あいだ (余白よはく部分ぶぶん)

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松林まつばやし屏風びょうぶひだり部分ぶぶん長谷川はせがわ等伯とうはく

あいだ (ま、Ma)は、 "gap"、 "space"、 "pause"、をあらわす、ある2つの構造こうぞう部分ぶぶんのあいだのスペースの意味いみおおまかにもうけられるまたはかたられる、日本にっぽん言葉ことば[1][2][3][4]  空間くうかんてき概念がいねんでは、空間くうかんてき間隔かんかくとおして次第しだい経験けいけんにより認知にんちしていく。日本語にほんごでは、スペースという意味いみ単語たんごである「あいだ」(ma)が、間隔かんかく示唆しさしている。それはかこまれたさん次元じげん実体じったいという意味いみでもなく場所ばしょ意識いしきとして説明せつめいされるものでもなく、むしろ視覚しかく強化きょうかから派生はせいする形態けいたい形態けいたい同時どうじ認識にんしきである。

あいだ」は、構成こうせい要素ようそによってつくされるものではなく、むしろこれらの要素ようそ経験けいけんする人間にんげん想像そうぞうりょくなか認知にんちされる。 したがって、「あいだ」は間隔かんかく重視じゅうしして理解りかいされる経験けいけんてき場所ばしょとして定義ていぎできる。 [5]

また「まだ実現じつげんされていない約束やくそくのような、可能かのうせいちた空虚くうきょさ」、そして「音楽おんがくつくおとの“あいだ“の沈黙ちんもく[6] (cf。 Isaac Sternのコメント(した)。)


実例じつれいは、以下いかふる老子ろうし道徳どうとくけいだい11しょう)にあらわれている 。

さんじゅうどもいちこしきとう其無、ゆう車之くるまのよう

埏埴以為とう其無、ゆうこれよう

鑿戶牖以ためしつとう其無、ゆうしつこれよう

ゆう以為これ以為よう

日本語にほんごやく

30ほん(スポーク)は1つのこしき(こしき、ハブ)を共有きょうゆうしているが、なか空間くうかんがあるので、車輪しゃりんようす。

粘土ねんどからうつわつくるが、なか空間くうかんがあるので、うつわようす。

まどけて部屋へやつくるが、なか空間くうかんがあるので、部屋へやようす。

ゆえに、かたちのあるもの価値かちつのは、かたちのないものようすからである。

言葉ことば[編集へんしゅう]

日本語にほんごから英語えいごへの借用しゃくようのうち、あいだは「ま」(Ma:余白よはくスペース)と「けん」(Ken:アーキテクチャ単位たんい)の両方りょうほうは、おな文字もじあいだ」でつづられる。

この日本語にほんご文字もじは「 漢字かんじ 」では、「ドア」を意味いみするもん(もん)と、「太陽たいよう」を意味いみする (ひ)をグラフィカルにわせたものである。 初期しょき異体いたい あいだは「太陽たいよう」ではなくつき (moon)「つき」の文字もじかれており、「つき月光げっこうのぞもん隙間すきまとお門戸もんこ」をあらわしている。 [7]

あいだ」の文字もじ多様たよう事項じこうあらわし、日本語にほんご発音はつおん音読おんよ」、中国語ちゅうごくごみ(文字もじは「あいだまたは「」 :room; between; gap; intervalの意味いみ)で「かん」とむと間隔かんかく空間くうかんあいだ(あいだ)、うち、不和ふわ良好りょうこう機会きかい」など。そして「けん」とむと 単位たんい「6フィート 」「あいだ」の意味いみになる。そしてじゅん日本語にほんご発音はつおん訓読くんよ」で間隔かんかく、~のあいだ媒体ばいたい交雑こうざつ」を意味いみする「あいだ」または「あわい」とよむと空間くうかん間隔かんかくやギャップの意味いみの ‶あいだ” 、うち、途中とちゅう中途ちゅうと距離きょり、あき時間じかん期間きかん関係かんけい」など、または「ま」とよむと「スペース、部屋へや(の「あいだ」)、休止きゅうし時間じかん休憩きゅうけい時間じかん音楽おんがくでの)、時間じかん、しばらく、余暇よかうん、タイミング、ハーモニー」 [8] の意味いみなどがあげられる。

西洋せいようでの使用しよう[編集へんしゅう]

Alan Fletcherは かれの2001ねん著書ちょしょ横向よこむきの芸術げいじゅつ 』で、「 空間くうかん 」を実体じったいとして例示れいじすることの重要じゅうようせいについてろんじている。

Space is substance. Cézanne painted and modelled space. Giacometti sculpted by "taking the fat off space". Mallarmé conceived poems with absences as well as words. Ralph Richardson asserted that acting lay in pauses... Isaac Stern described music as "that little bit between each note - silences which give the form"... The Japanese have a word (ma) for this interval which gives shape to the whole. In the West we have neither word nor term. A serious omission.[9]

Derrick de KerckhoveはMaを「ひとものあいだ複雑ふくざつ関係かんけいのネットワーク」と表現ひょうげんした[10]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ An Introduction to Japanese”. ThoughtCo. 2019ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん
  2. ^ FAQ: 'Ma' and 'Mu'”. Houzz. 2019ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん
  3. ^ http://www.artlex.com/ArtLex/Ne.html[リンク]
  4. ^ A Note for MA: Space/Time in the Garden of Ryoan-Ji - Iimura”. www.mfj-online.org. 2019ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん
  5. ^ Ma”. www.columbia.edu. 2019ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん
  6. ^ When Less is More: Japanese "MA" concept, minimalism & beyond”. wawaza.com. 2019ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん
  7. ^ Bernhard Karlgrenしる、 『にちちゅう分析ぶんせき辞典じてん 、Paul Geunthner、1923ねん、p。 130。
  8. ^ John H. Haig、 Newにゅー Nelsonにちえい文字もじ辞書じしょ 、Tuttle、1997、p。 1132。
  9. ^ The Art of Looking Sideways. by Alan Fletcher. Page 370. Published by Phaidon, 2001. ISBN 0-7148-3449-1.
  10. ^ Genosko (2019ねん4がつ2にち). “Marshall McLuhan: Theoretical elaborations”. Taylor & Francis. 2019ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]