぎくとはびにくそうなものをげる。

センダングサぞく Bidens
むしろ雑草ざっそうふくまれる植物しょくぶつで、とく種子しゅしかんむりすうほんとげしてひっつきむしとなるのできらわれる。はなしたじょうはなすくない地味じみなものがおおいが、コセンダングサ(B. plosa)の変種へんしゅにはしろしたじょうはな発達はったつするものがあり、野菊のぎくっぽくえる。しかしくさ姿すがた雑草ざっそう雰囲気ふんいきつよい。
ムカシヨモギぞく Erigeron
ほそく、はな周囲しゅういしたじょうはながとてもほそく、ねじれるのが特徴とくちょう身近みぢか普通ふつうしゅには、ヒメムカシヨモギ E. canadensis などあるが、これらははながごくちいさく、かずおおいので、はな目立めだたない植物しょくぶつである。
しかし、アズマギク E. thunbergii は、山地さんちから高山たかやまえるひくくさで、はなおおきいものがひとつつくので、うつくしいものである。ただし、したじょうはな非常ひじょうほそく、周囲しゅういいとならべたようにえる姿すがたは、野菊のぎくというよりはヒナギクちかい。同属どうぞくハルジオン E. philadelphicus印象いんしょうがある。よく比較ひかくされるヒメジョオン Stenactis annuus となると、はなちいさいのであまり野菊のぎくらしくなくなる。
シカギクぞく Matricaria
いちねんくさで、くきがり、こまかくけた互生ごせいする。はなしろ北海道ほっかいどうにシカギク M. tetragonosperma などが海岸かいがん自生じせいする。これも野菊のぎくてきはなではあるが、こまかくかれぎているかもしれない。っているひとならば、カミツレ M. chamomila想起そうきするとおもわれる。
オグルマぞく Inula
くき直立ちょくりつし、ややえだす。その先端せんたん黄色きいろはなをつける。したじょうはなはややほそい。カセンソウ I. salicina var. asiatica やオグルマ I. britannica var. japonica などが日本にっぽんひろ分布ぶんぷし、湿地しっちなたに生育せいいくする。草地くさちっすぐにたてっている姿すがたは、あまり野菊のぎくらしさをかんじさせない。
キオンぞく Senecio
非常ひじょう変化へんかぞくであるが、日本にっぽんさんのものは、くさやつるで、黄色きいろ小型こがたきくはな多数たすうつけるものがおおい。姿すがた派手はでなものがおおく、またなつくものがおおいので、あまり野菊のぎくらしさはかんじない。なかでキオン S nemorensis野菊のぎくらしいかもしれない。
ウサギギクぞく Arnica
地下茎ちかけいよこい、がって先端せんたん黄色きいろはなをつける。あまり野菊のぎくらしい姿すがたではないが、ウサギギク A. unalaschcensis var. tschonoskyi高山たかやま植物しょくぶつきくとしては有名ゆうめい

関連かんれん事項じこう

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